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「私とターコ」

私が幼稚園児の頃、桜の花が咲き始めた頃にご近所さんから一匹の子猫を譲り受けました。

自分よりも遥かに小さなその生き物は、そっと扱わないと簡単に壊れてしまうオモチャの様で、初めは怖くて中々触れなかったのを今でも覚えています。

男の子だと聞いていたけど、予防接種をして貰うために獣医さんに診てもらった際に女の子だと知った事。

タロウと名付けて呼んでいたため、苦し紛れでターコと改名するも、暫くの間は呼ぶ方も呼ばれる方も互いに戸惑った事。

外が怖いくせに玄関のドアが開くと全力で飛び出し、ドアを閉める音が聞こえると慌ててすっ飛んで帰ってくる事。

毛玉を吐かせるために河原で野草を採って帰ると、目を爛々とさせながら爪を立てて奪おうと飛び掛かってくる事。

その後、所構わず毛玉を吐くので、後始末をする為に雑巾片手に後を追いかけるのが恒例になっていた事。

一度ペットホテルに数日預けた際、怯えて何も食べなかったので、以降ペットホテルに預けれなかった事。

兄弟のいない私にとって、物心ついて以来ずっと側にいた彼女は、愛猫であると同時に手の掛かる妹の様な存在でした。

彼女が家族になって二十数年後、桜の花が散り始めた頃に彼女は老衰でそっと息を引き取りました。

別れを告げるためか、最期に弱々しく鳴いた声を聞いた時、惜別と感謝で胸の中がごちゃ混ぜになりながら応えました。

『長生きしてくれて、ほんまにありがとな。』と。

春になって桜の花を見ると、自然と彼女の事を想い出します。

いつか自分の中で、別れの辛さと、共に生きる喜びの均衡がとれたら、また猫と暮らしたいなと思っています。

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