獣医師が解説

【獣医師が解説】ペットの栄養編: テーマ「大豆と小豆」

「本町獣医科サポート」の獣医師 北島 崇です。
夏は枝豆、冬はおしるこ/ぜんざいなど、豆は1年中食べられている食材です。
また愛犬の手作りフード材料としても、大豆のレシピ採用率は25%もあります。
今回からシリーズで豆の栄養内容と健康機能性についてお話します。

豆類

豆は煮豆や納豆といった料理はもちろん、あんこなどお菓子の材料としても広く使われています。
ところでみなさんは豆に対して、どのような栄養イメージを持っていますか?

豆に対するイメージ

大阪市内の小学校の保護者(女性401人)を対象として、豆類に対する栄養的認識の調査報告があります(村井陽子ら 相愛大学 2010年)。
結果は次のようになっていました。

《認識度が高い項目》
・食物繊維が多い(89.5%)
・タンパク質が多い(86.0%)

《認識度があまり高くない項目》
・ポリフェノールが多い(43.4%)
・カルシウムが多い(42.6%)
・ビタミンB1が多い(38.9%)
・鉄分が多い(37.7%)

「豆は畑の肉」と言われるように、多くの方がタンパク質豊富な食材であるというイメージを持っています。
これに対してポリフェノールやビタミンB1といった健康機能成分を含むという認識は低いようです。

2つのグループ

食用の豆類は世界で70~80種類、その内日本で流通しているのは約20種類とのことです(農林水産省HP)。
この豆の中に「雑豆(ざっとう)」というものがあるのをご存知でしょうか?

豆類は品種ではなく、含まれる栄養素的に2つのグループに分けられています。
1つは大豆・落花生グループ、もう1つが雑豆というグループになります。
すなわち、大豆および落花生以外の豆をまとめて雑豆と呼んでいます。

大豆vs小豆:栄養素

豆類は大きく2つのグループに分類されています。
ここではそれぞれのグループ代表として大豆と小豆の栄養成分を比べてみようと思います(日本食品標準成分表2015年版 七訂)。

3大栄養素

大豆の特徴をまとめると「高タンパク質・高脂質」となります。
乾物100あたりのタンパク質は33.8g、脂質は19.7gです。
また炭水化物の値も29.5gとなっており、大豆は3大栄養素をバランスよく含んだ優れた食材と言えます。

これに対して小豆は「高炭水化物・低脂質」な豆です。
大豆と比べるとタンパク質は20.3gとやや少なくなっていますが、特徴的なのは脂質が大豆の約1/9(2.2g)、炭水化物は約2倍(58.7g)という値です。

大豆は栄養バランスが良いため「食事」として、小豆は炭水化物による甘味から「おやつ」の材料として使用されているのはこのような栄養内容によるものでしょう。

食物繊維

先ほどのアンケートにもあったように、豆類は食物繊維が豊富な食材とイメージされています。
大きな意味で食物繊維は炭水化物の1つであり、炭水化物=食物繊維+糖質となります。
食物繊維が多いことで知られているサツマイモと大豆、小豆の炭水化物の構成を比べてみると次のようになります。

《炭水化物の構成:乾物100gあたり》
・サツマイモ(31.9g) …食物繊維2.2g+糖質29.7g
・大豆(29.5g) …食物繊維17.9g+糖質11.6g
・小豆(58.7g) …食物繊維17.8g+糖質40.9g

このように大豆と小豆の食物繊維量はほぼ同量で、実はサツマイモより多いことが判ります。
さらに小豆の糖質量もサツマイモ以上の値でした。
小豆の入ったお菓子のホクホク感は、この糖質(デンプン)によるものでした。

ビタミンB1

水溶性ビタミンの仲間にビタミンB1というものがあります。
ビタミンB1はチアミンとも呼ばれており、ブドウ糖からエネルギーを産生する仕事をしています。
「疲れたときには豚肉料理はいかがですか?」とよく言われます。
これは豚肉中のビタミンB1がエネルギーの産生を応援することによって、疲労回復を助けてくれるためです。

