獣医師が解説

【獣医師が解説】ペットの栄養編:テーマ「コロナ禍の練り物人気」

手作りフード派の皆さんにおいて、ご自身の食事の購入食材とフード食材とは関係性が高いと思われます。すなわちオーナーの家庭でよく食べられているもの/よく購入されているものがペットの食事にも使用されるということです。では新型コロナが蔓延したこの3年間、私たちはどのような食材をよく食べていたのでしょうか?

【進む魚離れ】

「ネコは魚が好き」というのはTVのサザエさんのイメージが強いためで、海外ではイヌと同じように肉がフードとして与えられています。どうやら島国の日本では昔から魚をよく食べていることが背景にあるようです。しかし近年、日本人の魚離れが進んでいるといいます。

魚と肉の消費量

厚労省の国民健康・栄養調査によると、この20年間において1日あたりの魚介類消費量は2001年:94.0g→2019年:64.1gと減少し、代わって肉類は76.3g→103.0gと増加しています。2006年に魚と肉の1人1日あたりの消費量の逆転が起きていたのです。

世界的には和食に注目が集まり、健康志向の高まりからも「魚食」がブームになっているのですが、当の日本では魚よりも肉が好んで食べられているという状況です。

魚離れの3大ショック

漁業関係者の中で「魚離れの3大ショック」ということばがあるそうです。内容は①魚と肉の消費量逆転 ②年間魚介類消費の3割減少 ③国別年間魚介類消費量の3位後退の3つです。

特に③において、今まで日本は世界一の魚食大国を誇っていました。しかし2009年の調査では国民1人あたりの年間魚介類消費量は第1位:ポルトガル(61.1kg)、第2位:韓国(56.1kg)、そして第3位:日本(54.3kg)という結果でした。周りを海に囲まれた島国であるにも関わらず、もはや日本は世界一の魚大好き国ではなくなっていました。

【コロナ禍と食スタイルの変化】

このように少しずつ魚を食べなくなってきた中、新型コロナウイルス感染症が流行しました。大勢の人が集まるお店を避け、1人または家族だけで食事をするという食スタイルが主流となった3年間、私たちはどのような食材を購入し食べるようになっていたのでしょうか?

内食、中食の増加

全国の男女1,000人を対象に、コロナ禍により影響を受けた水産物の消費実態を調査するアンケートが行われました(一般社団法人 大日本水産会 2022年)。

この中で「自身の食のライフスタイルにおいて、コロナ以前と比べて増えたと感じるものは?」という質問があります。回答としては、自炊による家庭での食事(46.2%)、テイクアウトの利用(40.0%)、日持ちする食品の購入(34.0%)という順位でした。やはり自宅で調理して食べるという内食や出来上がりの食品を購入して自宅で食べる中食が増えていたことが判ります。

魚を食べる機会

次に「コロナ禍の中で海産物を食べる機会はどのように変化したか?」という問いに対し、機会が増えたとする回答割合は内食(28.3%)が最も高く、中食(17.8%)、外食(9.0%)という結果でした。

コロナ流行の前から食事に求めるものとしては「健康と栄養」があげられています。やはり魚介類は健康に良いという点から、自宅で食事を作る内食メニューに海産物を取り入れる機会は増えたようです。

魚を避ける理由

とはいえ先程紹介した魚離れの3大ショックのように、肉類に比べて魚類の消費量は年々減少しています。これについてアンケートでは「魚の購入を避けたくなるポイントは何か?」と質問しており、回答では第1位:下処理が手間(52.7%)、第2位:生ごみが臭う(45.4%)、第3位:骨が多い(45.1%)となっています。

魚を1匹買ってきて自分で調理しようとすると、鱗と頭を落とし内臓を取り出して三枚におろさなければなりません。どうやら魚離れの本当の理由は「魚自体が好きではない」というより、「魚の調理が嫌い」という点にあるようです。ここに魚介類の消費量をアップさせるヒントがあると考えられます。

【コロナ禍で人気の練り物】

コロナ禍により内食の機会が増えました。健康のために魚を食べるように心掛けたいものの、毎日のことなので手間はかけたくないという方は少なくないでしょう。そこで注目を集めているが魚を主原料とする練り物です。アンケート結果の続きを見てみましょう。

よく食べられた魚もの

「コロナ禍の中、よく食べた海産物/海産物料理は?」という質問があります。中食の第1位は寿司(55.5%)、同じく外食の第1位も寿司(72.9%)という回答でした。これに対し内食のトップ3は焼き魚(71.8%)、缶詰(59.0%)練り製品(57.7%)となりました。

少し意外な結果ですが、缶詰に次いでよく食べられた海産物料理/海産物食材として、かまぼこ・ちくわといった練り物が登場しました。練り物はそのまま食べてもよし、他の料理の材料として使ってもよしという点が広く消費者の目に留まったのでしょう。

よく購入された魚もの

最後に「コロナ禍において内食の準備としてどのような形態の海産物を購入するようになったか?」という質問結果を見てみましょう。これには頭・内臓などが下処理さたもの(55.2%)、缶詰(52.6%)、練り製品(51.6%)、切り身(43.6%)、海藻類のパック品(42.6%)という回答になっています。ここでも練り物は缶詰に続き第3位に入っています。

練り物人気の理由

今回のアンケート結果から、コロナ禍の3年間に魚介類として練り物の購入が伸びていたことが確認されました。この理由は消費者が求める内食の材料としての次の3つの条件を満たしているためと考えられます。

❶原料は健康に良い魚である
  …タンパク源、DHA・EPAなどの健康成分を含んでいる
❷下処理が不要で食べやすい
  …生ゴミが出ない、骨がなく子供もお年寄りも食べやすい
❸利用範囲が広い
…そのまま食べる、他の料理の材料にもなる

冒頭でも述べましたが手作りフード派の方では、ご自身が良く購入される食材がペットの食事にも利用されることが多いと思われます。コロナ禍において私たちは自宅で魚を食べる習慣を取り戻しており、フードにも魚メニューが増えていたかもしれません。

近年うれしいことに魚を原料とする練り物、中でもかまぼこは多種多様な健康機能をもつという研究報告があります。次回はこの内容を紹介します。

(以上)

執筆獣医師のご紹介

獣医師 北島 崇

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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