
ある調査によるとペットの食費全体に占めるおやつの割合は20%強ということです。ペットにおやつをあげる場面としては、しつけ・トレーニングのご褒美や散歩の休憩中などがありますが、美味しそうに食べる姿を見ていると私たちオーナーの心も和みます。では皆さんは、これからのおやつ/お菓子にどのようなはたらきを求めますか?
目次
【心が癒されるお菓子】
前回、おやつにはストレス解消や気分転換などメンタル面に関する作用があることを紹介しました。では心が癒されると感じるおやつ/お菓子にはどのようなものがあるのでしょうか。㈳日本アイスクリーム協会が報告する『アイスクリーム白書2009年』の調査結果を見てみましょう。
ストレスが解消されるお菓子
市販のアイスクリームを購入して食べた10~60代の男女合計600人を対象に「ストレス解消ができると思うお菓子/飲み物は何か?」という質問をしています。これによると上位3つはチョコレート(28.8%)、コーヒー・ココア・紅茶(22.2%)、ケーキ・シュークリーム(22.0%)でした。
チョコレートとコーヒー・ココアはペットにはNGですので、愛犬愛猫にも与えられそうなお菓子を探してみると4位スナック菓子(21.3%)、6位アイスクリーム(21.0%)が入っており、7位ビスケット・クッキー・クラッカー(12.5%)、そして9位に和菓子(9.3%)がありました。

心がほっとするお菓子
続いて質問には「食べるとほっとする癒し系のお菓子/飲み物は何か?」というものがあります。これには第1位がコーヒー・ココア・紅茶(54.2%)となっており、第2位に和菓子(41.0%)、第3位に米菓:せんべい・あられ(35.8%)が選ばれていました。
前回紹介した調査では「格式が高い」と消費者から敬遠されていた和菓子ですが、食べてみると心が癒されるという評価でした。こちらの結果はストレスで元気のないペットにも利用できそうです。みなさんも一度試してみてはいかがでしょうか。

【女子高校生と女性高齢者】
オーナーは自身が好む食べ物をペットにも与えるという傾向があります。これはフードに限らずおやつにもあてはまります。ここでは消費者の年齢と好きなお菓子の関係を確認してみましょう。
好きなお菓子
女子高校生(75人)と女性高齢者(平均年齢73.4歳、28人)を対象にしたお菓子に対する意識調査というおもしろい報告があります(大西梨沙ら 名古屋文理大学 2014年)。
まずズバリ好きなお菓子は、女子高校生はチョコレートが飛び抜けて68.0%、次いでケーキとクッキーが同率の33.3%でした。対して女性高齢者ではトップはせんべい・あられなどの米菓(57.1%)、2位は和菓子・まんじゅう(53.6%)、3位ケーキ(28.6%)となりました。結果としては想像どおりといったところです。

気にしていること
次の質問はお菓子について日頃気にしていることです。女子高校生の回答は美味しさ(88.0%)とカロリー(54.7%)に集中していました。一方、女性高齢者では美味しさ(64.3%)から糖分、脂肪分、塩分、食感、カロリー(39.3%)まで幅広く気にしていることが判りました。高齢になるとどうしてもお菓子に含まれる糖分・塩分などの健康への影響が気になるようです。

心身に良い
おやつを食べる効果としてストレス解消、気分転換、リラックス、疲労回復などが報告されています。この調査でもお菓子を食べる理由を尋ねており、結果では両グループ共に「美味しいから」「気分転換」が高い回答率を得ていました。
甘く美味しいお菓子を食べることは糖分補給と同時に幸せな気持ちになり、精神的な満足感も得ることができます。これより女子高校生の46.4%、女性高齢者の57.3%がお菓子を食べることは体や心にとって大切と思うと答えています。

【これからのお菓子】
おやつ/お菓子はあくまでも食事の補助というものですが、近頃は食事だけでは不足する栄養素や健康機能成分の供給源という役割も期待されています。
求められる栄養素
栄養学を学ぶ女子大学生と食物学の体験授業に参加した女子高校生合計213人をモニターとしたお菓子に対する食意識調査報告があります(隅田衣江ら 大妻女子大学 2012年)。この中に「お菓子に添加して欲しいと思う栄養素は?」という質問があります。
最も希望が多かった栄養素は骨や歯の形成に必要なカルシウムCa(68.1%)でした。これに皮膚や粘膜の健康維持を助けるビタミンC(54.9%)、ビタミンB2(42.7%)、ナイアシン(39.0%)と続きます。そして5番目には夜間の視力の維持を助けるビタミンA(36.6%)が入っていました。
このように身体の維持に大切でありながら食事やフードだけでは十分量が摂りにくい栄養素、中でもビタミン系がおやつ/お菓子に広く求められていることは大変興味深い結果です。

求められる機能性成分
次の質問は「お菓子に添加して欲しいと思う機能性成分は?」というものです。回答のトップ3は1位ジアシルグリセロール(77.9%)、2位寒天などの食物繊維類(65.7%)、3位ヨーグルトなどの乳酸菌類(62.9%)でした。そして4位オリゴ糖類(54.9%)、5位キシリトール(42.3%)と続きました。
トップのジアシルグリセロール(DAG)とは食用油に含まれるもので、中性脂肪上昇抑制作用や脂肪蓄積抑制作用といった脂質代謝に関わる成分です。また第5位のキシリトールはガムに添加されているものがありますが、ペットに与えてはいけません。
このように女子学生がおやつ/お菓子から毎日補給したいと考える機能性成分は食物繊維・乳酸菌・オリゴ糖といった「お腹の健康維持」というジャンルのものでした。

おやつ/お菓子は美味しいことが絶対条件ですが、これに健康維持に欠かせない栄養素や機能性成分が加わるとなると大変うれしいことです。では実際に甘みによる幸福感が得られ、同時にお腹の健康維持を応援する食物繊維が摂れるお菓子とはどういうものでしょうか?その答えの1つに羊羹(ようかん)があります。次回は和菓子/羊羹がもつ健康機能についてお知らせします。
(以上)
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執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート
獣医師 北島 崇
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。






























