しつけ・トレーニング

恐い地震に備えましょう!緊急時でも、いつも愛犬と一緒にいられるように。

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1980年代以降、私たちの住む日本列島の様々な地域で、大規模な自然災害(地震、暴風雨による水害など)が増え続けています。
これらの災害が起きるたびに、被災地(ひさいち)では、多くの尊い命と財産が奪われ、私たちの社会生活に大きな影響を及ぼしてきました。
TV、新聞、そしてインターネットなどの様々なメディアを通じて、被災地の痛ましい被害状況が伝えられ、言葉に表しがたい不安感を抱いた方も多かったのではないでしょうか。

目次

愛犬を守る

大震災(だいしんさい)の被害は、決して、ヒトだけに及ぶものではありません。
もしもの場合に備えて、「愛犬を守るための防災」についても心掛けておきましょう。

増え続ける大震災

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1995年1月17日に発生した「阪神・淡路大震災」では、震度7の激震(げきしん)が記録され、震源地に近い神戸市の市街地を中心とした阪神地域の「ライフライン(交通機関や電気水道ガスなど)」が壊滅的な状態に陥り、その被害は大阪府や京都府などにも及ぶ広域かつ大規模なものとなりました。

2011年3月11日に発生した「東日本大震災」は、マグニチュード9.0、最大震度7という観測史上最大の大地震となりました。
東日本の各地で大きな揺れを観測するとともに、海岸線には大津波(おおつなみ)が押し寄せ、その後も続く余震(よしん)は、東北から関東にかけての東日本一帯に激甚(げきじん)な被害をもたらしました。更に、福島第一原子力発電所では深刻な原子力事故が発生し、未だに住みなれた地域に戻れない住民の方たちもおられます。

皆さまの中にも、これらの大震災を通じて、身近でかけがえのない家族や友人たちとの「つながり」について、あらためて考えるようになった方も多かったのではないでしょうか。
その一つの現れとして、様々なところで、「絆(きずな)」という言葉が使われるようになりました。

同行避難(どうこうひなん)

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阪神・淡路大震災では、飼い主と離れ離れになった犬たちが、負傷したり、衰弱したり、そして命を落とすという不幸なできごとも少なくありませんでした。
また、保護されないまま放置されていた犬たちの間では自然繁殖(しぜんはんしょく)が行われ、野犬(やけん)が増えてしまい、住民の安全や公衆衛生上の環境の悪化が問題となりました。

一方では、普及しつつあった「パソコン通信」によって、現地の情報がいち早く共有され、犬などのペット動物の被災にも目が向きはじめました。
そして、被災した犬たちを保護するために、多くの義援金(ぎえんきん)やボランティアが集まりました。

これらの経験を通じて、都道府県などの自治体の中には、犬を含むペット動物に対する「動物愛護(どうぶつあいご)」と、地域社会の「生活環境保全(せかつかんきょうほぜん)」という2つの観点から、社会全体にとって、災害時にはペット動物と一緒に避難するという「同行避難(どうこうひなん)」という考え方が採用され始めました。

東日本大震災で被災した地域の自治体の中にも、地域防災の基本方針となる「地域防災計画」の中で同行避難についてとり上げていたり、また、「ペット救済マニュアル」を作成したり、餌やケージなどの備蓄(びちく)をしたりしていたところがありました。
しかしながら、市町村などの災害担当の部署(ぶしょ)や飼い主に対する、同行避難についての知識や情報の浸透(しんとう)が不十分でした。
その結果、愛犬とともに自動車の中で寝泊まりする「車中泊避難(しゃちょうはくひなん)」などを選択した飼い主も多かったようです。
また、やむを得ず愛犬を自宅に残して避難するという苦渋の選択をした飼い主も、少なくはありませんでした。

東日本大震災の翌年にあたる2012年には、「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」が改正され、次の2つのことが定められました。
・動物の愛護と管理に関する対策を立てて推進するための「動物愛護管理推進計画」の中に、災害時における動物の適正な飼い方と動物を傷つけないように安全を確保しておくことについて追加すること。
「動物愛護推進員(どうぶつあいごすいしんいん)」の活動として、災害時における、国や都道府県などが行う犬、猫などの動物の避難、保護などに対する協力を追加すること。
※動物愛護推進員とは、地域における犬や猫などの動物の愛護の推進について、熱意と正しい判断をすることができる力を持ち、都道府県などから動物愛護に関する職を委嘱(いしょく)された民間人。

