春、散歩をしていると綿のようにふんわりとした塊が、枝先で風に揺れている光景を目にしたことはありませんか。
何だろう・・・と、近づいてみるとどうやら犬の毛のようです。
なんでこんなところに犬の毛が?
外で不思議な光景を目にしたものの、実は、犬や猫を飼っている家の中では、もっと大変なことが起こっているとか。
ちょっとよそ様の家の様子を覗いてみると・・・あらら、大変、抜け毛と格闘している飼い主さんがいますね。
手入れの行き届いた毛並みの美しい愛犬や愛猫の毛も、抜けてしまえばただのゴミ。
掃除機で吸い取ったり、粘着性のあるコロコロテープに巻き付けたりしても、行きつく先はゴミ箱の中。
ふだんならそれほどでもない量が、ある時期になるととてもつもない量になり、一日一度のお掃除では追いつかないほどの毛の山を生み出してしまいます。
掃除機で吸い取っても、コロコロに絡みついた粘着テープを幾度となく破り捨ててみても、キリがなく毎日ヘトヘトになっている飼い主さんがいますよ。
どうにかして助けてあげたい!
さあ、そんな愛犬や愛猫の抜け毛に困っている飼い主さん!
今日は、抜け毛についての情報ですよ。
いっしょに考えていきましょう。
春と秋にドッサリと抜ける「換毛期」
私たちヒトも、一年をとおして髪の毛の抜ける量が多いと言われる時期があります。
秋の季節に抜け毛が多いなあ・・・と、経験されたことはありませんか。
「夏の間に冷たいものを食べたり飲んだりすると、秋になったら髪の毛が抜けるよねえ」と、聞かれたことがあるかもしれませんね。
夏の季節の過ごし方が、そののちに訪れる秋の季節に影響するというひとつの警告かもしれません。
では、犬や猫の抜け毛も夏の過ごし方が影響して秋にドッサリと抜けるのでしょうか?
実は、犬や猫には抜ける時期があるのです。
それを「換毛期(かんもうき)」と呼んでいます。
換毛期は、春と秋。
ちょうど私たち日本人の衣替えの時期にあたるころですね。
そう、犬や猫も季節に応じて、まるで衣替えのように毛が抜け落ちる時期が、「換毛期」なのです。
そうかと言って、すべての犬や猫の種類にこの換毛期の傾向がみられるのかといえば、そうではないのです。
換毛期を持たない種類もいます。
ですから、一概にすべての犬や猫が大量に毛が抜けるとは言いきれませんが、ただし、目立ちはしませんが、犬や猫の毛は一年をとおして抜けているものなのです。
では、そのあたりを詳しくみていきましょう。
犬や猫の「被毛」について
犬や猫は人と違って全身を毛で被われているのですが、このことを「被毛(ひもう)」と言います。
オーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)の2種類の毛が生えています。
犬の被毛
人は一つの毛穴からは基本的に1本しか生えていないのですが、犬の場合は一つの毛穴から平均して7~15本の毛が生えています。
・オーバーコート(上毛):皮膚を保護する役目→比較的しっかりとした太い毛で長い
・アンダーコート(下毛):体温調整をする役目→比較的やわらかく密集した毛で短い
換毛期があるのは、オーバーコートとアンダーコートを併せ持つダブルコート(2重構造)の犬種に多いです。
ダブルコートの犬は、寒くなる秋ごろにアンダーコート(下毛)が生えてきて寒さから身を守るために厚着状態になり、春から夏にかけて下毛(アンダーコート)が抜けて薄毛となるのです。
また、被毛を分類するうえで「短毛種」と「長毛種」という分け方をします。
換毛期のある犬種
(ダブルコート+長毛種)
・ゴールデンレトリーバー・シェトランドシープドッグ・スピッツ・ポメラニアン・チワワ(ロングコート)
・ダックスフント・キャバリア・ボーダーコリーなど
(ダブルコート+短毛種)
・柴犬・秋田犬・ウェルシュコーギー・シベリアンハスキー・ラブラドールレトリーバー
・フレンチブルドッグ・ジャーマンシェパード・ジャックラッセルテリアなど
換毛期の無い犬種
(オーバーコートのみの1重の被毛)
・プードル・マルチーズ・ヨークシャテリア・パピヨン・スムースダックス・チワワ・グレートハウンドなど
猫の被毛
1つの毛穴から平均10~12本生えています。
毛の密度はお腹のほうが濃く、背中はお腹の半分くらいです。
・ガードヘア:オーバーコート(上毛)体表にあり太くて長い
・ダウンヘア:アンダーコート(下毛)綿のようにやわらかく細く短い
・オーンヘア:アンダーコート(下毛)上毛より少し細くて硬く毛先はやや太くて粗い
