念願の最初の愛犬「ジジ」
そんな幼少期の出来事がきっかけで、犬が好きになった私は、
「犬が欲しい！犬が飼いたい！」
と口癖のように訴えるようになりました。
それでも、両親には、一切取り合ってもらえませんでした。
事あるごとに
「犬が欲しい」
という為、母親には、
「口開いたら犬欲しいしか言われへんのかッ怒」
といつも怒られていました。
共働きの母親にとって、犬なんてとんでもないという感じでした。
高校生になり、アルバイトをするようになって、自分のお小遣いは自分で稼ぐようになりました。
そして、私の犬好きを知っていた親せきのお姉ちゃんが、
知人が子犬を“安く”譲ってくれるらしいけど、飼う？と声をかけてくれました。
アルバイトのわずかなお小遣いの私にとって、“安く譲ってくれる”は、魅力的な言葉で、
しかも、小型犬の子犬！（賃貸の為、小型犬しか無理でした）
即答で飼う事を決めました。
そしてやってきたのが、念願の愛犬「ジジ」（ヨークシャテリア・女の子）です。
正直、ヨークシャテリアが好きで飼ったということではなく、たまたまヨークシャテリアだったのです。
初めての愛犬にはまりすぎ、、、
初めて飼う犬。
まじめに考えすぎて、ちょっとしたことでも不安で、しょっちゅう獣医さんに行きました。
恵まれたことに、「ジジ」はとても穏やかで性格が良かった為に、
しつけなどにも苦労せず、ますます、犬が好きになりました。
そのうち、まだ、大人にもなっていない「ジジ」を見つめているだけで、
「もし、ジジが死んだらどうしよう・・・涙」
などと、もう死ぬ時のことまで考えて、涙が出てしまうほど重症でした。
トリミングに出すのが不安で、自分で全てカットもシャンプーもしていました。
その後、私はトリマーの道へ進みましたので、結局、「ジジ」は、一度も私以外にトリミングをされることはありませんでした。
この経験から、飼い主様にとって、愛犬を預けることがどれほど不安か理解しながら、
現在もトリミングを含めた店舗運営を心掛けているつもりです。
〜ここでひとやすみ〜
愛犬、あるあるエピソードベスト3「ジジ」編
�±嫂箸里�出かけ服
おしゃれなボタンが気に入って少ないバイト代で買った渾身のジャケットとスカートのセットアップ。
お出かけ用に一度来て出かけた翌朝、
ボタンが全て見事に外され、あたりにボロボロで散乱していた。「ジジ」2歳、やんちゃ盛り。
�▲札�セイインコ
10年近く飼っていたセキセイインコが亡くなり、タオルに寝かしてあげていた時。
ちょっと目を離すとバタバタと音が。おもちゃと思って振り回す愛犬の姿が。「コラーッッ！！！」
キョトンとして、くわえたインコをボトリと落とす。「ジジ」3ヶ月、何も知らない子犬。
��10秒の早業
留守番嫌いの「ジジ」は、最後の家族が出ていく時、
これ以上ないさみしい顔で玄関までついてくる。
毎日、心苦しく家を出ていた私が、ドアを閉めた瞬間忘れ物を思い出し、
もう一度部屋に入ると、もうすでにテーブルの上に「ジジ」は、いた。
「ジジ」3歳、さみしさもいたずらで紛らわすことを覚えた青春時代。
家族が好きでさみしがり屋、ポテッと太って、甘えたの「ジジ」
「ジジ」は、ヨーキーとはいえ、なかなかボテっとして、3.8ｋｇほど大き目の体、
耳は大きく垂れ耳、ちょっとガニ股という、正直、ずんぐりむっくりのヨーキーらしくないヨーキーでした。
食べることが大好きで、甘えた、さみしがりで留守番が嫌い、帰宅すると、家じゅう駆け回り全身で大喜びしました。
家族の誰かが一人でもリビングにいると、最後までリビングで一緒に過ごしてくれました。
先に寝るなんてことは絶対しませんでした。
「少し後悔した母娘関係」
「ジジ」は、4歳で出産をしました。
「ジジ」の子孫を残しておきたかったのです。
でも、出産後、娘犬「キキ」と生活するようになってから、
本当は甘えたいのに、「キキ」に負けて遠慮するようになってしまいました。
出産させなかったほうがよかったなぁと後悔したこともあります。
両親は、小さな体の娘犬「キキ」を贔屓する傾向があり、「ジジ」もそのことをわかっていました。
でも、私にとって、「ジジ」が一番かわいいことに変わりがありませんでした。
