健康

犬の味覚――愛犬が求める本能の食べもの

さあ、今あなたの目の前にスペインの代表的な料理、「パエリア」が置かれているとしましょう。
サフランのうっすら色づく黄色いお米の間から顔を覗かせているムール貝、エビ、イカ、そして鮮やかなパプリカやパセリの色合いに視線はもうくぎ付けとなり「おいしそう!」と叫んでしまうかもしれませんね。
そして、食欲をさらにそそる香りのベールが立ちのぼり鼻をくすぐると、もう口が大きく開いていっきにその味を舌の上で堪能することでしょう。

「あぁ~、人間に生まれてよかったぁ~」
と思う瞬間かもしれませんね。

さて、犬の場合はどうでしょう?
食事を真っ先に視覚でとらえ飛びついてくるのでしょうか。
答えは“No!”
犬は私たち人間とは違って、最初に「匂い」に反応し食いついていくのです。

今回は、犬は食べものをどのように求めとらえるのかをいっしょに考えていきましょう。

舌の役割

・味覚を感じる味蕾
みなさんは子どものころ、「あれが嫌い!」「これは苦手!」と、食べものの好き嫌いはありましたか。
そして、好き嫌いがいつのまにか無くなっていた・・・というような覚えはありませんか。
おとなになると、今まで苦手だと思っていた食べものを受け入れられるようになっていることがあります。
「食わずぎらいだったのかな?」「味覚が変わったのかな?」「おとなになったってこと?」などと解釈をしそうですが、実は、これには舌が大きくかかわっているのです。

人を含む動物の舌には、「味蕾(みらい)」という味覚を感じる感覚器官が備わっています。
舌に分布している舌乳頭という細かい突起が味覚を感知します。
人の場合、子どものころには10000個くらいあったこの味蕾も、おとなになるとその数は減ってしまうそうです。
味蕾が多いほど味覚に敏感だということですから、数が少ないということは味覚が鈍いといえるのです。
ですから、おとなになると好き嫌いをしていた味に対して、段々と嫌悪感もなく受け入れてしまうのは、どうやらそのせいかもしれません。

さて、成人の味蕾が5000~7500くらいに対して、犬の舌の味蕾は1700ほどで4分の1から~5分の1程度少ないということですから、犬は、人間よりも味覚に鈍いということがわかります。

健康を知る舌の色つや

健康な犬の舌はきれいなピンク色で表面は唾液でつやつやしています。
元気のいい犬の舌は、つややかでしっとりしていて本当にきれいな印象さえ受けます。
ところが、舌の変色は、時として重大な病気のサインを表していることもありますから、これも日常的に注意しておきましょう。
*赤く腫れている ⇒ 口内炎や口内潰瘍の可能性がある。
*白っぽい    ⇒ 貧血や栄養不良が考えられる。
*黒い斑点    ⇒ 元もと舌斑という黒い斑点を持っている犬もいるが、急激に斑点がおおきくなったり硬く隆起したりするような場合は、メラノーマという悪性黒色腫の疑いもある。

舌は健康を見極めるバロメーターのひとつですから、日ごろから注意して観察しましょう。

体温調節の機能 (パンティング)

汗は皮膚の汗腺――エクリン腺とアポクリン腺から分泌されます。
犬の場合は、アポクリン腺が全身に分布し、エクリン腺は肉球などのわずかなところにあるだけなので、犬は私たち人間のように、体温が上がっても発汗させて体温を下げることができません。
そこで犬は口を大きく開いて、長い舌を垂らしてハァハァと息をし、唾液を蒸発させ熱を放散させているのです。
熱い呼気を吐き出し、冷たい空気を吸い込むことで熱を下げているのですね。
愛犬が舌を出してハァハァと浅い息をしている(パンティング)ときは、暑さのサインかもしれませんから、注意をしてあげましょう。

器用な舌使い

犬はピチャピチャと方々に水をまき散らすように水の器から飲みますが、あれは舌を裏に丸めて水をすくうように飲んでいるからです。
また、食事の器をきれいに舐めまわすまで食べることができるのも、食べものをすくいとる器用な舌の仕組みと舌の内部の筋肉が発達していることにも由来しています。

