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【獣医師が解説】肝臓をいたわる食事とは

肝臓をいたわる食事とは

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私たち動物において腎臓と共に「沈黙の臓器」と呼ばれているのが肝臓です。今回は肝臓をいたわる食事について考えてみましょう。

肝臓のしごと

腎臓は尿の生成、肺は呼吸というように体の臓器はそれぞれの役割が決まっています。では肝臓は何をしているのでしょうか?

実は肝臓のしごとは多すぎて一言ではいえないというのが答えです。ここでは何とかがんばって次の4つにまとめてみました。

代謝

代謝とは簡単にいうと体の中でエネルギーを産生したり、貯蔵したりする一連の作業ことです。このエネルギーを作りだす材料としてタンパク質や脂肪、炭水化物などの栄養素があります。

解毒

解毒と聞くと少し怖い感じがしますが、実はけっこう身近な場面で見られます。体にとって有害な物質を分解する作業のことです。

●アルコール
(ペットの場合はさておき)お酒の飲み過ぎで肝臓をこわす、というのはこれ
のことです。

●毒物
誤って取り込んだ毒物や食物中のカビ毒などを分解します。

●薬
飲み薬や注射薬などの治療薬も時間をかけて少しずつ分解してゆきます。何時間ごとに薬を飲まなければならない、というのはこのためです。

●アンモニア
解毒のはたらきとして最も大切なものにアンモニアの分解があります。

肉や魚などタンパク質を摂るとアミノ酸に消化され、最後にはアンモニアが
できます。

鼻にツーンとくるアンモニアは体を作っている細胞にとって猛毒です。しかし肉類を食べるとアンモニアは必ずできてきます。肝臓は毎日毎日、猛毒であるアンモニアを尿素という物質に解毒・変換しているのです。

生成

肝臓は分解だけでなく体に大切なものも生成しています。

胆汁(たんじゅう)は脂肪の消化に関わる黄色い消化液です。肝臓で作られて十二指腸で食べた物と混ざります。(ウンチが褐色をしているのはこの胆汁の色です)

また血液中に溶けているタンパク質の一つである血漿アルブミンというものも肝臓で作られています。血液検査を受けるとこのアルブミンの数値によって栄養度の過不足がチェックされます。

その他

これらの他にビタミンA、D、Eなど脂に溶けるタイプの脂溶性ビタミンや前回のコラムで登場した非常事態用の糖源であるグリコーゲンはこの肝臓で貯蔵されています。

このように肝臓はいろいろな物質の分解・合成・変換などを行っているため「からだの中の化学工場」と呼ばれています。

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肝臓疾患

ではこの肝臓が病気になるとどのような症状が現れるでしょう?

受診率

肝臓が悪くなり動物病院で診療を受ける割合は高くありません。アニコム家庭どうぶつ白書2017年版ではイヌは全体の5.3%(第8位)、ネコでは1.9%(第11位)と報告されています。

肝臓は具合が悪くなっても初期段階では、少し活発さが無くなりぼんやりする程度の変化しか認められません。また食欲も減退しますが「なんだか元気がないなあ」と思うぐらいの症状です。これが低い受診率の理由でもあります。

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肝臓が沈黙の臓器と呼ばれるのは、相当重症にならないと特徴的な症状が確認できないためです。次にその肝臓疾患の3大症状を説明しましょう。

①黄疸

古くなった赤血球が脾臓で処理されるとビリルビンという黄色い色素ができます。ビリルビンは肝臓に運ばれて胆汁と混ざり腸管内に排出されます。

しかし肝臓の不具合でこのビリルビンが血液中に流れ込み、その結果全身の皮膚などが黄色に染まる状態が黄疸です。

イヌやネコの場合、黄疸が出ていても全身が被毛で覆われているため発見が遅れてしまいます。歯ぐきが黄色く変化することで確認されます。

②腹水

腹水はお腹に水がたまる状態をいいます。この水は血管(血液)からしみ出てきたものですが、なぜ肝臓が悪くなると水分が出てくるのでしょうか?

