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【獣医師が解説】ペットの栄養編: テーマ「フード添加物」

 獣医師が解説  

「本町獣医科サポート」の獣医師 北島 崇です。
愛犬・愛猫へのフードについて伺います。みなさんは市販フードを購入していますか?それとも手作りフードを与えていますか?今回は「フード添加物」についてお話をします。

手作りフードと添加物

手作りフードと聞きますと手間がかかり、栄養設計の計算も必要になり大変だろうなと思います。手作り派のオーナーの方はいったいどれくらいおられるのでしょうか?

手作り派の割合

獣医師の森井知里が麻布大学付属動物病院に来院したオーナー263人にアンケートを行い、ペットの食事内容について調査をしています(2018年)。

これによりますと手作り派オーナーの割合は17.9%という結果でした。およそ5~6人に1人の割合でペットの食事を手作りされているようです。

手作りフードの長所と短所

さて、本題はここからです。手作り派オーナーはフード添加物に対して高い関心をもっています。ブルーバッファロージャパンの坂根弘は手作り派オーナーに聞き取りをした結果を次のように報告をしています(2017年)。

 ○手作りフードを与えたい理由
   ・自然な食事を与えたい
   ・市販フード中の添加物を避けたい ほか
 ○手作りフードの長所
   ・食材を把握できる(アレルギー対策も含む)
   ・添加物を使用せずにすむ ほか
 ○手作りフードの短所
   ・栄養学の知識習得が必要
   ・手間と時間がかかる ほか

このようにペットオーナーのみなさんは、フード添加物に対してあまり良いイメージをもたれていないことが判ります。

フード添加物とは

ペットフードの添加物(ここではフード添加物とよぶことにします)は、フードの製造・加工・保存の目的で添加混合されるものをいいます。

あいまいな存在

添加物とは正式には次の2つをいいます。

 ○食品添加物(食品衛生法により規定)
   :ヒトが食する食品に使用するもの
 ○飼料添加物(飼料安全法により規定)
   :家畜の飼料に使用するもの

法的にはフード添加物は上記のどちらにも属していません。また、独立して規定されているものでもありません。フード添加物とは上記2つの添加物を利用して、ペットフードに活用されているものです。

2009年より施行されているペットフード安全法という法律で、基準規格の設定や表示義務などの管理を受けてはいますが、現在のところフード添加物は少しあいまいな存在という立場で活用されています。

フード添加物の内容

現在使用されている主なフード添加物の内容を見てみましょう。はたらきとしては大きく次の3つから成っています。

 ●栄養素の補強
  ・フード材料だけでは不足する栄養成分を追加するもの
  ・キャットフードに添加されるタウリンもこの意味です
  ・アミノ酸、ビタミン、ミネラル など

 ●品質の保持(保存性)
  ・フードは工場で製造された時点から劣化が始まります
  ・流通時間が長いほど腐敗や変敗のリスクは高まります
  ・pH調整剤、保存料、酸化防止剤 など

 ●見栄え、食感の向上
  ・赤色や緑色などの着色料
  ・ウエットフードにとろみを加えるための増粘安定剤
  ・ドライフードのカリカリ感のための膨脹剤 など

フード添加物の必要性

このように添加物のはたらきを整理しますと、私たちはすべてに対してマイナスイメージをもっている訳では無いことが判ります。なんとなく気になるものは着色料や保存料ではないでしょうか。

少し保存料について考えてみます。そもそも、なぜペットフードに保存料を添加する必要があるのでしょう?その背景には「大量製造」と「流通期間」があります。

大手メーカーから供給されるフードは工場で大量製造されます。これは生産効率を上げて販売価格を抑えるためです。製造されたフードは複数の流通業者を経由して、日本中のショップからペットへ届きます。

フードを大量製造した後、工場からペットに届くまでにはどうしてもある程度の期間が必要です。この期間が長ければ長いほどフードの変敗リスクは高まるため、品質保持の意味から保存料が必要になるわけです。

