牛や豚など宗教上の理由から制限を受ける肉はありますが、羊の肉はそのような制限を受けることがない食べものと云われています。
羊は大きく分けて「ラム」と「マトン」という呼び名で区別されています。
ラムは生まれてから12か月未満の歯の生えていない仔羊のことで、クセや臭みがなく身も柔らかい肉質です。
一方マトンは、生後2年以上7年程度の成羊の肉で、牧草のような香りがするといわれています。
いずれにしても、とても栄養価が高く人にも犬にも適した良いお肉です。
世界の飼育頭数を見ると、2014年では、中国、オーストラリア、インドと続きますが、日本はオーストラリア、ニュージーランド、アイスランド、ノルウェー、チリから食肉を輸入していて、防疫上許可されていない国とは取引ができないことになっています。
日本の場合、オーストラリアやニュージーランドからの輸入がほとんどを占めています。
目次
Q:羊肉のほとんどが輸入 ―― 国による違いは?
A:日本国内で消費される羊の肉の99%は輸入肉で残り1%が国内産です。
主な輸入国であるオーストラリア、ニュージーランドの羊と日本のものを比較してみましょう。
オーストラリア産 | ニュージーランド産 | 北海道産 | |
---|---|---|---|
種類 |
メリノ種 ドーセット種とメリノ種の交配種 |
ロムニー種 | サフォーク種 |
出荷時期/th> | 生後6か月~8か月 | 生後4か月~6か月 | 生後7か月~8か月 |
大きさ | 雌:30~50㎏ 雄:60~70㎏ | オーストラリア産に比べると小さい | 雌:60~70㎏ 雄:90~100㎏ |
肉質 | 臭みがなくほどよいやわらかさと旨味 | とてもやわらかくクセがない | 余分な脂身がなくやわらかい |
Q:北海道でよく食べられている「ジンギスカン」って羊の肉の種類なの?
A:いいえ、肉の種類ではありません。
羊の肉を使ったメニューの呼び名です。
「ラム」と「マトン」両方のお肉を使ったお料理です。
そのネーミングは、モンゴル帝国の初代皇帝「チンギス・ハーン」から付けられたとされています。
中世当時、チンギス・ハーンが野外で兵士に羊の肉を焼いて食べさせたという一説がありますが、モンゴルには北海道で食べられているジンギスカンのような食べ方は無いそうです。
第一次世界大戦で羊の輸入が途絶え羊毛が日本に入ってこなくなったため、政府をあげて羊の飼育が盛んになったのです。
しかし、毛を刈り取ったあとの羊の処理に困り、そこで食料として利用することになりました。
羊の肉を焼いた中国料理の「コウヤンロウ」というメニューがあるのですが、それとモンゴルの人たちが羊の肉を常食していたことやモンゴルの皇帝チンギス・ハーンをかけて命名されたのではないかという説が色濃く残っています。
このように地域性はあるにせよ、羊の肉はとても栄養があって美味しいお肉として認知されています。
羊の肉を食べる喜びや美味しさを、ぜひとも愛犬にも味あわせてあげたいですね。
Q:ラムをはじめ、生肉を与えるのがいい理由は?
A:米や豆類は貴重なたんぱく源と言われていますが、それとは比較にならないくらい多くのたんぱく質を含む
のが、羊の肉です。
生で犬に与えると、栄養素を損なわずにそのまま摂取できます。
生肉には消化を助ける酵素が豊富に含まれているので、短時間で消化吸収され胃腸への負担が少なくてすむ。
⇒ アレルギーや涙やけの原因になりにくい。
生で食べるとエネルギーへの転換率がよい。
⇒ ダイエットにおすすめ。
生肉に含まれる酵素や良性菌が口腔内の健康を整える。
⇒ 歯の健康維持にもよい。
生肉を食べることで尿が酸性により傾く。
⇒ 結石の危険因子から遠ざける
生肉はやわらかい
⇒ 子犬の離乳食、老犬の介護食にもよい。
消化吸収がよいので、悪いものを食べて便に臭いが残ったりそのまま栄養が出たりして、便をまた食べてしまうことが軽減される。
⇒ 便の量も少なくなり、食糞傾向の犬に向いている。
ドライフードはバランスを考えて作られていますが、生肉を欲する野生の本質的な性質や、生肉のもつ特徴からも犬には生肉をおすすめします。
Q:ラム肉ってどのような特徴があるの?
