愛犬・愛猫のための腎臓のお勉強(2)良質のタンパク質って?
「腎臓トラブルを改善しようと食事のことをいろいろネットで調べると『低タンパク』『良質のタンパク質』ってキーワードが出てきますが『良質のタンパク質』っていったい何?」お電話相談で受けたご質問があります。
どうしてもネットの情報などで低タンパクを推奨されがちですが、重要視するところはたんぱく質の品質と腎臓の負担となるリンがどれくらい含まれているかです。
以下獣医師が解説より一文を抜粋します
海外の研究報告で次のような実験をしたものがあります(Fincoら1992年)。
●供試犬 腎臓機能が低下したイヌ48頭
●タンパク質とPの量を調整した4種類のフードを2年間給与
フードA:タンパク質(32%)、P(0.4%)
フードB:タンパク質(32%)、P(1.4%)
フードC:タンパク質(16%)、P(0.4%)
フードD:タンパク質(16%)、P(1.4%)
●結果 イヌの生存率はフードAおよびCにおいて有意に高かった
また同様に低Pフードを与えることにより、慢性腎臓病のイヌ(Jacob 2002年)やネコ(Elliott 2000年)の生存期間が延長したという報告もあります。
このように慢性腎臓病のペットにおいて制限すべきフード成分は、肉類(タンパク質)というよりはP(リン)ということになります。
タンパク質は
アミノ酸の集合体です
タンパク質はアミノ酸の集合体です。よって良質なタンパク質の食材=アミノ酸スコア100&品質が良い食材と考えられます。
腎臓病の食事で一般的に病院などで言われる適した食事は「低タンパクで低カロリーの食事」です。高タンパク食は腎臓の血流(糸球体ろ過)を増やし、食事に含まれるたんぱく質量を減らせば腎臓の働きも減り、それが腎臓を傷めないことになる、と考えられているからです。
しかし、低タンパクの食事を与えることによって腎臓病発病を防ぐことは出来ず、また高タンパク食が腎臓を過労させることはないと昨今の研究で分かって来ました。腎臓病疾患者にとっては、高品質の消化の高いタンパク質でなおかつ低リンの摂取が望ましいです。
そこで、高タンパクの食材で、腎臓に負担をかけない低リンの素材をここでご紹介させていただきます。
腎臓を患ってくると食欲も減退する子も多いです。
いろいろな素材で食事を少しでも楽しんでもらえたら嬉しく思います。
腎臓豆知識その1
「腎」は「恐怖」の感情とつながっていると言われています。(ちなみに肝臓は「怒り」)生まれつき腎臓の弱い子は他の子に比べて怖がりになったり、神経質になったり皮膚をかゆがったりする場合があるそうです。
腎臓に負担をかけない
良質な低リン食材
肉類は脂肪分が高い方がリンの含有量が少ないので「バラ肉」や「脂身」が多い部位を使う方が腎臓食には向いています。
腎結石の形成を減らしてくれる
カルシウムの働き
カルシウムは体内の血液中の過剰なリンと結合し、腎結石の形成を減らしてくれるので積極的にとることをおすすめします。
おすすめのカルシウム摂取方法
卵の殻を洗って乾かし、プロセッサーやコーヒー豆のグラインダーで顆粒状にして、ごはんに混ぜてあげましょう。
腎臓豆知識その2
オメガ3脂肪酸は犬の腎臓病の悪化を遅らせることが見出されています。オメガ3の抗炎症作用は腎臓の炎症を軽減し、腎臓への血流を改善することができます。
「東洋医学」と「西洋医学」では、腎臓ケアへのアプローチが違っています。
西洋は「低タンパク食」と「低塩食」で腎臓へのダメージを減らしますが、東洋では、タンパク質や塩分を減らすというアプローチではなく「良質のタンパク質と、植物による後方支援」という「食材の性質を重視」した療法だそうです。
皆さまの愛犬・愛猫に合った腎臓ケアを見つけてあげて下さい