ペットとの生活に関する記事

ペットとの生活編: テーマ「ペット用ベッドの洗濯」

ペット用ベッドの洗濯

ペットと生活を共にしているオーナーのうち、毎日一緒に寝ている方は全体の1/3、そして寝る時は別々というオーナーも同じく1/3です。一緒には寝ない理由として「衛生面の考慮」があげられています。今回はペットが使っているベッドの洗濯と除菌がテーマです。

【ペットとヒトの皮膚疾患】

ペットもヒトもいろいろな病気に罹りますが、その中で比較的一般なものとして皮膚疾患があります。皮膚科で診療を受けたイヌ、ネコ、ヒトにおいて罹患頻度の高いもの、すなわち日常的な皮膚疾患をジャンル別にまとめた報告がありますので確認しましょう(永田雅彦ら ASC皮膚科 2010年)。

イヌに多い皮膚疾患

イヌ1,407頭(2,084件)の皮膚疾患のジャンル別トップ3は次のようになっています。ここに出てくる皮膚心身症とは、舐め癖や引っ掻き癖などによるもの、アレルギー系とは食物アレルギーやアトピーなどをいいます。

《イヌの日常的皮膚疾患》
第1位:感染症(60.5%) 
第2位:皮膚心身症(24.3%)
第3位:アレルギー系(17.8%)

ネコに多い皮膚疾患

ネコ178頭(268件)の皮膚疾患のジャンル別トップ3は次のとおりです。イヌに比べてネコにおいては受診件数が少なく、また疾患の種類が多いのが特徴のようです。

《ネコの日常的皮膚疾患》
第1位:皮膚心身症(38.2%) 
第2位:皮膚炎・湿疹(16.3%)
第3位:感染症(11.2%)

ヒトに多い皮膚疾患

ヒト24,657人(58,511件)の皮膚疾患のジャンル別トップ3は次のようになっています。ペットと異なりヒトの場合、カブレといった皮膚炎・湿疹、ミズムシなどの皮膚糸状菌の感染、乾皮症などが圧倒的に多い結果でした。

《ヒトの日常的皮膚疾患》
第1位:皮膚炎・湿疹(51.1%) 
第2位:感染症(26.0%)
第3位:皮膚腫瘍(4.8%)

このように動物種により日常的に罹る皮膚疾患の原因や種類は異なりますが、共通して細菌やカビやノミ・ダニといった微生物による感染症が高い罹患率を示していることが判ります。

毎日の生活で私たちの皮膚が微生物の感染を受ける場として寝具があります。気付かないうちに布団やシーツには細菌やカビ、ダニなどが棲みつき、これらが皮膚疾患の原因となっていることもあります。そしてこの寝具を経由した皮膚の感染リスクはペットにおいても考えられます。

ペットとヒトの日常的な皮膚疾患

【ペット用ベッドの微生物】

前回はペットと一緒に寝ていないヒトの寝具にも結構な数の細菌やカビ、ダニが生息していることを紹介しました。ではペット専用のベッドにはどれくらいの微生物が存在しているのでしょうか?少し意外な結果が見られます。

大腸菌

東京農工大学の林谷秀樹らは、室内で飼われているイヌやネコが使用している寝具の微生物調査を行っています(2016年)。検体はベッドの敷物、クッション、タオル、毛布などの布製品で使用期間は以下のとおりです。

《供試検体と使用期間》
検体A(21検体) …2週間使用(ネコのデータなし)
検体B(26検体) …4週間使用
検体C(23検体) …2週間~1年間使用

それぞれの検体における大腸菌の検出率(検出された検体数/供試検体数)を算出したところ、イヌでは2週間使用していただけでも19%を示し使用期間に伴いその値は上昇していました。これに対してネコでは、4週間使用の検体にのみ28.6%を示しましたが全体に低い検出率でした。

ペット用ベッドに付着する大腸菌

パスツレラ菌

ペットからヒトに感染する病気(人獣共通感染症)にパスツレラ症というものがあります。これはパスツレラ菌という細菌によるもので、健康なイヌやネコの口内常在菌です(保有率は70~100%)。

パスツレラ菌はイヌやネコによる咬み傷や引っ掻き傷、またキスなどからヒトの体内に侵入・感染します。感染を受けたヒトは傷口が化膿したり、まれに呼吸器症や敗血症などを引き起こしたりします。

今回の調査でこのパスツレラ菌の検出率は5%前後と低いものの、イヌ用ベッドで確認されました。なお、ネコ用ベッドからはどの検体からも検出されませんでした。

ペット用ベッドに付着するパスツレラ菌

カビ

カビと細菌の違いとして、カビは胞子を飛ばして空気中を漂う点があげられます。カビの中でもクラドスポリウムという黒カビがアレルゲン(=アレルギーの原因物質)となっているのはこのためです。

