川瀬隆庸の「こだわり対談」

「こだわり対談」デンタルケア編(2)

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ゲスト:帝塚山ハウンドカム・トリマー 道内鈴夏

「デンタルケア」をテーマにした「こだわり対談の2回目です。
帝塚山ハウンドカムの川瀬隆庸(かわせ・たかつね)社長と、入社3年目のトリマー、道内鈴夏(みちうち・すずか)さんにワンちゃんの歯の健康について語り合っていただいています。
今回は自宅での歯磨きのコツや、歯磨きが難しい場合の対処法などについての、お話のほか犬をリラックスさせる目からウロコの技も。
ネコちゃんの話題も出てきますから“猫派”の方々も必見です。
(岡崎秀俊)

嫌がるワンちゃんには、楽しくおいしい歯磨き

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川瀬: 嫌がって家でデンタルケアが難しいワンちゃんもたくさんいると思います。
お客さまから、ご相談をいただいたら、どのようなアドバイスをしているのですか?

道内: 片方をワンちゃんがくわえて、飼い主さんと引っ張りっこをして歯磨きができるようなロープ状の、おもちゃなどを使うことは有効ですし、生骨などの硬いものを噛むと歯磨き効果があるので、ご相談をいただいたら提案させていただいています。
うちで飼っている「フィッチ」(トイプードル、オス、7歳)は口の中をさわられるのが苦手で嫌がったり、たまに私たちを噛んでしまったりということがありました。
だから歯磨きが難しいのですが、歯磨き効果のある、おもちゃで遊ぶのは好きです。
そのためか、歯石はあまりつかなくて、歯茎(はぐき)の炎症もない状態ですから歯磨きを嫌がるワンちゃんには効果があると思います。

川瀬: 7歳で歯茎の炎症がないというのは抜群の効果があると言っていいんじゃないですか。

道内 そうですね。あとは当店でも販売している、口臭・歯石対策用サプリの「歯石クリーンPro(ぷろ)」を、ごはんにかけて毎日あげています。
歯周病菌の原因となる毒素ができないようにする(多機能性蛋白質の)ラクトフェリンや(酵素の)ラクトパーオキシダーゼが配合されていて、炎症になるのを抑えてくれるそうなので、歯茎に炎症がないのは歯石クリーンProの影響も大きい気がします。
おもちゃは直接的に歯の汚れを除去してくれるのが歯石予防に効果的なんでしょうね。

川瀬: おもちゃで、あまり遊ばない子もいますよね?

道内: そういう子は、やはり歯石クリーンProでしょうか。
ごはんにふりかけてあげると、食べるだけで、お口全体に広がって、歯磨き効果が得られるので、おすすめだと思います。
「もっとちょうだい!」って、おかわりをせがむワンちゃんも、すごい多いようですので、おいしく歯磨きができるのがいいですね。


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川瀬: でも、お家で物理的に歯磨きができるのに越したことはないんですよね。

道内: ですから歯磨きは痛くも怖くもないということをワンちゃんに当店で覚えてもらえるように心がけています。
嫌なイメージを持つと、お家でもよけいに、歯磨きをさせてくれなくなるので私たちの役割は大切だと思っています。

川瀬: 痛くないし怖くないことが分かると、喜んで店に来るワンちゃんもいますか?

道内: う~ん、やはり喜んでは来ない気がします(笑)。
でも慣れてくる子はたくさんいます。
1回目はすごく暴れたのに2回目から、おとなしくなって3回目以降はすごくお利口になっている子は多いです。

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川瀬: ワンちゃんは、すごく賢いですからね。

道内: そうですね。

ネコちゃんにも歯磨きを

――猫はどうですか?

川瀬: 3歳以上のネコちゃんの8割以上が、奥歯に歯肉炎や歯周病がみられると言われるほどですが、トリミングショップで歯磨きはしにくいですね。
ですから当店でも、お引き受けしていません。
それは猫が犬よりも賢くないということではなくて習性の問題なんです。
猫は自分自身の本能で動いていると思うんですよ。
一匹でも生きていこうとする力を持っているわけです。
一方、犬は集団生活が基本なので、誰かに依存して生きていく習性があるといわれています。
飼い主をはじめ人の顔色を見ようとしますから人間の家族の中での上下関係も見極めますよね。
猫は飼い主の顔色は見ない感じですよね。
人間とのコミュニケーションを生存の方法にする犬のような依存性がないので、嫌だったら、たとえ飼い主のやることでも、とことん嫌がります。
だから、歯磨き用のサプリが有効だと思います。
とはいえ物理的な歯磨きの効果は大きい。
大人になってからは難しいので、子猫のときから歯磨きと、ご褒美(ほうび)をセットにして習慣をつけるのがおすすめです。
歯磨きをしたら好物をあげるといった工夫ですね。
猫用の歯磨きもあります。
最初が肝心で、痛い思いをするとか、長い時間をかけすぎて、嫌がらないようにしてあげるのが大切です。
もちろん犬もそれがベストですね。

