獣医師が解説

【獣医師が解説】ペットの栄養編: テーマ「玄米フードのすすめ」

「本町獣医科サポート」の獣医師 北島 崇です。
私たちが玄米を摂る目的には、食物繊維やミネラルの補給などがあります。
今回はヒトの研究データをもとに、まだまだある玄米食のうれしい働きを見てみようと思います。

玄米食と白米食

徳島大学の島袋充生らは、メタボリックシンドロームの患者27名を対象に玄米食と白米食のいろいろな体の反応を調査しました(2013年)。
試験方法は次のとおりです。

〇パターンA
  玄米を8週間摂取し、その後白米を8週間摂取

〇パターンB
  白米を8週間摂取し、その後玄米を8週間摂取

ダイエット

玄米食を8週間続けたパターンAと、その逆に白米食を8週間続けたパターンBの平均体重とウエスト周りの測定結果です。
玄米食を続けることにより、共にダイエット作用が認められました。

〇体重kg
  …パターンA(76.4→74.7)、パターンB(76.8→77.2)

〇ウエスト周りcm
  …パターンA(93.2→91.7)、パターンB(92.1→92.3)

血圧

血圧の動きです。
健康状態に大きな意味をもつ最高血圧(心臓が収縮する時の血圧)は、玄米食において低減効果が確認されました。
また最低血圧(心臓が拡大する時の血圧)は玄米食・白米食ともに大きな影響はありませんでした。

〇最高血圧mmHg
  …パターンA(140→132)、パターンB(141→140) 

〇最低血圧mmHg
  …パターンA(84→86)、パターンB(85→89)

最高血圧の高い/低いは血管の内側の厚さが関係しています。
「血管の内側にコレステロールがたまると狭くなり血圧が高くなる」といわれるのはこのためです。
高血圧症は心臓や腎臓に悪影響を与えるため、悪玉コレステロール値を下げてきれいな血管を保ちたいものです。

コレステロール値

血中のコレステロール値に関しては、いわゆる悪玉コレステロール(LDL)と善玉コレステロール(HDL)の2つがありました。

〇悪玉コレステロールmmol/l
  …パターンA(3.45→3.14)、パターンB(3.48→3.28) 

〇善玉コレステロールmmol/l
  …パターンA(1.44→1.37)、パターンB(1.26→1.21)

米ぬかの効果と同様に、玄米食においても悪玉コレステロール値は低下し、善玉コレステロールの値には影響なしという結果が確認されました。
コレステロール値が高い状態は高血圧症を招き、またすい臓疾患にも関わってきますのでとてもうれしいデータといえます。

玄米食と貧血

 
女性では、鉄分不足からくる貧血で困っている方は少なくないと思われます。
血液の素である鉄分の補給には、レバーやほうれん草が良く知られていますが、実は玄米も貧血予防としてよい仕事をしてくれます。

貯蔵鉄

新潟薬科大学の上野和行らは、大学生14人(男性10人、女性4人)に玄米食を1か月間続けてもらい血液検査を行いました(2010年)。

結果として先ほどの調査と同様に、総コレステロールとLDLコレステロール(悪玉)は有意に低下し、HDLコレステロール(善玉)の値は変わりませんでした。
これに加えて血中のフェリチン値の上昇が確認されました。

〇フェリチン値ng/ml
  …玄米食(96.4)
  …白米食(86.7)

ここで出てきたフェリチンというのは、血液中で鉄分と結合しているタンパク質のことをいいます。
フェリチンの中に貯められている鉄は「貯蔵鉄」と呼ばれ、体内で血液を造るときに使用されます。
フェリチンは体内の鉄分の貯金箱のようなものです。

ペットの貧血には次の3つのパターンがあります。
❶出血によるもの …ケガ
❷造血障害によるもの …栄養不足、腎臓障害
❸溶血によるもの …タマネギ中毒、バベシア症

フェリチンは貯蔵鉄の貯金箱ですので、上記3つのうち❷のパターンである「鉄欠乏性貧血」の予防に関係していることになります。
鉄不足の解消のためにレバーを毎日食べるということはできませんが、玄米なら毎食摂取して鉄分補給をすることは可能です。

調査報告者の上野も「鉄欠乏性貧血の人は玄米食が改善に寄与する」と述べています。

玄米の鉄分量

玄米を摂取するとフェリチンの値が高くなるということは、体内の貯蔵鉄の量が増えるということです。
すなわち、玄米には鉄が多く含まれているということになります。
では、玄米や白米などフードの炭水化物源の鉄分量を比べてみましょう。

〇食材100gあたりの鉄分量
…小麦粉(0.5㎎)
…白米(0.8㎎)
…玄米(2.1㎎)

このように玄米は白米の2倍以上、小麦粉の4倍もの鉄を含んでいます。
ちなみに、鉄分が多い野菜としてほうれん草がありますが、玄米の鉄分量はこのほうれん草と同等量です。

腎臓はオシッコを造る臓器であり、また造血にも深く関係しています。
慢性腎不全の場合、造血機能が低下して貧血を示すのはこのためです。これを「腎性貧血」といいます。

鉄分補給策の1つとして玄米を使ったフードは、腎臓疾患や老化(腸管からの慢性的な出血など)により貧血を示しているペットをサポートしてくれると考えられます。

玄米食と血糖値

最後に玄米食のうれしい作用として、糖尿病との関係を紹介しましょう。

食後の血糖値

「食後の血糖値が気になる方へ朗報です!」といったテレビCMを毎日聞きます。
糖尿病の患者数はおよそ950万人(2012年)といわれており、その治療は❶食事療法 ❷運動療法 ❸薬物療法の3つからなります。

前出の島袋充生らは、玄米食グループと白米食グループの食後90分間の血糖値の動きを調べました。
結果は両グループ共に食後間もなく血糖値は上昇し、60分をピークにしてその後下降してゆきました。

しかし、食後の血糖値の上昇カーブは、玄米を食べたグループの方が緩やかでした。
これは玄米が低GI食材であるためです。

低GI食材

GI値とはグリセミック(Glycemic :血糖値)インデックス(Index:指数)のことで、食品を食べた後の血糖値が上昇するスピードを数値化したものです。
ブドウ糖を100としてこれとの比較値で示します。

以前、イヌ用手作りフードレシピ208例において、よく採用されている食材というものを紹介しました(清水いと世ら 京都大学 2017年)。
この中で糖質性エネルギー源として用いられているものでは、白米が第1位(採用率42%)、玄米は第5位(採用率5%)でした。

白米のGI値は80~85、玄米は55です。
一般的にGI値55以下のものは「低GI食材」と呼び、ダイエットや糖尿病対策として紹介されています。
これより玄米は食後の血糖値が上昇しにくい低GI食材であるといえます(GI値は出典によりバラつきがあります)。

ヒトもペットも生活習慣病がしばしば話題になります。
肥満、高血圧、高脂血症(脂質代謝異常)、糖尿病などです。
どれも動物病院での検査と適切な治療が必要ですが、病気の背景にあるのは「生活習慣」です。

食事(フード)は生活習慣の重要な1項目であり、われわれヒトやペットの健康状態に大きく関係しているのはみなさんもよくご存じです。
生活習慣病の最も身近な対応策は食事(フード)の工夫といえます。

今回は、多方面にわたり健康の維持に貢献してくれる食材として玄米を紹介しました。
動物病院においてみなさんのペットが生活習慣病の診断を受けた場合は、玄米フードを活用するもの1つの方法でしょう。

(以上)

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執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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