
連日猛暑が続いており、一日中エアコンをつけている家庭も少なくないと思います。毎日お世話になっているこのエアコンですが、私たちは結構いくつもの勘違いをしているようです。今回はペットの生活にも欠かせないエアコンの正しい使い方についての話です。
目次
【ペットがいる部屋の空気】
世界中の人々の生活を一変させた新型コロナウイルスの流行(パンデミック)が起きたのは2020年でした。今から6年前のコロナ禍では外出を控え、自宅での生活が求められたことから、部屋の空気に対する関心が高まりました。
室内空気についての課題
コロナ禍では出勤せず自宅で仕事をするテレワークが普及しました。このテレワークを経験した男女合計400人を対象に室内空気に対する意識調査が行われました(ダイキン工業プレスリリース 2021年)。
自宅でのテレワークの実施により、室内空気に息苦しさ/よどみなどを感じたと答えた人の割合は68.0%という高い値でした(全体回答数394人)。そしてテレワーク時に感じた空気の課題としては「快適な温度の維持・調整」が68.6%でトップでした。
以降、空気のよどみ、湿度の維持・管理、生活臭、空気の汚れと続きますが、第6位に「人やペットのにおい:37.0%」が登場します。自宅にいる時間が増えたことで改めて室内空気に関して気付くことがありました。

室内空気の衛生
上記アンケートで6位にペットのにおいが出てきたところで、ペットと生活するオーナーの皆さんが考える室内空気について見てみましょう。20~70代の男女合計600人への質問「ペットと一緒に暮らしている中で、室内空気の衛生に関して気にしていることはありますか?」というものです。
回答のトップ3は①毛:67.7%、②ペット自体のにおい:45.3%、③ペットのトイレのにおい:37.3%、そしてダニ、カビと続きます。ペットの飼育では一年を通して被毛、そして窓を閉め切る夏/冬ではにおいが空気衛生の大きな問題であることが再確認されます(ダイキン工業プレスリリース 2013年)。

【エアコンの誤解】
ペットがいる家庭では窓・玄関を開放すると外へ飛び出る心配があり、なかなか換気はしづらいものです。ではエアコンをつければ、室温調整と同時に換気もできているのではないのでしょうか?ここからペットの健康維持にも不可欠となったエアコンの誤解をいくつか紹介しましょう。
換気機能
大手家電メーカーのパナソニック㈱が全国20~60代の男女合計550人を対象に、エアコンの換気機能についてアンケート調査を行っています。これによると30%の人はエアコンに換気機能がある、22%はわからないと回答しています(パナソニック「エオリア」調べ 2022年10月実施)。
正解は換気機能が備わっているのは一部の機種のみで、一般のエアコンでは部屋の換気は行えません。エアコンのスイッチを入れると冷房/暖房になりますが、部屋の中の空気はぐるぐる循環しているだけということになります。

電力使用量
近頃は省エネタイプの家電がたくさん販売されています。公益財団法人東京都環境公社から『家庭の省エネ「思い違い」調査(平成30年度)』という面白いレポートが発表されていますので紹介しましょう。モニターは東京都内に住む 20~79歳の男女合計625人です。
まずは「一年間に使用する電気の量が最も多い機器はどれだと思いますか?」という質問です。回答のトップはエアコンでモニターの50.4%がこれを選んでいますが、正解は照明器具です。照明器具は家庭の年間電力使用量の17.8%を占めており、2位は冷蔵庫:17.0%、そして3位がエアコンで14.0%です。

電源ON/OFF
節電という点からみると、こまめに電源をON/OFFする方が良い家電と逆に悪い家電があります。次の問いは「省エネのために短い時間でも電源をこまめに入り切りすべき機器はどれだと思いますか?」というものです。
この問題の正解は照明器具、テレビ、掃除機です。ではエアコンをこまめにON/OFFすべきと回答した人(=間違えた人)の割合はというと23.8%でした。ちなみにパソコンに関して間違えた人の割合は15.8%でした。ずーと電源を入れていると何となく電気をたくさん使うような気がするだけで、現在のエアコンは継続使用の方が消費電力量は少ないということです。

【エアコンと窓開け換気】
エアコンの消費電力量は少ないといっても、それは閉め切った部屋で室温が一定に保たれた状態の話です。私たちが気になるのはエアコンと窓開け換気の関係です。このテーマに関しても実験データがありますので紹介します(ダイキン工業HP)。
窓開け換気と消費電力量
1つ目の実験テーマは「真夏の日中、エアコンを稼働しながら窓開け換気をした場合の消費電力量」で、条件は以下のとおりです。
●実施日時 2020年8月、日中12時間(7:00~19:00)
●エアコン設定 冷房運転、設定温度26℃
●換気条件 30分に1回5分間の窓開け換気
1時間あたりの消費電力量と1日あたりの電気代を計算すると、換気をしない時は4.02kW(108.5円)、対して換気を行った場合は5.52kW(149.0円)となりました。同時に室温の動きを測定したところ、共に設定温度内に収まっていました。
真夏の日中にエアコンをつけっぱなしで窓開け換気をすると確かに電力量/電気代はアップしますが、快適な室温は維持されることが判りました。一概に窓開け換気はすべきではないとは言えない結果でした。

電源ON/OFFと消費電力量
先程、省エネの観点からエアコンはつけっぱなし運転の方が良いとお伝えしました。ではこれに窓開け換気が加わると消費電力量はどれくらいの違いがあるのでしょうか。2つ目の実験テーマは「真夏の日中に窓開け換気をする場合、エアコンの電源をこまめにON/OFFした時の消費電力量」です。
同じ条件で実験を行った結果、1時間あたりの消費電力量と1日あたりの電気代はつけっぱなし運転+窓開け換気の時5.82kW(157.1円)、一方こまめに電源ON/OFF+窓開け換気の場合は7.51kW(202.8円)となりました。
そしてこの実験においても、窓開け換気をしても室内は快適な温度に保たれていました。以上より真夏のエアコン使用時に窓を開けて換気をする場合、電源はONのままというのが正解になります。

2025年時点の日本のエアコン普及率は93%だそうです(第一ライフ資産運用経済研究所 2026年)。1家に1台というよりは、1部屋に1台が当たり前になってきました。ペットが一日中暮らすリビングにもこの夏はエアコンがフル稼働していますが、私たちはいくつかの間違った使い方をしていました。
エアコンには換気機能がありませんので、定期的に窓開け換気を行いましょう。室内の空気は循環しているだけで、換気をしないとにおいやほこり、ペットの被毛などは屋外に排出されません。これら空気衛生のマイナス物質はエアコンの内部に少しずつたまっていくことになります。
次回はエアコンの運転開始のイヤな臭いの原因とその対策についての話です。
(以上)
執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート
獣医師 北島 崇
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。




