2013年には、環境省が「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を策定しました。
それ以降は、都道府県などの自治体においても、同行避難についての積極的な普及・啓蒙(ふきゅう・けいもう)活動や制度の充実が進められています。

動物救護活動(どうぶつきゅうごかつどう)

平常時より、自治体(都道府県および市町村)・地方獣医師会・民間団体・企業などで構成される「現地動物救護本部」が編成され、各構成団体の役割り分担が決められています。

そして、緊急災害発生時には、都道府県が地方獣医師会と連携しながら、災害規模や被災状況などを考え合せて、「現地動物救護本部」の設置を含む「動物救護活動」の必要性を判断することとなっています。

現地動物救護本部では、自治体が備蓄(びちく)しているペットフードなどの物資の保管状況を確認し、配布計画を立てて、各避難所へ分配を始めます。
そのほか、現地動物救護本部では、獣医師やトレーナーの派遣要請、犬を散歩させるボランティアの募集、そして義援金の募集なども行います。

日ごろからの心構え

2016年4月14日に、熊本県と大分県で相次いで発生した「熊本地震」は、震度6強の前震と最大震度7という本震の後、長期間に渡って様々な規模の余震が続きました。
そのような状況下でも、地震発生から約2週間後には「熊本地震ペット救護本部」が設置され、飼い主に対する支援が始まりました。
しかしながら、東日本大震災で問題となった愛犬の置き去りや日頃の健康管理と「しつけ」ができていない犬の避難所への同行など、「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」が飼い主に十分に浸透できていない実態と様々な課題が浮き彫りになりました。

住環境

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恐い地震から、あなたと愛犬の身を守るために、家の中の「安全対策」を行いましょう。
・「倒れてくるもの」への安全対策
タンスやチェストを突っ張り棒やL字金具で固定したり、チェーンで転倒を防止するなど。
・「落ちてくるもの」への安全対策
TVやパソコンなどの底面と設置場所の間に、粘着性のゲル状マットなどを敷いて滑り難くするなど。
・「飛んでくるもの」への安全対策
食器棚や書棚を選ぶ際には、なるべく引き戸や引出し式のものを避けて開き戸式のものを選ぶようにし、重いものを下の段に収納して振動を抑えるなど。

愛犬を外飼いしている場合には、特に、庭や自宅周辺の屋外の「安全対策」にも気を配りましょう。
・「倒れてくるもの」への安全対策
ブロック塀が前後や左右に傾いていたり、押してみてぐらつく場合には、鉄筋が錆びている可能性があるため改修工事をするなど。
・「落ちてくるもの」への安全対策
ベランダには観葉植物などを置かないように心掛け、ベランダ自体が老朽化している場合には改修工事をするなど。
・「飛んでくるもの」への安全対策
サッシのガラスには飛散防止用のフィルムを貼るなど。

社会化トレーニング

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避難所では、犬が苦手な方やアレルギーを持っている方とも共同生活を送ることになります。
また、同行避難してきた犬たちは、犬だけを集めた部屋や屋外のテント内などで、ボランティアの方などにお世話になりながら過ごす時間が長くなります。
そのため、初対面のヒトや他の犬に対して過剰反応を起こさないように、また、不慣れな環境でもなるべく平常心を保てるように、日頃から、「社会化トレーニング」を行っておくことが大切です。
社会化トレーニングとは、犬が人間社会の様々な環境や刺激に対して適応し、平常心でいられるようにするためのトレーニングのことです。

犬には、聴覚や視覚などの優れた機能を駆使して、外部環境からの刺激をいち早く察知し、自らの身を守るという本能が備わっています。
地震発生時や避難行動中は地震そのものに対する恐怖、慣れない避難所での生活に対するストレス、そして家族と触れ合う時間や規則正しい散歩や食事などの習慣に対する要求が強くなり、無駄吠え(むだぼえ)や要求吠え(ようきゅうぼえ)を続けたり、中にはヒトを咬んでしまう、といった問題行動を起こしてしまう場合もあります。
日ごろより、愛犬が独りで過ごしたり、お留守番をする時間を作るなどして、耐性を高めておくことも大切です。

