獣医師が解説

【獣医師が解説】ペットとの生活編: テーマ「長生きペットの暮らし」

「本町獣医科サポート」の獣医師 北島 崇です。
今、みなさんが一緒に暮らしているペットは何歳ですか?
現在の愛犬や愛猫の寿命は14~15歳ですが、それ以上でも元気なペットはたくさん見かけます。
今回は長生きするペットはどのような暮らしをしているのか、というのがテーマです。

長生きペットの生活

15年以上前の研究論文に「犬と猫における長寿に関わる要因の疫学的解析」というものがあります。
報告者は東京農工大学の城戸佐登子らで、内容は15歳以上長生きしたイヌ・ネコと5~9歳で死亡したイヌ・ネコのオーナーへの聞き取り調査です(2001年)。

長生きペットを飼われていた家庭では、何か特別な飼育方法があるのでしょうか?
調査概要は以下のとおりです。
今回はイヌに関しての結果を見てみましょう。

●調査期間 1994~1998年
●グループ
  :長寿犬グループ …15歳以上のイヌ(220頭)
  :対照犬グループ …5~9歳で死亡したイヌ(266頭)

関連性が高い項目は?

城戸らの報告によると、イヌに関して長寿との関連性が高かった項目として次のようなものがありました。

・品種   …雑種
・予防接種 …毎年実施している
・運動   …毎日散歩を行っている
・同居動物 …他に同居しているペットがいる
・フード  …手作りフードを与える
・牛乳   …牛乳を与えている

この中でいくつか興味深いものを少し詳しく解説しましょう。

毎日の散歩

健康の維持と散歩との間には、深い関係があることは今までもお知らせしました。
長寿犬グループにおいて、実に90%近くのイヌが毎日散歩に連れて行ってもらっていました。
この項目に関しては予想通りといえます。

同居ペットの存在

みなさんはペットを何頭飼っていますか?
イヌの場合、同種(イヌとイヌ)または異種(イヌとネコなど)のペットがいると寿命が延びるようです。
これは家の中に複数のペットがいると一緒に遊んだり、時にはケンカをしたりしてその行動が活発になるためです。

長寿犬グループでは約46%において同居ペットがいました。
同種または異種のペットの存在は、ストレスの解消や精神面の安らぎを得ることができ、長生きにつながると考えられています。

手作りフード

フードに関しては手作りフードのみ与えている、および主に手作りフードを与えているという割合に注目しましょう。
長寿犬グループでは半数の50%、対照犬グループでは1/3の約30%が手作りフード派でした。

これは市販フードがペットの健康に悪いという意味ではありません。
手作りフードの場合、「近頃肥満気味なので脂肪分の少ない鶏肉に海藻類(食物繊維)を多めに加えて…」などの調整ができるということです。

フードを手作りするには、ペットの健康状態を日々チェックする必要があります。
長寿犬グループで手作りフードの割合が多かったのは、その分オーナーの観察力が高いということが背景にあるのでしょう。

おやつ

今回の調査結果において、おやつと長寿との間に統計的な関連性は確認できませんでした。
しかし、その割合を見てみると興味深いものがあります。
長寿犬グループの40%以上は毎日おやつを与えられており、逆に対照犬グループの40%以上はおやつを与えられていないといいます。

おやつはペットの健康に良いか悪いかどちらでしょうか?
もちろん与え過ぎは肥満につながるため要注意ですが、近頃はペットの健康を応援する機能性栄養素を添加したおやつも多く販売されています。
おやつは単なるご褒美ではなく、健康長寿のためのツールでもあるようです。

〇ペットの健康をサポートするおやつ
・クッキー、ビスケット …食物繊維
・ジャーキー …コラーゲン
・ミルク、チーズ …カルシウム
・歯磨きガム

牛乳

以前のコーナーで牛乳やヤギミルクの健康作用について紹介しました。
今回の調査結果においても、牛乳の有用性が数字で表れています。

年齢15歳以上の長寿犬グループにおいては、毎日与えている(26.8%)+週数回与えている(35.0%)=61.8%の愛犬が牛乳を与えられていました。
これに対して対照犬グループでは60%以上の割合で牛乳は与えられていませんでした。

私たちは、牛乳=カルシウム(Ca)源というイメージをもっています。
間違いではありませんが、牛乳にはCaの他に乳タンパク質も長寿に大きく貢献しています。
加齢に伴い骨はもろくなり、筋肉量は減少してゆきます。
Ca源やタンパク源として、牛乳は高齢ペットにとって大切な食材です。

健康長寿の秘訣

以上のように、長生きペットの生活ぶりを見てきましたが、オーナーと愛犬との間には健康状態に関連性があるといいます。

愛犬と一緒の運動

長生きペットの生活項目として「毎日の散歩」に大きな意味があることが判りました。
ペットが散歩をするということは、オーナーも散歩/運動をするということになります。
ではオーナーにとって愛犬との散歩は、どれくらいのウエイトを占めているのでしょうか?

山野美容芸術短期大学の早川洋子らは、オーナー52人に対して愛犬との散歩に関するアンケート調査を実施しました(2006年)。
これによると平均散歩回数は一週間あたり約9回、平均散歩時間は約38分間でした。

そして、愛犬との散歩以外には運動をしないというオーナーの割合は全体の71%とのことでした。
これはイヌとの散歩がヒトの身体運動の重要な機会になっているということを意味しています。

オーナーとペットの健康長寿

また、早川はヒトとイヌとの健康状態の関連性について、次のような海外の研究報告を紹介しています。

〇安心感
  …ヒトはコンパニオン・アニマルの存在や接触により安心感と安堵感を得る
〇血圧と中性脂肪値
  …ペット飼育者は非飼育者に比べ、収縮期血圧(=最高血圧)および血中の中性脂肪値が低い
〇肥満
  …肥満体型のペット飼育者のイヌは肥満になりやすい

このようにオーナーとペットは生活習慣や食事内容などの点において、互いに影響し合っているようです。
ということは、オーナーが自身の健康意識を高めれば、飼われているペットもおのずと健康になってゆくということになるでしょう。

今回紹介した長生きペットの生活項目として、毎日の散歩やフード・おやつがありました。
これらはすべてオーナーが健康長寿である秘訣でもあります。
次回は高齢者/高齢ペットにおける運動および栄養素、特に動物性タンパク質の重要性について解説します。

(以上)

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執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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