
連日猛暑が続いています。ニュースを見ていると全国各地で40℃を超える最高気温が記録されています。オーナーの皆さん自身はもちろん、大切なペットの暑さ対策は十分でしょうか。夏場の水分補給は熱中症予防に必須ですが、これに伴う尿から体外へのミネラル排出について考えてみようと思います。
目次
【水摂取量と尿量】
ペットの飲水量はしばしばテーマになります。その前に私たちヒトは毎日どれくらいの水分を摂っているかご存知でしょうか?もちろん季節や年齢により差はありますが、おおよそ1日3リットルといわれています。ただしこの値は水の摂取量、すなわち直接の飲水量と食事(ごはん、おかず、みそ汁など)に含まれる水分の合計です。
季節と水摂取量
夏場は意識的に水分を補給しますが、これは直接ゴクゴクと飲む水です。では季節ごとにみて、私たちはどれくらいの水分量を摂取しているのでしょうか。成人男女242人(30〜76歳)の習慣的な水の摂取量を調査した報告があります(谷 友香子ら 東京大学 2015年)。
これによると各季節の平均水摂取量は夏が最も多く1日あたり2,331g、逆に少ないのは冬で2,135gとのことで、その差は200gほどしかありません。夏場はもっと多くの水分を摂っている気がするのですが、実際はそうでもないようです。
これは、夏は食欲が減少して食事は冷たくさっぱりしたものが主となっているのに対し、冬は麺類や鍋物を食べる機会が増え(=食事由来)、加えて暖かいコーヒーやお茶などをよく飲み(=飲料由来)、全体として比較的多くの水分を摂っているためと思われます。

年齢と水摂取量
性別と水摂取量についてです。これは男性121人の平均が2,423g/日、女性121人の平均は2,037g/日です。男性の方が多いのは食事量が多いためであり、これにより全体の摂取量も多くなっているためでしょう。
次は意外な年齢と水摂取量の関係データです。30~40代112人の平均は
2,121g/日であるのに対し、50〜70代130人の平均は2,324g/日と年齢が高い方が多いという結果です。理由としては年齢が進むにつれて余暇時間が生まれ、これに伴っていわゆる自由な「お茶の時間」も増えることが背景にあると思われます。

年齢と尿量
ここで皆さんに問題です。若い人と年配の人とではどちらの方が尿量が多いでしょうか?イメージとしてお年寄りはあまり水分を摂らず、尿量も少ない気がします。しかし、前出のデータでは年をとるほど水摂取量は増えています。この点を調査した報告があります(朝倉敬子ら 東京大学 2014年)。
福祉施設で働く健康な20~60代の男女760人(男性384人、女性376人)をモニターとして24時間の尿排泄量を測定しました。すると男女共に年齢が進むにつれて尿量は増加していました。健康状態では尿量は水の摂取量に比例します。お年寄りの尿量が少ないというのは、日常の食事量や運動量が減少している要介護高齢者というのが正しいようです。

【尿へのミネラル排出量】
尿は血液を元にして腎臓で作られます。内容は大部分が水分であり、これに尿素などの老廃物、さらに体内で過剰となった水溶性ビタミンやミネラル類が含まれています。ここでは尿中のミネラルに注目しましょう。
熱中症予防とミネラル
熱中症予防に水分補給が叫ばれています。この時、単に水だけを摂るのではなくスポーツドリンクなどで失われるミネラルも補給すべきとされています。これは尿と同じく汗の中にもミネラルが含まれているためです。
私たちヒトは全身の皮膚から汗をかき体温調整を行っています。対してイヌやネコはほとんど汗をかかないため、取り込んだ水分は尿として体外に排泄されます。夏場の外出や散歩時にペットに与えた水分は大部分が尿として、同時にミネラルも体外に排出されています。
尿中のミネラル量
尿中にはどのようなミネラルがどれくらい排出されているのか、私たちヒトの測定データを確認しておきましょう。20~80代の女性219人(平均年齢58.7歳)を対象に1日あたりのミネラル摂取量と尿への排出割合を測定した報告があります(君羅 満ら 東京農業大学 2004年)。
尿への排出割合が最も高いのはナトリウムNaで摂取量の81.5%、次いでカリウムK 62.7%、リンP 56.1%がトップ3です。これら3つは食事からの摂取量も多くNa(4,549㎎)、K(3,290㎎)、P(1,211㎎)ということですから、たくさん取り込んだミネラルはその分たくさん尿中へ排出されているということになります。

また女子大学生21人を対象とした別の調査結果では、ミネラルの中には尿中排出率がとても低いものがあることが判ります(吉田 香ら 京都光華女子大学 2015年)。具体的には亜鉛Znが39.7%であるのに対し、鉄Fe 0.077%、銅Cu 0.72%、マンガンMn 0.005%です。これら3つは尿よりも糞便中への排出割合が高いということです。以上の報告から飲食物を通して取り込んだミネラルは体内で利用され、過剰な分は主に尿として体外へ排出されているわけです。

【ペットの食事と水分量】
最後になりましたが、ペットの水摂取量と尿量について確認しましょう。ペットは種類・体重・飼育環境・フードなどさまざまな点で違いがあるため、ここで紹介するのはあくまでも目安としての数値となります。
飲水量と尿量
イヌの1日飲水量は体重1kgあたり50~60ml、1日排尿量は体重1kgあたり30~50mlとされています。体重3kgくらいの健康なチワワの場合、飲水量は150ml、尿量は100mlといったイメージでしょうか。とはいえ日常生活においてその量が観察できるのは飲水量の方です。
日によってペットが飲む水の量が多いとか、少ないとか感じることはありませんか?神経質なオーナーの方ほど飲水量に一喜一憂される感がありますが、大切なのは直接飲む水の量=飲水量ではなく、体内に取り込む「水摂取量」です。
健康体であれば毎日必要量の水分を摂っていれば、それに相当する量の尿が排泄されます。尿と一緒にミネラルも体から排出されているため、水分補給とミネラル補給は常にセットで対応する必要があります。

夏場に適したフード
皆さんのペットの食事は市販フードでしょうか、それとも手作りフードでしょうか?市販フードの中ではドライタイプが主流であり、「総合栄養食」の表示があれば後は水を与えておけば栄養的には十分とされています。ここで気を付けたいのが飲水量とフード水分量の合計である「水摂取量」です。
フードの水分量を確認しましょう。一般的に市販フードのドライタイプは10%以下、缶やアルミパウチのウエットタイプは75%とされています。また手作りフードでは肉じゃがのような煮物は約80%、シチューは約75%です。このようにウエットタイプや煮込み系の手作りフードは、無理なく水分とミネラルの補給が同時にできる夏場に適したフードといえます。

ヒトもペットも暑さ対策として水分補給は大切です。汗は乾く時に気化熱を奪うことで皮膚の温度を下げますが、ペットではほとんど発汗は行われません。その代わり舌を出して激しく呼吸することで放熱しています(=パンティング)。パンティング時に多くの湿った息を吐き、この時に体内の水分が利用されます。したがって汗をかかないペットにも夏場の体温調節には水分が必要です。
今回は尿へのミネラル排出についての話をしました。次回はペットの健康状態を被毛のミネラル量からチェックするという研究データを紹介します。
(以上)
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執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート
獣医師 北島 崇
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。































