健康

愛犬に筋肉をつけたい!―運動と食事の両面からトライ!

パグが走っている。走ることで筋肉を維持
北風の吹きすさぶ町を歩いていると、今にも吹き飛ばされそうな子犬が四肢をチョコチョコと動かし、かわいい仕草で飼い主さんとゆっくりお散歩している光景に出会います。
そうかと思うと、次に出会った犬は、筋肉りゅうりゅうのブルドッグ。
そのたくましい体つきを見ると、寒さなんかには負けないぞ!とばかりに、なんだか自信に満ち溢れています。
何か特別なトレーニングでもしているのかと、何度も振り返りながらその雄姿に見惚れてしまうほど。
そういえば、ブルドッグも飼い主さんも軽めのジョギングのようなスピードで散歩しています。
さて、筋肉の引き締まったあの体はいったいどのようにしてつくられているのでしょうか。

今日は、筋肉について、いっしょに考えていきましょう。

主な筋肉の特徴

私たちヒトは二足歩行で、犬は四足歩行です。
ヒトと犬の筋肉の発達の違いを挙げると、ヒトは直立不動の態勢を取るために大殿筋が発達していますが、犬は前足に重心をかけ上体を支えるための胸筋群、走るときに推進力を生み出す広背筋や臀筋(でんきん)群などが発達しています。

また、筋肉は熱を産出する主要な器官でもあり、また、収縮運動の仕組みから、「骨格筋」「心筋」「平滑筋」の3つに分けられます。
では、それらの筋肉について見ていきましょう。

『一般社団法人 国際家庭犬トレーニング協会』のHPより抜粋してまとめてみました。

≪骨格筋≫

 動物体重の50%近くを占める体内最大の組織で、運動神経の支配下にあり動物の意思で動かすことができる随意筋。

 骨格筋の役割として
 動力源  :動物体内で科学的エネルギーを消費し、力学的エネルギーを得る。

 運動作用 :筋収縮によって筋が付着する骨格が移動する。 関節の屈曲や伸展が可能。

 力学的衝撃からの保護作用 :転倒、打撃などの衝撃を吸収し骨や内臓を保護する。

 ポンプ作用 :筋が収縮と弛緩を繰り返すことで循環器系の還流を促進する。

≪心筋≫

 心筋は心臓だけに存在する筋肉である。
自律神経の支配下にある不随意筋で、動物の意思による制御はできないため、自動収縮を行い自動的に絶えず働いている。

≪平滑筋≫

腸や血管壁、気道などあらやる場所に存在する。
骨格筋と比べ収縮反応が遅く、収縮力も弱い。
自律神経の支配下にある不随意筋で、ホルモンによってコントロールされている。

筋肉はそれぞれの役割をもって、体を動かしていることがわかりますね。

では、なぜ、筋肉が発達していると良いのでしょう。

ブルドッグ 

筋肉量の多さが導くメリット

運動不足の人と適度な運動を毎日維持している人を比べてみると、明らかに体力の差が生じてきます。

さて、ここで問題です。
下記の①~④の中で、いちばん体力がある犬は何番でしょうか?
(犬種や年齢、食事量いずれも同じという単純な条件で考えてください)

① まったく運動をしない犬
② ときどき散歩をする犬
③ 毎日欠かさず散歩をする犬
④ 毎日欠かさず散歩をし、負荷をかけて運動する犬

もう、お分かりですね。
そう、答えは④です。

ヒトも犬の場合も同じです。
毎日、持続性のある運動をしている犬は、何もしない犬に比べると体力、筋力に差が付いてくるのです。

ということは、運動をするということは筋力や体力を高めるという大きなメリットがあるということですね。
筋肉を鍛えると基礎代謝を高めることができ、太りにくい体質へ変化していきますから、肥満から起こる糖尿病などの予防に役立ちますし、老犬になれば生じてくる寝たきり予防や、老化防止にも大いに役立ちます。
これは、どんどん体力や筋力が低下していく犬のライフプロセスにとっても大事なことです。
老犬になって動けなくなったとたんに、いくら負荷をかけて運動を強いても、それでは遅すぎます。
愛犬が動ける間に、しっかりと運動機能を高めて筋肉と体力を養って元気に長生きできる体の基礎をつくってあげましょう。