また、「ハウス!」などの呼びかけに反射(はんしゃ)して、クレートに入っていくための「クレートトレーニング」も欠かせません。
一般的には、トレーニングの初期段階では、おやつなどのご褒美(ごほうび)によって、クレートに入っていくための動機づけを行う方法が行われています。
最終的には、愛犬自身が、クレートの中を「リラックスできる空間」であると認識して、好んで入っていくように、嗅覚によるトレーニングに切り替えていくなどの工夫が必要です。
例えば、愛犬が好む天然成分100%のアロマエッセンシャルを見つけ出し、その香りの付いたシートやおもちゃをクレートの中に入れておき、クレートの中に入ることでリラックスして平常心が保てるように習慣づけしておけば、地震発生時や避難行動中の安全確保や避難生活中のストレス軽減にも役立ちます。

また、避難行動中や避難所での生活を想定し、クレートの扉を閉めてしまっても、怖がらないように訓練しておくことも大切です。

所有明示

東日本大震災では、震災前より地域防災計画に同行避難を記載していた自治体もありましたが、飼い主や市町村等の災害担当部署に「ペットとの同行避難」が浸透せず、多くの飼い主がやむ得ず愛犬を自宅に残して避難したため、多くの自治体で発災後の対応に苦慮しました。

そのため、東日本大震災が発生した翌年には、「動物の愛護及び管理に関する法律」が改正され、「所有の明示(飼い主をわかるようにしておくこと)」が、飼い主の責務(せきむ)として定められました。

狂犬病予防注射済票と監札

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「狂犬病予防法(きょうけんびょうよぼうほう)」に基づいて、犬の登録をした際には「鑑札(かんさつ)」、狂犬病予防注射の接種を受けた際には「注射済票」が市町村から交付されます。
これらは、所有者が登録された犬、狂犬病予防注射を受けた犬であることを証明するための標識であるため、犬に装着しておく必要があります。
鑑札の装着率をアップするために、各自治体が独自のデザインを採用することができるようになっています。
避難所での受け入れにも必要ですので、日頃から、首輪に付けておきましょう。

マイクロチップ

同行避難したとしても、緊急時の混乱した状況では、途中ではぐれてしまう場合も考えておかなければなりません。
また、鑑札が脱落してしまう可能性もあります。
そのため、確実な身分証明となる「マイクロチップ」を犬の体内に装着(首の皮膚の下に注射)する、という対策についての啓蒙(けいもう)が行われています。

マイクロチップを装着した犬は、「AIPO(動物ID普及推進会議)」に登録します。
マイクロチップには「個体識別番号」という個体を識別するための15桁の数字が記録されており、「マイクロチップリーダー」という読取器をあてると、その数字が表示されます。
AIPOに登録された個体識別番号に関連づけられた飼い主情報を確認することで、飼い主を特定することができる、という仕組みです。

迷子札

ハート型やボーン(骨)型など可愛いデザインの「迷子札」を首輪に付けておくと、愛犬とはぐれてしまった時の目印になります。
愛犬の名前や連絡先を刻印しておくことで、早期発見にも役立ちます。

飼育手帳

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同行避難した避難所では、常に、愛犬と一緒にいられる訳ではありません。
避難所の受け入れ時に、愛犬についての情報やあなたの想いを整理して伝えられるように、予め、「飼育手帳」をパソコンなどで作成し、避難グッズの中に入れておきましょう。
B5(182×256mm)の両面に印刷し、4つ折りにして携帯しやすいB7サイズ(128×91mm)にしておくと便利です。
掲載する情報は、以下を参考にして工夫してみてください。
・写真(愛犬正面・全身、家族と一緒)
・飼い主情報(飼い主の氏名・住所・電話番号・メールアドレス、災害時の避難場所・災害時の緊急連絡先)
・愛犬基本情報(愛犬の名前、犬種、性別、不妊去勢手術の有無、生年月日、体重・体長、毛色・毛質、鑑札NO、マイクロチップNO)
・愛犬健康情報(ホームドクターの名称・電話番号、病気とケガの既往歴、狂犬病予防注射・ワクチンの接種歴、投薬、アレルギー)
・愛犬生活習慣情報(散歩の回数・時間・散歩コース、食事回数、フードの種類・療法食、おやつの種類、サプリメント、オーラルケア、怖がるもの・苦手なもの・嫌がること、よろこぶこと・好きなもの・好きなこと)
・日頃使っている「しつけ言葉(日本語・英語)」
・愛犬との出会い・想い出・大切にしていることなど(60文字程度)

