お腹の健康に関する記事

ペットの栄養編: テーマ「干しイモの3つのオトク」

シリーズで乾燥食材について話をしています。前回はフリーズドライ食材、前々回はドライフルーツを紹介しましたが、今回は昔懐かしいところでおイモを乾燥させた干しイモを取り上げます。

【干しイモの甘み】

只今、焼きイモがちょっとしたブームになっています。そういえばスーパーに買い物に行くと、石焼イモマシーンがありいい匂いがしています。ではこの石焼イモですが、なぜほんのりと甘いのでしょうか?

生イモvs加熱イモ

サツマイモを煮たり蒸したりすると甘くなります。甘みは「糖」によるものですが、サツマイモの場合、生と加熱したものとでは糖分割合が次のように大きく異なります(津久井亜紀夫 東京家政学院短期大学 2005年)。

○ブドウ糖
  …生イモ(0.7%)、加熱イモ(0%)
○ショ糖
  …生イモ(3.1%)、加熱イモ(3.2~4.5%)
○麦芽糖
…生イモ(0%)、加熱イモ(12.6~15.4%)

サツマイモは加熱をすることにより、麦芽糖という糖分が新しく生まれるということです。どうやら蒸しイモや焼きイモの甘みは、この麦芽糖が関係している様です。

デンプンの糊化

イモやコメにはたくさんのデンプンが含まれています。デンプンはその状態により次のような3つの種類に姿を変えます。

・生デンプン
…デンプンの結晶構造が規則正しくカッチリとしているもの
・糊化デンプン
…生デンプン+水分+熱により結晶構造がほぐれたもの
・老化デンプン
…糊化デンプンが時間の経過により生デンプンに近い構造に戻ったもの

炊き立てのご飯や焼きイモが軟らかくモッチリしているのは、生デンプンが加熱により糊化デンプンに変化したためです。そしてサツマイモでは、この糊化と同時にもう1つデンプンの糖化という現象が起きています。

ほんのり甘い理由

生デンプンの糊化は50~65℃という温度帯で起こるとされています。サツマイモの場合、これとちょうど同じくらいの温度でβアミラーゼという酵素が働き出します。βアミラーゼはサツマイモの糊化デンプンに作用して麦芽糖に変えます。これが糖化です。

 糖=甘いというイメージがありますが、甘さの程度にもいろいろあります。私たちが砂糖と呼んでいるショ糖の甘さを100とすると、麦芽糖は33~60と言われています。麦芽糖はほんのりとした甘さということになります。

あの焼きイモや蒸しイモなど加熱したイモの甘さは、この麦芽糖によるものです。干しイモは蒸したサツマイモの皮をむいて乾燥させたものですので、よりいっそう甘みが増している訳です。

【干しイモのビタミンC】

ジャガイモやサツマイモは炭水化物だけではなく、ビタミンCを豊富に含んだ食材でもあります。ここでは加熱とイモのビタミンCの関係について確認しましょう。

熱に強いビタミンC

ビタミンCは水に溶けやすく、熱に弱いという性質があります。するとサツマイモのビタミンCも加熱すると消失してしまうのか気になります。津久井の報告では加熱によるサツマイモのビタミンCの変化量は次のようになっています。

《100gあたりのビタミンC量》
・生のサツマイモ(29㎎)
・蒸しイモ(29㎎)
・焼きイモ(23㎎)

同じイモ類でもジャガイモの場合、生(35㎎)→蒸し(15㎎)と加熱によりビタミンCは半分以下まで消失してしまいます。このようにサツマイモのビタミンCはちょっと特別で熱に壊れにくいという性質を持っています。

甘みとビタミンCの関係

ではなぜサツマイモのビタミンCは熱に強いのでしょうか?この理由として、加熱によってできた糊化デンプンが熱からビタミンCを守っていると言われています。しかしこの理由だけではジャガイモのビタミンCが加熱によって半減した結果が説明できません。

最近、この理由として麦芽糖が関係しているという報告がありました(中村善行ら 農業・食品産業技術総合研究機構 2016年)。中村らは加熱後に麦芽糖を生成するサツマイモと生成しないイモを用いて、ビタミンCの残存量を調べました。

《加熱後のビタミンC残存率》
○麦芽糖を生成するサツマイモ
 ・ベニハルカ(56.5%)
 ・ほしキラリ(70.6%)
 ・クイックスイート(80.4%)

