獣医師が解説

【獣医師が解説】ペットとの生活編: テーマ「手洗い効果アップ作戦」

「本町獣医科サポート」の獣医師 北島 崇です。
新型コロナウイルスの影響で外出を控えるようになり、ペットとの散歩が唯一の運動であるというオーナーも少なくないと思います。
今回は外出から帰ってきて行う手洗いの効果アップポイントを紹介します。

手洗いアンケート

2015年に消費者庁はノロウイルス食中毒予防の一環として、全国2,000人を対象に家庭における手洗いの実態調査を行いました。
この結果から、現在の新型コロナウイルス感染対策のヒントが見つかります。

手洗いにかける時間

質問:1日に何回程度手洗いを行いますか?
一番多かった回答は1日5回(18.8%)、次いで10回(15.4%)でした。
私たちはトイレの後、食事の準備、帰宅後など1日に何度も手を洗います。

質問:1回の手洗いにかける時間は?
最も多かった手洗い時間は5~10秒(39.7%)、次が10~15秒(26.3%)でした。
全体の60~70%の人の手洗い時間は10秒前後のようです。

意識をして洗う部位

質問:手洗い時に意識をして洗う部位は?
これは複数回答です。私たちは指と指の間(54.7%)、指先(47.2%)、爪と皮膚の間(46.1%)などの部位を重点的に洗っています。

手洗いの1番の目的は目に見える汚れを落とすことですが、現在では目に見えない微生物を洗い流し殺菌消毒するという感染症予防の意味も重要視されています。
みなさんの手洗いはいかがでしょうか?

手洗い方法と除菌効果

今や私たち一般人においても、手洗いの目的は「消毒・殺菌・殺ウイルス」です。
ではここで、先ほどのアンケート結果をもとに微生物対策として有効な手洗い方法を確認します。

泡立て時間と除菌効果

手洗い時間とは、手を濡らす→石けんを手に取る→泡立てて洗う→すすぐ→拭き取るまでのことです。
ここでは、手洗い時間と除菌効果の関係を見てみましょう。

兵庫県立看護大学の山本恭子らは、手洗い時の石けん泡中の細菌数を調べました(2002年)。
結果として、泡立て時間が長いほど泡中の菌数は増加していました。
これは時間をかけるほど手の表面の菌が泡に移っていくということを意味しています。

先程のアンケートでは手洗い時間は10秒前後(5~15秒)が大部分でしたが、泡立て時間を30秒以上にすることにより高い除菌効果が認められます。
なお、この試験で使用されたのは普通の固形石けんでした。
非薬用石けんでも手洗い時間をしっかりとることにより、十分な洗浄・除菌作用が得られることが良く判ります。

すすぎ時間と除菌効果

続いて山本らは、すすぎ時間と除菌効果についても報告しています。
15秒間泡立てた後、流水で泡を流しながら手の表面に残っている細菌数を測定しました。
その結果、手のひらや指の腹は約60秒のすすぎにより手洗い前よりも菌数は減少しました。
しかし、指先の菌数は120秒以上すすいでもまだまだ多数残っていました。

また、グラフを見ると手洗い前よりもすすぎ開始時(=0秒)の方が手の表面に多くの菌が認められます。
これは石けんの泡によって皮膚表面のしわの奥から菌が押し出されてきたためです。

爪と皮膚との境目には多くの細菌・ウイルスが潜んでいます。
しかしこの指先は洗いにくく、すすぎでもあまり意識しない部位です。
このように除菌されにくい指先に着目すると、すすぎ時間は30秒以上かけることが大切と考えられます。

タオルと除菌効果

石けんを使って手を洗っても指先には菌が多数残っています。
ではいったいどうすればよいのでしょうか?
その答えの1つとしてペーパータオルを用いた拭き取りがあります。

共用タオル

職場などで他人とタオルを共用することは考えられませんが、家の中ではどうでしょう。
家族同士ならまあいいかなとも考えてしまいます。
使用後の共用タオルにはどれくらいの菌が付着しているのかを調査した次のような報告があります(山口大学 尾家重治ら 1994年)。

タオル1枚あたりの菌数
●共用の手拭きタオル(8枚)
  …12~25人が使用、使用開始24時間後の菌数を測定
  結果)10万弱~1,000万以上
●対照の未使用タオル(3枚)
  結果)検出限界以下

手洗い後に手を拭くと、水と一緒に手の表面に残っていた菌もタオルに移ります。複数の人が同じタオルを共用すると、そのたびに菌はタオルに溜まっていくことになります。
加えて、時間の経過に伴い菌はタオルの繊維中で増殖します。