筋肉量が多い犬は活発な動きをしますし、活発な動きをするからこそ筋肉量も多いといえるかもしれません。
俊敏に動ける体力のある犬は、体も引き締まっているはず!
引き締まった体は、筋肉量も多いのです。

では、逆に筋肉量が少ないとどのような影響が表れるのでしょうか。
●体を支えられなくなる
●体力が無くなる
●病気にかかりやすくなる
●太りやすくなる  

どうでしょう。
どれを取ってみても、避けて通りたいものばかりですね。
『転ばぬ先の杖』・・・さあ、『杖』となるものをしっかりと愛犬に授けてあげましょう!
愛犬と海岸を走る 運動は筋肉維持に必要です。

遅筋と速筋の鍛え方の違い

筋肉は細かい繊維質の集合体で、遅筋(赤筋)と、速筋(白筋)に分けられます。

遅筋

遅筋は、ゆっくり動かすときの筋肉で持久力があります。
陸上選手などに例えると、マラソンランナーはこの遅筋が発達しています。
犬の場合、これは日常の散歩などで鍛えることができます。

速筋

速筋は、素早く動かすときの筋肉で瞬発力はありますが、持久力が無いのが特徴です。
陸上の短距離ランナーなどは、この速筋が発達していますから瞬発的なスピードの高い筋肉運動に向きます。
犬の場合、日常の散歩に早歩きやランニングなどを加え、負荷をかけたトレーニングで鍛えることができます。
また、ドッグ・アジリティという競技などに参加するための訓練では、速筋などを鍛えることができます。

筋肉の鍛え方ノウハウ

 

日常生活においてできる運動

 

 ・「お座り!」「立て!」「伏せ!」「待て!」

しつけのための動作と思われがちな「お座り!」「伏せ!」「立て!」「待て!」も、実は筋肉を鍛える効果的なものといえます。

  「お座り」の状態から「立て」への移行動作で関節や筋肉を動かし鍛えることができるのです。
  また、「お座り」の状態から「伏せ」の状態では、体を大きく動かすことができますから、全体的な運動となりますし、特に足腰の運動ができます。
  これを何度か連続的にすると良いのですが、「待て」という動作も入れて体幹のバランスを養うことも忘れずに。
  ただし、長時間や複数回の連続運動では返って体に負担をかけることもありますので、愛犬の様子を見ながら運動量を増やしていきます。
筋肉を動かすためには、運動量を高めていくと心拍数も上がっていきますが、運動を終える頃には、元の心拍数の状態に近づけられるようにクールダウンしながら心拍数を整えてあげましょう。

ひととおりの運動ができたら、愛犬の体をさすりながらほめてあげたり、ご褒美としておやつを与えてあげたりすると犬のモチベーションも上がり、運動することは楽しいということを学習するでしょう。

 散歩で負荷をかける運動
  いつもの散歩では、歩いていますか? ちょっと早歩き? それとも軽く走っていますか?
  犬は追跡本能的があるため走ることが好きですし、ストレス発散にも大いに走ることは役立ちます。
  また、このような動作は心肺機能・代謝機能・免疫力を高める効果もあると言われています。
  ですから、散歩中に歩いたり早歩きをしたり走ってみたりというリズムをつけてあげることも、飽きを感じさせない良い方法だと思います。
そして、少し負荷をかけるための坂道散歩は、筋肉トレーニングに向いています。
足腰を鍛えるにもよいですし、また、いつもの平坦なコースを変えて坂道があったり、低い位置で飛び越えらえられる障害物的なものがあったりすると、気分転換にもなり一石二鳥の効果が期待できますね。

  ただし、コンクリートやアスファルト舗装のされた道を走らせることは、愛犬の足に負担をかけてしまいますので、長時間の走りはお勧めできません。
芝生や土の上、またドッグランなどで走らせてあげましょう。

