
一部地域ではまだ梅雨明けしていない模様ですが、すでに連日35℃を超える猛暑となっています。夏場疲労の背景には体内で発生する活性酸素が大きく関与していることをお伝えしました。活性酸素から細胞や臓器を守る方法として抗酸化力をもつ食材を摂取しましょう。
目次
【果汁100%ジュース】
抗酸化力を示す栄養成分としてはビタミン(B、C、E)やミネラルのセレン、そしてポリフェノール、アスタキサンチンなどがよく知られています。身近なビタミン供給源として果物やジュースがありますが、まずは果汁100%ジュースの購入現状を確認します。
果物といえばビタミン
ビタミン源となる食材は?と聞かれるとほとんどの人は野菜・果物と答えるでしょう。ここで公益財団法人中央果実協会(平成27年)が実施した果物の消費に関するアンケート結果を見てみましょう。
全国の消費者2,000人に対し「果物」に対するイメージを聞きました。トップはおいしい(79.7%)、次いで甘い(70.8%)、そして同率4位にビタミンが多い(41.9%)となりました。さらに8位には野菜の代わりにビタミンや食物繊維を摂取できる食品(32.6%)という回答もありました。
気軽に摂れて甘く美味しい夏場のビタミン源として果物は大変便利な食材といえます。

100%ジュースの購入
スーパーに行くといろいろなジュースが並んでおり、容器を見ると果物の断面が描かれたものとそうでないものがあります。これは表示ルールとして果汁100%ジュースのみ断面を描けるということになっているそうです。では皆さんは果汁100%ジュースを週に何回購入していますか?
アンケート結果では、ほぼ毎日と回答した割合は2.8%、月に1~3日の頻度でも27.9%でした。回答者のほぼ半数は月に1日未満とほとんど購入していないという現状です。私たちとペットの暑熱対策としてビタミン豊富な果汁100%ジュースをもっと活用したいものです。

【市販飲料の抗酸化力】
私たちは食事で不足する栄養素や健康機能成分の補給という意味で飲み物を購入しています。一般に手に入る飲料の中でどの種類のものに高い抗酸化力が含まれているのかを確認しましょう。
抗酸化力の高い飲み物
スーパー/コンビニにはたくさんの飲み物が売られています。市販の飲料類をコーヒー・ココア飲料、茶飲料、果実飲料など10グループに分け、合計118品目の抗酸化活性を測定した報告があります(石井仁子ら 奈良女子大学 2000年)。
各グループの中で最も高い抗酸化活性(DPPHラジカル消去活性)を示したものを代表とするとコーヒーと緑茶が高く、健康に良いとされている牛乳や豆乳はあまり良い成績ではありませんでした。コーヒー・緑茶はカフェインが含まれるためペットには与えられませんので、これらのグループの飲料は暑熱疲労対策として今一つといった結果でした。

100%ジュースの抗酸化力
ビタミン豊富というイメージがある果物を使った果汁100%ジュースの抗酸化活性データを見てみましょう。これも値に幅がありますが最も高い成績を見るとトップはブルーベリー、次いでブドウ、リンゴ、柑橘類となりました。この中でブドウはペットに与えられないものであり、同様にミックスジュースも原料の確認が必要です。
先程コーヒーは大変高い抗酸化活性をもつと紹介しましたが、ブルーベリーはこれ以上、リンゴはほぼ同等の成績を示しています。価格も安く年中手に入るものとしてリンゴ100%ジュースがおすすめです。

【リンゴ100%ジュース】
果汁100%ジュースはコーヒーや緑茶以上の抗酸化力をもつ飲み物です。中でも甘くクセがないのがリンゴジュースです。ここではリンゴ100%ジュースに関するいくつかの研究データを紹介します。
アスコルビン酸寄与率
果汁の抗酸化力は複数の抗酸化成分から成っています。その1つであるビタミンC/アスコルビン酸が全抗酸化力に占める割合を寄与率といい、前出の石井らの研究で各種ジュースのアスコルビン酸寄与率が測定されています。
リンゴ、柑橘類の寄与率は50~55%、ピーチはぐっと高く約86%でした。これらに対して最も高い抗酸化活性を示したブルーベリーでの寄与率は0.1%でした。リンゴジュースなどでは抗酸化活性のおよそ半分以上がビタミンC/アスコルビン酸から成っていますが、ブルーベリーではアントシアニン類という色素が主体であるということです。

リンゴの褐色変化
自宅キッチンでも簡単に作れるリンゴジュースには1つ気掛かりなことがあります。それは少し時間を置くと色が褐色に変化する点です。リンゴをカットしたり擦りおろしたりすると酵素反応によりポリフェノールが酸化重合することで褐色変化が起こります。
擦りおろしたリンゴにいろいろな果汁を加え、褐色変化と抗酸化力への影響を調べた研究報告があります(薗田邦博ら 金城学院大学 2017年)。供試果汁はパイナップル、メロン、キウイ、梨、ブドウ(緑、赤)です。結果からパイナップル、メロン、キウイ果汁を加えるとリンゴの褐色変化が抑えられることが判りました。
リンゴ+他の果汁
次に果汁を添加する前のリンゴのポリフェノール量を100として時間経過ごとの変化率を求めました。60分後の計測値をみるとリンゴのみでは約55に減少しましたが、果汁添加によりパイナップルでは変化なし、メロンおよびキウイでは約90とポリフェノールの減少を防ぎました。
リンゴジュースに他の果汁を加えることで抗酸化物質であるポリフェノールの消失を抑制できるということです。

先ほど示したデータのようにリンゴがもつ抗酸化力の約55%はビタミンC/アスコルビン酸によるものですが、ポリフェノールもまたこれに寄与しています。最後にリンゴの褐色変化と抗酸化活性との関係データを確認しましょう。
同じように果汁を添加する前の抗酸化活性を100として60分後の変化率をみるとリンゴのみでは約55まで低下しました。これに対し果汁を加えると60~90ぐらいまでに抑えられました。中でもメロン果汁は低減抑制効果が大きいという結果になりました。
自宅でリンゴジュースを作る場合、パイナップルやキウイ、メロンなど他のジュース(ただし梨とブドウは除く)を加えることで褐色変化と抗酸化力の低下を防ぐことができます。

夏場のペットは体温調整のため呼吸回数が増加します。酸素の取り込み量が増えると副産物として活性酸素が発生し細胞・臓器は酸化攻撃を受けてしまいます。これをブロックするのが抗酸化酵素や抗酸化物質です。
抗酸化物質の代表であるビタミンをたっぷり摂れる食材が果物ですが、ペットにとっては水分補給を兼ねた果汁100%ジュースというもの良いアイデアでしょう(ただしブドウはNGです)。この中でリンゴジュースは購入/手作りのどちらも簡単ですので、皆さんもぜひこの夏の暑熱疲労対策としてチャレンジしてみて下さい。
(以上)
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執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート
獣医師 北島 崇
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。




























