犬種

ジャック・ラッセル・テリアのこと、もっと知りたい! ― 人気の犬種シリーズ ―

1998年、アメリカ映画の『マスク』に登場した「マイロ」、2005年の『マスク2』の「マーティス」は、ジャック・ラッセル・テリアに付けられた名前です。
脇役の犬は主役以上にその存在をスクリーン上で知らしめ、この犬種の人気は一気に上がったと言われています。
また、2000年公開のアメリカ映画『マイ・ドッグ・スキップ』は、原作者ウィリー・モリスの実話を映画化。
いじめに遭って友達との交流が持てずにいる少年が9歳の誕生日にジャック・ラッセル・テリアを母親からプレゼントされ、愛犬「スキップ」との絆を深めていく過程で、人との関わりができるようになった姿を描いた作品です。
映画、テレビ、CMなどをとおして活躍の場を広めたことをきっかけに、その知名度を上げた犬種といえるでしょう。

では、この犬種がこのように数多く起用されたり、人の心をつかんだりする魅力はいったいどこにあるのでしょう。
今回はジャック・ラッセル・テリアについていっしょに見て行くことにしましょう。

ジャック・ラッセル・テリアってどんな犬

※FCI:国際畜犬連盟は1911年、ドイツ、オーストリア、ベルギー、フランス、オランダの5か国で設立された畜犬団体(ケネルクラブを含む)の国際的な統括団体

ジャック・ラッセル・テリア誕生ストーリー

ジャック・ラッセル・テリアという犬種名に意味があるのかを調べたところ、これは人名だとわかりました。
そう、この犬種を作出した人こそ19世紀中ごろに実在した「ジョン(ジャックは呼び名)・ラッセル」というイギリス出身の牧師です。
彼は牧師の傍ら熱心なキツネの狩猟家でした。
15世紀のイギリスでは、シカや野ウサギと同様にキツネ狩りが盛んに行われていました。
さらに、19世紀には狩猟犬と騎手がキツネを追うという競技が英国上流階級の娯楽として広まるようになりました。
しかし、牧師が求める狩猟犬はあくまでもキツネ狩りに役立つ最強のパートナーですから、彼なりの持論をもって作出に精を出したことが伺えます。
ジャック・ラッセル・テリアのベースになったのは、穴堀が大好きでキツネ狩りの得意なイギリス原産の「フォックス・テリア」。
牧師はビーグル、ボーダーなどと交配させ、よりキツネ狩りに適した犬種を作出することにしたのです。

キツネは捕食した餌を一度に食べきるのではなくて分ける習性を持っており、残った餌は穴を掘って保管します。
巣自体は地中にいくつかの巣室のある巣穴を掘っているため、狩猟犬は潜り込めることはもちろんですが、キツネの巣穴に潜った時にひるまず勇敢に立ち向かっていく気性であることが求められました。
そこでブルドッグが持っている闘争本能と狩りを得意とするテリアを掛け合わせた「ブル・テリア」との交配を行い、キツネ狩りに最も適した「ジャック・ラッセル・テリア」が作り出されたのです。

牧師の意志はあくまでも狩猟のための犬種を作出するというものでしたが、その後、ジャック・ラッセル・テリアは、オーストラリアに渡りウェルシュ・コーギーなどと交配し、より小さい体や足が短くて体高よりも胴の長い外見、そして穏やかな性格をもつ犬種としてさらに改良されました。
そのため、牧師の意志を継いだ犬種を「パーソン・ラッセル・テリア」と呼び、オーストラリアで改良されたものを「ジャック・ラッセル・テリア」として区別しています。

この2つの犬種の違いは、足の長短、体高と体長の比率、そして、狩猟犬としての要素の強弱が挙げられます。

外見上の特徴

ジャック・ラッセル・テリアは、いろいろな犬と掛け合わせているので、体格・体重にもバラつきがあります。

体格

・体長が体高よりやや長い
・足が短く骨太
・ガッチリとした筋肉質

・アーモンド形をした目
・黒色の鼻
・引き締まった口
・垂れ耳を基本とするが、両耳立ちや片耳立ちの個体もいる

被毛 ― 色

・白色を基調とし、黒もしくは茶色のタン模様がある
・色の組み合わせは、白色と黒色、白色と茶色
・目と目の間の白い部分「フレーズ」を持つが、成長とともにその幅が狭くなることが多い
・全身白色の個体もいる
・子犬のときと成犬のときでは色が変化する場合がある
・顔や体の色の入り方は個体によってさまざま
 

