獣医師が解説

【獣医師が解説】ペットの栄養編:テーマ「見直したい!鶏むね肉」

年末年始に限らず、幅広く料理メニューに登場するお肉といえば鶏肉です。近頃はコンビニのレジ横にフライドチキンが並んでいて、衝動買いに誘われます。今回は価格が手頃で栄養価も高い鶏肉がテーマです。

【フード食材としての鶏肉】

鶏肉はペットフードの材料としても人気があります。市販のフードでは主食となる総合栄養食はもちろん、ペースト状のおやつなどいろいろなタイプのものがあります。手作りフード派のみなさんの中では、鶏肉の登場頻度はどれくらいでしょうか?

肉用鶏:ブロイラー

このコラムでもたびたび紹介している、イヌ用手作りフードレシピ208メニューのタンパク源食材を見てみましょう(清水いと世ら京都大学2017年)。これによると肉類では豚肉(21%)、牛肉(16%)を大きく引き離して鶏肉のメニュー採用率は41%もあります。またニワトリつながりで鶏卵も17%と結構な割合で使用されています。

このように私たちはもちろん、ペットの食生活にも欠かせない食材であるニワトリですが、みなさんは同じニワトリが卵を産み、最期に鶏肉になると思ってはいませんか?ニワトリは品種の改良が進み、より多くの肉が採れる肉用鶏と毎日卵を産む卵用鶏というように別グループになっています。

スーパーで目にする「ブロイラー」というのはこの肉用鶏のことです。これに対して卵用鶏を「レイヤー」と呼びます。今回はこの内の鶏肉の栄養価について確認してみようと思います。

タンパク質と脂質

牛肉・豚肉と比べると、鶏肉はなんとなく栄養価が低いというイメージはありませんか?まずは肉類として大切なタンパク質と脂質の量を比較してみましょう(日本食品標準成分表 2015年版七訂)。

牛肉(もも赤肉)・豚肉(もも赤肉)のタンパク質は100gあたり21~22g、成鶏肉(もも、むね)は皮ありが17~20g、皮なしが22~24gとなっています。そして脂質では牛肉は10.7g、豚肉は3.6gです。対して鶏肉は皮ありが17~19gと大きい値ですが、皮なしの場合は2~5g程度になっています。

これらの数値から見ると、タンパク源として鶏肉は牛肉・豚肉に少しも劣ることはなく、特に皮なしの鶏肉は「高タンパク質・低脂肪の肉」であることが判ります。

ビタミンA

ビタミンの仲間に正式名称がレチノールというものがあります。いわゆるビタミンAです。このビタミンAは野菜や果物にはカロテンという形で含まれていて、動物の体の中でレチノール=ビタミンAに変換されます。ネコではこの変換に関係する酵素の活性が弱いためにフードに補給添加されています。

ビタミンAには皮膚や気管・腸管の粘膜といった体の表面の機能維持、視覚(=不足すると夜盲症)、さらに抗がん作用などがあります。このビタミンAを特徴的に含む肉類が鶏肉です。100gあたりの含有量は次のようになります。

《肉類のビタミンA含有量》
・牛肉(0μg)、豚肉(3μg)
・鶏もも肉 …皮あり(47μg)、皮なし(17μg)
・鶏むね肉 …皮あり(72μg)、皮なし(50μg)

ビタミンAは脂溶性ですので、肉では皮の脂肪部分に多く含まれます。鶏もも肉はこの傾向がよく見られますが、むね肉では皮なしでも高い値を示しています。以上より鶏肉、特に皮を除いた鶏むね肉は、高タンパク質・低脂肪・高ビタミンAの3拍子そろった優秀な肉であるといえます。

【もも肉vsむね肉】

スーパーで売られているお肉のうち、牛肉・豚肉はバラやロースなどに分かれていますが、鶏肉ではもも肉とむね肉があります。みなさんはどちらがお好みでしょうか?

