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【獣医師が解説】ペットの病気編: テーマ「腸内フローラダイエット」

 獣医師が解説  

「本町獣医科サポート」の獣医師 北島 崇です。
前回は、腸内細菌を整えることが腎臓ケアにつながるという話をしました。今回は、もう1つの大きな問題である肥満と腸内フローラ(腸内細菌叢)との関係について考えます。

ペットの肥満

歯周病、腎臓疾患、高齢化などヒトとペットはほぼ同じ健康問題を抱えて生活しています。その中でもイヌやネコの肥満はヒトとの共通性が高いと言われています。

肥満犬の割合

日本獣医生命科学大学の石岡克己が国内外の肥満犬割合の調査結果を報告しています(2012年)。これによると、おそらく20~30年前から肥満犬の割合は25%前後を占めているようです。およそ4頭に1頭のイヌが肥満犬となります。

ちなみに、厚生労働省の発表ではヒトの肥満者(BMI≧25)の割合は、成人男性が30.7%、成人女性では21.9%です(平成29年 国民健康・栄養調査)。およそ3~4人に1人の割合で肥満者ということになります。

このように、ヒトもペットも同じくらいの割合で肥満体型であるということには、生活スタイル(食事、運動など)が似ているという背景があるのかもしれません。

肥満による健康リスク

では、私たちの愛犬や愛猫が肥満になると、どのような疾病や支障が起きやすくなるのでしょうか?

体重の増加による骨への負荷という点では、イヌにおいて椎間板ヘルニアや股関節・膝関節の疾患が大きな問題です。またネコでは、脂肪肝や糖尿病が多発する傾向が認められます。

これらの他にも皮膚疾患である膿皮症、すい炎、腫瘍の発生リスクが高まります。さらには、ラブラドール・レトリバーにおいて寿命が短くなる(短命化)なども報告されています(石岡克己 2012年)。

肥満=糖尿病というイメージが強いのですが、このように肥満にはさまざまな健康リスクが付きまとってくるようです。

体重と腸内フローラ

肥満の直接の原因は摂取エネルギー過多です。すなわち、フードを食べて得たエネルギーが運動で消費するエネルギーより多いということです。これに加えて、腸内フローラが肥満に大きく関与しています。

肥満フローラ

米国の研究者が生まれながら腸内細菌をもたない無菌マウスを使って、次のような腸内細菌の移植実験を行いました(Turnbaugh ら 2006年)。

○通常マウスの腸内細菌
  無菌マウスに移植 →通常サイズのマウスに発育
○肥満マウスの腸内細菌
  無菌マウスに移植 →肥満サイズのマウスに発育

同じように飼育された2種類の無菌マウスですが、移植された元の腸内細菌によって肥満度が決まるという結果でした。

これより動物はそれぞれ特徴的な腸内フローラをもっていて、その中に肥満を引き起こす「肥満フローラ」や、体重を維持する「ダイエットフローラ」があるという考えが広まりました。

ダイエットフローラ

では肥満フローラとダイエットフローラとでは、一体何が違うのでしょうか?フローラとは細菌叢=腸内細菌の集まりという意味です。すなわち、腸内細菌の構成メンバーが違うということです。

腸内細菌の種類はヒトで500~1,000種類、イヌもほぼ同じくらいの種類があると言われています。これら腸内細菌はお腹の中の大腸に生息しています。ちなみに大腸とは盲腸、結腸、直腸の3つをまとめた総称です。

大腸の腸内細菌の中には、食物繊維やオリゴ糖をエサとして生きていて、脂肪酸というものを産生する種類のものがあります。脂肪酸とは油脂を作っている成分で炭素(C)が数個~数十個ほど鎖のようにつながった構造をしているものです。

この中に「短鎖脂肪酸」というものがあります。その代表である酪酸、酢酸、プロピオン酸には肥満を抑制する作用があり、特にこれら3つの短鎖脂肪酸を産生する腸内細菌をダイエットフローラと呼んでいます。

