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【獣医師が解説】ペットとの生活編: テーマ「フードの真空保存」

 獣医師が解説  

みなさんは開封したペットフードの保管はどのようにされていますか?袋の口をクルクルと巻いて、イタズラしない所に置いているという方がほとんどでしょう。今回は開封済みフードの保管方法について考えてみましょう。

フードの保管ポイント

今は季節として気温も湿度も低いため、開封済みのドライフードでも傷みにくいと思ってはいませんか?ではこの「フードの傷み」とは具体的に何を指しているのでしょう。

フードの傷み

おもなフードの傷みとしては、次の3つがあげられます。

①カビの発生
  ・カビは水分が少ない環境下でも発生する
  ・ある種のカビは発がん性をもつ「カビ毒」を産生する

②油脂の酸化
  ・酸敗により過酸化脂質が産生される
  ・過酸化脂質は下痢、腹痛、アレルギーなどを引き起こす
  ・過酸化脂質には発がん性を示すものもある

③風味の低下
  ・フードの変色や味、香りが低減する

厄介な酸素

このようにフードの傷みには、ペットの健康に対するさまざまな問題点があります。では、これらに共通する背景は何でしょうか?それは「酸素の存在」です。

酸素は動物にとって不可欠なものですが、フードの保存に関しては大変な厄介者です。私たちの身のまわりでは、この厄介な酸素からフードを守るために、添加物として酸化防止剤が使用されています。

酸化防止剤はフードにあらかじめ添加しておいて、侵入してくる酸素を迎え撃つというものです。そしてもう1つ別の作戦として「脱酸素保存」というものがあります。

脱酸素保存

脱酸素保存とは「酸素のない環境下で食品を保存する」というアイデアです。具体的には脱酸素剤というものを使用したり、または真空保存(真空パック)などがあります。

身近な脱酸素保存

身近なところでこの脱酸素保存が応用されているものには、次のような食品や食材があります。

●カビ防止
  …食パン、もち、和・洋菓子、かまぼこ 
●油脂の酸化防止
  …ポテトチップ、ピーナッツ、煮干・魚粉
●虫害の防止
  …米、豆、小麦粉
●変色防止
  …ハム、みそ、しょうゆ、ビーフジャーキー
●風味の保持
  …コーヒー、茶、香辛料
●栄養素の保持
  …ビタミン類

酸素濃度とカビの発育

先ほど、脱酸素保存の目的の1つに防カビ作用をあげました。本当に酸素がない環境ではカビの発生は抑えられるのでしょうか。三菱瓦斯化学(株)の若松修司の報告データを見てみましょう(1986年)。

試験概要は以下のとおりです。
○供試食品: パン
○保存環境: 温度25℃
○酸素濃度: 0、0.2、0.4、0.6、20%

14日間の観察の結果、20%の酸素濃度下では4日目からカビが発生し、6日目にはパン全面に生えました。これに対して酸素濃度0.2%以下では、14日目でもカビの発育は認められませんでした。

酸素濃度が20%というのは大気と同じ濃度ということです。食品をカビの発生から守るためには、できるだけ酸素のない環境で保存することが有効です。

脱酸素保存の効果

さらに、若松らは食品を酸素のない状態で保存する効果をいくつか報告しています。ここではその中から次の3点を紹介します。

①防カビ効果

○供試食品: パン
○保存環境: 温度25℃、湿度50%
○試験群(脱酸素剤を使用)、対照群(無処置)

この条件で14日間観察した結果、無処置の対照群では4日目からカビの発生が始まり、6日目ではパン全面に生えました。これに対して、脱酸素保存した試験群では、14日目でもカビは認められませんでした。

②酸化防止効果

○供試食品: 揚げおかき
○保存環境: 室温暗所、蛍光灯照射、40℃暗所、日光照射
○試験群(脱酸素剤を使用)、対照群(無処置)

油脂の酸化は酸素の有無だけでなく、光や温度でも促進されます。対照群では高温(40℃)や日光(紫外線)の影響により、酸化は大きく進みました。これに対して脱酸素保存した試験群では、室温暗所条件とほぼ同じ酸化程度に抑えられていました。

③風味保持効果

○供試食品: パン
○保存環境: 温度25℃、湿度50%
○試験群(脱酸素剤を使用)、対照群(無処置)

