川瀬隆庸の「こだわり対談」

「こだわり対談」通販部門編(3)

対談

帝塚山ハウンドカムの「EC・通販マーケティング事業部」の墫(ばん)ふき恵さん、笠原慶子さんのおふたりと、同社の川瀬隆庸(かわせ・たかつね)社長がお客さまへの対応を通じたペット事情について話し合う鼎談の続きをお届けします。
3回目はワンちゃんや猫ちゃんの食事情をめぐる現在と過去や、印象に残る飼い主さんなどのお話を紹介し、今回の鼎談を締めくくらせていただきます。
(岡崎秀俊)

ペットフードだけでいいのか

川瀬:墫さんや笠原さんの話を聞いていると、高齢化に伴う相談が多くなっていることがわかりますね。
私がハウンドカムを始めた30年近く前に最も多かったのはアレルギーや、それに関わる皮膚のトラブルについてのご相談でした。
飼い主さんの意識の高まりで、ペットに与える食事の質が改善されたことなどが、そのような変化に反映されているのでしょうね。
それから、ひと昔前はドッグフードでないとダメという風潮もありましたが、今は手作り食への評価が高まってきましたね。

対談

墫:意識が高まったということにもつながりますが、手作りされている飼い主さんは、犬や猫の健康について、ある程度、勉強されているようです。

笠原:アレルギーや、お腹が弱いといった疾患を持っている場合、これまでは獣医さんから出された療法食を与えるのが当たり前でした。
最近は、それをあげたくないという飼い主さんも増えてきたと感じています。
ネットの情報の影響でしょうね。
出された療法食について否定的なことを読んで、ご自身で調べて手作り食が良いという情報を得たので、作り方や生肉について教えてほしいといったご依頼もいただきます。
また、すでに手作りしているので、それにプラスアルファで「健康オメガ3オイル」などの健康補助食品を使いたいのですが、といったご相談もあります。

川瀬:29年間、ハウンドカムを経営していて、20歳くらいまで生きたワンちゃんの飼い主さんには必ず「どういうものを食べさせていましたか?」と聞いてきました。
おやつなどを除いてもドライフードしか与えていないという方は少ないです。
家族が食べているものと同じ素材を含めて何でも、というケースが多いですね。
タマネギやチョコレートはダメでしょうが、いろいろなものを食べさせていますね。
健康・長寿のためにドライフードが絶対じゃないことは飼い主さんのお話からも経験的にわかります。
ドライフードは、だいたいが玄米などの穀類と、お肉がメインであとは、野菜や海藻などが入っているんですよ。
それを乾燥させる前の状態で炊いたり焼いたりして、あげるのと何が違うのか、というのが私の考えです。
飼い主さんが自分で買って産地なども、はっきりとわかっている食材を軽く処理してあげるほうがいいんじゃないかな、と思うので、ウチは、そのような手作り食を、おすすめしているわけです。

笠原:獣医さんの考えも変わってきているのかな、とも思っています。
以前は「生肉や手作りはダメ。ドライフードだけにしなさい」という方ばかりだった気がするのですが、最近、お客さまから「獣医さんから生肉がいいとすすめられた」という話を、お電話で耳にするようになってきたのです。

ハウンドカムが変えたこと

川瀬:私はハウンドカムを始める1年前から犬を飼いました。
ですから30年ほど前ですね。
小さいころにも家に犬がいたのですが、食事の世話は親の役割だったので、自分がちゃんと面倒をみた初めての犬でした。
予防接種などで動物病院に行くと、獣医さんに「生肉をやってるか。生肉はいいよ」と言われました。
1カ所だけでなく他の2、3軒の動物病院でも獣医さんから同じように生肉をすすめられました。
みなさん当時60歳前後だったと思うのですが、昔の獣医さんは、どなたも生肉をすすめていたんじゃないですかね。
その当時から直近くらいまでに教育を受けた獣医さんが実証データなどがあるドライフードを推奨するようになったのでしょうね。
それで1周まわってというのか…直近では生肉を勧める獣医さんも増えてきた気がします。
おふたりはハウンドカムに勤め始めてからペットに対する変化は何か、ありましたか。

墫:ここで働く以前からキャットフードの添加物などは気にしていたのですが、完全に安心や納得ができるのには遠い感じでした。
でもハウンドカムにはもっと安心できるものがあると知って切り替えました。
猫には水分も一緒に摂れる缶詰がいいことも勉強していくなかで、わかってきたので、缶詰も使うようになりました。

対談

笠原:私はもともとワンちゃんに手作り食をあげており、オーナー(川瀬社長)の考え方が私の求めていることと同じでした。
入社の志望動機も、そこにあったので、特に変わったことはありません。

ペットは飼い主に依存する

川瀬:これまでで印象に残っているお客さまというと?