短鎖脂肪酸のダイエット作用

短鎖脂肪酸とは、数多い脂肪酸の中でも比較的短い構造をしたものをいいます。つながっている炭素の数でいうと6個以下で、短鎖脂肪酸=短い鎖状をした脂肪酸という意味になります。

近年、短鎖脂肪酸のダイエット作用については、多くの研究者が報告していますので以下簡単に紹介します。

食欲の抑制

 ・食欲抑制ホルモンを分泌させて食事量を減らす
 ・中野雄二郎ら(東京医科歯科大学 2016年)他

消費エネルギーの増加

 ・交感神経を介してエネルギー消費を促進させる
 ・木村郁夫(東京農工大学 2014年)他

脂肪蓄積量の減少

 ・体内の脂肪合成を抑制して蓄積量を減少させる
 ・山下広美(岡山県立大学 2014年)他

インスリンの分泌促進

 ・インスリン分泌促進ホルモンを分泌させて血糖値を下げる
 ・田中 逸(聖マリアンナ医科大学)他

上記の食欲抑制とインスリンの分泌促進は、以前紹介した腸管から分泌されるホルモン「インクレチン」のしごとでした。短鎖脂肪酸はインクレチンの分泌をコントロールしていたわけです。

以上のように、ダイエットフローラが産生する短鎖脂肪酸は、インスリン抵抗性など複数の肥満の背景を腸の中からブロックしてくれています。

ダイエット応援菌

では、ダイエットを応援してくれる腸内細菌にはどのようなものがあるか見てみましょう。

ダイエット脂肪酸産生菌

肥満対策に有用な短鎖脂肪酸を産生する主な腸内細菌として、次のようなものがあります(渡部恂子 カルピス(株) 2006年)。

●善玉菌 …ビフィズス菌(乳酸菌の仲間)
●中間菌 …バクテロイデス、ユウバクテリウム
●悪玉菌 …クロストリジウム

ここでみなさんは「?」と思われてはいませんか。ダイエット応援菌=善玉菌というわけではないのです。悪玉菌の中にも、今回紹介した大切な短鎖脂肪酸を産生している菌がいるのでした。

アレルギーを抑えるものが善玉菌、発がん性物質をつくるものが悪玉菌などとよく言われます。これらは動物にとって健康状態にプラスかマイナスかという点からみた腸内細菌のグループ名称です。

善玉・悪玉に関係なく、短鎖脂肪酸を産生するダイエット応援菌は、腸内細菌の中に幅広く存在しているのです。

加齢とダイエットフローラ

腸内フローラはフード成分、ストレス、加齢などさまざまな影響によってバランスが変化します。体の健康状態だけでなく、肥満対策としても腸内フローラは良い状態をキープしたいものです。

明治大学の浅沼成人らはイヌの年齢と酪酸産生量の関係を調査しました(2003年)。イヌの大腸において酪酸を産生しているメインの菌はユウバクテリウムとクロストリジウムです。

この内、ユウバクテリウム(中間菌)による酪酸の産生量は年齢にともなってどんどん減少してゆきます。クロストリジウム(悪玉菌)によって作られる酪酸量は、加齢の影響を受けず逆に増加してゆきます。

老犬においては悪玉菌を増やさず、有用な短鎖脂肪酸を産生してくれる中間菌を応援することが大切であると報告者の浅沼は述べています。高齢期に入るころから、腸内フローラのバランスを崩さないようにケアする必要があります。

お腹の中には体に良い菌や悪い菌など、さまざまな腸内細菌が存在しています。愛犬・愛猫の健康のためには、いっそ悪玉菌を無くした方が良いのでは、と思いがちですがこれは間違いです。

ふだんは悪者役のクロストリジウムですが、肥満防止という点ではなかなか良いしごとをしていることが判りました。しかし、お腹の中で悪玉菌が大活躍されても困ってしまいます。

一番大切なことは、腸内フローラのバランスを崩さないということです。腸内細菌を上手に働かせて、肥満を始めさまざまな健康リスクへの対処を心掛けましょう。

このためにも善玉菌の補給(プロバイオティクス)や食物繊維・オリゴ糖の摂取(プレバイオティクス)などにより、健康的な腸内フローラを維持することが大切です。

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