帝塚山ハウンドカムの川瀬隆庸(かわせ・たかつね)社長の「こだわり対談」第3弾は同社「EC・通販マーケティング事業部」スタッフの墫(ばん)ふき恵さんと、笠原慶子さんがゲストです。
川瀬社長を“ホスト役”にして職場でのエピソードなどを話していただく鼎談スタイルで、お送りしています。
その第2回目はペット用品を扱う店ならではの独特の気配りなどについての話題などを紹介します。
お客さまとの電話やメールでのコミュニケーションを通じて人間の言葉を話せないワンちゃんや猫ちゃんの状態を知る…それはハウンドカムの大切な仕事のひとつなのです。(岡崎秀俊)
腎臓をめぐる様々な悩み
川瀬:ハウンドカムは最近、口臭や歯石などのデンタルケアに力を入れていますが、その点についての、お問い合わせはいかがですか?
笠原:お店の近辺にお住まいの方々から「無麻酔の歯石取りについて教えてください」とか「デンタルケアの予約はできますか」といった、お電話をいただきます。
それからワンちゃんや猫ちゃんが食べると歯磨き効果があるサプリメントなどについての、ご質問もいただきます。
墫:そうですね、デンタル関係でしたらサプリメントについてのお問い合わせをいただくことが多いです。
川瀬:やはり寿命が延びると人間と同じで歯や口内の健康は深刻な問題になってくるのでしょうね。
そんなペットの高齢化にも関連して腎臓の相談が増えている=通販部門編(1)参照=ということでしたが、具体的にはどのような?
墫:食事です。
「腎臓にいい食べ物は?」「腎臓が悪くても食べられるおやつありますか?」とか、「(腎臓が悪くなってから)食べないのですが、どうしたらいいですか?」といった、ご質問です。
症状が出てからという方が多いですが、予防方法にも関心のある方もいらっしゃいます。
やはり気にされている方はすごく気をつかっていらっしゃるので、病院で検査の数値が正常でないと言われただけでも、すごく心配されます。
腎臓病だと診断されたケースをはじめ、元気でも、また、少し元気がない、とか、状態を問わず、様々な質問をいただきます。
川瀬:ネットで調べると肉が腎臓によくないという情報もあります。
でも犬にも肉類は必要で、猫には必須ですよね。
タンパク質を摂取したあとの代謝によって腎臓に負担をかける副産物が出てくるので肉類がはいけないと言われているようですが、ウチでは消化効率のいい肉を少し与えることを、おすすめしていますよね。
笠原:赤身だけじゃなくて脂肪分もある程度含まれているほうがリンとカルシウムのバランスがいいそうなので、ご相談を受けたときは提案しています。
それに最近は、獣医さんやワン友さん(犬を飼っている友だち)などに「生肉がいいよ」と聞いたので、ご自身でネットなどで、お調べになって、帝塚山ハウンドカムを知り、お電話をいただくというケースが増えています。
飼い主さんへのケアも大切に
川瀬:いろいろなお問い合わせを電話で頂戴しますが、対応するときに心がけていることはありますか?
墫:お客様の、お話をしっかりと聞くことです。じっくりとうかがって何に困っておられるのかを正確に把握するようにしています。
笠原:そうです、やはり聞くことですね。
それから、お電話のお客様の気持ちと同じような気持ちになるように心がけています。
本当に悩んで困っていることは何で、どのようなことを期待されているのか、それを理解することが大切だと思っていますので。
川瀬:電話が長くなることもありますよね。
墫:2時間くらいになったことがありました。
それは珍しいケースですが、商品のご質問から始まって、ご自身が一緒に暮らしている猫ちゃんの話になって…。
川瀬:墫さんは猫についての勉強もしていて、ハウンドカムのwebサイトでも主に猫のページを担当してもらっていますよね。
猫と暮らしているので、猫に関する難しい質問には墫さんに対応をお願いすることが多いですね。
――猫の歯磨きは難しいようですが、何かアドバイスを。
墫:歯磨きは成猫になってからだと特に難しいですね、全力で抵抗する子がほとんどですから…。
歯磨き効果のあるサプリも食べないという悩みはよく聞きます。
ハウンドカムでは猫のデンタルケアはしていませんが、スタッフの猫にトリマーが歯磨きをしてみたら大丈夫だったことがありました。
ですから、やり方次第かもしれません。
猫は様々なので「こうすればいいですよ」という断定的なご提案はできないのが現実です。
子猫のときから習慣にするのが一番で、無理やりはダメ…。
サプリもすべての猫が嫌がるわけではないので一度、試していただくことを提案しています。
川瀬:笠原さんは電話で長くなることは?