ペーパータオル

現在では駅やデパート、ホテルなどのトイレには、ほとんどエアータオルかペーパータオルが設置されています。
前出の山本らはペーパータオルの除菌効果についても報告しています。

石けんを用いて手を洗い、流水すすぎを行いました。
そして滅菌ペーパータオルで水を拭き取った後の菌数を調べると次のような結果でした。(CFUは測定菌数の単位、菌1個に相当)

●指先に残っていた菌数
  …手拭き前(251.2 CFU) →手拭き後(35.5 CFU)
●ペーパータオルの付着菌数
  …使用前(0) →使用後(12,589.3 CFU)

このように使用後のペーパータオルからは多くの菌が検出されました。
ペーパータオルは手洗い後の水のふき取り役というイメージでしたが、実は手に残っていた菌を取り除く=除菌というはたらきもあったということです。

家庭ではペーパータオルでなくてもティッシュペーパーで代用できます。
外出後の手洗いでは、菌の残留が多い指先の除菌の意味からもタオルではなく、ティッシュペーパーでの拭き取りが効果的と考えられます。

アルコール消毒剤

最後にアルコールの消毒効果をアップさせるポイントを紹介しましょう。

石けん残りと除菌効果

手洗い石けんの泡には手の汚れを落としたり、手に付着する菌を移し取るはたらきがありました。
手洗い時には、まずは水で手を濡らしてから石けんを手につけると泡立ちがよくなります。
しかし、この石けん残りが逆に消毒効果を低減させてしまいます。

大阪大学医学部附属病院の泉 玲子らは、次のような条件での手の消毒効果を比較しました(1996年)。

●被験者 附属病院ICU勤務者50人
●手洗い方法
  予備洗浄→石けん洗浄→すすぎ・拭き取り→アルコール消毒
●各グループと除菌率
 (A)予備洗浄を行わない場合 …44.3%
 (B)予備洗浄を行った場合 …87.2%
 (C)流水手洗いのみの場合 …54.8%

この実験では、最後にアルコール消毒を行っても、予備洗いを行わない場合の除菌効果は水だけの手洗いよりも低いことが判りました。
この理由は、残留する石けんがアルコールの消毒作用を減弱させたためです。

石けんを手に取る前に水だけで予備洗いを行うと洗浄効果はもちろんのこと、石けん残りが少なくなるためにアルコールの除菌・消毒効果もアップするということです。

すり込み式消毒剤

少し前までは病院でしか見かけなかったポンプ式のアルコール消毒剤ですが、近頃は毎日行くスーパーの入り口にも設置されています。
この水が不要で手にかけるだけの速乾性の消毒剤を「すり込み式消毒剤」といいます。

すり込み式の消毒剤には消毒用アルコール(70~80%エタノール)を主成分として、その他に手あれ防止の保湿剤(グリセリン他)などが入っています。
このタイプの消毒剤の使用ポイントは、名前どおり「手によくすり込む」ことです。

すり込み式消毒剤の使い方と除菌効果に関する次のような調査結果があります(兵庫県立大学 東 知宏ら 2012年)。

●被験者 女性24人
●消毒剤使用量 …規定量(3ml)、半量(1.5ml)
●グループ
  :すり込み(+) …アルコールが蒸発するまで両手をよくすり合わせる
  :すり込み(-) …すり込みを行わない

気になる除菌率ですが、すり込みを行うと規定量はもちろん半量でも100%近くの高い値が得られました。
これに対してすり込みを行わなかった場合では、手のひら(100%→89.7%)、指先(80%→52.5%)と除菌率はダウンしてしまいました。

アルコール消毒剤は細菌やウイルスの脂肪成分を溶かし、蒸発する時にその水分を奪うことにより殺菌・殺ウイルス作用が発揮されます。
従って、手に取った後は両手に塗り拡げてよくすり込み、完全に蒸発させることがポイントになります。

お店に入る時に後ろにお客さんが並んでいると、規定量(=1プッシュ)が手に取れず両手にサーっと塗るだけになりやすいものです。
しかし、これではせっかくの消毒効果が半減してしまいます。
細菌やウイルスが潜んでいる指先にも意識してしっかりとすり込んで下さい。
 

ようやく全国において新型コロナウイルス感染の非常事態宣言が解除されました。
しかし、再びの感染拡大を予防するためにはこれからが大切な時といえます。
細菌やウイルスの感染防止の一番の対策は手洗いです。
ペットの散歩からの帰宅後は、今回紹介したポイントをおさえた効果的な手洗い・消毒を実施しましょう。

(以上)

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執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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