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災害から愛犬・愛猫を守る方法  ― 自助・共助・公助 ―

自然災害には、気象災害と地象災害があります。
気象災害でいえば近年、その被害を拡大させているといえる台風や熱帯低気圧などによるゲリラ的集中豪雨がもたらす水害です。
川の氾濫により堤防が決壊し床上浸水をはるかに超え、村や町をのみ込み水没するという被害が年々増え続けています。
2018年の今夏、広島、岡山、愛媛県で発生した洪水や土砂災害などを見ても、その被害の大きさは尋常ではありません。
しかしながらこのようなニュースは今年に限ったことではなく年々その回数を増し、改めて災害の恐ろしさを感じずにはいられません。

また、地象災害では、1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震と多くの尊い命を奪い、人々の生活を一変させてしまいました。
とくに、東日本大震災では地震のあとに津波が襲い、そして追い打ちをかけるように福島第一原子力発電所の放射性物質の放出事故が発生。
肥沃な土地や田園風景、そこにあった長閑な生活を奪い去る被害を生みました。

甚大な被害が消えることのない爪痕を残したまま時だけが過ぎ、そしてまた、新たな災害が日本のあちらこちらで起こっているのです。
そう、もはや災害は日本列島のどこで起きてもおかしくない状況にあることを、私たちは心にとめておかなくてはなりません。

そして、このような災害は人だけではなく、たくさんの動物たちの命を脅かし奪い去ります。
今、飼い主さんの傍で可愛く寄り添っている愛犬や愛猫が、突然の災害で離れ離れになったり、その命を失うことになったりしたら……と、想像するだけで心は苦しくなりますね。

災害は、今やもう人ごとではありません。
大切な命を守るための知識・情報・ノウハウを知っておく必要があります。
それが、自助(じじょ)・共助(きょうじょ)・公助(こうじょ)です。
そして、自分に合った、自分にできる災害対策をスタートさせていきましょう。

愛犬・愛猫を守る!

NHKのラジオ番組『NHKマイあさラジオ』の「社会・私の視点」というコーナーがあります。
2018年8月3日放送分は『災害時のペットの避難』がテーマで、岡山県保健福祉部生活衛生課主幹の橋本英典氏が、2018年7月に起きた岡山県内での豪雨災害での飼い主とペットについてでした。
その内容を抜粋してお伝えします。

◇避難所での現状
7月末の時点で、岡山市内で同行避難施設6箇所に犬31頭、猫9匹がいます。
「同行避難」を推奨していますが、避難所ではなかなかその受け入れが難しいのが現状です。
他の避難者からの非難もあり、人と犬や猫が同じ場所で寝起きできないという事態も起こりました。
「同行避難」はペットと飼い主が一緒に安全な避難所へ避難するという考えですが、一緒に同居し寝泊まりできることをそう呼ぶこともあるそうです。
岡山市ではペットとその飼い主さんには他の避難者の人たちとは別の部屋を提供しましたが、どこの市町村でも別室を与えられるかといえば、そうではないところの方が多いです。

◇災害時に飼い主さんに求められるもの
岡山県では『岡山県災害時動物対応マニュアル』というのを作成しています。
【飼い主への周知】
(1) 確認しておく事項 ・居住市町村における災害時の動物救護対策・災害時における動物の保管・治療等の対応・親類、知人等預けられる場所の確保
(2) 動物の所有者明示の措置・鑑札・注射済票、首輪・迷子札(飼い主氏名、住所、電話番号等)及びマイクロチップ等
(3) 動物避難用防災品の備蓄・ペットフード(最低3日間分)、水及び食器などの給餌関係用品・ペットシーツ・タオル及びビニール袋等の衛生関係用品・リード・ケージ又はキャリーバック等の飼育関係用品
(4) しつけ等・他の動物や見知らぬ人が多く集まる避難所でも落ち着いた行動ができるように「しつけ」やケージ飼いの訓練を行う

◇避難所での行政などのサポート体制
構成員として、獣医師会、動物愛護団体、岡山市や倉敷の行政。
今回は倉敷市での災害が大きかったこともあり、倉敷市の保健所が現地対策本部チームを結成。
【サポート内容】
・獣医師による巡回診療、動物病院での一時あずかり。
・ペットフード、シーツなどの支援物質、衛生管理指導など。
・避難が長引く場合において募金の協力を呼び掛け。

◇自助・共助・公助
災害が起きてからではなく、日ごろからの準備が大切です。
そのためには、まず自らが身を守る「自助」
地域の人と人との助け合いが「共助」
そして公的機関による市民の安全確保が「公助」です。
災害が発生してから公的な支援が被災地域に行き届くまでには時間を要します。
そのためにも、「自助」「共助」の役割は大きいです。
とくに、愛犬・愛猫などのペットは所有者である飼い主さんが自分の身を守ると同時にその安全を確保してください。
ペットを守れるのは飼い主さんです。
飼い主さんの身の安全が確保されなければ、身近な人やペットを守ることはできません。