印刷後は、インクや紙の特性に応じて、ラミネート加工や防水スプレーなどの防水対策を行いましょう。

防災・避難グッズ

緊急災害時には、避難所への救援物資の到着が遅れることも想定しておかねればなりません。
原則として、愛犬の飼育に必要なものは、飼い主が用意しておくべきでしょう。
「避難グッズ」を準備し、いつでも直ぐに持ち出せる場所に保管しておきましょう。

避難にまでは及ばなくても、電気、上下水道、ガス、電話やインターネットなどの通信網、幹線道路や電車などの交通網などの「ライフライン」が被害を受けると、平常時では不便を感じていなかった備品の確保に支障が生じてしまう場合があります。
食べものや水などの優先度の高いものについては、避難用とは別に、多めに備蓄しておき、定期的に愛犬に与えて、食べ慣れさせておきましょう。

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避難グッズの中に、着脱が容易なタイプの「ウエアハーネス」を一つ用意しておけば、かさばらず、多用途に使えて便利です。
衣替えの時期に合わせて、季節に合った素材のものに入れ替えておきましょう。

春夏であれば紫外線防止素材のもの、秋冬であれば起毛生地など保温性の高いものをおすすめします。
飼育手帳に貼る写真を撮影する際には、各シーズンのハーネスを着用して撮りましょう。
迷子になった際にも、見つけやすくなります。

首輪、リード

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普段使っているものとは別に、もう一組用意しておきましょう。
水に強い素材のものを選びましょう。
首輪は、夜間や暗い雨の日の避難も想定して反射板やLEDランプで光るものをおすすめします。

避難時に使うリードは、愛犬の動きをけん制したり、急な飛び出しにも対応できる「ツーハンドリード」をおすすめします。
持ち手が2つあって愛犬の動きをコントロールしやすい、という特徴があります。

風水害対策

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避難所には学校の体育館や公民館などが指定されている場合が多く、雨降りの後にはフローリングの床が濡れて滑りやすくなっており、骨折や脱臼のリスクが高くなります。
同行避難した愛犬の散歩は学校のグラウンドで行われることも多く、泥はねが気になる場合もあります。
また、地震で飛散(ひさん)したガラス片などが残っていたり、夏場なら屋上のコンクリートがとても熱くなっていたり、といった危険もあります。

天然ゴム素材を使用した滑り止め効果のある「ラバーブーツ」を用意しておくと便利です。
肉球の保護にも役立つアイテムです。

暑さ対策

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梅雨や夏場の避難行動では、熱中症対策による二次災害に気を付けましょう。
軽量・薄型でかさばらず、着脱が容易な「クールバンダナ」を用意しておきましょう。
カバーごと冷水に浸して濡らすとクーリング生地の気化熱効果(きかねつこうか)によって高いクール効果が得られます。

マナー用品

不妊・去勢手術をしていない場合は、生理用の「サニタリーパンツ」、マーキング防止用の「マナーベルト」といったマナーグッズも用意しておきましょう。

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非常食

国や自治体の同行避難に関するガイドラインでは、フードや水は、少なくとも5日分(できれば 7 日分以上が望ましい。)の食事を用意しておくこと、療法食などの特別食を必要としている場合には、さらに長期間分の用意が必要である、と書かれています。
これは、避難所へ救援物資が届くまでの時間を考慮した目安です。

ヒトだけで避難する場合と同行避難する場合を比べると、同行避難する場合の方がフットワークが悪くなってしまいます。
避難所へ持っていく食べ物や水の量は一週間前後分を目途として、地震が治まり安全が確認できた段階で、自宅へ備蓄食をとりに戻ることも考えておきましょう。

缶づめは、長期保存にも適しており、被災した場合にもダメージを受けにくいのでおすすめします。
缶づめのフードと言っても、様々な種類のものがあります。
一般的なフードでは補給しにくい栄養素が豊富に入った無漂白の新鮮な「グリーントライプ」の缶づめをおすすめします。
トライプは、牛、羊、ヤギ、鹿などの反すう動物の第4番目の胃を内容物ごと刻んだもので、犬の本能が求める「最高のご馳走」です。