表現方法のひとつ

愛犬が嬉しさや愛情を表すときに、舌でペロペロと舐めます。
感情の表現を素直な形で表現できるのが、犬のかわいらしさともいえますね。
また、対象となるものの感触を確かめたり、傷口や痛めた箇所を舐めたりもしますし、犬自身の気持ちを落ち着かせるために、自身の鼻や唇を舐めたりすることもあります。

こうしてみると舌は健康に保たれてこそ、その役割をしっかりと果たせるのですね。
こうした舌の役割を十分に知ったうえで、さらに犬の味覚について掘り下げて考えていきましょう。

犬が感じ取る味覚

「甘味」

犬は味覚の中でも甘みを感じる味蕾の数がいちばん多いので、甘味を感じ取ることができます。
かといって、甘い味を好むからと砂糖使用の食べものを与えることが適切かといえばそうではありません。
肥満・糖尿病・歯周病などを招く原因となりますから、犬に砂糖は全く必要の無いものです!
さらに甘い味で注意しなければならないのは、人工甘味料が添加されているフードです。
原材料の表示を見て、人工甘味料が入っているものは愛犬に与えないことです。

≪人口甘味料(添加物)≫
*ソルビート:ブドウ糖から合成された糖アルコールの一種 ⇒甘みよりカロリーが高い。
*キシリトール:低カロリーの甘味料 ⇒血糖値が低下し、嘔吐や歩行困難・腎不全の危険性あり。

*ビートパルプ:量の水増し用 ⇒ 摂取過多による便秘の可能性あり。

*コーンシロップ:粘り気や弾力性が特徴 ⇒膵臓や副腎に影響を与え、糖尿病を誘引する恐れがある。

食べものに含まれる自然な甘さというのは、たとえば野菜や果物に含まれる果糖や乳製品などに含まれる乳糖などがあります。
また、肉の脂肪に含まれるアミノ酸、リノレン酸の甘さを犬はとても好みます。
ですから、このような自然の食べものの中に含まれる甘みだけで十分なのです。

「酸味」(すっぱさ)

私たちが酸っぱさを想像しただけで唾液がジュワーッと出るのは、反射神経のせいらしいのですが、犬はどうでしょう。
食べものは放置しておくと酸化が進み腐敗しますが、その際、「酸味」と「苦味」が生じます。
腐食性動物の犬は腐敗臭を気にしないので、実は腐りかけものでも食べることができるのです。
ヨーグルトやチーズなどは発酵食品ですが、これも言い換えれば生乳を腐らせて(発酵させて)作っているものですが、犬は好んで食べることができます。

「塩味」(しょっぱさ)

元来、犬は狩りをした獣の血肉から必要な塩分を摂取していたので、それ以外のものから塩分を取る必要が無かったのです。
ですから、塩味に対する味蕾はとても鈍いので、あえて塩分を与える必要はありません。
「犬が欲しがるから」という理由で、人間と同じ塩分濃度のものを与える飼い主さんがいますが、塩分の過剰摂取となりますし、健康を損なう要因となりますからお勧めできません。
特にスナック菓子などを与えることはやめましょう!

「苦味」

元もと野生動物だった犬の本能として、苦味は自然界において危険で毒性のものであるということが刷り込まれているようです。
ですから、苦味に対してはとても警戒心がありますし嫌います。
愛犬に薬を与えるときなどは、薬の苦味に反応するためひと苦労する飼い主さんも多くみられます。

犬の味覚の感覚は、人間とは異なっています。
私たちが視覚で食べものをとらえ、匂い(香り)、味で美味しいと感じる感覚と、犬の食べものに対する感覚は違うものだということがおわかりいただけたでしょうか。
味付けを重視するのではなくて、やはり安全で安心できる自然の味を与えてあげることが最も必要な「味覚」だということです。
では、何を頼りに犬は食べものに飛びつくのでしょう。

舌よりも鼻 ―― 究極の嗅覚!