食品の風味とは色、におい、乾燥、カビの発生などの総合的な評価からなります。従って、この場合も前述の防カビ効果と同様に、無処置対照群では4日目ぐらいから一気に風味の劣化が進んでいます。

脱酸素保存した試験群のパンでは、6日目ぐらいから風味はやや落ちるものの、14日間は食べられる状態を維持していました。

以上のように、食品を美味しく保存するには、できるだけ酸素に触れない状態に保つことが大切です。

フードの傷みと発がん性

食品やフードが痛むと、味やにおいが変化するため食欲は低下します。しかしこのような美味しさの劣化だけではなく、発がん性による健康リスクも報告されています。

カビ毒の発がん性

「カビ毒」とは聞き慣れないことばですが、カビが発育するに伴って産生する代謝産物のことをいいます。別名「マイコトキシン」とも呼ばれます。カビ毒は無色・無味・無臭という特徴があり、カビの種類だけ存在します。

このカビ毒の代表に「アフラトキシン」というものがあり、極めて強い発がん性(肝臓がん)をもっています。また熱にも非常に安定であるため、通常の加熱調理では分解されません。

また、カビ毒はカビが発育する過程で産出されます。従って、目で見てカビが生えていないと思っていても、すでにカビ毒はじわじわと食品中にしみ込み始めている可能性もあります。

過酸化脂質の発がん性

食品やフードの傷みとして油脂の酸化がありました。この油脂が酸化される過程でヒドロペルオキシドという物質が生まれます。

このヒドロペルオキシドなどの過酸化脂質には、老化、動脈硬化、肝疾患に加えて発がん性もあることが報告されています(寺尾純二 京都大学食糧科学研究所 1988年)。

酸素の除去方法

このようにフードは購入後、開封すると酸素に触れて傷みがスタートします。わたしたちの身近にあるもので、何か酸素を取り除く良いものは無いでしょうか。

酸化防止剤

酸化防止剤としてはビタミンCやビタミンEがよく知られています。しかしこれらは食品添加物ですので、フードの製造時に練り込まれている物です。

従って、開封したフードの上からパラパラとふりかけて保管しても意味はありません(残念です)。

脱酸素剤

今回紹介した試験において、酸素のない状態を作るのに使用されていたのが脱酸素剤です。この脱酸素剤の正体は鉄粉です。

鉄は空気中の酸素と反応(=吸着)するとサビてきます。この性質を応用して食品やフードの袋の中で酸素を吸着させて、その害から守っているのが脱酸素剤です。

お菓子の袋の中に「食べられません」と書かれた小袋を見つけます。よく見るとこれには「エージレス」と「シリカゲル」の2種類があります。エージレスと書かれている方がこの脱酸素剤です。(シリカゲルは乾燥剤の小袋です。)

脱酸素剤はホームセンターやネット通販でも購入できますが、次の3つほどの注意点があり、私たちが使用するにはちょっとめんどうです。

①徐々に劣化する
②フードの保存袋は酸素を通さない材質でなければならない
②開封後はシールをして再密閉しなければならない

真空保存容器

どうやら、酸化防止剤も脱酸素剤も業務用といったイメージです。私たちが手軽にフードを酸素のない状態で保存できるアイテムとしては、真空保存容器があります。

容器はガラスやプラスチック製で、電動や手動で容器の中を真空状態にしてくれます。シールは不要で何回でも使用できるため、ランニングコストも抑えられ、しっかりとフードを酸素から守ってくれます。

ただし過信は禁物です。フードを入れた真空保存容器でも、日光が直接当たるような場所で保管するのは避けましょう。

近頃のペットフードは、酸素を通しにくい包装材料でパッケージされています。しかし、日本は基本的に高温多湿な国です。夏場はもちろんのこと、一年を通して開封後のフードが傷みやすいことに変わりはありません。

このためにも酸素の害からしっかり守る工夫をして、大切なペットたちに安全で美味しいフードを食べさせてあげたいものです。

おすすめアイテム

回転式真空保存容器 セビア(1.5リットル=ドライフード約500g、2.4リットル=ドライフード約1kg)

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真空保存容器 真空ハジーパックSサイズ約500g)

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回転式真空保存容器 ターンNシール(1.2リットル=ドライフード約500g)

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(以上)

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