被災後も、平常時と同じ食事や生活リズムが維持できれば、ベストです。
しかしながら、本震の後も、長期間に渡って大きな余震が続いたり、また、ライフラインの復旧の目途が立たなかったりして、困難を強いられる場合もあり得ます。
選択の余地もなく、避難所で配給された食べ慣れないフードに頼らざるを得ない状況も想定しておかなければなりません。
食べ慣れないドライフードであっても、グリーントライプをトッピングしてあげるだけで、喰いつき抜群の健康食になります。

療法食を必要とする場合は、日ごろより、ドライフードや手作り食と併用して、レトルトの療法食をとり入れておくことで、平常時と大きく変わらない食事を与えやすくなります。
ぜひ、安心安全な原材料を豊富に使用した療法食を選びましょう。
レトルトであれば、かさばらず、コンテナーなどのハードケースで保管しておけば被災した場合のダメージも最小限度に抑えることができます。

サプリメント

犬は、ストレスから体調を崩したり、病気を発生しやすくなるデリケートな動物です。
地震に対する恐怖心や避難所での慣れない生活によるストレスが続けば、短期間で健康を害してしまうおそれがあります。

次の条件を満たす「サプリメント」を用意しておけば、心強く安心です。
・ストレス解消に効果的だと言われているビタミンBをはじめ、ミネラル、アミノ酸など愛犬の健康に必要な栄養素をバランス良くとり入れることができる。
・腸内環境を整えて免疫力を高めることができる。
・コンパクトで携行しやすい。
・保存料や添加物が一切使用されておらず、安全性が高い。
・賞味期限が長い。

おやつ

防災・避難グッズを選ぶときには、優先順位を明確にして、減らす工夫が大切です。
「おやつ」の優先順位が高いかどうかについては賛否の分かれるところです。
だからこそ、選び方のポイントが重要です。
・避難行動中の行動食や非常食としても役立つ。
・低カロリーで消化率が高い。
・体内酵素の活性化や骨の強化などに有効な栄養素が豊富。
・食材としても使えて、栄養補助にも有効。
・賞味期限が長く、美味しさも長持ち。
・保存料や添加物が一切使用されておらず、安全性が高い。

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多くの避難所では、クレートやペットキャリーが愛犬の居住スペースとなります。
そのため、堅強(けんきょう)で安心して使えるものを用意しておきましょう。
通常の環境とは大きく異なる避難生活は愛犬にとって大きなストレスになり、健康を害する原因とも成りかねないため、日ごろから、ハウスとして使ったり、旅行やお出掛けなどの外出時などに利用して慣らしておきましょう。

キャリー、クレート

用途や商品ごとの特性を踏まえて豊富なラインナップの中から、愛犬が安全に過ごせる高品質なものを選びましょう。
防災の観点からは、「クレート」と呼ばれているハードタイプのペットキャリーをおすすめします。
クレートを選ぶ際のポイントを整理しておきます。
 ・材質は、強固なプラスチック、グラスファイバーなど。
 ・餌用と水用の食器が着脱できるものが便利。

衛生管理

避難所は、様々なヒトや同行避難してきたペットたちが集まって共同生活をすることになります。
愛犬家たちにとっては、犬との暮らしは心のやすらぎになります。
しかし、犬が苦手な方やアレルギーの方もいることを忘れてはいけません。

「ダブルコート」の犬種には、春から夏にかけて、秋から冬にかけての2回の換毛期があります。
大量の毛が抜けるため、抜けた毛をそのままにしていると「滑る住環境」を作ってしまうことにもなりかねません。
また、ダニやノミが発生しやすくなりますので、衛生面でも好ましくありません。
床に付着した毛をきれいにとるため、かさばらない粘着テープを用意しておくと便利です。
ダニやノミの対策として、犬が舐めても安心な天然アロマ成分のみを使用した虫よけスプレーを用意しておきましょう。

