
毎日35℃越えの猛烈な暑さが続いています。ペットは1日のほとんどの時間を空調が効いた室内で過ごしているため、熱中症のリスクは低いと思いますが、やはり夏バテには注意したいものです。今回はお菓子、中でも和菓子のようかんが夏場対策に適しているという話です。
目次
【和菓子のあんこ】
前回、お菓子に添加して欲しい健康機能成分として食物繊維という声が多かったことを紹介しました。この点に注目して、洋菓子の材料のカスタードクリームと和菓子の材料の生あんを比べてみようと思います(生あんに砂糖を加え甘くしたものが「あんこ」です)。
水分と食物繊維
まず100gあたりの水分量です。これはカスタードクリーム61.8g、生あん62.0gとほぼ同量です。次は整腸作用が期待される食物繊維量ですが、カスタードクリームが0.2gであるのに対して生あんは6.8gとかなり大きな差があります(日本食品標準成分表 八訂)。
カスタードクリームの素材は小麦粉・卵黄・砂糖・牛乳であり、生あんは小豆から作られています。この小豆に多くの食物繊維が含まれていることが理由と考えられます。

ようかんの魅力
では、ペットのおやつとして人気のあるクッキーと和菓子のようかんに含まれている水分量と食物繊維量を比べてみましょう。100gあたりのクッキーには3.2g、ようかんには26.0gの水分が存在します。また食物繊維量はクッキーが1.4g、対するようかんには2倍以上の3.1gも含まれています。
ペットのおやつにようかんというのはちょっと…、という感じがします。しかし、生あん(あんこ)を使っているようかんは夏場の水分補給ができ、加えてお腹の健康を応援する食物繊維がたくさん含まれています。これを考慮すると、冷やしたようかんはおやつとして魅力ありと思えてきますが、皆さんはいかがでしょうか?

【夏場におすすめのようかん】
フルーツケーキやタルトなどの洋菓子と比べると「華やかさ」や「おしゃれ感」に乏しい和菓子ようかんですが、健康機能面では大変な力をもっています。ここではようかんに秘められたはたらきを紹介します。
ようかんの材料
「趣味はお菓子作りです!」という話をよく聞きます。しかし自宅で和菓子を作るという人はほぼいないと思います。和菓子作りには何か特別な職人技が必要であり、これが和菓子に親しみを感じないという背景になっているのかもしれません。では技術的なことはともかく、和菓子の1つであるようかんの材料を確認しましょう。
ようかんには大きく蒸しようかん、練りようかん、水ようかんの3種類があります。この内、練りようかんと水ようかんには「砂糖、あん、寒天」が使われています。砂糖は糖質として即効性のエネルギー源、あんの素材である小豆には抗酸化物質/ポリフェノールと食物繊維が含まれます。そして寒天も食物繊維でありお腹の健康を応援します。
よく見るとようかんには夏の暑熱ストレスを乗り切るのに大変有用な3つの材料が使われていることに気付きます。これを受けて、現在ようかんは適度の水分を保持し、エネルギー源と整腸作用が期待できることからスポーツ時のおやつや防災食としての役割が期待されています。

お腹にうれしい寒天
100gあたり約3gの食物繊維を含むようかんですが、この食物繊維は小豆(あん)と寒天に由来するものです。女子大学生を対象とする寒天の整腸作用に関するデータを見ておきましょう(杉村留美子ら 藤女子大学 2001年)。
被験者60人を対象にして、通常の食事に寒天から作った麺(食物繊維量4.5g)を追加で2週間食べてもらいました。試験終了後の排便状態を聞き取った結果、排便が正常である27人中の11%、便秘状態である33人中の36%において改善効果が確認されたといいます。
この試験のようにようかんから食物繊維4.5gを摂るのは少々無理です。しかし、毎日の食事で不足する食物繊維をおやつ/ようかんとして補充するというのは良いアイデアと思われます。

酸化ストレス
ようかんには甘いあんこが使われているため、食べた後の血糖値上昇が心配と考える方は少なくないでしょう。この点について実際どうなのかと次のような設定で試験をした報告があります(八木雅之ら 同志社大学・糖化ストレス研究センター 2022年)。
●被験者 健康な20〜30歳男女16名
●供試食品
:米飯、市販のようかん3種類、砂糖水
:すべて炭水化物量として50gに調整
●測定項目 摂取後120分間の血糖値
経時的に血糖値を測定したところ、摂取後すべての供試食品において数値の上昇が確認されました。これを試験開始前の血糖値を100とする相対値でみると45分後にピーク(160~180)が確認されました。供試食品はどれも消化が進みエネルギー化が速いことが判ります。
その後、時間の経過に伴い血糖値は低下してゆきますが、120分後では米飯(150)、ようかん平均値(102)、砂糖水(105)と差が見えました。糖質摂取後に血糖値の高い状態が維持されると体内で活性酸素の生成(=酸化ストレス)を招くとされます。ようかんは米飯と同等のエネルギー産生能力があり、かつ酸化ストレスが軽いお菓子といえます。

【若者に食べて欲しいようかん】
このように夏場の健康維持に良い仕事をしてくれるようかんですが、皆さんは前回いつ購入したか覚えていますか?最後にようかんの消費金額を確認します。
年間支出金額
総務省の家計調査では、1世帯当たり各種品目の支出金額が報告されています。この中のお菓子とようかんの金額を2003年と2023年とで比べてみましょう。
お菓子全体の支出金額は2003年で76,543円であったものが、2023年には99,520円と大きく伸びています。これに対しようかんだけを見てみると2003年910円が2023年には696円と20年間でおよそ24%も減少しています。コンビニスイーツの充実などを背景にお菓子の種類は多様化してきました。相対的に和菓子ようかんの人気は下降傾向をたどっているようです。

年齢別支出金額
2023年の支出金額が696円であったようかんの年齢別金額データを確認します。結果は30歳未満世帯が49円で最少、これが40代世帯332円、60代世帯850円と年齢が上がるにつれて増えてゆき、70代以上世帯では1,054円になっています。
予想通りの結果でしたが、常日頃体を動かす機会が多いのは高齢者よりも若年層です。20~30代の若い年齢の方々にこそ夏場のスポーツ後のエネルギー補給食としてなど、ようかんを食べる機会を増やして欲しいと思います。

あんこ→あんまん・たい焼き→アツアツというようにあん(あんこ)には冬のイメージがあり、夏には遠慮したいと考えがちです。しかし今回、あんと寒天を使ったようかんは夏場を元気に乗り切る機能をもったお菓子であることが判りました。どんなおやつも食べ過ぎ・与え過ぎは体によくありませんが、ペットの夏バテ予防に冷たく冷やしたようかんはいかがでしょうか。
(以上)
執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート
獣医師 北島 崇
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。



