私は、何をしても「ジジ」の味方で、「ジジ」を一番にかわいがり、全て「ジジ」中心に愛情を注ぎました。
「ジジ」自身もそれを良く理解していて、私にだけは堂々と甘えてきました。
「ジジ」は、私が食事の際に、必ず、膝の上に乗ってきて、食卓に顔を並べていました。
そんなことをするのも、私にだけでした。
他の家族の膝の上は「キキ」に独占されていましたが、私の膝だけは「ジジ」が独占です。
「乳腺腫瘍、リンパへの転移、心臓疾患」
確か、10歳を迎える前頃には、小さな乳腺腫瘍ができていました。
私は、手術や薬での治療ではなく、腫瘍と共存しながら、自然治癒力を高めることで
長生きしてもらいたいという考え方だったので（今でもそうですが）
治療はしませんでした。
12歳を迎えた頃、急に腫瘍が大きくはれ上がり、破裂をして、出血や膿が出るようになりました。
傷口はふさがったり、開いたりを繰り返していました。
おそらく、体調の良しあしで腫瘍の状態も大きく左右されていたような気がします。
12歳という高齢に入り、腫瘍の勢いが勝ってきたという感じでした。
ある日、実家の母から「ジジ」が真っ赤なおしっこをしたと連絡がありました。そして、元気もなく、食欲もあまりない。
病院に連れて行くと、手術したほうがいいといわれたといいます。
手術をしたくない私は、話しを聞きに行きました。
内容は、破裂していた腫瘍が原因で肝臓の数値が危険レベルになっているということです。
腫瘍から出る臭いを放つような膿は、毒素を含んでいて、傷口に出ているよりもっと多くの膿を体の内側にも出している。
結果的にその毒素が体に回り、解毒の役割をする肝臓機能が追いつかなくなっている。この腫瘍を放置しておくと、毒素を出し続けてるので、肝機能はますます低下するとのことです。
・手術をしたくない、手術をしたら早く転移したりするのではないか？
・手術するなら、一部じゃなく、乳腺全部取らないと転移しますよね？
・全身麻酔して大丈夫ですか？麻酔から目が覚めますか？
私は自分の不安や思いを質問しました。
手術により、結果的に転移を早め、何度も何度も手術を繰り返し、ボロボロになって亡くなっていった子を私は何度も見てきました。
あんなに元気だった子が、、、手術しなければもっと元気に生きていたのではないかと、
いつも心で悔しい思いをしていました。
麻酔から覚めずに亡くなった子も見てきました。
手術が腫瘍に対していい結果に結びつくとは考えられなかったのです。
私の不安や思いに対しての答えはわかりやすく、シンプルでした。
転移の可能性はもちろんあるけど、有毒な膿を出し続ける腫瘍をこのままにしておくと、
毒により肝機能は低下して、体力も落ちて、「ジジ」はずっとしんどい。
毒を出す原因を取り除いたら体力も戻ってごはんもおいしく食べられる。
そして、麻酔についても麻酔は肝臓の数値を見ながら調整するので、目が覚めないほどの麻酔量は決してしない。
自分が手術をする限りは麻酔から覚めないとうことは絶対にないと説明してくれました。
私は、よほどの外科的なことがない限り、病院で病気を治そうと思っていない主義ですが、
この先生だけは、プロとして信頼しています。たまたま近所だったのですが、なんともラッキーです。
それから、1ヶ月半ほど、まずは手術に耐えれる肝臓に戻す為の点滴治療を続けて、少し体力が回復してから手術をすることになりました。
手術は、横で見せてくれました。
愛犬の手術の様子は全く怖いとも気持ち悪いとも思わないものです。
何個かあった腫瘍を全て取り除く予定でしたが、「ジジ」の体力が弱っていた為、
これ以上の時間をかけての手術は危険ということで、結果的に大きな腫瘍ともう一つのみしかとれず、
残りは「ジジ」の体力がもっと戻ってから、再度手術することになりました。
翌朝、迎えに行くと「ジジ」は見違えるように元気になっていました。良かったと思いました。
その後、検査結果が出て、すでにリンパに転移していたことがわかり、その後予定していた手術は意味がないということでしませんでした。
それから、とにかく、あとは、少しでも腫瘍を怒らせず、共存しながら、悪さをするのを遅らせようと、