避難所での生活では、愛犬たちは、お風呂に入れない日が続きます。
風呂に入れない日が続き、シャンプー&リンスができない時には、やさしくかつ手軽に汚れをふき取ることができる洗い流し不要の「シャンプータオル」を用意しておくと便利です。
気になる臭いも抑えることができ、皮膚もさっぱりして、毛並みにうるおいを与えることができます。
特に、目ヤニ、耳あかやお尻周りの汚れなど、デリケートな部分のお手入れを意識して、アルコールフリーで人口香料やラノリンなど動物由来成分を不使用の安心して使えるものを選びましょう。
足や毛、口の周り、お尻などの汚れに気を付けて、皮膚病の予防を心掛けてあげましょう。

地域の取組み

いざという時に備え、避難所以外への避難場所も確保しておくことも大切です。
日ごろより、親戚や友人・知人と、お互いの家に一時避難させてもらったり、または愛犬を一時的に預かってもらえるように話し合っておきましょう。
更には、近隣の愛犬家同士のつながりも大切にし、毎日の散歩コースで頻繁に顔を合わすヒトや犬とも、良好な関係を構築しておくように心がけておくことが大切です。

情報の収集

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緊急避難の発令時に備えて、自治体(都道府県および市町村)の広報誌などを通じて、避難場所や避難ルートを確認しておきましょう。
また、市町村のホームページなどを通じて、地域の防災計画や同行避難についての情報を確認しておくことも大切です。

情報の共有

大地震発生時から数日間は、安否確認、見舞い、問合せなどの電話やメールが急増してしまい、電話がつながり難い「電話ふくそう」という状態が続きます。
東日本大震災の直後には、最大で平常時の約50~60倍以上の通話が集中した携帯電話会社もありました。
このような状況になった場合、「災害用伝言ダイヤル171(電話サービス)」と「災害用伝言版We171」というサービスが開始されます。
・「災害用伝言ダイヤル171(電話サービス)」
固定電話、携帯電話、PHSなどの電話番号宛に安否情報(伝言)を音声で録音(登録)し、全国からその音声を再生(確認)することができるサービス。
・「災害用伝言版We171」
携帯電話・PHSのインターネット接続機能で、被災地の方が伝言を文字によって登録し、携帯電話・PHS番号をもとにして全国から伝言を確認できるサービス。

詳細については総務省やNTTなどの電話会社のHPで公表されています。
◆総務省「災害用伝言サービス」へ
ぜひ、家族や友人・知人との間で、緊急時の連絡方法を共有しておきましょう。

同行避難訓練

近年、自治体が実施する「総合防災訓練」などにおいても、同行避難の「運営訓練」が行われており、愛犬を連れて参加されている地域住民を見かけることも多くなりました。
同行避難が可能な避難訓練所には「啓発ブース」が設けられ、避難用品の展示、日頃からのしつけ方法などについてのパネル展示や相談コーナーが設置されている場合もあります。
避難所への犬などペットの受入れ方法については、地域の事情に応じて様々です。
お住まいの地域における同行避難の受入れ体制や独自のルールについても知っておくことが大切です。
ぜひ、同行避難訓練に参加して地域の状況を把握しておきましょう。

愛犬と一緒に避難する

地震による被害には、建物倒壊、火災、土砂崩れ、液状化現象などがあります。さらに、沿岸部であれば、津波が発生する危険性もあります。
地震の揺れを感じたら、まずは、あなた自身や家族の身の安全を確保してください。
愛犬は、あなたや家族のそばに連れてきて、安心感を与え、落ち着かせるように努めてください。

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避難開始

避難を開始するタイミングは、〝災害の発生が差し迫って避難が必要になった場合〟であることを忘れないでください。
むやみな行動をとらず、先ずは、「安全確保」を心がけ、情報収集を続けながら、適切に状況を把握することが大切です。

市町村長の「発令」には、主に3種類があります。
強制力の低いものから高いものへ、「避難準備・高齢者等避難開始(ひなんじゅんび・こうれいしゃとうひなんかいし)」、「避難勧告(ひなんかんこく)」そして、「避難指示(緊急)」となっています。
これらは必ずしも段階的に発令されるとは限りません。
また、発令されていなくても、身の危険を感じる場合は避難を開始した方が良い場合もあります。

災害の状況は、テレビ(携帯電話やスマートフォンのワンセグ)、ラジオ、市町村防災行政無線、緊急速報メール、ツイッター等のSNS、広報車・消防団による広報、電話・FAX・登録制メール、消防団・警察・自主防災組織・近隣住民による声掛けなど様々な方法で「情報伝達」が行われます。
それらを駆使(くし)して広く正確な情報を収集し、お住まいの地域の情報を把握し、できる限り冷静に判断するように努め、行動しましょう。