この黒カビを含むカビの検出率は全体的に高く、イヌでは2週間使用(46.7%)、4週間使用(63.2%)、2週間~1年使用(16.7%)でした。ネコでは4週間使用(71.4%)、2週間~1年使用(60.0%)という成績で、共に大腸菌よりも高い検出率を示しました。

以上の試験データをまとめると、ペット専用ベッドに付着する微生物について次の3つのことが言えそうです。

①使用期間が短くても細菌は検出される
②使用期間に伴って検出率が高くなるわけではない
③カビの検出率は細菌よりも高い

ペット用ベッドに付着するカビ

【ペット用ベッドの洗濯・除菌】

うちのペットは専用のベッドで寝させているというオーナーのみなさん、そのベッドやクッションはどれくらいの頻度で洗濯されていますか?ヒトのシーツと比べて、ペット用ベッドの汚れや細菌の汚染は手強そうな気がします。

洗濯の除菌効果

近頃はペット専用の洗濯洗剤が市販されています。前出の林谷らは、イヌが2週間~1年間使用した布製シーツ7例に付着する細菌が洗濯によりどれくらい取り除かれるのかを調べています(2016年)。

これによると、使用済みベッドシーツ100cm2あたり洗濯前10万~40億個いた細菌が、洗濯後は1例を除き検出限界以下の1,000個未満まで除菌されていました。なお、この実験で使用されたペット専用洗濯洗剤には、4級アンモニウムカチオン界面活性剤という抗菌成分が配合されています。

布製のシーツやベッドカバーなど繰り返し使用できるペットの寝具は、洗濯によって付着する細菌の除菌は十分可能であることが確認されました。

ペット用布製シーツの洗濯効果

青カビの除菌

先程の調査結果によると、ペットがベッドで使用していたシーツやクッション、タオルには細菌と並んでカビが高率に付着していました。

細菌と比べてカビは、アルコールなどの消毒剤が効きにくい性状をもっています。このためカビの除菌には強力な塩素系漂白剤がよく用いられますが、独特の匂いが気になるため寝具の消毒には使いづらいのが現状です。

大阪市立環境科学研究所の濱田信夫らは、カビに対する漂白剤の殺菌効果について次のような報告をしています(2002年)。

●試験液 水に合成洗剤、漂白剤、カビを添加
●供試カビ 青カビ、黒カビ
●漂白剤濃度 
  酸素系漂白剤 …0.33%(漬け置き使用濃度)
塩素系漂白剤 …1.00%(漬け置き使用濃度)
●殺菌条件
  水温 …25℃、30℃、35℃、40℃
殺菌時間 …15分間

青カビの測定結果では、漂白剤の除菌効果は水温が高くなるほど上昇する傾向が確認されました。実験開始時の青カビの菌数を100とした場合、水温35℃では酸素系、塩素系共に残存割合は0%でした。

洗剤+漂白剤のカビ殺菌効果(青カビ)

黒カビの除菌

同様に黒カビに対しても除菌効果は水温が高くなるほど上昇する傾向がありましたが、青カビと比べると少々手強い結果となっていました。

《水温と残存率》
25℃ …酸素系(103%)、塩素系(59%)
30℃ …酸素系(62%)、塩素系(56%)
35℃ …酸素系(9%)、塩素系(0%)

この実験で用いられた黒カビはアレルギーの原因となるクラドスポリウムという種類のものです。このようにカビの種類によっては漂白剤の殺菌効果には差がありましたが、水温35℃で15分間の漬け置きにより、強敵である黒カビに対しても酸素系漂白剤は有効であることが確認できました。(ベッドカバーなどは材質により漂白できないものがありますのでご注意下さい!)

洗剤+漂白剤のカビ殺菌効果(黒カビ)

微生物感染による皮膚疾患や、カビ・ノミ・ダニを原因とするアレルギーは、ヒトだけではなくペットの健康も害します。ヒトとペットが一緒に暮らすということは、いろいろなものを共有し触合うということであり、その1つに寝具があります。

私たちは1日の1/3は眠っています。従って、シーツや枕カバーが汚れていたり、細菌やカビなど微生物が棲みついているとそれだけ感染リスクも高くなります。ペットと一緒に眠るオーナーも別々に眠るオーナーも、ヒトの寝具ペットの寝具のこまめな洗濯・除菌を心掛けるようにして下さい。

(以上)

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執筆獣医師のご紹介

獣医師 北島 崇

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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