こんにちは。帝塚山ハウンドカムです。
犬猫にも高脂血症があります。高脂血症が見つかった場合、別の疾患が隠れている場合もありますし、怖い病気の引き金になることもあるので放置せずに対策を取り、効果が上がっているか継続してみてあげましょう。
目次
犬猫の高脂血症
食後12時間以上(12~18時間)の絶食時にコレステロールと中性脂肪(両方、あるいは一方)の値が高い状態が高脂血症です。
一見健康そうな犬や猫に高脂血症が認められた場合、なんらかの慢性疾患を持っている可能性もあります。
原因はリポ蛋白(脂肪とタンパク質の複合体)の生産増加もしくは分解遅延にいずれかによります。
リポ蛋白とは血中で安定しにくいコレステロールと中性脂肪がタンパク質とくっついて安定しているものです。
中性脂肪は体内では脂肪細胞の中に貯めこまれていますが、血中ではリポ蛋白の中に詰め込まれ全身に運ばれています。リポ蛋白内の中性脂肪を分解するのがリポ蛋白リパーゼと呼ばれる脂肪分解酵素で、分解することで脂肪酸がつくられ、エネルギーとして利用されたり脂肪組織に取り込まれ貯蔵されます。
リポ蛋白内のコレステロールと中性脂肪の密度によって以下のように名前が違います。
リポ蛋白名 | 特徴 |
カイミクロン | コレステロール:中性脂肪=約1:10(中性脂肪が多い) |
超低比重リポ蛋白(VLDL) | コレステロール:中性脂肪=約1:5(中性脂肪が多い) |
低比重リポ蛋白(LDL) | コレステロール含有量が最も多い。末梢組織にコレステロールを供給する |
高比重リポ蛋白(HDL) | 末梢組織に蓄積したコレステロールを肝臓に運ぶ |
人間はLDLが多いですが、犬猫はHDLが圧倒的に多く存在します。
人間では動脈硬化が心配になりますが、犬猫の場合は注意すべき疾患は膵炎となります。
LDLは悪玉で知られ、HDLは善玉で有名でしたが現在ではそれは否定されており、単に役割が違うだけと考えられるようになっています。
犬猫においても高脂血症は万病のもととなりますのでしっかりと考えてあげなければいけません。
種類と原因
原発性高脂血症
伝性や原因不明によるもの。
リポ蛋白リパーゼの欠損や活性の低下。原発性の疾患は限られており、ミニチュアシュナウザーは遺伝的にこのリポ蛋白の代謝に欠損があるため、なりやすいと言われている。
その他、シェットランド・シープドッグの高コレステロール血症、猫の突発性高カイロミクロン血症、猫のリポ蛋白質リパーゼ欠損症などがあります。
続発性高脂血症
続発性(二次性)高脂血症は多様な疾病に付随して起こります。
代表的なものでは糖尿病、肥満、ネフローゼ症候群、甲状腺機能低下症、クッシング症候群、自己免疫性疾患などから併発したもの。
生活習慣
ストレス、運動不足、肥満、食べすぎによるもの。
医原性高脂血症
ステロイドなどのホルモン投薬による副作用。
疾患と上昇する脂質
※トリグリセリドとは中性脂肪
疾患名 | 上昇する脂質 |
甲状腺機能低下症 | コレステロール(特に LDL),トリグリセリド |
糖尿病 | トリグリセリド(VLDL) |
副腎皮質機能亢進症 | コレステロール,トリグリセリド |
ネフローゼ症候群 | コレステロール,トリグリセリド |
閉塞性肝疾患 | コレステロール(LDL),リン脂質 |
原発性高カイロミクロン血症 | トリグリセリド(カイロミクロン) |
原発性高コレステロール血症 | コレステロール(HDL,LDL) |
症状
無症状、嘔吐や下痢、食欲不振など。
犬の場合は高脂血症による循環器系疾患の誘発は比較的稀です。(人間だと動脈硬化などが有名ですが)
急性膵炎、角膜への脂質沈着、発作や末梢神経のマヒなどを誘発することが示唆されています。
治療
原因となる疾患があった場合はその治療を行います。
食餌療法
基本的には低脂肪・高食物繊維する食餌療法を行います。
4週間行い、再検査をし、効果を見ます。肥満を避け、バランスのいい食事とストレスを減らします。
サプリメント療法
オメガ3(EPA、DHA)、ポリフェノール、フコダイン、フラクトオリゴ糖摂取等。
肥満予防
食べすぎの予防、適度な運動。
内服
食餌療法やサプリメント療法で全く改善がなかった場合、内服を行う場合もあります。
オメガ3脂肪酸のデータ
鳥取大学の日笠喜朗はイヌを用いてオメガ3脂肪酸の脂質低下作用を確認していますので紹介します(2017年)。※【獣医師が解説】ペットの病気編: テーマ「すい炎」の高脂血症対策のデータより
以上となります。
高脂血症が疑われた場合放置せずにほかに病気が隠れていないかのチェックと、治療が必要と判断された場合は食事を変えてみる、工夫してみる等対策がおすすめです。
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愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修
代表取締役 川瀬 隆庸
- 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
- 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
- ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
- 小動物栄養管理士認定
- D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
- 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
- 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了
愛犬の健康トラブル・ドッグフード・サプリメントなどアドバイスをいたします。