獣医師が解説

【獣医師が解説】ペットの栄養編: テーマ「健康ドリンク:麹甘酒」

「本町獣医科サポート」の獣医師 北島 崇です。
微生物の力を利用した発酵食品の1つに甘酒があります。甘酒と聞くとひな祭りを連想してしまいますが、今回のテーマは甘酒の健康作用です。

甘酒に関するイメージ

近頃、スーパーの牛乳コーナー近くに缶入りの甘酒をよく見かけませんか?一般に「甘酒」と呼んでいますが、お酒コーナーにはありません。甘酒は「清涼飲料水」として扱われています。

甘酒に関するアンケート

日本酒メーカーの月桂冠㈱が「1,000人の女性に聞いた美肌と発酵食品『甘酒』に関する調査」というものを発表しています(月桂冠総合研究所 2016年)。この中の主なところを紹介しましょう。

〇美肌に効果があると知っている食材は?
①大豆(61.0%)
②ヨーグルト(41.4%)
③トマト(34.1%)
④ゴマ(31.3%)
⑤ナッツ類(29.9%)

〇市販の甘酒は清涼飲料水であることを知っていますか?
  …知っていた(34.4%) 知らなかった(65.6%)

〇甘酒は日本のスーパーフードの1つとされていることを知っていますか?
  …知っていた(27.2%) 知らなかった(72.8%)

〇甘酒は「飲む点滴」と呼ばれるくらい、疲労回復効果があることを知っていますか?
  …知っていた(47.2%) 知らなかった(52.8%)

〇甘酒はアンチエイジング効果(抗酸化作用)があることを知っていますか?
  …知っていた(28.2%) 知らなかった(71.8%)

このように甘酒は単に甘い飲み物だけでなく、美容や健康に良いということは、およそ30~50%の人に認識されているようです。

ちなみに、先ほどの「美肌に効果があると知っている食材は?」の質問において甘酒は第8位で24.8%でした。

甘酒の役割

歴史をさかのぼると、文献に初めて甘酒が登場するのは奈良時代とのことです。そして、広く一般に飲まれるようになったのは江戸時代以降です。

現在では、甘酒=冬のイメージがありますが、江戸時代では夏の飲み物でした。当時の甘酒は、真夏の滋養強壮や夏バテ対策としての栄養ドリンクでした。

現在、消費者が甘酒に求めているテーマは美容や健康でしょう。いろいろなメーカーが商品開発を行っており、2016年現在の甘酒の市場規模はおよそ200億円にもなっています(森永製菓㈱調べ)。

2種類の甘酒

みなさんは自宅で甘酒を作られたことはありますか?ネットで調べてみるといろいろなレシピが出ていますが、大きく分けて甘酒には酒粕を使うものと使わないものの2種類があります。

酒粕甘酒

酒粕とは日本酒の製造において、お米をアルコール発酵させて搾った後の固形物のことです。ドロドロのものや板状にしたものが販売されています。この酒粕に砂糖を加え甘味をつけたものが酒粕甘酒です。

当然のことながら、酒粕甘酒にはわずかにアルコールが含まれます。お店ではアルコール分を1%未満に調整した「清涼飲料水」として販売されています。

麹甘酒

これに対して、蒸したお米に麹菌を加えて糖化させたもの(デンプンをブドウ糖に分解したもの)が麹甘酒です。この場合、酵母は使いませんのでアルコール発酵は起こらずノンアルコール飲料となります。

また、麹菌はお米のデンプンを分解する時に、さまざまな栄養成分や有用な酵素を産生します。これが麹甘酒の魅力の1つになります。

みなさんがペットに甘酒を与える場合、アルコール分を含んでいると大変ですのでノンアルコールの麹甘酒を選んで下さい。

麹甘酒と麹菌

冒頭に紹介したアンケート結果では、甘酒が「飲む点滴」といわれていることを半数近くの人が知っていました。では、甘酒にはどれくらい栄養成分が含まれているのでしょうか?