消費者の好み

鶏肉はもも肉が売れて、むね肉は売れないという傾向があります。およその比率は、もも肉7に対してむね肉3だそうです。特に関西ではこの鶏もも肉の選好性が高いといわれています。

私たち消費者の好みは肉の取引価格からもよく判ります。この20年間の東京卸売価格の平均は、1㎏あたりもも肉は619円、むね肉は261円です(農林水産省 食鳥市場状況)。ダブルスコアをもって鶏肉ではもも肉の人気が高いということです。

うま味成分

牛肉・豚肉と比べると鶏肉にはパサパサ感があります。皮を除いた鶏肉の脂質量はむね肉(1.9g)に対してもも肉(4.8g)ですから、比較的もも肉の方がジューシーです。

もう一つの理由は味=うま味が濃いという点です。うま味にはいろいろありますが特にグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸の3つを3大うま味成分と呼んでいます。この中で鶏肉100gあたりのグルタミン酸とイノシン酸の量を比べると次のようになります(堀之内正次郎ら 宮崎県西臼杵農業改良普及センター 2016年)。

○グルタミン酸
  …もも肉(53.5㎎)>むね肉(36.5㎎)
○イノシン酸
  …もも肉(82.6㎎)<むね肉(98.1㎎)

グルタミン酸はアミノ酸であり、イノシン酸は動物細胞内の核酸物質です。肉として食べた時にダイレクトにうま味として感じやすいのはグルタミン酸ですので、私たちはもも肉の方をうま味が濃いと感じるのでしょう。

【鶏むね肉の人気】

このように栄養的には遜色がないのにも関わらず、人気面ではパッとしない鶏むね肉ですが、数年ほど前から消費量が増えてきています。それはサラダチキンのブームによるものです。

サラダチキン

みなさんはサラダチキンを購入したことはありますか?スーパーでは精肉コーナーではなく、ハムやウインナーなどと同じところに並んでいます。また生肉ではなく加工食品ですので、近頃はコンビニでも販売されています。

サラダチキンとは商品名であり、皮を取り除いて蒸した鶏むね⾁を真空パックにしたものをいいます。鶏肉は7:3の割合でもも肉が好まれているのですが、もも肉が売れれば売れるほどむね肉は余ってしまいます。長年に渡り食肉メーカーでは、むね肉の販売量拡大が大きなテーマでした。

消費量の拡大

サラダチキンは5~6年ほど前から見かけるようになった気がします。「平成29年度鶏肉調製品の消費実態調査」という資料があります(独立行政法人 農畜産業振興機構 平成30年)。これによるとサラダチキンがいつ頃から売れ出したのかが判ります。

サラダチキンを販売している全国のスーパーの割合は、2014年までは25%くらいでした。これが2015年には62%、2016年は80%、そして2017年では97%までに拡大しています。現在では、ほぼすべてのスーパーで売られているということになります。

スーパー業界には、販売店ごとに商品の人気度を示す指標があるということです。具体的にはレジを通過する1,000人あたりの商品購入金額をいいます。サラダチキンのこの金額は、2013年は165円、2014~2016年は200~300円程度でしたが、2017年には571円にまで伸びています。

このように見ると、今から5年程前からサラダチキン、すなわち皮を除いて蒸した鶏むね肉が注目されてきたということになります。ではその理由は何でしょうか?

人気の理由

調査報告書には、サラダチキンの購入理由のアンケート結果がまとめられています。この中で最も回答が多かったものは以下のようになっています。

○専業主婦(515人)
…調理の手間がはぶけるから(25%)
○単身者
20代男性(52人)…高タンパク質だから(27%)
  20代女性(52人)…低カロリーだから(25%)
  30代女性(52人)…低カロリーだから(21%)

毎日食事メニューを考えて朝昼晩三食の準備をされる専業主婦にとっては、加熱されていて真空パックになっているサラダチキンは非常に使い勝手が良い食材のようです。

これに対して単身者である20~30代男女では、調理の手間よりはその栄養内容がニーズに合っていたというのが大きな理由でした。すなわち、❶むね肉は良質のタンパク質であること ❷皮がなく脂肪を減らしていること ❸油を使わず蒸していること、の3点です。

今まで淡白でパサパサ食感のためにあまり人気がなかった鶏むね肉ですが、近頃はそのマイナス面が高タンパク質・低脂肪な食材として評価がプラスに転じてきました。こうなると毎日のペットの食事に使用される機会も増えてきます。

手作りフードの食材として鶏肉は既にスタンダードな存在です。これはタンパク源という意味合いからですが、もう一つ鶏肉、特にむね肉には特異的に含まれている健康成分があります。それはイミダゾールペプチドというものです。次回はこれについて話をしましょう。

(以上)

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執筆獣医師のご紹介

獣医師 北島 崇

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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