被毛 ― 長さ

オーバーコートの下にはぎっしりとアンダーコートが生えています。
抜け毛が多い犬種としても知られています。

スムースコート:
最長でも1cm程度の短毛
スベスベとした手触り
抜け毛がとても多い
短い毛が服などに刺さるように入り込んでしまう
トリミングの必要がない

ラフコート:
長毛で粗い毛質
カール(ウェーブ)やモサモサした感じに伸びる
スムースよりもややサラッとした手触り
長毛を活かすためにマメにブラッシングが必要
硬い毛を保つために、被毛の根元から抜くトリッピングを行う個体もいる

ブロークンコート:
スムースとラフの両方が生えている(剛毛や柔毛が混ざっている)
マメなブラッシングが必要
長毛についてはトリッピングを行う個体もいる

表情

アーモンド形の大きな目と垂れた耳が何とも愛らしいという飼い主さんが多いようですが、飼い主さんを見上げるときの甘え気味の顔つきや、ちょっととぼけたように首を傾げて見つめる表情も魅力的。
運動が大好きというだけあって、飛んだり跳ねたり走ったりしているときの満足そうな顔は最高に楽しそうで魅力に溢れています。
顔にあるタンやフレーズの模様がマスクを被っているように見えることもあり、愛嬌があります。
ジャック・ラッセル・テリアの表情は他の犬種と同様に無限大といえるでしょう。

性格

ジャック・ラッセル・テリアは、狩猟に適した素因をたくさん受け継いでいる性格だということを知っておきましょう。
環境省のHPの中に、「譲渡支援のためのガイドライン」という項目がありますが、その中にテリア犬などの特徴が書かれている箇所があります。【動く物を追いかける能力が高く、犬によっては吠えながら仕事をする犬もいる。 そのため、自転車や走る人などに、その動作が強く出てしまうことも多いのできちんとチェックする。
とあるように、動くものに目ざとく反応することもひとつの大きな特徴です。

・運動能力が高く活動的
・好奇心旺盛で恐いもの知らず
・勇敢
・知能が高く賢い
・エネルギッシュでパワフル
・短気
・吠えやすい
・本能のまま行動しやすい

ジャック・ラッセル・テリアはとても知的能力の高さにも定評がありますし、忠誠心が強い分、いったん「この人が主人だ!」と認めると愛情深く従順です。
また、この犬種は、獲物を探したり捕獲したりする際に吠えて伝えるという本能的な習性を持ち、欲求や要求、威嚇や不審な音や人に対して吠えます。
しつけがしっかりとできていない場合は、どのようなシチュエーションでもとにかく吠えて訴え、「無駄吠えの多い犬」として扱われてしまいがちです。

かかりやすい病気と対策

ジャック・ラッセル・テリアは比較的病気にかかりにくいといわれている犬種です。

大腿骨骨頭壊死(レッグペルテス)

  骨盤と接している太腿の先端への血行の阻害により骨頭が壊死する
  成長期の頃の発症が多い
  原因が不明なために、予防はかなり難しいとされる

  ●症状
   足を痛がる
   床や地面に患部の足を付けないように歩く
   段差を嫌がる
   ソファーなどの上り下りをしなくなる
   動きたがらない

  ●予防・対処方法
   鎮痛剤などによる痛みの緩和
   症状が強くなれば外科手術による大腿骨頭の切除など

膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)

  後ろ足の膝関節にある膝蓋骨(膝のお皿)が通常の位置からずれて痛みを伴う

  ●症状
   スキップするように歩く
   足を浮かせるように歩く
   足を引きずる
   重症化するとうずくまった姿勢で歩く

  ●予防・対処方法
   骨を変形させないよう床に滑り止めカーペットを敷いたり、階段や段差を避ける工夫をしたりする
   足の筋肉がつくような運動や食事を心がける
   体重の増加は足に負担をかけるので、体重管理が必要
   鎮痛剤の使用など