犬の感覚器で最も優れているのは、嗅覚です。
犬の嗅覚は、私たち人間の数千から数万倍、ものによっては1億倍ともいわれています。
それほどすぐれた嗅覚の持ち主である犬は、災害救助犬としてまた、警察の捜査犬としてその威力を発揮していますね。
また、犬の鼻は濡れてウェットな状態が健康のバロメーターといわれていますが、これも何か意味があるのでしょうか。

ウェットな犬の鼻に隠された重要なミッション

*犬の鼻は横にも切れ目がある
 ⇒正面からだけではなくて、顔の側面からも臭いを嗅ぐことができる。

*唇から鼻の中心に向けて縦に一直線の溝がある
 ⇒常に水分を蓄えていて、臭いの分子を吸着させることができる。

*鼻の表面の皮膚は硬く小さなプツプツとした粒状になっている(鼻鏡)
 ⇒これこそが優れた嗅覚を生み出す器官で、この鼻鏡に水分を蓄えて臭いの分子を吸着させることができる。
  湿って濡れているときは、風向きを感知し臭いのする方向を定めるセンサーとなり得る。

このような特徴からも、犬の嗅覚の卓越した機能が理解できます。

犬の好きな食べものの匂い

たんぱく質の多い食材である肉、魚、チーズなどを好み、特に肉の脂肪の匂いが大好きです。
しかしながら残念なことに、市場に出回っているドッグフードの中には人工的な香りや味をつけているものもあり、犬の食いつきを良くしようとしている粗悪なものもあることを知ってほしいものです。
犬の優れた嗅覚を逆手に利用して、人工的な匂いで引き付けるような商品を選ばないように気を付けましょう。
 

犬の味覚と嗅覚からみる効果的な食べもの

犬の舌や鼻についてみてきましたが、犬は味覚よりも嗅覚に大きく反応するということが理解できました。
また、味覚のうちの甘味に反応することもわかりましたね。
そう考えると、犬の食べものにはどのようなものが適しているのでしょう。
その答えは、肉の脂肪の匂いと甘み です!

ドッグフードは、タンパク源である肉は使用されていますが、高温で加熱処理をされていて吸収率が悪く、消化に必要な酵素は死滅しているというデメリットがあります。
ドッグフードの匂いや甘さに食いついたとしても、消化の面を考えると必ずしも全面的に効果的であるとは言えないですね。

では、どのような食べものが匂と甘みを満たしてくれるのでしょう。
それは
*手作り食
 ⇒新鮮な野菜や果物、肉などを使って愛犬の好みのメニューを与えることができる。
  素材そのものの味や香りを活かすことができ、安心安全なものを与えることができる。

*生肉
⇒馬肉・鹿肉・ラム肉・鶏肉・猪肉・牛肉・豚肉などタンパク質、ビタミン、ミネラル、乳酸菌、酵素など
を含んでいる。
肉がもつ脂肪の匂いと甘さを十分に兼ね備えている。
帝塚山ハウンドカム 生肉 馬肉小分けトレー


*生食ローフード
 ⇒加工されていない生の食材――生肉を中心に生贓物・生骨・発酵生野菜を原材料とした栄養バランスの整った総合栄養食。
  非加熱のため、栄養が損なわれていない。
  肉がもつ脂肪や発酵野菜の匂いや味を兼ね備えている。
帝塚山ハウンドカム BONE 生食ローフード
良質な動物性脂肪は、犬の食欲を刺激し、いちばんのエネルギー源となります。
また、脂肪や発酵野菜、果物の匂いや味が愛犬の嗅覚に敏感に反応し、スムーズに食べものを舌ですくい、口の中で甘みを感じながら胃や腸に食べものを運んでいきます。
特に酵素たっぷりの生肉は、消化にすぐれ栄養をしっかり吸収できます。

香料や人口甘味料などの添加物で作られたものは、本来の自然な匂いや味ではないのです。
それはつまり、愛犬が本能的にもっている嗅覚や味覚を狂わせてしまう要因になり得ることを、私たちは十分に理解しなければなりません。

さて、愛犬はあなたの与える食べものに飛びついていますか。
犬の本能をくすぐる匂いですか? 
過剰な甘さを与えてはいませんか?

愛犬が喜んで食いつく、安心安全な食事を適量与えてあげること
―― それが、愛犬の健康維持につながるのです!

愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修

株式会社帝塚山ハウンドカム
代表取締役 川瀬 隆庸

  • 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
  • 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
  • ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
  • 小動物栄養管理士認定
  • D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
  • 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
  • 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了

愛犬の健康トラブル・ドッグフード・サプリメントなどアドバイスをいたします。

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