獣医師が解説

【獣医師が解説】ペットの栄養編:テーマ「圧力鍋クッキング」

ペットの手作りフードのレシピを見ていると煮込みものが多いことに気付きます。肉や野菜が入り水分/スープも一緒に摂れること、そしてオーナーとしては手早く作れる点がその理由でしょう。日頃食事作りを担当している女性を対象に行った煮物料理についてのアンケート結果を通して、ペットの手作りフードメニューを考えてみましょう。

【毎日の食事作り】

今や家事と仕事を両立させている女性は珍しくありません。しかし、毎日の食事作りは女性が担当しているという家庭が多いのも事実です。全国の20代~60代以上の女性(合計1,028人)を対象にした料理と調理家電に関するアンケート調査が行われました(リビングくらしHOW研究所 2018年)。

調理時間を短くしたい

1つ目のテーマは「普段作っている食事についての考え/希望は?」です。回答のトップは「もっとメニューのバリエーションを増やしたい(70.9%)」、2位「もっと手間をかけずに作りたい(54.7%)」、3位「もっと美味しく作りたい(53.9%)」でした。

上位5つをよく見ると2位に「手間をかけたくない」と5位には「もっと調理時間を短くしたい(44.9%)」というものがありました。やはり忙しい毎日には調理にも時短を求める意見が多いことが判ります。

使ってみたい調理家電

次は「気になっている調理家電/使ってみたい調理家電は?」という質問です。これには第1位が「電気調理鍋・電気炊飯鍋・電気圧力鍋(14.8%)」となっていました。煮込み料理は火加減や時間が大切なため、付きっきりでないと焦げや吹きこぼれが心配です。

このように料理の中でも煮物は肉や野菜が摂れて健康に良いのですが、軟らかく/味が染みるまでに時間がかかります。短時間で美味しい煮込み料理が作れる圧力鍋は使ってみたい調理家電として人気が高いのは納得です。

調理家電に求めること

最後に料理を担当する女性が調理家電に求めることを確認しましょう。この質問に対する回答では「美味しい料理が作れる(55.8%)」がトップですがこれは基本です。次いで「調理の手間が省ける(53.8%)」、「調理時間が短縮できる(45.6%)」と続きます。

忙しい中、毎日食事を作っている女性の皆さんにとって一番の希望は「美味しい料理を短時間で作りたい」ということのようです。このツールとして人気が高い調理家電に圧力鍋があります。

【よく作る煮物】

皆さんは週にどれくらいの割合で煮物料理を作っていますか?季節的には夏より冬の方がよく夕食のテーブルに出る気がしますが実際はどうでしょう。大阪・京都・兵庫など関西に住む調理担当者1,500~2,000人を対象とした調査報告を見てみましょう(澤田崇子ら 関西福祉科学大学 2018年)。

煮物を作る頻度

調査は2000年(1,598人)2006年(1,709人)2012年(2,076人)の3回実施されました。大きく「毎日作る・週5~6回作る」、「週3~4回作る」、「週1~2回作る」に分けると週に3~4回の頻度で作っているとした回答割合は2000年(33.2%)2006年(38.0%)2012年(35.7%)とほぼ一定した値でした。

これに対し毎日+週に5~6回のグループは24.3%→19.7%→12.5%と大きく減少、逆に週に1~2回のグループは24.3%→29.1%→35.2%と徐々に増加していました。手間と時間がかかる煮物料理は近年敬遠されている傾向が確認されました。

煮物といえば…

煮物といっても和食から洋食、手間のかかるものから簡単にできるものなどそのメニューはたくさんあります。では3回の調査において自宅でよく作る煮物トップ3は何でしょうか?

2012年の結果では第1位:肉じゃが、第2位:かぼちゃの煮物、第3位:魚の煮付けとなっていました。なおこの3種類は2000年、2006年でも同じ順位であり、煮物の定番メニューといえます。

夕食メニューの一部をペットにも与えているというオーナーは少なくありませんが、肉じゃがには玉ねぎが入っている点に注意しましょう。直接玉ねぎ/ねぎを与えなくても同じ鍋に入っているだけでペットには中毒のリスクがあります。

【圧力鍋の利用】

時短調理を希望する多くの女性が気になっている/使ってみたいと考える調理家電に圧力鍋がありました。一昔前の圧力鍋は大きくて使いづらいとされていましたが、現在はコンパクトになり普及も進んでいます。みなさんは圧力鍋を持っていますか?

圧力鍋の使用頻度

圧力鍋の所有状況を見てみましょう。2012年の調べでは所有率43.8%(澤田ら)、また2016年の調べでは61%(福井県・富山県・石川県の消費生活センター)との報告があります。おおよそ50%、2軒に1軒の割合で普及しているようです。

ではその圧力鍋ですがどれくらいの頻度で使用されているのでしょう。前出の澤田らの報告(2018年)によると、週に5回以上と回答した人の割合は4.5%、週1~2回:29.8%、月に1~2回:30.2%、年に数回:18.6%とのことでした。週に1回もしくは月に1回程度の使用頻度ということから、通常の鍋と違い圧力鍋を使うときは「○○を作るぞ!」という気合いが必要なのかもしれません。

圧力鍋で作る煮物といえば…

しっかりとした準備と気合いの元、圧力鍋で作る料理とは何でしょうか?アンケート結果によるとトップは豚の角煮、次に定番の肉じゃが、3位は大根の煮物となっています。この豚の角煮は前出の(普通の鍋で)自宅でよく作る煮物調査では10位内に入っていませんでした。ブロック肉を中心までとろとろに煮込む豚の角煮は圧力鍋メニューの代表ということです。

硬い肉が煮込むことで軟らかくなるのは加熱によりコラーゲンがゼラチンに置き換わるためです。コラーゲンとゼラチンは共にタンパク質(アミノ酸)で、コラーゲンはアミノ酸から成る3本の鎖がらせん状に編み込まれた形状をしています。このためとても丈夫で生の肉をしっかりまとめています。

コラーゲンは丈夫でしなやかなタンパク質ですが、熱を加えると編み込まれた3本の鎖がばらばらにほどけます。この状態がゼラチンであり、硬かった肉はコラーゲンがゼラチンに置き換わることで軟らかくなります。この加熱/煮込みが短時間でできるのが圧力鍋です。

ペットの手作りフードメニューでは煮込みものはとても人気があります。メイン食材として肉を使いたいのですが、軟らかくなるまでには長時間煮込む必要があります。このような時にぜひ圧力鍋を活用してみましょう。

次回は硬いコラーゲンが加熱によってどのようにゼラチンに変わり、肉が軟らかくなっていくかという実験成績を紹介します。

(以上)

執筆獣医師のご紹介

獣医師 北島 崇

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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