 

飼育のワンポイント

散歩や運動

エネルギッシュでパワフルなジャック・ラッセル・テリアは、1日1時間以上の散歩や運動が必要です。
運動量が少ないとストレスをため込むこともあるので、そのような場合はドッグランなどで思いきり走らせたり、アウトドアなどの野外活動で発散させるといいですね。
筋肉を作るためには良質のタンパク質は欠かせませんが、それとともに適度な運動も必要です。
痛みを伴うような疾患が無い場合は、愛犬の様子を見ながら十分に運動をさせましょう。
また、知的能力が高いので嗅覚を活かし、隠したおやつを探し当てるゲーム性と運動性のあるもので楽しませてあげましょう。
ジャック・ラッセル・テリアは「引く力」がとても強く大型犬と同じくらいのパワーを持つ個体もいますので、子どもや高齢者との散歩は避けるほうがよいでしょう。
  

食事

活発に動くジャック・ラッセル・テリアは、筋肉と骨に良い食事を与えてあげましょう。
そのためには、骨にはカルシウム、筋肉にはタンパク質というのは大切な栄養素ですね。
良質なタンパク質は生肉にたっぷりと含まれています。
ここ最近、馬肉、鹿肉などが注目されているのですが、それは高タンパク、低脂肪、低カロリー、低コレステロールという利点がたくさんあるからです。
鹿肉には良質のタンパク質に加えて、青魚に多く含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)や鉄分や多価不飽和脂肪酸も多く含まれています。
また、馬肉は牛肉や豚肉に比べて、グリコーゲン、ビタミンA,ビタミンE、鉄分、カルシウムが非常に豊富ですから、関節などの健康維持には欠かせません。
毎日の食事を見直してみることで健康維持に役立てたいですね。

手入れ

ジャック・ラッセル・テリアの被毛は3種類あると前述しましたが、スムースの場合は、トリミングの必要はないのですが、換毛期には非常に大量の毛が抜け落ちますから、この時期のブラッシングは必須です。
抜け落ちる前にブラッシングしておくとお掃除がとても楽です。
ラフやブロークンの場合も同じで、換毛期の抜け毛は大量ですからブラッシングを日課にしておきましょう。
 

住まいの環境

【噛み対策】
顎の力が強くて「噛みつく」習性のあるジャック・ラッセル・テリアは、家の中の家具や電気コードなどを噛んで傷つけたり、噛みちぎってしまったりすることがあります。
特に電気コードを噛むことで感電したり、さらには配線のショートによって発火して火事になったりする危険性があります。
・足元にあるコードなどは結束バンドなどで束ねたり短くしたり、愛犬の届かない高さに止めたりする
・カーペットなどの下に伸びたコードを隠す
・コードは、カバーをしたりコードボックスの中に収納したりする
・スマホの充電器やイヤフォンのコードなどは、マグネット式コードクリップなどを使ってまとめる

住環境を今一度見渡して、危険なものが無いかを点検してみましょう!

しつけ

ジャック・ラッセル・テリアほどパピー期や幼犬期にしっかりとしつけておかないと、あとで苦労するという飼い主さんの声があります。
それは、この犬種のもつ狩猟犬としての習性が大きく影響しているからです。
教えたことができたときにはしっかり褒めたり、おやつなどのご褒美を与えたりして訓練することが飼い主さんに求められます。
おやつは人間のように「小腹が空いたときの一時しのぎ」的なものではなく、飼い主さんと愛犬とのコミュニケーションの手段のひとつであり、またしつけのための効果的なツールなのです。
「しつけ(訓練)」をする際、飼い主さんが指示を出すと、初めはなかなかうまくできなかったことも、何度も繰り返しをする中で、犬は次第に覚えてできるようになっていきます。

指示をする→指示通りに愛犬が行動する→褒める(頭や体を撫でる・ことばをかける・おやつを与える) 
犬はその繰り返しを学習していく中で、行動の正しさや褒められる喜びを知るのです。
犬が指示通りできるようになると飼い主さんも嬉しいように、飼い主さんが喜ぶと犬も嬉しいのです。 
双方の気持ちがまるでキャッチボールのように行き交うことで、コミュニケーションが取れ深い絆となっていきます。