安全確保

家の中にいる場合は、あわてて屋外にとび出さず、臨機応変(りんきおうへん)に判断しながら、次の行動をとりましょう。
・タンスや書棚などから離れて、防災ずきんやタオルなどで頭を保護しながら、丈夫なテーブルの下などに入る。
・部屋のドアなどを空けて避難路を確保する。
・キッチンのコンロや部屋の暖房などの火を消す。
ただし、決してムリをしないように心がけておきましょう。

避難場所へ

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避難場所へ向かう際には、小型犬や中型犬であれば、リードを付けた状態でクレートに入れて、ガムテープなどで扉の周囲を固定して運び出しましょう。
大型犬の場合には、リードを短めに持って歩かせます。
リードを付ける前には、必ず、首輪が緩んでいないか確認しましょう。
1.3.1.1首輪、リードでご紹介した「ツーハンドリード」であれば、コントロールしやすいと思います。
道路にはガラス片などの危険物が飛散(ひさん)している場合がありますので、靴や1.3.1.2風水害対策でご紹介した「ラバーブーツ」などを履かせるなどを心がけてください。

応急処置

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ケガや事故の場合に備えて、応急処置の知識を持っておくことが大切です。
応急処置に使うグッズは、ヒトと愛犬が共通で使えるようなものを選び、避難時の荷物を減らすようにします。

・「皮膚からの出血」がみられる場合
傷口に「清潔なガーゼ」を押しあてて止血する。
止まり難い場合には、「止血剤」を使う。
血が止まったのを確認したら、包帯やタオルを巻くなどして、引っ掻かないように保護する。
・「やけど」をした場合
叩くだけで瞬間で冷える「保冷剤」などで、直ぐに冷ます。
薬品などによる場合は、しっかりと流水で洗い流してから、冷やす。
身体に熱をもち、普段より息が荒くなったり、肉球が赤くなるなどの「熱中症」の症状がみられた場合には、冷所で休ませ、足に流水をかけたり、保冷剤などで冷やしたりして体温を下げる。
・「嘔吐(おうと)」した場合
窒息(ちっそく)を防止するために、口の中をきれいに洗い、吐いたものを食べてしまわないようにする。
症状が重い場合には、半日から一日くらいの間は絶食して、その後、消化の良いものから普段の食事へ少しずつ戻していく。
・「心肺停止(しんぱいていし)」の場合
「心臓マッサージ」を行う際には、犬の心臓は左前足付け根の奥にあるため、両掌(りょうてのひら)を重ねて置いて、首の方向に圧迫する。(1分間に120回程度のペースで続ける)
「人工呼吸」を行う際には、口をとじて鼻から息を吹き込む。(胸が大きく膨らむことを確認しながら、1分間に12から20回程度のペースで続ける。)

応急処置後は、なるべく速やかに獣医の診断を受けましょう。

避難所での生活

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同行避難してきた犬に対する取扱いは、避難所ごとで様々です。
屋内で飼育が認められている場合もありますが、避難所が学校である場合には、靴箱などの棚を活用したり、また、グラウンドのサッカーゴールにシートを掛けて即席の「専用係留場(せんようけいりゅうじょう)」を設置し、そこにクレートを並べたりする場合もあります。
また、グラウンドにテントを張ったり、駐車した自動車の中で、愛犬と一緒に寝泊まりできるところなどもあります。

マナーを大切に

避難所は、被災した様々なヒトが集まって共同生活を行う場です。
飼い主同士が集まって、愛犬の飼育管理のルールを作ったりしながら調和を維持していくための努力が求められます。

助け合いの気持ち

避難所には、愛犬家だけではなく、犬が苦手なヒト、アレルギーを持っているヒト、猫などの他のペット動物と同行避難してきたヒトなど様々な方がいます。
相手の立場や気持ちに配慮しながら、お互いにストレスが軽減され、またトラブルにならないように気を付けなければなりません。

飼い主会

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同行避難してきた住民に対しては、受付の際に、避難所の管理者から飼育場所や飼育ルールなどが伝えられ、受付票の記入がされます。
その受付票をもとに、飼い主と同行避難してきたペットについての情報を整理した一覧表が作成されます。