そして、ご近所同士の助け合いや、愛犬や愛猫をとおして親しくなった仲間との協力も心強いです。
また、環境省からも災害対策ガイドラインが作成されています。

というラジオの内容に加え、行政がこれからもペットと飼い主さんに対して災害対策をさらに充実させていくという行政側の向上について語っていました。

こうしたラジオをとおしてリスナーに呼びかけることは、飼い主さんだけではなくそれを聞いている人たちに「同行避難」のことを知ってもらえる機会がもて、災害時の避難について一人でも多くの人の理解が得られるきっかけになります。
孤立せずに理解し合える関係性をコミュニティーとして作り上げていくことも、自助・共助へと繋がっていきます。

話の内容は岡山県の対応でしたが、各都道府県・市町村でも災害時におけるペットと飼い主さん向けのマニュアルを作成しているところが多いので、事前に調べておくとよいですね。

環境省、ペット対策推進協会、日本動物愛護協会の災害ガイドライン

災害時の対策について、環境省の

「ペット動物の災害対策」

また、一般財団法人ペット災害対策推進協会の

「ペットとの同行避難ガイド」

、さらに(公財)日本動物愛護協会の

「災害に備えよう」

のHP上に災害時の対応マニュアルが策定されています。

どのサイトでも災害が起きた場合、飼い主さんはペットと「同行避難」することを基本として記載しています。

愛犬・愛猫・ペットとの同行避難が必要なわけ

災害が発生しているということは、非常事態が起こっているということです。
命からがら逃げるのも大変なときに、愛犬や愛猫をともなって避難することは容易なことではありません。
かといって自宅に残しておくことや避難の途中で離れ離れになってしまうと心配や不安や危険を伴います。
愛犬・愛猫が飼い主さんと離れ離れになって迷子動物、放浪動物となる事例もたくさんあり、そのため下記のような状況を生んでしまいます。
 ・愛犬や愛猫と再会するのには時間と労力を要する。
 ・離れている間に、怪我、病気、衰弱、また最悪の場合は死に至る。
 ・不妊去勢処置が行われていない場合は、繁殖により増殖する。
 ・人や他の動物に危害を加えたり、生活環境の保全が守られなかったりする。

避難時には予想もしていなかったようなことが起こりますし、避難できたとしても他の避難者への配慮も必要となります。
これらは飼い主さんが抱える大きな課題といえるでしょう。

避難所での注意事項

避難所はさまざまな人が一時的に共同の生活をする場所です。
愛犬や愛猫の安全と健康を守ることはとても大事ですが、他の避難者の迷惑にならないよう心掛けることも求められます。
「非常事態のときなのだから、いいじゃない!」という考え方ではなく、「非常事態のときだからこそ、お互いに配慮し合おう」という気持ちを忘れないようにしましょう。
とくに災害直後は、不安や疲れを抱え心身ともに弱っている状態だからこそ、お互いに配慮が必要です。

避難所では
・動物が苦手な人、アレルギーを持っている人がいる。
・犬や猫の鳴き声、臭いがストレスやトラブルの原因となる。
・就寝中に犬が動き回るので余計に眠れないなどの苦情がおこる。
などの問題が避難者から挙げられています。

また、環境が大きく異なる避難生活は、犬や猫たちにとっても大きなストレスを招きます。
感染症の蔓延を防ぎ健康を守るためにも常日頃からの健康管理に留意することが大切です。
避難所で愛犬や愛猫が病気になり、それを心配して飼い主さんが心を痛めるという負の連鎖とならないように、日ごろからしつけや健康管理、そして避難用品の準備をしておくことで、ストレスをため込まずに避難生活を乗り切りましょう。

正しい災害情報を的確にキャッチ!

まず、大切なのは正しい情報をいち早く知るということです。
スマホは便利です。
機能を上手に活かし、SNS(Social Networking Service)などで情報の発信・共有・拡散をすることができます。
しかし、情報化社会の便利さは、ときにフェイクニュースを生み、その情報に右往左往することもあります。

災害が起こり大変な時に、「近くの動物園からシマウマが逃げた」……という嘘の情報を流し、恐怖心をあおったということが実際にありました。
非常に危険な場面が想定される災害時に、このようにデマなニュースを誰かが流し、それを見た人が信じ込み次々に発信して拡散させてしまうのです。
災害時の非常事態では、誰もが不安です。
だからこそ、このようなフェイクニュースに惑わされることのないように、キャッチした情報の正当性を判断し、それに副った行動を取ることが求められます。

そこで、地域の警察や消防などの巡回による呼びかけ情報や、市町村などの災害放送、そして、行政から送られてくるテレビやラジオ、インターネットなどの情報に目を向け、耳を傾けることは大きな手立てとなります。

「うちは大丈夫!」「まだ大丈夫!」と人ごとのように安心していませんか。
災害は今や他人事ではありません!