また、攻撃的な性格を持つといわれるジャック・ラッセル・テリアが散歩やドッグランなどで、他の犬を威嚇したり飛びついたりする行為、さらに散歩やアウトドアなどの場面では夢中で走り回るうちに迷子になり帰ってこなかったり事故にあったりということを防ぐためにも、「待て」「伏せ」「おいで」「お座り」といった制止や呼び戻しのしつけをしっかりと身に着けさせることが大切です。

「三つ子の魂百まで」という諺がありますが、まさにジャック・ラッセル・テリアは月齢が小さければ小さいほどしつけをしっかりしておく犬種だといえるでしょう。
トレーニングは根気と愛情の結果が必ず実を結びますから、諦めずに向き合っていきましょう!
 
 

ジャック・ラッセル・テリアをとおして考える

環境省のHPの統計資料のページに犬・猫の引き取り状況というものが掲載されています。
2017年(平成29年度)の統計を見ると、犬の引き取り数は全国で38,511頭です。
そのうち飼い主さんに返還されたり譲渡されたりしたのは29,955頭で、殺処分は8,362頭です。
この引き取りの犬種の中でジャック・ラッセル・テリアの頭数は比較的多いといわれています。
見た目の可愛らしさだけで飼ったものの、ジャック・ラッセル・テリアの特徴をしっかりと調べておかなかったために、「こんなはずじゃなかった」という理由から捨てられたり保健所へ連れて来られたりということも少なくないようです。

ジャック・ラッセル・テリアの飼育は楽ではないという飼い主さんのコメントを見つけることがあります。
「もっとおとなしい子だと思っていた」「乱暴で飼えない」「何でも噛んでしまう」「運動量の多さに付いていけない」「無駄吠えが多い」「抜け毛が多くてお掃除が大変」「子どもや高齢者には向かない犬種」など、いずれも手に負えないという声です。

確かに犬を飼ってみてはじめて「こんなに大変なの?」と思う場面に遭遇することはあります。
しかし、どの犬種にも言えることですが、手を焼かない生きものなどあり得ないのです。
食事の世話、排泄の処理、しつけ、散歩、運動、病気、怪我……と、挙げればきりがないほどあります。

「面倒くさい」とか「もう可愛くなくなったから」という無責任な理由で捨てられてしまうことほど、不幸なことはありません。

犬を含むペットを飼うときには、しっかりとした飼育計画を立てましょう。
犬を一頭飼うとなると、どれくらいの経費が必要なのかはもちろん避けては通れない問題ですが、何よりもその犬種の特徴をしっかりと把握し、飼い主になる事前の心構えが必要です。

・どのような特徴をもった犬種が自分の家庭環境に合っているのか

不安や疑問を列挙し、その問題をひとつひとつクリアすることが可能かどうかを考えましょう。

今回取り上げたジャック・ラッセル・テリアもそうです。
この犬種の特徴をよく理解することが飼い主さんに求められます。
決して「飼いにくい犬種」ではなくて、たくさんの飼い主さんがその可愛らしさ、頼もしさに癒され支えられ、日々楽しく過ごしておられます。
個体それぞれの特徴を捉え、上手に付き合っていけることが必要です。
そして、大切なのは社会性を身に付けさせることです。
「社会性」とは、家庭内を含む外の世界での振舞い方です。
・他の飼い主さんや犬と出会ったときに、威嚇したり飛びついたりしないこと
・無駄吠えをしないこと
・飼い主さんをグイグイ引っ張って自分のペースで散歩しないこと
・外の騒音などに反応して逃走しないこと
・物を壊さないこと
など。

これらの問題行動がクリアされていけば、道で行き交う人とのコミュニケーションも図ることができます。
家の中の飼育だけでは社会性を養うことは難しいです。
外の世界で体験するさまざまなことをとおして、愛犬も飼い主さんも学ぶことがあるのです。

しっかりとしたしつけとたっぷりの愛情こそが、ジャック・ラッセル・テリアの魅力を存分に引き出せる礎となることでしょう。

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