獣医師が解説

【獣医師が解説】尿結石の再発を避けるために

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前回のコラムではイヌやネコに尿石ができやすい理由をお話しました。今回はその続きです。尿石症の再発を避ける方法について考えます。

イヌとネコの尿成分

尿にはいろいろな成分が溶けています。尿石症を繰り返すということは、尿の中に常にその材料が含まれているのかもしれません。まずはイヌとネコの尿成分を比較してみましょう。

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尿pHはイヌの方がやや高いものの共に中性付近です。しかし、タンパク量とマグネシウム量はネコの方がはるかに多いことが判ります(麻布大学 大石 亮 氏ら2007年)。

タンパク質は糖と結合すると尿石の核になります。またマグネシウムはストラバイト結石(リン酸アンモニウムMg)の材料です。

ネコは高性能の腎臓をもっていて濃い尿を作ります。ネコの尿には通常でも尿石を形成する材料がそろっているわけです。

食事パターンと尿の関係

尿石症の予防には飲水量がポイントであることはみなさんもご承知です。しかしこれがなかなか難しいものです。とくにネコの場合には…。

麻布大学の鈴木達也 氏らがネコの食事パターンと尿性状との関係について次の2つの試験を行っています(2002年)。試験条件は以下のとおりです。

●供試動物 …ネコ7頭(2~4歳)
●フード …市販のドライフード(CP:粗タンパク量30%)
●食事パターン …前半2週間は不断食事(自由にいつでも食事OK)
   …後半2週間は制限食事(食事時間は1日3時間に限定)

●水 …ともに自由飲水

食事パターンと排尿の関係

1つ目の試験結果として、好きな時にフードを食べることができる不断食事の方がたくさんの水を飲み、頻繁にオシッコをするということが判りました。

排尿頻度が高いということは、仮に尿石が出来たとしてもまだ小さいうちに体外に排泄されるチャンスが多いということです。頻繁な排尿は尿石症の再発防止には大変良い事です。

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食事パターンと尿pHの関係

2つ目の試験結果を見てみましょう。制限食事ではフードを食べた後、尿のpHが一気に上昇しpH8以上のアルカリ性になりました。これに対して不断食事ではpH7前後の中性付近を推移していました。

前回のおさらいですが、ストラバイト結石(リン酸アンモニウムMg)はアルカリ尿が背景にありました。制限食事では尿石の形成リスクが高いということになります。

このようにできるだけ水を飲ませたいネコに対して、いつでもフードを食べることができる不断食事は飲水量、尿量、排尿頻度、さらに尿pHの中性化など尿石予防に有効な食事パターンといえます。

以前のコラムでネコは少ない量をちょこちょこ食べる「少量頻回採食動物」であると述べました。不断食事はネコ本来の食性に合った食事パターンです。

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膀胱炎と尿石症

膀胱炎は尿石症の引き金となる疾病で、受診理由では上位に位置しています(イヌで第8位、ネコでは第1位)。尿石症が繰り返されるということは、常時膀胱炎のリスクにさらされているためともいえます。

尿路感染症の原因菌

膀胱炎の原因のすべてが細菌感染によるものではありませんが、大きなウェイトを占めていることは確かです。では膀胱炎の原因菌にはどのようなものがあるのでしょうか?

山口大学の下川孝子 氏はイヌおよびネコの尿路感染症原因菌のおよそ45%は大腸菌であると述べています。その他ブドウ球菌、レンサ球菌などが続きます(2016年)。

腸管内と異なり腎臓や膀胱などの泌尿器には通常細菌は存在しません。ではこれら原因菌はどこからやって来るのでしょうか?その答えは糞便です。排便時に糞便中の大腸菌などが尿道をさかのぼって泌尿器内へ侵入するのです。

意外な感じがするかもしれませんが、トイレシーツのこまめな交換やシャンプーは膀胱炎や尿石症の発生防止に有効と考えられます。

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大腸菌はアルカリ尿とは無関係

前回、ストラバイト結石の背景にはアルカリ尿があり、それは「尿素分解菌」の作用であるとお知らせしました。しかし、大腸菌のほとんどは尿素を分解する酵素をもっていません。すなわち大腸菌は尿のアルカリ化とは無関係です。