ペットはつらいよ!犬も“肩こり”?

川瀬: お客さまからは、どのような声をいただくことが多いですか?

道内: お家で歯磨きが、うまくできなくて歯石がついてしまったため、おみえになる方が多いので、お家での、歯磨きの工夫の仕方やコツについて、よく聞かれます。
うかがってみると床での歯磨きをしようとされる方が多いんです。
床ですとワンちゃんが逃げる範囲も広くなってきますので、そのまま逃げてしまう子もいます。
床ではなくて、机や椅子の上など、床よりも高いスペースならワンちゃんも緊張感を持っておとなしくしてくれるので、それだけでおとなしくなる子は多いです。
それでも怖がるワンちゃんは、後ろから別の方が撫(な)でてあげて落ち着かせながら、もう一人が磨いてあげるのがいいと思います。

川瀬: 押さえつけるのでなく、後ろから安心させるように撫でてあげるのがコツということですね。

道内: そうです。
それからワンちゃんは飼い主さんの顔を見て上を向くことが多いので、頭や首のうしろあたりが凝るのでしょうか、そのあたりをマッサージのような感じでコリコリってもんであげるようにすると、気持ちよさそうにおとなしくしてくれる子は多いです。

川瀬: へえ、それは面白い。
犬も“肩こり”をするんですかねぇ(笑)。
犬の目線で考えるのはいいことです。

トリマーのうれしいこと・つらいこと

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川瀬: 今までたくさんのワンちゃんのお口のケアをしてきたと思いますが、印象に残ってる子はいますか?

道内: うれしいことと、つらいこと、それぞれの印象が残っています。
「歯磨きができない」と、お客さまが連れてこられたワンちゃんにデンタルケアをして、そのあとのカウンセリングでアドバイスをさせていただきました。
半年後に、おいでになったときに、ほとんど歯石がついていなくて、お家でも、毎日歯磨きできるようになったという、お声をいただいたときは、うれしかったです。
つらかったのは、今までワンちゃんの、お口を気にされてなかったお客さまが「口臭をなんとかしたい」と連れてこられたケースです。
その時点で10歳を超える老犬で、歯茎の炎症が悪化して、目の下の部分にまで、歯茎の膿(うみ)が滲出(しんしゅつ)し傷ができてしまっていて、もう当店では対応できない状態で…。

川瀬: 犬の歯茎の上あたりは、あまり肉がないので、炎症ができると、膿の行き場がなくて外へ吹き出て傷になってしまうんですね。

道内: そうなってくると、当店では対処できないという判断になって、動物病院での治療が必要です。

川瀬 :デンタルケアの刺激で菌が活性して化膿がひどくなる可能性もあります。
だから当店で対応できるかどうかはトリマー自身が適切に判断できるようになっているわけですね。
そのワンちゃんは10歳を越えていたそうですが、デンタルで来ていただくのは老犬が多いのですか?

道内: ワンちゃんの歯のことを気にされている飼い主さんですと1歳くらいで連れてこられる方もいます。
入社前の私のように歯のことを気にしてなかった方となると10歳を越えてからという方もいらっしゃるので年齢は幅広いです。
デンタルケアの方法がわからないとか、嫌がってできないという場合は早く来てくださるほうがいいと思います。

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川瀬: 当店としてはケアや歯石取りさせていただくというより、歯磨き習慣をつけていただきたいのですよね。
治療するより予防するほうが簡単ですし歯肉炎がひどくなってくると、私共は、薬も使えませんし、状態を改善するというのはかなり難しい。
ちょっと赤くなりかけてきたくらいですと、歯磨きで進行を止めて悪化を防ぐのは可能です。
ずっと歯を残したまま、ワンちゃんに老いてもらうのが我々の目指すところです。

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