獣医師が解説

【獣医師が解説】穀物不使用(グレインフリー)フードのメリット

「本町獣医科サポート」の獣医師 北島 崇です。

前回はドライフードには炭水化物が必要であることをお知らせしました。
今回はこの炭水化物(デンプン)に注目した穀物不使用フードについて考えます。

穀物不使用フード

穀物不使用フードといいますが、この穀物(grain:グレイン)とは何を指しているのでしょうか?

イネ科穀物

ペットフードにおいて穀物とは主に「イネ科穀物」をいいます。
イネ科の穀物といってもあまりピンときませんが、米や大麦、小麦、トウモロコシなどのことです。

この中でドライフードによく使用されているものとして小麦とトウモロコシがあります。

穀物不使用フードといっても全く穀物を含んでいないという事ではなく、「イネ科穀物を他の穀物・穀類に置き換えたフード」というのが正しい意味になります。

代替の穀物

現在、市販されている穀物不使用フードの成分を見てみましょう。
炭水化物源としての小麦やトウモロコシの「イネ科穀物」が「イモ類・マメ類」へ置換えられています。

具体的はイモ類としてサツマイモやジャガイモ、マメ類ではエンドウ豆がよく用いられています。
ではなぜこのような炭水化物源の置換えが必要なのでしょうか?

代替の必要性

いわゆる「穀物不使用フード」が求められるようになった背景としては、次の3つがあげられます。

(1)炭水化物の消化が苦手
…イヌやネコは元々肉食動物であり、炭水化物は苦手な栄養素

(2)食物アレルギー
…皮膚疾患や下痢などのアレルギーの発症

(3)血糖値
…肥満や糖尿病の原因

では、これから②食物アレルギーと③血糖値を中心に解説してゆきましょう。

食物アレルギー

アレルギーとは過度な免疫反応(=体が敵を攻撃すること)をいいます。
体が食物を「敵」として見てしまう厄介な反応が食物アレルギーです。

ヒトの食物アレルギー

このコラムの読者のみなさんやそのお子さんの中で食物アレルギーを持っておられる方は少なくないと思います。
大人ではそばアレルギー、子供では卵アレルギーなどをよく耳にします。

厚生労働省が全年齢2,954名を対象に食物アレルギーの原因物質を調査した結果があります(2011年度調査)。
ベスト3である卵、牛乳、小麦で全体のおよそ3/4を占めています。

この食物アレルギーは即時型といって、食後1時間以内に発症するものです。
典型的な症状としてじん麻疹などの皮膚疾患や目のかゆみ、嘔吐などがあります。

また、反応が強く死亡するケースもあるため、加工食品においてアレルギー物質7品目(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)は必ず表示しなければならないと法律で規定されています。

これらを「特定原材料」と呼んでいます。

ペットの食物アレルギー

では、私たちの愛犬や愛猫ではどうでしょうか?
ペットの食物アレルギーに関する日本と米国の学術報告をまとめたものがありますので紹介します(開業獣医師 村山信雄 氏ら 2016年)。

イヌ(278頭)の70%において牛乳/乳製品、小麦、またネコ(56頭)では80%において牛乳/乳製品、魚がアレルギー原因物質でした。小麦や魚はドライフードの成分として使用されていることが背景と考えられます。
また牛乳や小麦などヒトと共通している点も大変興味深いです。

食物中のタンパク質

先程、アレルギーとは体が敵を攻撃する免疫反応の1つであると述べましたが、敵とは「自分とは異なるもの」をいいます。
傷口に雑菌が入ったり、肺に風邪ウイルスが侵入すると体の中の免疫反応のスイッチがONになります。

体は細菌やウイルスなど病原微生物のタンパク質をもって「自分とは異なるもの」と判断します。
自分(=ヒト、イヌ、ネコなど)とは違うタンパク質を確認すると敵として攻撃を開始するというのが免疫反応の原則です。

しかし免疫のしくみにも例外があります。それは食肉など食物中のタンパク質の場合です。
肉や魚を食べた時、毎回毎回免疫反応のスイッチが入っていたら何も食べられません。