主に尿をアルカリ性にしているのは、原因%が低いプロテウス菌やクレブシエラ菌といった尿素分解菌です。

大腸菌の役割

では大腸菌は尿石症とは関係がないのでしょうか?大腸菌は次の2つの病原因子をもっています。

①線毛 …線毛によって膀胱などの尿路内壁の細胞表面に付着します
②毒素 …細胞に付着した後、毒素を産生しながら増殖します

糞便由来の大腸菌が線毛を使って膀胱の内壁に付着し、毒素を産生すると炎症が起こります。すなわち膀胱炎です。

炎症によって損傷を受けた内壁の細胞はやがて剥がれて尿中を漂います。この剥がれた細胞が尿石の核になるわけです。大腸菌は尿をアルカリ化しませんが、尿石の核の製造係になっていたわけです。

尿石症と深く関連している膀胱炎の予防として、まずは大腸菌の細胞付着を防ぐ何か良い策はないものかと検討されています。

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療法食の有用成分

フードショップや動物病院では尿石症対策としての療法食やサプリメントが販売されています。これらに含まれている有用成分について説明しましょう。

メチオニン

含硫アミノ酸(=イオウを含むアミノ酸)の1つであるメチオニンは尿の酸化剤として知られています。ストラバイト結石対策ではアルカリ化した尿のpHを下げる目的で配合されます。

麻布大学の船場正幸 氏らが行ったネコへのメチオニン給与試験の成績を紹介しましょう(2001年)。

試験設定は次のとおりです。

●供試動物 …ネコ6頭(2頭×3グループ)
●フード …ドライフード(CP:粗タンパク量約30%)
●メチオニン添加 …フードへの添加量0%、1%、3%

結果としてメチオニンを3%添加給与したグループにおいて、尿pHの低下とストラバイト結晶の顕著な減少が確認されました。

このようにメチオニンはストラバイト結石対策に有用なアミノ酸ですが、添加量を6%にアップするとネコの食欲が低下したという副反応もあります(麻布大学 阿部正信 氏ら1999年)。いくら良いものでもサプリメントの与え過ぎは要注意です。

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クランベリー

クランベリーはツルコケモモ(蔓苔桃)という植物の果実で、近頃はジュースやジャムとして市販されています。このクランベリーにはポリフェノールの一種である「プロアントシアニジン」という強力な抗酸化物質が含まれています。

クランベリーはヒトの尿路感染症対策(山梨大学 土屋紀子 氏 2005年、東京医科大学 並木一典 氏 2012年)や口腔内細菌対策(東京歯科大学 山中あゆみ 氏 2004年)としての活用報告が多数あります。

また海外の研究ではクランベリージュースを与えたマウスの尿は大腸菌が尿路細胞へ付着するのをおよそ80%阻害したという報告もあります(1984年)。

すなわちクランベリーには尿路細胞への細菌の付着抑制作用があるということです。ペットの膀胱炎や尿石症対策としてクランベリーの応用が期待されます。

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オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸(EPA、DHA)は抗酸化作用と同時に抗炎症作用をもった物質です。膀胱内に大腸菌が侵入し毒素を産生すると炎症が発生します。

獣医師の坂根 弘 氏は膀胱内壁の炎症を軽減させる目的としてオメガ3脂肪酸の可能性を紹介しています(2015年)。

結石お勧めアイテム

クランベリーPlus

愛犬愛猫の膀胱炎や尿石症対策として期待できるクランベリーを使用したサプリメント。


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活性オメガ3オイル

膀胱内壁の炎症を軽減させる効果が期待できるオメガ3オイル

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水分量も多く、良質なたんぱく質は尿のPHを中性に落ち着かせてくれます。
また水分も多いのでドライフード中心の水分不足の子にお勧めです。


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水分不足の子のトッピングに最適です!


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ストルバイト結石に悩む愛犬の療法食
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尿路の健康維持をサポートするウラジロガシとチャンカピエドラをブレンド配合
チャンカピエドラは「石砕き」とも呼ばれるハーブで尿の排出サポートと、体内でのシュウ酸カルシウムの結晶化から守る働きがあります。


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アルカリ尿または酸性尿の一方に傾きやすい、結石のトラブルが心配、尿路疾患を経験した愛犬に


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再発防止のヒント

最後に尿石症の再発防止策をまとめます。

(1)生活環境
・本来のペットの食性にあった食事パターンを取り入れましょう
・好きな時に水が飲めて、リラックスして排尿ができる環境が大切です

(2)トイレシーツ
・膀胱炎の原因菌は少なからず糞便に由来しています
・トイレシーツはこまめに交換しましょう

(3)有用な栄養成分
・メチオニン、クランベリー、オメガ3脂肪酸などがあります
・給与量をよく確認して活用しましょう

 病気の治療は獣医師のしごとですが、予防はオーナーのみなさんのつとめです。大切なペットが尿石症を繰り返さないためのヒントは毎日の生活のなかにもあります。まずは身近なところから始めてみましょう。

執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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