笠原:私も最長となると、2時間くらいでしょうか。
私のときはワンちゃんでした。
商品のご提案、涙焼けやアレルギーなどの健康相談のほか、飼い主さんの悩み相談みたいなのも含まれて長くなってしまいました。
何回か、お電話をいただく方は私を“ご指名”される方もいらっしゃいます。
川瀬:対応に満足されたのでしょうね。
笠原:う~ん、一度、じっくりと、お話をうかがって、その方の状況がわかっているので、イチから説明する必要がないことも大きいと思いますね。
川瀬:飼い主さんが電話で何かを相談するときに、より適切なアドバイスを受けられるようなコツや工夫はありますか?
墫:たとえば商品が関係する場合は、正確な商品名をおっしゃっていただくと助かります。
質問の内容をできるだけ具体的にということですね。
商品名などがはっきりしないと、間違った案内をする可能性もありますので、こちらも、注意深くうかがっていますが、特定できるものは特定していただくのがいいと思います。
笠原:そうですね、それがありがたいです。ただ、ワンちゃんや猫ちゃんの体調がとても悪くて、お悩みを持っている飼い主さんは、そこまで冷静になれないことも少なくありません。
「大切な我が子」という気持ちの飼い主さんは多いので、私たちの仕事はペットのことと同時に飼い主さんのケアをして差し上げることが必要かな、という気はしています。
川瀬:具合が悪いのはワンちゃんや猫ちゃんなのでしょうけど、犬や猫自身が直接、電話できませんもんね。
笠原:そうです、ワンちゃんと猫ちゃんとのコミュニケーションは間接的ですので、ペットと飼い主さんを一体と考えるような姿勢も必要かもしれません。
獣医さんとは違う視点で
川瀬:それは当たり前のことでしょうが、大切な気配りですね。
ウチの商品はサプリや生肉などに特化しているので、健康に関する質問は他のショップさんに比べて多いと思っています。
社内で、ペットの健康についての勉強会は毎月何回も開催していますよね。
スタッフが情報を調べて私が伝えることが多いですが、心がけているのは獣医さんとは違う視点や考え方です。
お客さまは、獣医さんの提案を聞きたければ、動物病院に行かれると思いますし、実際に行かれています。
そのうえでウチに相談されるということは獣医さんとは違う提案を望まれているからでしょう。
予防も含めて薬や手術以外の選択肢を求めて来られていると思うのです。
ですから、そういうお答えが適切にできるようにみんなで勉強しています。
口内環境や腎臓、肝臓、アレルギーといった病気に特化した勉強をはじめ商品特性についても学んでいますよね。
――墫さんや笠原さんは「EC・通販マーケティング事業部」のスタッフですが、webサイトを通じた通信販売などインターネットによる情報発信についてのご意見を聞かせてください。
川瀬:スマホの普及もあって、インターネットは急速に世の中への影響力を強めましたね。
小さなニーズにも対応できる点が長所だと実感しています。
ウチのサイトで記事やブログのかたちで商品を紹介するときも「反応する人はいないかも」と思っていたケースに対するアクセスが予想外に多いことに驚きます。
たとえば老犬用の床ずれ防止マットです。
値段は大きさによって違いますが、中~大型犬用や大型犬用で1万円台から2万円代なので、ふつうの犬用マットの倍以上の値段ですが、けっこう買ってくださいます。
それからウチのオリジナル「健康オメガ3オイル」。マグロに含まれている天然ビタミンを壊さないで抽出していて皮膚の健康維持やアレルギー対策など健康にプラス面があるとされている商品です。
発売から7~8年になる健康補助食品で、ドライフードでは補いにくい成分を含んでいるのですが、飼い主さんの意識の高まりとネットの普及がリンクするかたちで認知度が高まり最近、売り上げを伸ばしています。
笠原:床ずれ防止マットのことが出ましたが、介護についてのご相談も受けます。
床ずれ防止マットを使った場合、ワンちゃんが寝ている体位を変える時間をどうしたらいいんですかとか…。
それから、今まで好きだったおやつも食べなくなって…といったことです。
ご提案をさせていただいても結果を報告してくださる方は、あまりいらっしゃいませんが、また何か問題があったときに、お電話をくださるので、そのときに結果もうかがうようにしています。
川瀬:そのような、お客さんからの相談などは記録に残してスタッフで共有し、その後の対応に生かしていますよね。