墫:ワンちゃんの飼い主の女性ですが、「この子か死んだら私も…」という方がいらっしゃいました。
そのときは食べ物に関する相談をいただいたのですが、飼い主としての責任と覚悟のようなものがあって、愛犬には最善の情報をもとにした食べ物をあげたいという、お気持ちをすごく感じました。
実際に「この子が死んだら…」とおっしゃるかどうかは別にして愛犬・愛猫を子供のように考えておられる方は多いですよね。
その飼い主さんのワンちゃんは病気で手術を受けたそうなのですが、それまでにあげていた食べ物が良くなかったのかも、という後悔もしていらしたようです。
「もうワンちゃんに痛い思いはさせたくない」という強い気持ちがあって、私にも、何か「いいことばかりを強調して売りたい商品をすすめるようなことはしてほしくない」という思いがあって、誠実さを強く求められたのでしょう。

対談

川瀬:それはそうでしょうね。
社員のみなさんは、わかっていると思いますが、ハウンドカムは商品には絶対の自信を持っていますし、すすめるものさえ間違えなければ、私自身は食べ物と運動で病気は克服できると思っています。

墫:私は、ワンちゃんや猫ちゃんが遺伝的に持っていて、薬でも食べ物でも、どうしょうもない部分はあるかもしれないと考えています。
とはいえ、ペットは飼い主さんに依存するしかありません。
ですから飼い主さんがペットに対して最良の選択をしているという気持ちを持っていただけるように心がけています。
ハウンドカムで販売している商品は長年にわたって、お客さまから、たくさんのご好評をいただいていますから、自信を持って、おすすめしています。

情報社会の“迷子”

笠原:印象に残るお客さまというと何人かいらっしゃいますが、おひとりをあげるとするとワンちゃんの介護用マットのご相談をくださった女性です。
急に筋肉が硬直して動けなくなったので床ずれがしにくいマットを、というご要望で他のスタッフとも相談して適切な商品を選ぶために精一杯の対応をいたしました。
その数日後にその方からメールを頂戴しました。
マットをご購入いただいたのですが、使い始めて2日後にワンちゃんは亡くなったというご連絡でした。
「マットは少しの間しか使えなかったけれど、電話での対応で、とても救われた」という、ありがたいお言葉とともに、ワンちゃんの写真も添付してくださっていました。
ペットが亡くなったという、ご報告をしてくださる方はほとんどいらっしゃいませんし、私自身は、初めていただいた、お客さまからの感謝のお言葉だったので、とても印象に残っています。
商品や、健康の相談へのご回答ということ以外にペットを通じた人と人とのふれあいのようなものを求める方は多いと実感しています。

対談

墫:ネットの情報が氾濫していて「どれが正しいのか、わからない」という声もよく聞きます。

川瀬:たとえば、ひとつの解決策や商品に対して「良い」「悪い」という両方の見解が見つかることも少なくありません。
情報と商品が多いことで悩んでいる人は多い。

墫:そこで悩む方と、一方の情報だけを信じている方もいて…。

川瀬:情報社会で“迷子”になってしまっている人はペットの問題に限らず、多いじゃないですか。
そういう現状に対応できるように、さらに人材育成をしていこうと思っています。
これからはAI(人工知能)の発達などで回答も迅速化されていくでしょうが、それだけで、すべてが解決するわけではありません。
やはり人間同士がコミュニケーションできる窓口は大切ですよね。
そのようなスキルの向上も一朝一夕には難しいでしょうが、スタッフが力を合わせて飼い主さんに喜んでいただき、ペットが元気に長生きできるよう、さらに工夫や努力をしていきましょう。

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