○麦芽糖を生成しないイモ
 ・ジャガイモ(50.9%)
 ・オキコガネ(48.6%)

オキコガネとはサツマイモの仲間ですが、ジャガイモと同じく加熱しても麦芽糖を作らないイモです。この結果から、サツマイモの麦芽糖は甘みだけでなく、熱によるビタミンCの破壊を抑える作用をもっていると考えられます。

以上よりサツマイモのビタミンCが熱に強いのは、糊化デンプンと麦芽糖の2つの成分の働きによるもの、すなわちほんのり甘い干しイモはビタミンCを豊富に含む食材であると言えます。

【干しイモの健康機能】

サツマイモの大切な成分としてもう1つ食物繊維があります。食物繊維は加熱や乾燥しても減少することはありませんので、干しイモにもたっぷり含まれています。そして、食物繊維の健康機能といえば排便の促進です。

特有成分ヤラピン

みなさんは「ヤラピン」という物質をご存知でしょうか?昔、幼稚園や小学校の行事で芋掘りをした覚えがあります。土に埋まっているサツマイモを掘り起こした時に、ちぎれたツルや葉っぱからしみ出てきた白い汁がヤラピンです。

ヤラピンはサツマイモ特有の物質で、胃の粘膜を保護したり、腸の運動を促進してくれる作用をもっています。サツマイモの排便促進作用には、このヤラピンも関係していると考えられています。

便秘改善作用

サツマイモの食物繊維やヤラピンがそのまま干しイモに引き継がれているのなら、当然便秘の改善作用も認められるだろうということで、次のような研究報告を見つけました(森直子ら 聖徳大学 2014年)。

●被験者 18~23歳の女子学生
●グループ
 便秘群(15人) …週3日以上排便のない者
非便秘群(69名) …週4日以上排便のある者
●干しイモ摂取条件 両群共に1日100g×2週間摂取

《週あたりの排便日数》
両群の1週間あたりの排便日数は、便秘群(2.6日→3.8日)、非便秘群(5.2日→5.3日)という結果でした。干しイモを食べることにより、便秘グループの人の平均排便日数は4日間/週に近づき、便秘の改善作用が確認されました。

さらにこの結果の興味深いのは便秘ではないグループの成績です。元々週に平均5.2日であった排便日数は、5.3日とほとんど変化はありませんでした。すなわち便秘薬や下剤とは違って、干しイモにはムリに排便を促す作用はないという事です。

《週あたりのオナラ回数》
よく焼きイモを食べるとオナラがプ~っと出るといいますが、実際には食べてすぐには出ません。週あたりのオナラ回数は、両群ともに増加する結果でした。

オナラは腸内細菌が食物繊維を分解することにより発生するガスです。オナラの回数が増えるということは、干しイモの摂取により食物繊維が供給され、健康的に腸内細菌が増加・活性化したということを意味しています。

このように干しイモはヤラピンと食物繊維の作用によって、便秘の人に対して健康的に排便を促進する機能があると言えます。

3つのオトク

最後に干しイモがもつ3つの特徴をまとめましょう。1つ目は「ほんのりとした甘み」です。加熱によりできた糊化デンプンは酵素の働きによって麦芽糖に変化します。これが干しのほんのりとした甘さの秘密でした。

2つ目は「熱に強いビタミンC」です。果物や葉物野菜と異なり、サツマイモに含まれるビタミンCは、デンプンと麦芽糖によって熱から守られています。これにより干しイモはビタミンCを豊富に含む食材となっています。

3つ目は「健康的な便秘改善作用」です。サツマイモに由来する特有成分ヤラピンと食物繊維の働きにより、便秘状態の人に対しての排便促進作用があります。(ただし、やっぱりオナラはよく出ますのでこの点はご承知おき下さい。)

干しイモは乾燥食品ですので保存性に富み、健康機能にも優れています。私たちヒトはもちろん、ペットのおやつにも利用したい食材です。ただしペットに干しイモを与える時に注意点が1つあります。それは誤嚥です。

干しイモには独特のねっとりとした食感がありますので、かたまりをポイっと与えるとそのまま飲み込んで食道に詰まるリスクがあります。3つのオトクをもつ干しイモはスティック状に細く切って、手にもって食べさせてあげるのが良いでしょう。

(以上)

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執筆獣医師のご紹介

獣医師 北島 崇

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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