A:とても栄養素の豊富な食材といえるでしょう。
ビタミンB1・B2・Eを含有
・ビタミンB1・B2は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける。
・ビタミンEは、抗酸化作用により体内の脂質を酸化から体を守り老化を防ぐ。
⇒つやつやとした健康的な皮膚や被毛を作り、老化防止の働きをする。
L-カルニチン・不飽和脂肪酸が豊富
・L-カルニチンは、基礎代謝促進による脂肪の燃焼によい。
・不飽和脂肪酸は、血中コレステロールや中性脂肪の低下を促す。
⇒体重コントロールを必要とする犬のサポートに適している。
タウリン
・タウリンは、酵素の働きを助け肝臓の胆汁酸分泌促進や、肝臓の細胞の再生促進をする。
・コレステロールを低下させる。
・目の網膜を守る。
⇒疲れやすい体の健康維持や涙やけの予防によい。
このように栄養成分を十分に備えたラム肉は、老犬の健康維持はもちろんのこと、成長を促す愛犬の健康食
して適しているといえます。
Q:ラム肉ってどんな悩みをもつ犬に向いているの?
A:・アレルギーが気になる
・食欲がない
・涙やけをする
・疲れぎみ
・肥満ぎみ
そんな気になる体調の犬に、ぜひおすすめしたのがラム肉です!
Q:アレルギー症状の犬にどういいの?
A:ラム肉は、アレルギーをもっている犬によく用いられます。
鶏肉でアレルギーを発症する犬が多いといわれていますが、ラム肉を食べさせて症状が緩和されたということを聞きます。
理由のひとつとして、犬はラム肉をあまり食べる機会がない分、抗体ができていないためアレルギーになりにくいといわれているからです。
しかし、そうするとラム肉をどんどん食べさせればいいのかという話になりますが、同じ種類のドッグフードを摂取し続けることでアレルギー症状が発症してしまうことが往々にしてあります。
アレルギーを引き起こさない対策として、いろいろな食材を取り入れながらバラエティーな食事を与えて抗体
をつくらないことが大事です。
ただし、もともとラム肉にアレルギー反応を起こす犬もいるので、与えるときは様子を見ながら少しずつ
与えるようにしましょう。
生肉を与えるときは、いつも食べているドッグフードを2、3割程度減らして、その減らした分量の生肉を
トッピングしてあげること ――― これが生肉を与える最初のステップです。
Q:ラムの生肉を与えるときの注意点ってあるの?
A:ラムの生肉にかぎったことではありませんが、はじめて生肉を与えるときは、犬の様子をしっかりと観察
しながらあげましょう。
ドッグフードに慣れている犬にとって、最初は用心したり警戒したりしてなかなか食いつかないかもしれませ
んし、食べたとしても下痢を起こしたり吐いたりするかもしれません。
そのような場合は、生肉を与えることをいったんやめて慣れている食事に戻してください。
体調や便の状態が落ち着いたら、ティースプーン1杯くらいをフライパンで加熱してから与えましょう。
回数を重ねるごとにレアから生へと近づけていきましょう。
生肉を与える際に細菌の心配をされる飼い主さんもおられますが、犬は人間に比べてはるかに強い胃酸を持っています。
また、寄生虫などはマイナス20度で48時間冷凍処理すれば死滅しますから、必要以上の心配はいりません。
犬の食いつきが悪いと「やっぱり生肉が合わないんだわ!」と早急な答えを出してしまいがちですが、そこは
犬の様子をみながら、手作りレシピでカバーするなどして徐々に進めていけばいいですね。
Q:ラム肉は犬のダイエットに向いているの?