国民保護情報-Jアラート

人ごみで一斉にスマホなどからJアラートが鳴り出すと、その音の数と大きさに驚いてたじろいでしまった経験はないでしょうか。
Jアラートとは、通信衛星と市町村の同報系防災行政無線や有線放送電話を利用し、緊急情報を住民へ瞬時に伝達するシステムである。 ―― ウキペディアより抜粋

Jアラートを使用すると市町村の行政防災無線などが自動的に起動し屋外スピーカーから警報が流れるほか、携帯電話にエリアメール、緊急速報メールが配信される仕組みになっています。
気象庁からの配信「緊急地震速報」「津波警報」「気象等に関する特別警報」、また、各省庁・地方公共団体からの配信「災害・避難情報」を回線混雑時でも受けることができるサービスが携帯会社で行われています。

とはいうものの、突然Jアラートが鳴り出し「何?なに?」と慌てて画面を見ると、「わぁ~、地震だ!」と思ってみても、避難できるだけの時間の余裕はありません。
あのアラート音が鳴り出すたびに心臓がドキッとしますね。
しかし、そのJアラートの緊急性にも「またかぁ~」と慣れてしまっては困ります。
地震などにより電車が緊急停車する場合があったり、トンネル内で車内に閉じ込められるような事態が起こったりするかもしれません。
身の安全を図るためにも、確かな情報源は常にしっかりと確認するようにしておきましょう。

あなたが無事に元気でいること、それが愛犬・愛猫を守る第一歩です!

大雨警報(土砂災害)


 ・「土砂災害警戒判定メッシュ情報」

対象市町村内で土砂災害発生の危険度が高まっている詳細な領域を確認できる気象庁のサイト。
土砂災害発生の危険度が高まったときに、市長素村長の避難勧告や住民の自主避難の判断を支援するよう、     
対象となる市町村を特定して警戒を呼び掛ける情報で、都道府県と気象庁が共同で発表します。
  

洪水・水害


 ・「ハザードマップ(洪水浸水想定区域図)」

市町村から配布されている「洪水ハザードマップ」や、居住地域の国土交通省化膳事務所などや都道府県のHPなどのサイト。
国土交通省では洪水・土砂災害・津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどを地図や写真に自由に重ねて表示できる「ハザードマップポータルサイト」を立ち上げていて、スマホで簡単に状況を確認し、自分が住んでいる市町村の情報をキャッチすることで避難のタイミングをいち早く知ることができます。

地震・津波


 ・「気象庁地震情報」

「震源・震度に関する情報」及び「各地の震度に関する情報」について、どちらかの発表基準に達した場合に両方の情報を気象庁のHPに掲載。
地震に次いで沿岸地域での津波の有無の発表を行っています。

災害に備えて、これだけは準備しておこう!

災害に遭い避難する際に、何を持ち出しますか?
預金通帳、有価証券、宝石貴金属、それともスマホ……?
避難用リュックの中身は、最低でも5日ないし7日分の水や食べ物(保存が利くもの)は入れたいですね。
それは預金通帳や有価証券よりも今目の前にある命の危機を救ってくれるはず。
ダイヤやルビーの指輪より、1Lの水の方がキラキラと輝いてみえることでしょう。
 
飼い主さんであるあなたと、あなたの大切な愛犬や愛猫を救えるのは、入念な災害準備が頼りです。
自助・共助・公助の三位一体。
過去の被災者からの経験をとおして得た知恵と、たくさんの知識と情報とノウハウ
を分かち合いながら、災害に立ち向かい生き抜く力を蓄えておきましょう。

対策アイテム

酵素パワー元気

避難中の体調管理におすすめ、52種類の野菜果物を酵素の力で発酵させたパウダー


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クレート

丈夫で頑丈、地震のときも避難中も安心安全


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無添加おやつ

避難時の行動食にもなる無添加おやつ


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今回は『愛犬・愛猫を災害から守る方法』として、災害という大きなテーマに取り組み、正しい情報源をキャッチすることの大切さを中心にお伝えしました。

帝塚山ハウンドカムの情報サイトでは2018年2月に

『地震に備えましょう! 緊急時でもいつも愛犬と一緒にいられるように。』

という記事を掲載しています。
ここでは、緊急時にどう対処すればよいのか、何をどう準備すればよいのかという具体的な対応策や必需品についてお伝えしています。
今回の記事と併せて読んでいただければ、さらに災害対策のお役に立てることと思います。

南海トラフ地震がこの30年以内に起こるといわれている昨今、いつどのような災害が私たちの生活をおびやかすかもしれません。
そんな不安が少しでも軽減できるように、これからも帝塚山ハウンドカムは、愛犬・愛猫と飼い主さんが、いつまでも幸せに暮らせる日々に役立つ情報を発信してまいります。

愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修

株式会社帝塚山ハウンドカム
代表取締役 川瀬 隆庸

  • 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
  • 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
  • ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
  • 小動物栄養管理士認定
  • D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
  • 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
  • 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了

愛犬の健康トラブル・ドッグフード・サプリメントなどアドバイスをいたします。

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