麹甘酒の栄養成分

牛乳と麹甘酒を比較してみると、麹甘酒にはタンパク質と脂肪分が少ないことが判ります。これに対して炭水化物は18.3gと牛乳の3.8倍、さらにブドウ糖は19.1gも含まれています(日本食品標準成分表 2015年七訂)。

私たちやペットが病院で点滴を受ける時があります。この点滴の中身は、大部分が水分とこのブドウ糖です。ブドウ糖は即効性のエネルギー源で、食事を摂ることができない場合の疲労回復作用があります。

甘酒が「飲む点滴」といわれているのは、水分(79.7g/100g)とエネルギー(81kcal/100g)が簡単に補給できる食品であるためでした。ちょうどこれからの季節において、ペットの熱中症予防に麹甘酒は有用な飲み物といえるでしょう。

麹菌が産生する酵素

麹甘酒にブドウ糖が豊富に含まれているのは、麹菌がお米のデンプンをブドウ糖に変えるはたらきがあるためです。これを「糖化」といいます。この糖化ではアミラーゼという酵素がはたらいています。次のように、麹菌はいくつもの酵素を産生します。

〇アミラーゼ 
  …米のデンプン → ブドウ糖
〇リパーゼ 
  …大豆の脂質 → グリセリンと脂肪酸
〇プロテアーゼ 
  …大豆のタンパク質 → ペプチド
〇ペプチターゼ 
  …ペプチド → アミノ酸

麹甘酒を飲むと水分とエネルギー源が補給されます。そして同時に、麹菌が産生した酵素による分解産物(ペプチド、アミノ酸)も摂取できることになります。

腸内細菌の応援

麹菌には腸内細菌を増やす作用があるという研究結果があります(細山 浩ら キッコーマン㈱ 1991年)。ビフィズス菌と麹菌を一緒に培養すると、ビフィズス菌の増殖が盛んになるという内容です。

これは麹菌がビフィズス菌の増殖を促進させる物質を産生するためです。この物質の正体は、麹菌が酵素プロテアーゼによってタンパク質を分解してできたアミノ酸と考えられています。

ビフィズス菌は大腸のみで生息し、酢酸(殺菌作用)や乳酸(腸内環境の酸性化)を産生してくれる善玉腸内細菌です。しかし、加齢に伴いその菌数は減少します。高齢ペットの健康なお腹づくりに、麹甘酒の応援が期待できそうです。

甘酒の健康作用

最後に麹甘酒の健康作用を3つほど紹介しましょう。(すべてヒトを対象にした試験データです)

便秘の改善

岡山県立大学の住吉和子らは女子大学生18人を対象に、麹甘酒の摂取と排便頻度の関係を調査しました(2017年)。甘酒摂取群(11人)は1日1回150mLを14日間毎日摂取しました。対照群(7人)は無摂取です。
 
結果は甘酒摂取群において「毎日排便がある」人数が3人から6人に増加、「2~3日に1回排便がある」人数が6人から4人に減少しました。対照群では排便頻度に変化はありませんでした。

麹甘酒は100gあたり約0.5gの食物繊維を含んでいます。これによって腸内環境が整い、便秘の改善がみられたものと考えられます。

疲労の回復

先ほど、麹甘酒は即効性のエネルギー源であるブドウ糖を豊富に含んでいると述べました。実践女子大学の島崎あかね らは大学の陸上競技部に所属する男女を対象に麹甘酒摂取とトレーニング後の疲労状況の関係を調査しました(2016年)。

結果では、男女とも長距離選手では麹甘酒摂取群で疲労度が軽減されていましたが、短距離選手においては両群に差は確認できませんでした。甘酒は長距離走やマラソンといった持久性の運動に対して有効であるといえます。

これより、長期間にわたる夏バテ予防や、体力が徐々に低下する高齢ペットの健康サポートに麹甘酒の疲労回復作用が期待できると考えられます。

血圧の抑制

脂肪分の多い食事や加齢により、血管の柔軟性が低下すると高血圧になります。ペットの大きな悩み事として腎機能の低下がありますが、その背景の1つに高血圧症があります。

八海醸造㈱の倉橋 敦は、20~65歳の男女24人を対象に麹甘酒118gを1日3本×4週間摂取してもらい、麹甘酒の安全性を確認する試験を行いました。

この時の血圧検査において、最高血圧と最低血圧の値が低く維持されていることが判りました。この血圧の抑制作用は酒粕甘酒でも確認されており、麹菌が産生したペプチドが関係しているのではないかと考察されています。

今回は古くて新しい発酵食品である甘酒の健康作用についてお話をしました。特に麹甘酒はノンアルコールであり、安心してペットたちに与えることができます。

麹甘酒は豊富な水分とブドウ糖、ビタミン等が手軽にとれる熱中症対策飲料です。加えて、整腸や血圧調整などのうれしい機能も報告されています。この夏は「天然の健康ドリンク」である麹甘酒を試してみるのも良いでしょう。

(以上)

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執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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