
ペットの暑熱疲労対策に関する情報提供をしています。前回は水分補給に加え活性酸素と戦うという点から果汁100%ジュースを紹介しました。果物と並んで抗酸化物質であるビタミンCを補給できる食材に緑黄色野菜があります。今回は野菜ジュースの有用性についての話をします。
目次
【野菜ジュースの人気は?】
緑黄色野菜が健康に良いことは判っていますが、ボリューム的になかなか摂りづらいという声を聞きます。これは私たちヒトもそうですが、ペットではなおさらでしょう。このような時に手軽に摂れる野菜ジュースはいかがでしょうか?
野菜ジュースの種類
野菜ジュースの定番であるトマトジュースを始めとして、スーパーやコンビニには様々な種類の商品が並んでいます。果物のジュースと異なり野菜ジュースには苦い/飲みにくいというイメージがありますが、近頃は果汁を加えて飲みやすくした商品もたくさんあります。
一般社団法人全国清涼飲料連合会が「清涼飲料水統計2021」という報告書を公開しています。この中に野菜飲料の年間生産量内訳の記載がありますので見てみましょう。内訳のトップは野菜・果汁ミックスジュースでおよそ40%を占めており、次いで野菜ジュース、3位は定番のトマトジュースとなっています。飲みやすさと幅広く栄養が摂れるという点から野菜と果汁のミックス飲料が人気の様です。

野菜ジュースを飲む頻度
皆さんは一週間に何回くらい野菜ジュースを飲んでいますか?大学生/短大生182人(男性80人、女性102人)を対象に野菜ジュースの摂取状況を調べた報告があります(門間敬子 京都文教大学 2010年)。これによると1日1回飲んでいるという回答はわずかに6.3%、週に2,3回が20.6%でした。
最も多かったのは月に1回程度というもので53.2%でした。残念ながら若者の野菜ジュース人気はさほど高くないといえそうです。

【暑熱疲労対策への期待】
夏場の疲労感の背景には活性酸素があり、これを叩く一手段として抗酸化力をもつ食材の摂取があります。前回の果汁100%ジュースと同様に野菜100%ジュースの抗酸化活性を見てみましょう(石渡仁子ら 奈良女子大学 2000年)。
抗酸化活性
試験に供された市販野菜ジュースのグループの中で最も高い抗酸化活性(DPPHラジカル消去活性)を示したものを選んでみると、原材料が単品であるトマトジュースは67.3、ニンジンジュースでは24.8とリンゴジュース211.2よりも低い値でした。
これに比べ野菜混合ジュースは347.0、野菜果汁混合ジュースでは140.8と大変高い数値を示しました。野菜単品ジュースより複数の野菜/果汁をブレンドしたものの方が高い抗酸化活性を示し、暑熱疲労対策に有用と考えられました。

アスコルビン酸寄与率
供試野菜ジュースの抗酸化活性におけるアスコルビン酸寄与率のデータです。これも先ほどの成績と同様に最も高い値を示したもので見ると、野菜混合ジュースが68.3%とリンゴジュース57.4%よりも高い結果でした。
果汁100%ジュースと同様に、複数の原材料から作られた野菜混合ジュースはたっぷりのアスコルビン酸/ビタミンCと高い抗酸化活性を有しており、暑熱対策に大いに期待できる飲み物であるといえます。

【還元型ビタミンC】
ペットの夏場対策に市販の野菜ジュースでビタミンC(VC)を補給するのは良いアイデアです。ところでこのVCには還元型と酸化型の2種類があるのをご存知でしょうか?活性酸素に対抗する抗酸化作用を示すのは還元型VCの方です。
市販野菜ジュースのVC量
野菜ジュースを選ぶ時、どれくらいVCが入っているか気になります。市販の野菜ジュースはパッケージにVC量の表示があるものとないものがあり、それぞれのVC量と還元型VCの割合を調べた報告があります(山口孝治 香蘭女子短期大学 令和5年度)。
供試品の内、VC量表あり群8品目の平均VC量は122.4 mg/100ml(39.1~548.7mg/100ml)、表示なし群8品目の平均VC量は2.1mg/100ml(0.3~3.8 mg/100ml)と大きな差がありました。そして還元型VC割合をみると表示あり群は平均73.8%(77.6~100.0%)、表示なし群では平均89.8%(57.9~100.0%)でした。
野菜ジュースを買う時の注意点としてビタミンC量はもちろんですが、これに加え原材料の確認が大切です。栄養価や抗酸化力が高いという理由でジュースに使われている野菜の内、ペットに与えてはいけないものとしてタマネギ・紫タマネギ・ニラ・ネギなどがあります。これらペットNG野菜のチェックは確実に行う必要があります。

保管温度に注意
ビタミンC(VC)には熱に弱いという弱点があります。通常、ジュースは冷蔵庫内で保管しますが、これを室温放置した場合の還元型VCの残存割合を確認しましょう。市販野菜ジュースでVC含有量が少ないもの(43.7mg/100ml)と多いもの(548.2mg/100ml)を用いた比較試験が行われています(山口孝治 令和5年度)。
2つのジュースをコップに移し、4℃もしくは25℃で24時間保管しました。経時的に還元型VCの割合を測定したところ、全体のVC含有量が多い野菜ジュースでは24時間後でも保管温度に影響なく還元型VCは保持されていました。
対する全体のVC含有量が少ない野菜ジュースでは保管温度の影響が大きく、25℃では3時間後で約75%、6時間後は約60%に減少し、24時間後ではほぼすべてが抗酸化作用のない酸化型VCに置き換わっていました。

おすすめはブロッコリー
上記の試験データは全体のビタミンC含有量が多い野菜ジュースでは還元型VCの温度による影響リスクが小さいことを表しています。では還元型VCをたくさん含み、ペットにも安心な野菜には何があるでしょうか?
緑黄色野菜の1つにブロッコリーがあります。ブロッコリー100g中のVC量は140mgとレモン100mgよりも多くの量を含んでいます(日本食品標準成分表八訂)。このブロッコリー各部位ごとの還元型VCと酸化型VCの割合が測定されています(黒須泰行ら 国際学院埼玉短期大学 2006年)。
ブロッコリーは私たちが普段食べている花芽、そして枝、茎に分けられます。生の供試品6個の平均VC値を求めた結果、枝(127mg/100g)>花芽(111mg/100g)>茎(88mg/100g)となりました。また抗酸化活性を示す還元型VCの割合は
茎(84%)>枝(70%)>花芽(61%)という成績でした。
ブロッコリーを用いて野菜ジュースを手作りする場合は事前に加熱しますが、茹でるよりも電子レンジを使う方がVCの損失割合が小さいことも報告されています。ブロッコリーは枝も茎もムダなく丸ごとジュースにすると有効にVCが摂れる野菜です。

これから8月~9月と30℃を超える日が毎日続きます。暑熱疲労の原因である活性酸素による酸化ストレスを少しでも低減するためには抗酸化物質の摂取が重要です。前回と今回とで果汁/野菜100%ジュースにはこれに有用なビタミンCがたくさん含まれていることを紹介しました。
市販の果汁/野菜ジュースは手軽で便利ですが、ペットには与えられない原材料が使われている商品があるため、くれぐれも注意が必要です。この夏の猛暑を元気に乗り切るために、ペット専用の手作りジュースに挑戦してみてはいかがでしょうか。
(以上)
暑い日のおやつやご褒美に!美味しく水分補給

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執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート
獣医師 北島 崇
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。





