では肉類と豆類のビタミンB1量を比較してみましょう。
同じ肉でも牛肉(0.1㎎)に比べ、豚肉には9倍以上の0.96㎎もの量が含まれています。
この豚肉には少しかなわないものの、乾物100gあたりのビタミンB1含有量は大豆0.71㎎、小豆0.45㎎と高い値になっています。

ビタミンB1が欠乏すると、ヒトでは脚気になることがよく知られていますが、イヌでは心臓の肥大や四肢のしびれ、ネコでは筋肉の衰えや食欲の低下などの症状が見られます。
ヒトはもちろんペットにとっても、豆類は大切なビタミンB1供給源であると言えます。

大豆vs小豆:ポリフェノール

ポリフェノールとは野菜や果物など植物に含まれる渋みや苦みの成分で抗酸化活性があります。
光合成を行って成長する植物には日光が必要ですが、ヒトと同様に酸化ストレスのもとになる紫外線は苦手です。
この紫外線から植物の身を守っているのがポリフェノールです。

ポリフェノール量

ポリフェノールをもつ植物は、赤色や紫色、藍色などの濃い色をしています。
豆の中にも黄色や緑色、赤色、黒色などさまざまな色をしたものがあります。
帯広畜産大学の慈 照紅らは、30種類の豆に含まれるポリフェノール量と抗酸化活性を比較しています(2013年)。
この中から大豆と小豆の成績を見てみましょう。

《ポリフェノール含有量》
・大豆(1.95mg/g)
・小豆(6.66mg/g)

《抗酸化活性》
・大豆(5.41μmol/g)
・小豆(22.03μmol/g)

このように黄色の大豆に比べ赤色の小豆は、ポリフェノール量は約3倍、抗酸化活性は約4倍の量をもっていることが判ります。
小豆の赤色の種皮に含まれるポリフェノールは、紫外線の酸化ストレスから内部の子葉(私たちが食べている部位)を保護しているということです。

大切なもどし水

一般的に豆は乾燥した状態で流通されています。
このため料理やお菓子の材料として利用する時は一晩水にもどし、さらに柔らかく煮込みます。
近頃はキッチンで赤飯やおしるこを作る機会はほとんど無くなりましたが、思い出して見ると小豆のもどし水や煮汁は赤色をしていました。
 
乾燥した豆類から水に流出するポリフェノール量とその抗酸化活性を測定した次のような報告があります(小嶋道之ら 帯広畜産大学 2006年)。
この中から大豆と小豆のデータを比較しましょう。

●供試豆 大豆、小豆など食用豆8種類
●試験サンプル
  浸漬水(豆に水を加え50℃で5時間浸したもの)
煮汁(種皮のみに水を加え100℃で1時間加熱したもの)
●測定結果
《100g中の総ポリフェノール量》
   浸漬水 …大豆(50.0㎎)、小豆(247.4㎎)
   煮汁  …大豆(3.0㎎)、小豆(20.4㎎)
《浸漬水中のラジカル消去活性》
大豆(0%)、小豆(65%)

黄色の大豆に比べて赤色の小豆は、種皮に多くのポリフェノールを含んでいます。
乾燥した大豆や小豆はそのまま煮込むことはなく、下準備として一晩水に浸します。
小嶋らの試験結果では、小豆のポリフェノールと抗酸化活性は、けっこうな量がこのもどし水に流出していることが確認されます。

小豆ともち米を赤色のもどし水で炊いたものが赤飯です。
赤飯はお祝い事の食べ物として年に何回かしか食べる機会はありませんが、小豆のポリフェノールを無駄なく摂るにはとても合理的な料理と言えます。

近年は日本食を見直そうという観点から豆類の健康機能が注目されています。
今回は栄養素の面からタンパク質がたっぷりな大豆と、炭水化物が豊富な小豆の長所や特徴を確認しました。

愛犬の健康ケアに豆を使った手作りフードやおやつを与えるとしたら、みなさんはどちらを選びますか?
考え方の1つとして、疲れやすい時期ならビタミンB1が多い大豆、老齢期を迎え酸化ストレスが気になりだしたらポリフェノールが多い小豆というのはどうでしょう。

大切なペットの健康状態や年齢に応じた豆を選ぶというのもおもしろいかもしれません。
次回は小豆とこれを材料とするあんこの健康機能を紹介します。

(以上)

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執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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