●首の周りの筋肉を鍛える運動
 意外と首の筋肉を鍛えることを忘れがちですが、首も上下左右と動かしてあげましょう。
 方法としては、愛犬の名前をいろいろな方向から呼んで振り向かせる運動。
 また、おやつやおもちゃを上下左右に移動させて、それを目で追わせることで視線を動かすと同時に首も動かして首周りの筋肉を鍛えましょう。
走っている犬

もう一段階上をいく筋肉トレーニングのノウハウ

  ●ドッグラン・アジリティでの運動
   【agility】・・・日本語に訳すと「軽快さ、機敏」という意味です。
このことばからも体の引き締まった犬が軽やかに走ったり跳ねたりしている様子が目に浮かびますね。

犬の世界で、「アジリティ」と言えば、飼い主さん(指導主)と犬が息をピッタリ合わせて、コース上に置かれたハードル、トンネル、シーソーなどの障害物を時間内に次々とクリアしていく競技のことで、ドッグスポーツとよばれるものです。
12個以上20個以内の障害物を制限時間内に、高低差のあるハードルをジャンピングして乗り越えたり、ドッグ・ウォークという傾斜を上り下りしたり、また、フラット・トンネルをくぐり抜けて行ったりという競技なのですが、正確さもさることながら高い運動機能が求められる競技です。
  
通常の散歩などとは違い、走ったり障害物を乗り越えたりするのでハードな運動量ですから、この訓練ともなるとやはり筋力の質も高いものを求められ、速筋を鍛えるにはもってこいの運動といえるでしょう。
  ドッグランなどで併設されていることが多く、運動が好きな愛犬をこのような環境の整った場所でトレーニングさせて、国内外で開催されるドッグ・アジリティの競技に参加する飼い主さんも多数います。
  ※一般社団法人 ジャパン ケネル クラブのHP上で、この競技の様子を動画で見ることができます。

運動をするうえでの注意すべき点

衝動的に運動させない

『思い立ったら吉日』・・・即実行派の飼い主さん、ちょっと、待って!
確かに筋肉質の引き締まったたくましい犬を見ると、刺激を受けるものです。
「うちの子も筋肉りゅうりゅうにしてみたい!」と、意欲を掻き立てられることでしょう。
しかし、その思いだけを優先させてトレーニングを行うことは、愛犬にとっては返って負担になり関節を痛めたりストレスを与えたりする結果を生んでしまうこともあります。
ドッグラン・アジリティなどの本格的なトレーニングを求めておられるならばよけいに、専門家のトレーナーに相談しながら進めていくとよいですね。
まずは、愛犬の様子を見ながら日常的に持続していける無理のない範囲からはじめましょう。

虚弱な犬や老犬への労り

犬といっても十犬十色・・・生まれつきひ弱な犬もいれば、頑丈な犬もいます。
体調が良い日もあれば、すぐれない日もあるものです。
無理を強いらないことが何よりもの心がけであり、愛犬の様子を常に見守り小さな変化を見逃さないことが大切です。
それぞれの犬に合った運動量で行いましょう。
また、身体の機能低下が著しい老犬にとって適度な運動はよいのですが、筋肉のトレーニングともなれば負担が大きくなります。
特に、日に日に動けなくなってきた老犬には、自発的な運動は無理な場合がありますから、そのようなときは、体をマッサージしてあげたり、手足を伸ばしてあげたりするだけでも気分転換になるものです。
年老いても自らの足で歩くことができ、食べることができること・・・それが、何よりです。
そのためにも、成長に合わせた日々の運動を少しずつでも欠かさないようにしましょう。

  そして、運動量と並んで筋肉をつくるうえで大事なことは、食事です。
  どのような食事を摂ることが、筋肉量を増やしバランスの取れた肉体を作り出すのでしょうか。
海岸を走る犬達

筋肉をつくるのに必要な栄養

 

タンパク質を多く含む生肉の力

筋肉の元になる栄養素は何かご存知ですか?
 それは、タンパク質です。
 タンパク質が不足していると筋肉をつくることはできません。
 タンパク質と聞けば、まず「肉」を思い浮かべますね。
 特に生肉は、高タンパク、低カロリー、低脂肪という大きな特徴があり、タンパク質に含まれる酵素には、食べものの消化を助ける働きがあります。
 