肝臓ではアルブミンというタンパク質を生成していることを述べました。体内の水分はこのアルブミンを探して移動するため、血漿アルブミンは血液中の水分調整役を担っていることになります。

これより、肝臓が悪くなる→血漿アルブミンが減少する→血液中の水分は他の部位のアルブミンを探しに血管から出て行く→しみ出た水分がお腹にたまる(=腹水)、ということになります。

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③肝性脳症

肝臓疾患で最も特徴的な症状がこの脳症です。肝臓が悪くなると脳に影響が出るというものです。

先程、肝臓のしごととして「解毒:アンモニア」を紹介しました。タンパク質が脂肪や炭水化物と異なる点は窒素(N)を含んでいることです。このためタンパク質が消化・分解されるとアンモニア(NH3)ができます。

アンモニア(NH3)はこのままでは有毒ですので、肝臓において無毒な尿素に解毒・変換されて、腎臓を経由して尿と一緒に排出されます。

肝臓が悪くなると解毒ができなくなり、アンモニアはそのまま血流に乗って全身を回ります。そして脳にまで届き“ふるえ、旋回運動、攻撃性、昏睡”など種々の神経症状を示す脳症を引き起こすというわけです。

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肝臓をいたわる食事

食事の工夫や栄養素の摂取によっても肝臓疾患を予防することは難しいのですが、食事療法としての症状の緩和策はいくつかあります。

低タンパク食

肝臓疾患における食事療法の基本的な考え方は“低タンパク食”です。タンパク質に由来するアンモニアを解毒する能力が低下しているためです。

良質のタンパク質(=肉)を必要最小量摂取することが基本方針になります。同時にエネルギー源を炭水化物へシフトさせます。

BCAAの補給

イヌやネコにおいての報告はないのですが、肝臓疾患のヒトでは血液中の特定のアミノ酸が減少しているという報告が多数あります。この減少するアミノ酸とはBCAA(分岐鎖アミノ酸)でバリン、ロイシン、イソロイシンの3つを指します。

劇症肝炎の患者8名の血液中のアミノ酸濃度を測定した報告があります(岡山大学渡辺明治 氏ら1979年)。結果としてBCAAの3アミノ酸は、それぞれの標準値に対して30%前後の減少を示していました。これは一体どのような理由によるものでしょうか?

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肝臓の機能が低下して猛毒のアンモニアが解毒できなくなると、代わりに他の部位が分解を担当します。この部位が筋肉です。

筋肉は肝臓のピンチヒッターとしてアンモニアを一生懸命分解してゆきます。この時にBCAAがどんどん消費されます。BCAAは筋肉が活動するための燃料の役割をしているわけです。

またBCAAはアミノ酸ですので、先程述べました血漿アルブミンの材料にもなります。すなわち腹水の予防にも関わっているのです(兵庫医科大学榎本平之ら 2006年)。

アミノ酸BCAAを補給することは肝臓ケアに有用であると考えられます。

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カルニチンの補給

肝臓サポートの療法食の内容を見てみますとカルニチンが配合されています。このカルニチンとは一体何でしょうか?

カルニチンは脂肪の代謝やエネルギーの産生に不可欠な栄養素で、その正体は“ビタミン様物質”というものです。厳密にはビタミンではありませんがその仲間ということで“ビタミンBt”などとも呼ばれています。

脂肪の燃焼が一番のしごとですから、肝臓の機能が低下している場合のサポート食に配合されているということです。

このカルニチンを多く含む食材は肉です。肉といっても様々な種類がありますが、カルニチンの含有量について調査した報告がいくつかあります。

これらのデータをまとめてみましたので最後に紹介しましょう(椙山女学園大学多田真瑳子 氏ら 1984年、実践女子大学田島 眞 氏2009年他)

みなさんも何かの資料でカルニチンの含有量データをみる機会があると思いますが注意点があります。カルニチンは肉の部位によって大きく違いがあるのです。

牛肉ではランプ部分(約130mg/100g)とヒレ・肩・モモ(約60mg/100g)では2倍以上もの差があります。なお今回はペットフード原料としてモモの値を採用しました。

私も文献を読んで驚いたのですが、意外なことにシカ肉(117.4mg/100g)はカルニチン最も多く含む肉の1つでした。シカ肉は赤身で良質なタンパク源ですので、今後はフード原料として注目されてくるでしょう。

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肝臓をいたわるお勧めアイテム

BCAAを配合した良質なたんぱく質源

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カルニチンが豊富なたんぱく質源

L-カルニチンが豊富な生肉は体内の脂肪を燃焼させるので胆汁の分泌の働きを支えます。

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ビタミンA・B群や鉄分が豊富で肝臓の健康食材にお勧め。


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肝臓をいたわるサプリメント

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今回は肝臓をいたわる食事について解説しました。冒頭でも述べましたが肝臓は沈黙の臓器と呼ばれています。たいへん我慢強い代わりに一旦悪くなると回復が望めません。

肝臓は日頃気に掛ける臓器ではありませんが、ここでもペットオーナーのみなさんの毎日の観察(元気、食欲、黄疸、腹水、ふるえなど)が肝臓疾患の早期発見・早期治療につながることは間違いありません。

執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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