家庭で作ってすぐに食べさせる手作りフードに保存料が不要なのもこれで納得です。

消費者の意識調査

私たち消費者は食品添加物に対してどのような考えをもっているのかという興味深いアンケート結果を3つ紹介します。(ご注意:フード添加物ではなく食品添加物です。)
 

①商品選択と添加物

20歳以上の男女3,000人を対象に行ったアンケートです(消費者庁 2016年)。「あなたは商品を選ぶ時、使用されている食品添加物を参考にしますか?」という問いです。

結果は、「いつも参考にしている(23.6%)」と「時々参考にしている(39.0%)」を合わせたおよそ63%の消費者が、食品を選ぶ際に含まれている添加物の存在を気にしているというものでした。

②安全・安心な食品の価格

では、不安となるものが含まれない安全で安心な食品に対して、消費者はどれくらいのコストまでを払う用意があるのでしょう?

全国の消費者933人に対して「安全・安心な食品が購入できるとした場合、あなたはどの程度の金額まで許容できますか?」という調査結果があります(ソフトブレーン・フィールド(株)2014年)。

一般の食品価格と比較して「5%くらい高くても購入する」という回答は29.2%、「10%程度でも購入する」という消費者は41.1%でした。

およそ70%の消費者は安全・安心な食品であれば、5~10%の価格アップでも購入する用意があるという回答でした。

③添加物の情報収集

消費者は食品添加物について、日頃からどれくらいの関心をもって勉強しているのでしょうか?

最後のアンケートは、東京と大阪の消費者合計400人を対象にした「あなたは食品添加物について自分で情報収集をしたことがありますか?」というものです((株)ウエノフードテクノ 2009年)。

結果は90%近くの消費者が「ほとんどない」という回答でした。なお、しっかりと情報収集されている6.5%の方々の情報源はテレビ番組とのことです。

以上3つのアンケート結果をまとめてみましょう。私たち消費者は『少々値が張ってでもできるだけ添加物が入っていない食品を手に入れたいと考えているが、その添加物に関する情報は持っていない』となります。

理想のペットフード

先ほどのアンケート結果のまとめは、ペットフードについても同様のことがいえるでしょう。では、最後に私たちペットオーナーが求める理想的かつ現実的なフード像について考えてみます。

栄養設計

手作りフードの難点の1つに「栄養学の知識の習得」というのがありました。フードに必要な栄養成分を計算することを栄養設計とかフード設計といいますが、正直なところ難しい作業です。

この点において、しっかりとした知識を持つメーカーが製造したフードを購入することは現実的な対応です。

添加物を使用しない工夫

添加物の中には本当に必要なものと、工夫により不要になるものがあります。一番気になる保存料や酸化防止剤は、製造してペットに届くまでの流通期間を短くすれば添加の必要はなくなります。

保存料の必要性は「大量製造」と「流通にかかる時間」が背景にあります。例えば次のような条件がクリアできれば理想的なフードに近づけるのではないでしょうか。

 ●栄養設計のもとに国内工場で製造する
 ●小規模製造が可能
 ●中間の流通業者が少ない

添加物の情報提供

消費者は食品添加物の情報を主としてテレビ番組から得ているということでした。しかし、テレビやネットの場合、多数の人の関心を引くために衝撃的な内容のみ強調する傾向があることは否定できません。

その情報が信頼できるものかどうかを見分けるポイントは「出典」の記載です。出典とは情報の出どころのことです。どこの誰がいつ報告した学術情報であるかを確認することはとても大切です。

日常生活において、フード添加物の学術情報をオーナー自身が入手するのは難しいことです。このような時は、身近なショップに相談するのも1つの方法です。

今回はペットフードの添加物について総論的にお話をしました。今後、上記の情報提供の意味を込めて、フード添加物について個別に解説する予定です。どうぞ楽しみにお待ち下さい。

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(以上)

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