食物は自分とは異なるものですが敵とは認識されず、無反応のままです。

小麦タンパク:グルテン

この例外に不具合が発生するものが食物アレルギーです。
特定の食物のタンパク質に対して免疫反応を起こしてしまう場合があります。

有名なものとしてグルテンがあげられます。

グルテンとは小麦粉の成分の一つで、小麦粉を水でこねると形成されるタンパク質をいいます。
自宅でパンを焼かれる方はよくご存知と思います。パン生地の粘りや焼き上がりのもちもち感はこのグルテンによるものです。

食物アレルギーの症状

イヌにおける食物アレルギーの症状はヒトと同様に皮膚疾患(かゆみ、脱毛)として確認されます。
耳や顔、のどの部位を痒がる場合が多い様です。食物アレルギーとノミアレルギーをまとめてとアレルギー性皮膚炎といいます。

イヌでは皮膚疾患が最も診療頻度の高い項目ですが、アレルギー性皮膚炎はこの中のおよそ17%を占めています(アニコム損保 2016年)。

このように小麦を置き換える大きな理由として、食物アレルギーリスクの
低減・排除があげられます。

血糖値

3大栄養素の1つである炭水化物はブドウ糖からできていて、血糖値とは血液中のブドウ糖濃度のことをいいます。

穀物中の炭水化物

食物に含まれる炭水化物が多いほど食後の血糖値は上昇します。
では各種穀物中にはどれくらいの炭水化物が含まれているのでしょうか?

イネ科穀物の代表としてトウモロコシ、米、小麦ではおよそ75%の炭水化物を含んでいます。これに対して同じ穀物でもサツマイモやエンドウ豆では30%以下と低い値です。

GI値とは?

ダイエット食品において「低GI食品」という表記を見たことはありませんか?
このGIとはグリセミック(Glycemic :血糖値)インデックス(Index:指数)の頭文字です。

簡単にいいますとGIとは食品を食べたあと体内でブドウ糖に変わり血糖値が上昇するスピードを数値で表したものです。
ブドウ糖を食べた時の値を100として、これとの比較値で示します。

身近な食品としては食パン(95)、牛肉(45)、バナナ(55)、大根(25)となっています。
(なおGI値は出典により少々ばらつきがありますので概数としました。)

一般にGI値70以上のものを高GI食品、55以下のものを低GI食品と呼んでいます。

低GI穀物

イネ科穀物ではトウモロコシや米が高GI食品に分類されます。
GI値が高い食品は一気に血糖値が上昇するため、正常値に戻すのに体に無理がかかります。
これが日常化すると肥満や糖尿病の原因となります。

これに対してサツマイモやエンドウ豆は低GI食品といえます。食後の血糖値はゆっくりと上昇するため無理なくブドウ糖は細胞に吸収され、エネルギーとなって利用されます。

糖尿病の予防

糖尿病はヒトと同様にイヌにおいても加齢に伴い増加する疾患の代表です。
症状としては多飲、多尿、脱水症状がありますが、合併症(白内障、腎症など)のリスクも軽視できません。

イヌおよびネコの糖尿病の診断には血糖値が用いられます。1つの目安として、正常時が100mg/dl前後であるのに対して200mg/dl以上の値を示す場合、糖尿病と診断されます。

糖尿病の対応としては食事療法が大切です。これについて日本獣医生命科学大学の左向敏紀教授は次の点を提示されています(2001年)

●目標体重と適切なエネルギー量を設定する
…BCS(ボディコンディションスコア)の活用

●フードの量と与え方に注意する
…1日の給与量を3~4回に分けて与える
…給与時間を規則正しくする

●食後の高血糖を招きにくいフードを選ぶ
…糖質の制限
…低GI食材の応用

以上のようにトウモロコシなどのイネ科穀物をイモ類やマメ類に置き換えることにより、肥満予防や糖尿病ケアに適したフードになると考えられます。

穀物不使用フードは食物アレルギーや糖尿病のリスクに対応するものですが、その反面価格が高いのも事実です。
フードは医薬品と違って毎日給与するものですのでコストも大切な選択ポイントになります。

また、すべてのペットが食物アレルギーになる訳でもありませんし、フードだけが肥満や糖尿病の原因でもありません。
穀物不使用フードの給与をお考えのオーナーのみなさんは、獣医師や信頼のおけるショップ担当者と十分に相談されることが大切です。

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執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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