花粉の飛散がおさまり、街に緑が増え、暑くも寒くもなく、ペットとの外出にちょうど良い季節です。散歩バックには水と一緒に軽いおやつを持っていかれると思いますが、果物としてバナナはいかがでしょうか。
目次
【よく食べる果物】
果物が健康に良いことは皆さんよくご存知です。日本バナナ輸入組合という組織があり、20年前から果物に関する全国レベルのアンケートを行っています。この調査内容を見てみましょう。
20年連続No.1は?
全国10~80代の男女を対象として、「よく食べる果物」を調査しました。結果順位は20年間ほぼ変わらず、第1位バナナ、第2位リンゴ、第3位ミカンとなっています。学校給食や遠足のおやつなど、子どもの頃からお馴染みのバナナはおよそ65%もの支持を得て不動の第1位の座を占めています。
また直近2024年調査結果では「バナナを食べる場面」として朝食と答えた人は全体の62.5%で第1位です。手軽に食べられて満腹感が得られ、価格も安いことから、バナナは忙しい朝の食事に適した果物といえます(バナナを月1日以上食べる人955人の回答)。
バナナの栄養素といえば?
バナナが朝食に食べられているのは、しっかりとした栄養分を備えているためでもあります。「あなたが知っているバナナの栄養素」に対するアンケート結果では15年前から食物繊維、糖質、カリウムが上位3つを占めています。
食物繊維はトイレや整腸作用、糖質はエネルギー源として広く認知されている栄養素です。またカリウムは果物全般に広く含まれており、体のミネラル調整として大切です。このように1日の始まりに食べるバナナはとても重宝な果物です。
【スポーツとバナナ】
私が子どもの頃、バテないようにと運動中は水を飲むなと言われてきました。しかし、現在ではしっかりとした水分/ミネラル摂取は重要であり、同時にエネルギー源として糖質やタンパク質の補給も薦められています。
運動時に食べる食品
日本バナナ輸入組合の調査では、週に1日以上運動している745人に対して「運動時に補給する食品」について質問しています。結果は1位プロテイン食品、2位エネルギー補給食品というようにサプリという形でタンパク質やエネルギー源を摂取しています。
続く3位~5位は食品からの糖質・エネルギー補給としておにぎり、お菓子、果物があがっています。これらは消化吸収が速く、摂取後すぐにエネルギーに変わる「即効性エネルギー食」などと呼ばれているものです。そういえばアスリートが休憩時間にお菓子や果物を食べる映像を見たり、インタビューで試合前にはおにぎりやうどんといった炭水化物(糖質)を摂るというコメントを聞きます。
運動時にバナナを食べる理由
運動をする時に食べる食品では回答率8.7%の第5位であった果物ですが、その中で人気が高いものは何でしょうか?運動時に果物を食べているという65人の回答ではトップはバナナ(80.0%)、次いでリンゴ(36.9%)、ミカン(29.2%)となっています。
これはちょうど日本人がよく食べる果物の順位と同じです。リンゴやミカンには水分が多く、ビタミン摂取/疲労回復には適していますが、甘味と程々の満腹感が得られるという点で運動時にもバナナが広く選ばれているようです。
では運動時にバナナを食べる理由は何でしょう。この答えとしては、すぐに食べられる(57.7%)、エネルギー補給のため(48.1%)、消化がよい(44.2%)、疲労回復(同率44.2%)、持ち運びしやすい(30.8%)が上位5つとなっています。
洗わなくても簡単に皮を剥いてすぐに食べられる、甘くやわらかいなどの点で子供からお年寄りまで広く運動時のエネルギー補給源としてバナナは支持されています。
【エネルギー源としてのバナナ】
先ほどのアンケート結果でバナナの栄養素として食物繊維・糖質・カリウムの3つがあがっていました。日頃スポーツをする人たちにも人気のバナナですが、その栄養素の特徴を探りましょう。
豊富な糖質
バナナとリンゴはいろいろな場面でライバル関係のようです。そこで100g中に含まれる主要な栄養成分を比べてみようと思います。リンゴの含有量を100としてバナナの相対値を計算すると、エネルギー量175(93kcal)、脂質100(0.2g)、炭水化物145(22.5g)、食物繊維79(1.1g)、水分90(75.4g)となります。
シャッキリ感である食物繊維とみずみずしさの水分量ではリンゴの方が多いものの、バナナにはエネルギー量やエネルギー源となる炭水化物・糖質が豊富に含まれています(日本食品標準成分表八訂)。
意外と多いタンパク質
ここで意外な数値がタンパク質量です。100gあたりリンゴが0.1gであるのに対しバナナは1.1gと11倍もの値になっています。この理由はBCAA(分岐鎖アミノ酸)です。BCAAは筋肉のエネルギーとなるアミノ酸でバリン、ロイシン、イソロイシンをいいます。
スポーツをする人たちからバナナが大きな支持を得ている理由は、炭水化物/即効性エネルギー源(ブドウ糖・果糖・ショ糖など)とBCAAを豊富に含んでいるためといえます。
筋トレフルーツランキング
筋トレに必要な栄養素として炭水化物、タンパク質、カリウム、マグネシウム、ビタミンB群の5つがあるとされます。今回紹介した日本バナナ輸入組合はこれら5栄養素の含有量の総合値から『筋トレにあうフルーツランキング』というものを発表しました(2024年)。
各果物100g中の含有量の多い順に1位10ポイント、2位9ポイント、10位以下は1ポイントとして計算し、総合獲得ポイントでランキング化しました。結果は第1位バナナ(49ポイント)、第2位メロン(39ポイント)、第3位キウイフルーツ(37ポイント)となりました。
この調査でバナナは対象5栄養素のうちタンパク質以外ですべて1位(同率2位あり)であったとのことです。バナナは即効性のエネルギー源であると同時に筋肉づくりにも大変有用な果物であるといえます。
育ち盛りのペットには筋肉と骨の成長のために十分な運動が必要です。また肥満予防や老化対策としても毎日の運動は欠かせません。これから梅雨入りまでしばらく過ごしやすい季節が続きます。ペットと一緒の散歩や屋外での運動時にエネルギー補給としてバナナを準備するのが良いでしょう。
(以上)
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執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート
獣医師 北島 崇
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。