獣医師が解説

【獣医師が解説】ペットとの生活編:テーマ「ペットと芳香剤」

いつの間にか一気に温かくなり、このGW中には25℃越えの夏日も予想されています。気温の上昇に伴い気になりだすのが「におい」です。特にペットを飼われている家庭では、来客時にペットのにおいは大丈夫かと少なからず心配されているのではないでしょうか?

【気になる家のにおい】

ペットオーナーの皆さんには少々ショッキングなアンケート結果を紹介します。他人の家を訪問した時、何かにおいが気になったことはありますか?というものです。では詳しくその内容を見てみることにしましょう。

他人の家のにおい

20~60代以上の既婚女性555人に聞き取り調査をした結果によると、他人の家に行ってにおいが気になったことがあると答えた人の割合は全体の70.5%ということです(㈱LIXIL住宅研究所 2023年)。

そしてそのにおいの内容のトップ3は第1位:ペットのにおい(26.8%)、第2位:特定できない何かのにおい(24.3%)、第3位:タバコのにおい(22.2%)となっています。近頃は第2位の特定できないにおいを「生活臭」などと呼んでいます。

ここで注目したいのは第4位にあがった芳香剤(21.1%)という回答です。においに敏感な女性にとってはペットや生活臭対策の芳香剤も強すぎると逆に「気になる」と感じてしまうのでしょう。

自宅のにおい対策

皆さんは自宅のにおい対策として何を行っていますか?この質問への回答で最も多かったものが換気の実施(42.2%)、次に早めのゴミ出し(33.3%)、こまめな洗濯(32.1%)です。そしてこれらに続いて第4位:玄関先/トイレの芳香剤使用(31.2%)、第7位:スプレー式の消臭剤使用(23.4%)、第10位:アロマの使用(10.8%)と回答されています。

ゴミや洗濯物といったにおいの原因が判っているものの対処は簡単ですが、先ほどの特定できない何かのにおい(=生活臭)には少々困ってしまいます。回答の4位以下に芳香剤や消臭剤の利用が出てくるのはこの対応策ということと思われます。

【芳香剤の利用】

近頃テレビを見ているとトイレ、リビング、車はもちろん、衣類の消臭剤や芳香剤のCMの多いことに気が付きます。ホームセンターやドラッグストアに行くといろいろなタイプの芳香剤がズラッと並んでいますが、使用目的にはそれぞれ違いがあるようです。

芳香剤の使用目的

芳香剤は家の中でにおいが気になるトイレ、玄関、リビングで使われています。大同大学の近藤早紀の調査(2021年)によると、その使用目的はトイレとリビングでは少々異なります。

20~60代の男女合計41人を対象に聞き取り調査を行ったところ、トイレ用芳香剤の目的のトップが悪臭の除去(74%)であるの対し、リビング用では香りを楽しむ(55%)、雰囲気づくり(45%)となっています。リビングにおける芳香剤の役目はにおい対策よりも「生活の質の向上」のようです。

人気の香り

現在市販されている芳香剤の香りの種類として最も人気のものはフローラル系です。芳香剤の販売実績を40年程さかのぼると、市場全体に占めるフローラル系の割合は1980年(82%)→1990年(35%)→2000年(10%)→2010年(17%)→2015年(39%)と大きく増減しています。

香りを楽しむための近年の芳香剤は、フローラル系の他にフルーツ系(9%)、グルーン系(12%)、せっけん系(11%)など多種多様なものが販売されています(矢田英樹 小林製薬㈱ 2015年)。

【ペットと芳香剤の関係】

ペットとの暮らしでは心が癒され生活にハリが生まれますが、同時にしっかりとした管理が求められます。どんなにケアをしていてもペットににおいは付き物です。オーナーの皆さんの中には、ペットのにおい対策として芳香剤を利用している方も少なくないでしょう。

ペットのにおいと対応策

アニコム損保㈱がペットオーナー1,758人に行った調査(2010年)によると、全体の77.5%の人は「ペットのにおいを気にする」と答えています。逆に「少しにおいを感じるが気にならない」というオーナーはイヌ(21.5%)、ネコ(27.7%)であり、どちらかといえばイヌの方が少しにおいがあるようです。

ペットの気になるにおいのトップは当然ながらトイレ・排泄物(47.9%)であり、次いで口臭(43.1%)、体臭(42.0%)、耳(25.7%)となっています。この中で口臭は歯垢・歯石の沈着や歯周病、また耳のにおいは外耳炎のサインでもありますので、動物病院への相談をお薦めします。

ではペットのにおいに対してオーナーの皆さんはどのような対策を行っているのでしょうか。調査結果では第1位:シャンプー・歯磨き・耳そうじなどの定期的なお手入れの実施(67.5%)、第2位:ケージ・トイレの念入りなそうじ(41.5%)、第3位:消臭剤(38.4%)となっており、第7位に芳香剤の利用(13.0%)があがっています。

もちろんこの芳香剤の利用はシャンプーやケージのそうじを行った上での併用と思われます。ではここで問題です。皆さんが利用しているリビングの芳香剤ですが、その香りの強さはペットに適しているのでしょうか?

ペットに適した芳香剤の強さ

数ある香りの中でラベンダーには私たちの気分をゆったりとさせる作用があります。同様にこのラベンダーの香りがイヌに対してもリラックス効果が認められるのかを確認した報告を紹介します(福澤めぐみ 日本大学 2014年)。試験設定は以下のとおりです。

●供試犬 アロマを嗅いだことのないイヌ8頭(平均 31.0 ヶ月齢)
●被験品 市販のラベンダー精油
●グループ 1日1回3日間吸入させる
  無対照 …においなし
  1/3量 …ヒト推奨量の1/3量を部屋に拡散させる
  1/2量 …ヒト推奨量の1/2量を   〃
●観察項目
  30分間の吸入中の姿勢および行動

ラベンダー精油吸入中の姿勢として立位(立っている状態)時間を測定し、無対照を(100)として算出したところ1/3量は(57)、1/2量は(29)となりました。また伏横臥(丸まって横になる状態)では無対照(100)に対し1/3量(84)、1/2量(113)という結果でした。

一般に立位よりも横臥状態は休息レベルが高いとされていることから、イヌもラベンダーの香りを嗅ぐとゆったりとした気分になるようです。

次にラベンダー吸入30分間に供試犬が行ったパンティングの合計時間を確認します。測定結果は無対照が66.92秒であったのに対し1/3量は35.00秒、1/2量では7.46秒と明らかな差が見られました。

パンティングは不安や緊張のサインです。香りがない無対照や1/3量の香りよりも1/2量で供試犬のストレスは大幅に軽減されました。以上より、優れた嗅覚をもつイヌに対してラベンダーのリラックス効果は、私たちヒト推奨量の半分の香りの強さでも十分有効であると考えられます。

ペットのにおいは、オーナーの皆さん共通の心配事です。ペットのトイレのにおいや体臭を別のにおいで隠すのではなく、第一に行うべきはシャンプーやケージのそうじといった日々の管理です。芳香剤やアロマはケアとの併用が原則であり、この時ペットのために香りは控え目にしたほうが良いと考えられます。

次回は香りというものが動物の脳機能や食欲に大きく影響するという話をしましょう。

(以上)

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執筆獣医師のご紹介

獣医師 北島 崇

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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