獣医師が解説

【獣医師が解説】犬に歯石がつく前に歯垢をつかないようにするには?

「本町獣医科サポート」の獣医師 北島 崇です。

ペットオーナーのみなさんだけでなく、歯周病は私たちの愛犬においても最も多くみられる生活習慣病といえます。この歯周病対策の基本である「歯垢の付着予防」についてこれから5つのポイントをお話します。

その1: フードの見直し

みなさんの愛犬はどんなフードを食べていますか?ウエットフードはドライフードよりも歯垢が付きやすいと言われていますね。

ウエットフード

ウエットタイプは水分量が約75%もあります。またゲル状にしたり、とろみをつける目的で増粘安定剤が添加されているため、どうしても歯に付きやすいという特徴があります。

ドライフード

これに対してドライタイプの水分量は約10%ですので、愛犬はよく水を飲みます。また硬いためフードを噛む回数が多くなり、唾液がよく分泌されます。結果的に口の中がウォッシングされ、ウエットタイプよりはフードが歯に残りにくいといえます。

食物繊維

みなさんはフードに入っている食物繊維の量をチェックされていますか?食物繊維は栄養成分表示では「粗繊維」として記載されていますので一度見てみましょう。(一般的なフードでは3~4%以下です。)

この食物繊維には歯の研磨作用や唾液の分泌を促進する作用がありますので、配合率が高いフードのほうが歯周病予防には有効です。

その2: 毎日の歯みがき

愛犬の歯みがき頻度に関するアンケート結果があります。「毎日実施する」と回答したペットオーナーさんは全体の2.6%だったそうです。(アニコム調べ)みなさんはいかがですか?

歯垢(しこう)

愛犬がフードを食べた後、6~8時間くらいすると歯の表面に菌が付着・増殖してネバネバしたものができてきます。これが歯周病の原因である「歯垢」でプラーク(近頃テレビCMでよく耳にしますね。)とも呼ばれます。歯垢は軟らかいのでブラッシングで除去できますので安心して下さい。

歯石

歯に付着した歯垢に唾液中のミネラルが沈着すると、3~5日くらいで石灰化してきます。これが「歯石」です。歯石の表面はザラザラしているため、放っておくとその上にその上にと歯垢が付着してきます。

歯周ポケット

歯と歯茎の間の溝を「歯周ポケット」といいます。このポケット部分には空気中の酸素が届きませんので、悪玉の病原性嫌気性菌(=歯周病菌)が増殖してゆきます。

ブラッシング

デンタルケアの基本は歯ブラシによるブラッシングです。歯周病の原因である歯垢は軟らかいためブラッシングで除去できます。

また、ブラッシングには歯周ポケットの病原菌を掻き出し、酸素を送り込んで嫌気性の歯周病菌が増えないようにするという作用もあります。

歯みがきシート

歯ブラシを嫌がる愛犬には、ガーゼや歯みがきシートで歯垢を拭き取るという方法があります。手軽で負担も少ないため、これなら毎食後でも実施できますね。愛犬に無害な研磨剤を合わせて使うとより効果的です。

この拭き取りの場合、歯周ポケットの中の歯垢や菌は取りきれませんので歯ブラシによるブラッシングの補助と考えてください。

その3: 噛むためのグッズ

何かを噛んで唾液を出させるということは、口の中のウォッシングという点で歯垢の付着予防には大切です。いろいろな噛むための市販品を紹介します。

生肉・骨

犬にドライフードと牛肉骨を与えた場合、どちらが歯垢・歯石の付着が少ないか?というおもしろい試験がありますので紹介しましょう。(日本大学/大場茂夫 氏の報告です。)

気になる結果は、牛肉骨(牛もも肉・肋骨)を与えたグループの方が、歯垢の付着が遅く、また10週間経過後も歯石は確認されなかったという内容でした。

その理由として次の2つが述べられています。

①牛肉骨は噛む回数が多いため唾液の分泌が促進された
② 〃 により歯の表面や歯茎がクリーニングされた
 
愛犬に生肉や骨を与えることは歯垢・歯石予防に効果的のようです。(ただし、犬の歯は意外と破損しやすいのでこの点は要注意です。)

ガム、おもちゃ

おやつとしてガムや噛むためのおもちゃなどがあります。これらも唾液の分泌を促進する効果が期待されますが、破損によっておもちゃを誤食・誤飲をすることがないようによく注意してあげて下さい。

その4: サプリメント

 ペットフードは与える目的別として次の3つに分類されます。(商品のどこかに記載されていますので確認してみましょう。)
「総合栄養食」 ・・・一般的にいうフード
「間食」 ・・・おやつ、スナックのこと
「その他目的食」 ・・・動物病院でもらう療法食や市販のサプリメントなど

デンタルケアを目的としたサプリメントとしては、歯周病の原因となる悪玉菌の増殖をあの手この手で抑えようとするものがあります。

乳酸菌

口の中には何百種類という細菌がいると言われていますが、すべてが歯垢を形成したり、歯周ポケットに棲みつくような病原性の悪玉菌ではありません。

そこで前もって口の中を善玉菌でいっぱいにしておけば悪玉菌が増えにくくなるだろう、とい考え方があります。これが「プロバイオティクス」です。

歯周病菌対策として活用される善玉菌の代表が乳酸菌です。ヒトの研究ではある種の乳酸菌はヒトの歯周病菌を積極的に死滅させるという報告もあります。(歯周病でお悩みのペットオーナーの方には朗報です。)

ラクトフェリン

ラクトフェリンとは乳に含まれる成分で、抗菌作用や免疫向上作用などで注目されています。(ラクトフェリン入りヨーグルトが大人気です。)これにより口の中の衛生環境を整えようとするものです。

このラクトフェリンには腸の中のビフィズス菌を増やす作用もあるため、
デンタルケアだけでなく整腸作用も期待できます。

酵素

歯垢は食後6~8時間くらいすると歯の表面に細菌が増殖し、フードの残りが付着して形成されてゆきます。

フード成分の内、一般的にタンパク質は20~25%以上含まれています。このタンパク質を消化する酵素をサプリメントとして補給します。歯の表面に付着したフードの残りを分解して歯垢の付着を抑えようという作戦です。

ここで再確認です。サプリメントは「補助食品」です。あくまでも歯みがきなどのデンタルケアを「補助」することがその役目です。サプリメントさえ与えていれば他は何もしなくても大丈夫、という訳ではありません。

その5: 愛犬の観察

最後になりましたが、愛犬の健康管理は「日常の観察」から始まります。自分ではしっかりとデンタルケアをしているつもりでも、見落としがあるかもしれません。次の項目を参考に常日頃から歯垢・歯石のチェックをしましょう。

口臭

歯周病の進行に伴って口臭が強くなります。フードによるにおいとは異なる腐臭がします。

口の中

歯の変色、歯垢・歯石の付着程度を観察します。また歯のぐらつきや破折、歯茎の腫れ・出血の有無も確認します。

よだれ・噛み方

歯周病の進行により歯の痛みや歯茎の腫れがひどくなります。愛犬がフードを食べている時、よだれを垂らしていないか?とか、変な噛み方をしていないか?など観察します。

 
以上、歯垢の付着予防策として5つのポイントを紹介しました。ヒトと同じようにイヌにおいても歯周病は肥満、糖尿病、関節疾患といった生活習慣病の一つとなっています。みなさんの大切な愛犬の健康管理として役立ててください。

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執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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