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【獣医師が解説】ペットとの生活編: テーマ「長生きの秘訣:肉」

只今、健康な高齢者の生活様式を参考にして、ペットの長生きの秘訣についてお話をしています。
前回は筋肉づくりという点から、牛乳と運動の組合せの重要度を紹介しました。
今回は健康長寿と肉などの動物性タンパク質との関係について考えましょう。

筋肉の減少

年をとるに従って身体の活動量は減少してゆきます。
この活動とは何も散歩やスポーツといったいわゆる「運動」だけではなく、呼吸や食べ物の消化、病気に対する免疫などの生命活動も含みます。

加齢と基礎代謝

基礎代謝ということばがあります。基礎代謝とは「起きている状態で生命活動を維持するために必要な最小エネルギー」をいいます。
厚生労働省の報告によると、男女ともに日本人の体重1㎏あたりの基礎代謝量(=基礎代謝基準値)はおよそ次にようになっています(2010年)。

●基礎代謝基準値(kcal/kg/日)」
:10代(35~25)
:20~40代(24~21)
:50~70代(21~20)

一生において基礎代謝は成長期である10代がピークであり、その後年齢が進むにつれてじわじわと減少してゆきます。
これは想像通りですが、人生100年時代といわれている現在、80歳以降の高齢者の基礎代謝量はどのような数値になっているのでしょうか?

東京医科大学の横関利子の調査によると、老人ホームに入所している80歳以上の高齢者の基礎代謝基準値は男性(15.7)、女性(19.2)とのことです(1993年)。
80歳を超えると基礎代謝は急激に低下することが確認されます。

また海外の報告では、90歳の基礎代謝は30歳代と比較して20%減少するともいわれています(1971年)。
加齢に伴いからだ中のいろいろな機能は低下します。
筋肉や内臓などの活動に必要なエネルギー量をまとめた基礎代謝量は、ヒトおよびペットの老化現象の指標になります。

加齢と筋肉量

以前のこのコラムでフレイルということばを紹介しました。
フレイルとは「加齢によって筋力や活力が低下して健康リスクが高まっている状態」のことをいいます。
要介護の一歩手前であるフレイルには筋力の低下=筋肉量の減少が背景にあります。
先ほど牛乳を飲む習慣があると生存率が伸びる=長生きができる、というデータを確認しましたが、長生きと健康とはまた別問題です。

一般的にからだの筋肉量のみを測定することは難しいため、徐脂肪体重という考え方があります。
(除脂肪体重)=(体重)-(脂肪量)であり、その70%が筋肉量にあたります。
ではヒトの場合、年をとるにつれて筋肉量はどれくらい減ってゆくのでしょうか?

年齢と筋肉量の関係についての海外の報告があります(1987年、1988年)。
これによると骨格筋は20歳以降50歳までに5~10%減少し、その後80歳までに30~40%も減少するといいます。
このように、年をとると基礎代謝も筋肉量も低下減少してゆくことがわかります。

肉を食べる習慣

厚生労働省は、私たち国民の健康状態や栄養素の摂取状況などを毎年調査しています。
これを「国民健康・栄養調査」といいます。ここでは、高齢者はどのようなタンパク源を摂取しているのかを
見てみましょう(厚生労働省 平成29年)。

高齢者と牛乳

まずは世代別の乳類摂取量です。乳類とは牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの食品をいいます。
1日あたりの20代の乳類摂取量は、男性(92.4g)女性(102.4g)です。
これが年代が進むにつれて少しずつ増えてゆき、80代以上になると男性(133.8g)女性(148.6g)となります。

世代別で乳類を最も多く摂っているのは80歳以上であった、という少々驚きのデータでした。
これは高齢期の骨粗しょう症対策として、乳製品の摂取による骨の強化が背景にあると思われます。
どうやら私たち国民の頭の中には「ミルク=カルシウム=骨強化」というイメージはしっかりと出来上がっているようです。