生食・フード、そして、いいと思うサプリメントは徹底的に調べ、全て試しました。
もちろん、当店のその頃扱っていたサプリメントは全部あげる勢いでした。
「ジジ」のごはんは、フードが見えなくなるくらいサプリメントや食品が一杯かかっていました。
後悔しないように、できることはしました。
おかげさまで「ジジ」も体力が戻ってきて、元気な老犬としてもりもり食べて、
大好きな散歩に欠かさずいって、のんびりした老後をおくっていました。
「心臓疾患の悪化」
15歳を迎えるころには、心臓が悪化し、常に咳をするようになっていました。
原因は肥満だと思います。
ということは、間違いなく、飼い主の責任なのです。
食事はその頃、最善と思うものをあげていました。
ワイソンが出てからは、ワイソン、後半は生肉や手作りもしていました。
ジャーキーなどのおやつは一切与えず、甘いものも避けていました。
でも、「ジジ」は、細くて太らない娘犬「キキ」と
同じ食事や生活をしているとは思えないほどの肥満体質でした。
おそらく、かなり節制を心掛けないといけなかったはずです。
年齢を重ねるごとに、咳の状態は悪くなり、大好きなお散歩も体がついてこなくなってきました。
そんな「ジジ」の姿を見て、私は、もういつどうなるかわからないという覚悟をするようになっていました。
少しでも「ジジ」の顔を見るために、週に2回は実家に戻るようにしました。
仕事が終わって、実家に帰ると11時前になっていることも多く、
翌朝には仕事に出るので、本当に会いに帰るだけですが、それでも時間を惜しんで帰っていました。
時間が迫っている実感があったのです。
「悩んだ2度目の手術」
1回目の手術から2年半。
いよいよ、残りの腫瘍の一つがまた赤くはれ上がってきました。
膿が出て、元気がなくなりました。
先生の提案は、手術です。
このころには「ジジ」も老犬となり、どうせ長くはない命を手術で辛い思いをさせるのはどうなのか
また、リンパへの転移がある以上、手術は本当にただの対処療法なだけで、
体力を消耗させるだけだという考えもありました。
前のように先生に不安や質問をぶつけました。先生の応えはまたシンプルでした。
「後は、死ぬまでの過ごし方の問題やと思ってる。
どっちにしてもこの子、もうそんなに生きられへんよ。1年も生きないと思う。
この子、ガンでは、絶対に死なない。ガンの前に、まず、心臓がもうもたないから。
手術しなかったら、何ヶ月か長生きするかもしれない。
でも、しんどい思いしながら何ヶ月間か長生きするか、
手術して寿命は短くなるかもしれないけど、元気にごはんおいしく食べながら死ぬか、どっちがこの子にとっていいかって考える。」
その日の夜、「ジジ」は、2度目の手術をしました。
朝、迎えに行くと、「ジジ」は、診察室でうろうろと歩き回っていました。
見違えるように元気になった「ジジ」を見て、これで良かったと思いました。
それから3ヶ月後、「ジジ」は、天国へ旅立ちました。
最後はやはり心臓発作でした。
亡くなる前の夜、私は、偶然「ジジ」に会いに実家に戻っていました。
おそらく、「ジジ」が最後の元気な姿を私に見せようと呼んでくれていたのでしょう。
いつものように「ジジ」を膝に乗せて食事をし、朝、散歩をして出かけました。
その夜、「ジジ」が立てなくなったという電話があり、また、そのまま夜、実家に戻りました。
そして、一晩、添い寝をしました。最後を悟ったのか「ジジ」は、夜中、何度も、
大きな声で私に何かを訴えました。精一杯の大きな声でした。
家族に看取られ、「ジジ」は、15年の命を終えました。
子犬の頃から、「ジジ」の死に恐怖を感じていた私は、
「ジジ」を見送った夜、今まで味わったことのない、激しい頭痛に襲われました。思考回路が機能しない痛みです。
「ジジ」が、私があまりに悲しむので、眠らせるために頭痛で思考回路を麻痺させてくれたのだと思いました。
その夜は、「ジジ」のことを考えることさえできませんでした。
私の初めての愛犬「ジジ」。
「ジジ」のおかげで、私は、今の仕事に歩むことになりました。
アルバイト代を叩いた「ジジ」は、何物にも代えがたいたくさんのことを教えてくれた世界一の愛犬でした。