その後、少し落ち着いてきた段階で、飼い主やボランティアなどから構成される「飼い主会」を発足させ、避難生活がスムーズに進むようにしている場合があります。
このような避難所の自治活動では、代表者が置かれ、避難所の本部や自治体との連絡などを行ったり、飼育ルールを決めて調整したりもします。
お互いに協力しながら、愛犬たちにとって、少しでも良好な環境を構築していきましょう。

健康管理

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普段の生活環境とは大きく異なる避難生活が大きなストレスとなり、体調を崩してしまう犬もいます。
過去の大震災では、その状況に心を痛め、避難所を出て車中泊を選んだ方もいたようです。

大きな余震や二次災害の心配がなくなり安全が確認できるようになれば、一時的に、親戚や友人・知人の家に泊めてもらったり、それが難しい場合には、愛犬だけを預かってもらったりするなどすることで、状況が改善するきっかけになる場合もあります。
あなた自身の心身の健康管理も忘れないようにしましょう。

運動

規則正しい散歩は、犬の健康を維持するための基本です。
段階的に普段の生活リズムを取り戻しながら、散歩などの適度な運動に努めましょう。

ストレスから守る

避難生活中に、愛犬がストレスによって健康を損なうリスクを減らせるように、日ごろから、安全安心な乳酸菌系のサプリメントなどで腸内環境を整え、免疫力を高め、ストレスに負けない健康な身体づくりを心がけておきましょう。

不測の事態

万が一、愛犬とはぐれてしまった場合には、警察や自治体の動物担当部署へ届けましょう。
また、やむを得ず愛犬と同行避難できず、自宅などに置いてきた場合には、自治体の動物担当部署に相談してください。
いずれの場合にも、1.2.4でご紹介した「飼育手帳」を使えば、愛犬の特徴をうまく伝えることができます。

また、避難生活中にあなた自身が健康を損なってしまい、愛犬と一緒に避難生活ができなくなってしまった場合には、親戚や友人・知人の力を借りながら、自治体の動物担当部署とも相談し、善後策(ぜんごさく)を見つけ出していきましょう。

様々なケースを想定して、怖い地震に備えましょう!
緊急時でも、いつも愛犬と一緒にいられるようにするためには、何よりも、平時からの心構えと準備が大切です。

わたしたちの想い

3002019
私たちは、「世界中の動物たちに何か役立ちたい。」との思いから、これまで、いくつかの寄附やボランティア活動に取組んできました。
東日本大震災以降、毎月続けてきた被災地で犬や猫などのペットと生活しておられる方々へのドッグフード・キャットフード・ペットシーツなどの物資支援も、その一つです。
◆当社の寄付活動・ボランティアのご紹介

小さな活動であっても、大きな志をもって続けていくことが大切だと思っています。
これからも、被災地との「つながり」やそこで暮らす犬たちとの「きずな」を大切にしながら、ペット防災の一助にもなれるように取組んでいきたいと考えております。

どんなときにも、皆さまが愛犬と一緒に暮らし続けられますように。

さあ、備えましょう!

避難中の栄養補給

避難中の体調管理におすすめのサプリメント

52種類の野菜果物を酵素の力で発酵させたパウダー


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おすすめの缶詰

避難中の栄養補修に、食いつき抜群!無添加 缶ドッグフード

愛犬が泣いて喜ぶ肉食性の犬本来の正しい食事


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おすすめの食事療法食

緊急時にも頼りになる、レトルト療法食

パッケージのシンボルマークは安心安全の証です。


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おすすめのおやつ

避難時の行動食にもなる無添加おやつ

低カロリーで栄養豊富


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おすすめのサプリメント

ストレスに負けないために、腸内の健康を維持するサプリメント

愛犬の健康を守るためのオススメ乳酸菌サプリメント


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安全確保

ゆとりのある広さと通気穴で、快適に過ごせるクレート

丈夫で頑丈、地震のときも避難中も安心安全


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愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修

株式会社帝塚山ハウンドカム
代表取締役 川瀬 隆庸

  • 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
  • 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
  • ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
  • 小動物栄養管理士認定
  • D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
  • 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
  • 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了

愛犬の健康トラブル・ドッグフード・サプリメントなどアドバイスをいたします。

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