この点に関しては、「長生きペットの暮らし」でも紹介しましたように、長寿犬グループの60%以上は毎日ミルクを飲んでいるという調査結果に結びつくように考えられます。

高齢者と肉

次はお肉を食べる量です。1日あたりの肉類の摂取量は、20代男性(149.1g)女性(107.7g)を最高として、その後徐々に減少してゆきます。
80代以上の世代では男性(68.1g)女性(59.2g)となり、その量は20代のおよそ1/2にまで減ってしまいます。

年をとってゆくと食卓の中心メニューが肉→魚→野菜と変化していきます。
どうしても肉のような脂っこいものは避けたくなるのは自然なことでしょう。
しかし近年、低栄養状態のお年寄りの増加が問題視されていることをみなさんはご存じでしょうか。

平成28年の国民健康・栄養調査では、低栄養状態にある80代以上の高齢者の割合は男性(32.7%)女性(44.2%)とのことです。
低栄養とは炭水化物、タンパク質、脂質などの栄養素が全体に不足した状態ですが、中でも肉を中心としたタンパク質の摂取量の不足が背景にあると考えられます。

高齢者の元気の維持には、ミルクと同様にお肉をしっかり食べることも必要です。

肉の摂取と筋肉量

ではいよいよ今回のテーマであるお肉と長生きの関連性について見てみましょう。
100歳以上の長寿高齢者はどのようなものを食べているのでしょうか?

100歳高齢者の肉摂取量

現在、100歳以上のお年寄り人口はおよそ7万人ですが、今から50年近く前の1972~73年当時の100歳人口は400~500人でした。
この当時の100歳以上の高齢者の食生活を調査した興味深い報告があります(柴田 博 東京都老人総合研究所 1992年)。

〇総エネルギー量に占めるタンパク質由来エネルギー量の割合
:日本人の平均14.6%(100とする)
:男性 16.0%(110)、女性 16.9%(116)

〇総タンパク量に占める動物性タンパク量の割合
:日本人の平均48.7%(100とする)
:男性 59.6%(122)、女性 57.6%(118)

このように高齢長寿のお年寄りは食事内容としてタンパク質を多く摂っている、そしてそのタンパク源は大豆などの植物系よりはミルク・魚・肉といった動物性のものが多かったということが判ります。
長生きの秘訣として動物性タンパク質があると言えます。

動物性タンパク質と筋肉量

動物性タンパク質を摂取すると寿命が延びるのは、からだの筋肉量が維持されるためです。
筋肉というと腕や脚を動かす筋肉を思い浮かべますがこれを骨格筋といいます。
この他にも血管や腸管を作っている平滑筋、そして大切な心臓は心筋という筋肉からできています。

厚生労働省は60歳以上の男女1,766人を対象にして、動物性タンパク質を摂る量をもとに3グループに分けて筋肉量との関係を報告しています。
これによると1日あたりの動物性タンパク質の摂取量が多いほど骨格筋指数(骨格筋量)も上昇しています(国民健康・栄養調査 平成29年)。

先ほどの100歳長寿の食生活と合わせて、動物性タンパク質(肉など)の摂取→筋肉量の維持→身体活動の維持→長生き、という関係が確認できます。

イヌは雑食性の動物であり、肉も野菜も穀物も何でも食べます。
この点では私たちヒトと同じような食生活を送っていることになります。
ヒトと同じように動物性タンパク質、特に肉をフードメニューに取り入れることは、ペットの健康長寿に大いに有益であると言えるでしょう。

ただし高脂血症、すい炎、腎臓疾患などの場合は、動物性脂肪や肉(タンパク質)の摂取量には注意が必要です。
適宜かかりつけの獣医師と相談するようにお願いします。

今回は70歳、80歳以上の高齢者の食生活の現状を参考として、ペットの長生きの秘訣を探ってみました。
現在のイヌの平均寿命は15歳前後です。
これはヒトの年齢に換算すると小型犬で75歳、大型犬では110歳くらいにあたります。
今回の調査データをみなさんのペットの長生き策の参考にして下さい。

(以上)

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執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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