 生肉の種類にもいろいろあります。
 おすすめは、馬肉、鹿肉、鶏肉です。
 鹿肉で言えば
 *牛肉や豚肉に比べて約2倍のタンパク質
 *牛肉や豚肉に比べて3分の1のカロリー
 *牛肉や豚肉に比べて15分の1ほどの脂肪

 野生の鹿の姿を思い浮かべると確かに、無駄のない引き締まった筋肉質な体と俊敏な動きが伺えますね。
犬には満腹感が必要なのではなくて、食べたものをエネルギーに換えたり各組織に利用したりするための消化力が必要なのです。
それが、引き締まったスリムな筋肉質をつくるのです。

鶏肉に関して言えば、高カロリーです。
運動量が多く消費カロリーの多い犬には、鶏肉は向いています。

ドライフードは?

ドライフードの原材料を見てみると、穀物やイモ類、グルテンなどの炭水化物を中心に製造されているものがまだまだたくさん市場に出回っています。
犬は炭水化物の消化が苦手ですし、タンパク質に含まれる消化を助ける酵素は、熱に弱いのです。
ということは、ドッグフードなどのように高温で熱処理されている食べものは消化吸収しにくいので、消化しきれなかった余分なものが体の中に蓄積されたままになり、体重の増加を招いたり体の不調の原因をつくったりします。
運動しているから消化できるのではなくて、食べものの原料や製造方法で消化できるのかどうかが決定づけられるのです。
ですから、食事はちゃんと選んであげてほしいのです。

とはいえ、生肉だけですべての栄養を摂取することはできませんし、筋肉をつくるために生肉だけを食べていればいいのかというと、そうではありません。
あくまでも総合的な栄養をバランスよく摂取することが筋肉をはじめ体づくりには大切なのです。

では、そのような魅力的な食べものはあるのでしょうか。

総合栄養食の「生食ローフード」でバランスの取れた体づくり

「生食ローフード」とは、生肉を中心に生贓物、生骨、発酵野菜や果物を原材料とした栄養のバランスの整った総合栄養食です。
大きな特徴は、熱加工されていない生の食材を用いているので、栄養が損なわれない点 です。

良質な動物性脂肪は、愛犬の食欲を刺激しいちばんのエネルギー源となります。
タンパク質に含まれるたっぷりの酵素は、消化にすぐれ栄養をしっかりと吸収できます。
また、原材料には発酵野菜や果物が含まれていますので、食物繊維が腸内の良性菌の餌となりますし、また野菜の栄養もスムーズに吸収できます。
そして、さらに内臓物や生骨までも入っていますので、犬の食いつきも良くカルシウムもたっぷりですから、骨の強化にもつながります。
筋肉をつくる上でもっとも必要なタンパク質が豊富に含まれているうえに、総合的な栄養素がこの生食ローフードの中にギュッと詰まって入っているのです。

運動と食事のバランスが保ててこそ、筋肉はしっかりとつくりあげられていきます。

『ローマは一日にしてならず』・・・という諺があります。

今日運動したからと言って、今日タンパク質をいっぱい摂ったからといって、明日すぐに筋肉りゅうりゅうにはなりません。
しかし、持続的な運動と良質な食事が習慣化されれば、近い未来には愛犬がたくましい姿となっている可能性は高いのです。

さあ、今日からはじめてみませんか?
愛犬と飼い主さんがつくりあげる筋肉モリモリ習慣を!
愛犬に筋肉をつけたい!  

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北海道産 エゾ鹿肉 小分けトレー入り

愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修

帝塚山ハウンドカム 看板犬いわて
株式会社帝塚山ハウンドカム
代表取締役 川瀬 隆庸

  • 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
  • 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
  • ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
  • 小動物栄養管理士認定
  • D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
  • 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
  • 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了

愛犬の健康トラブル・ドッグフード・サプリメントなどアドバイスをいたします。

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