A:はい、おすすめです。
羊肉の脂肪は牛肉や豚肉に比べて、体内で液体となって融ける温度が44℃といわれていますので、体内に入っても脂肪が吸収されにくいという特質をもっています。
また、羊肉の赤身肉は消化が早く栄養を効率よく吸収できます。
L—カルニチンの成分が脂肪の燃焼に優れているといわれています。
体重増加が気になる犬や体重コントロールが必要な犬にとって摂取が望ましい成分です。
逆にL-カルニチンが不足すると脂肪酸は脂肪組織に再合成され、そのまま蓄積し体重の増加へとつながります。
◇100gあたりのL-カルニチン含有量◇
ラム(仔羊)80mg
牛肉(ヒレ肉)59.8 mg
豚肉 35mg
鶏肉 4.55~9.10 mg
上記の結果からもラム肉は、他の肉と比べてもL-カルニチンが豊富だといえますね。
ですから、犬のダイエットにとてもおすすめなのです。
Q:ラム肉を使った手作りメニューのポイント
■消化・吸収の良いものを与える
。
食べものには数多くのビタミン、ミネラルなどの栄養素が含まれています。
それらは犬が食べて胃や腸で消化されなければ何ら意味を成しません。
ミネラルを摂取しようと思えば、分子単位まで野菜を分解しなければならないのですが、残念ながら犬は
野菜を分解する酵素を持ち合わせていないのです。
ですから、骨の髄や内臓・レバーなどからミネラルを摂取しなければならないのです。
週に1、2回は骨ごとミンチされた肉や内臓、骨などを与えてあげたいものですね。
そこで、今回は「ラム肉」を使った簡単レシピをご紹介します。
リンゴは1年中手に入りやすい食材です。
また、これからリンゴがだんだんと色づきはじめ、冬の季節
【ラムステーキのりんごソテーがけ with 切り干し大根サラダ】
成犬の場合(体重3.5㎏の小型犬 1食 215㎉が目安
【材料】
ラム肉ブロック 70g
※切り干し大根(乾物) 5g(水戻しをしたら4倍くらいに膨らむ)
リンゴ 1/2個
※リンゴチップス 2枚(温風乾燥させたリンゴ本来の無添加なもの)
※健康オメガ3オイル 2~3滴(魚油、エゴマ油、亜麻仁油)
上記材料の※印のものについては、通販などで購入可能です。
【作り方】
① 切り干し大根を水で戻し、戻したら水気を軽く切って擦り下ろしたリンゴと和える。
② ラム肉を食べやすい厚さにスライスして、肉の繊維を柔らかくして食べやすいようにたたく。
③ ②を熱したフライパンで軽くサッと両面を焼く。(このとき、焼きすぎないように注意!)
④ ③が焼きあがればお皿に盛って、①を上からかけてリンゴチップスを添える。
⑤ オメガ3オイルをかけ、バジルで彩りよくトッピング。ハイ、できあがり!
― ここでひと言メモ ―
乾燥切り干し大根の栄養
・カルシウム(生の大根の約23倍) ⇒ 骨や歯の健康維持
・カリウム(生の大根の約14倍) ⇒ 神経のサポート、代謝を助ける
・食物繊維(生の大根の約16倍) ⇒ お腹の健康維持に
・鉄分(生の大根の約49倍!) ⇒ 貧血や免疫力の維持に
・ビタミンB1、B2(生の大根の約10倍) ⇒ 食の細い子や体重管理をしたい子に
このような犬におすすめ
・老犬の免疫力維持に
・体重管理をしたい子に
・腸内環境の維持に
・血糖値の高い子に
ラム肉と切り干し大根の栄養とそして、オメガ3の働きで食欲モリモリ、元気いっぱいのメニューですね!
Q:安心なラム肉はどこで買えるの?
A:北海道のスーパーなら普通に羊の肉が並んでいるのでしょうが、それ以外の地域でラム肉を手軽に購入するのはむずかしいですね。
まして、犬に与える食事となると、生のラム肉を取り扱う業者やペットショップ、通販なども他の肉に比べて購入可能範囲が狭まります。
ホルモン剤、抗生物質を使用していないものや、羊に与える飼料も無農薬で除草剤や殺虫剤を使用してい
ないもの・・・となると、信頼できる販売店に託すしかありません。
まして輸入肉ともなると、相手国の厳選な国家管理のもので飼育され、安心・安全が確保されているものを取り扱う店からの購入が、愛犬の健やかなる成長を後押しすることになります。
購入先選びは、重要なポイントです!
Q:犬用「ラム肉」の通販サイトを教えて!
A: 愛犬の健康を考える信頼と実績の通販サイトを選びましょう。
・商品のラインナップが豊富
・安心安全な商品の取り組み
・愛犬と飼い主さんの立場にたった親切丁寧な対応
・お客様との信頼関係の深さ
帝塚山ハウンドカム は、28年の実績を活かし、愛犬の健康づくりを考える会社です。
愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修

代表取締役 川瀬 隆庸
- 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
- 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
- ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
- 小動物栄養管理士認定
- D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
- 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
- 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了
愛犬の健康トラブル・ドッグフード・サプリメントなどアドバイスをいたします。