犬と同様に「短毛種」と「長毛種」という分け方をします。
*毛期のある猫種
(ダブルコート+短毛種)
・ロシアンブルー・アメリカンショートヘアなど
(ダブルコート+長毛種)
・チンチラ・メインクイーンなど
換毛期のない猫種
(シングルコート+短毛種)
・シャム・レックス
(シングルコート+長毛種)
・ソマリ・ターキッシュ・アンゴラ
「猫っ毛」とよく言われますが、コシがなく細くて柔らかい状態を比喩します。
すべての猫が猫っ毛というわけではなく、中には剛毛な毛を持ち合わせた猫もいます。
また、猫が驚いた時や相手を威嚇するとき、または、寒いときなどには本能的に毛を立てます。
猫はたいてい自分の舌で被毛を毛つくろいしますが、このことをグルーミングといいます。
死毛や毛に着いたものをそのまま飲み込んでしまうのですが、しばらくすると毛玉としてそれを吐き出したり排便したりします。
しかし、それらの行為がうまくできなければ、腸の中で毛玉は溜まってしまい危険です。
また、同じ個所を何度も何度もグルーミングする行為があるときは、皮膚などに異常が生じている場合がありますので、日ごろから猫のグルーミングには注意を払ってあげましょう。
特に換毛期の死毛の量が多いときは、丹念にブラッシングをしてあげてくださいね。
犬も猫も換毛期は特に抜け方がすごいのですが、それ以外は毛が抜けないのではなくて、目立ちはしなくても、一年をとおしてダブルコート、シングルコートは抜けているということも覚えておきましょう!
被毛ってどんな役割をしているの?
・体温調節
・夏は耐暑、冬は耐寒
・外部からの刺激から体を守る
・紫外線や雨、病原体からの保護
上記の役割の中で注目したいのは、「夏の耐暑、冬の耐寒」です。
春は、冬の寒い時期から体を守ってきた毛(アンダーコート)がその役目を終えて抜け落ち、今度は夏の暑さをすっきりと過ごすための毛(オーバーコート)が生えるための時期です。
また、秋は、夏の暑さ対策でスッキリしていた毛(オーバーコート)がその役目を終えて抜け落ち、冬の寒い時期に向けて体を保温するための毛(アンダーコート)が生える時期なのです。
季節に応じた暑さや寒さの対策として、自然の営みの中でこのサイクルは作り上げられてきたものといえます。
ですから、換毛期は言い換えれば、自然なこととは思うものの、抜け毛の量が量だけにため息が出てしまいますね。
そこで、日ごろのお手入れはもちろん、換毛期を上手に乗り切る方法をお伝えしましょう。
抜け毛のお手入れ方法
はい、それは1にも2にもブラッシングでのお手入れが最善の方法です!
ブラッシングで?
と、あまりにふつうのことなので驚かれるかもしれませんが、毎日のお手入れを怠らないことが、結果として
いちばん手軽にできる最善の方法です。
やわらかくて密集した抜け毛は、放置しておくと絡み合い毛玉を作ってしまいます。
死毛が皮膚を被い通気性が悪くなると新陳代謝に良い影響を与えません。
抜ける前に抜けかけている古い毛をブラッシングで取ることで、お掃除の手間がグーンと減りますし、愛犬や愛猫の病気予防にも役立つというものです。
では、どのようなものを使って、ブラッシングをすればよいのでしょう。
ブラッシング
スリッカーブラシ
毛玉や死毛を取り除くブラシ
アンダーコート(下毛)の除去に効果的
肌を傷つけない材質
ソフトスリッカーブラシ
ソフトなラバーと高品質のピンで優しくブラッシングが可能
長毛種でも使いやすい
取手部分は静電気が起きにくい木製の材質
コーム(くし)
くしの目にあたる毛玉やもつれた毛をみつけやすい
コームでひっかかった毛などを無理やりにとかすと皮膚を傷つけたりするので注意
ファーミネーター
下毛を取り除くのに効果的
ダブルコートの下毛を除去
熊手のように掻き取る方法で、死毛を除去
抜け毛トルン
換毛期の最大のお助けマンと言われるイチ押し商品!
抜け毛トルンは上毛に隠れた抜け毛(死毛)をすきとることで抜け毛を取り除く
除去する能力が高く短時間の使用ですむため、愛犬のストレスも少ない
毛皮の中に詰まっている抜け毛をスッキリと取り除く
※シングルコートの愛犬に使用すると、抜けるべきでない毛が抜けてしまいますから要注意※
アロマブラッシングローション
絡んでもつれた毛をスムーズにとくために、シャンプー前のスプレーでもつれを軽減
乾燥や静電気による毛切れ、もつれを防ぐ
保湿と抗菌で皮膚や被毛を守る
フケや体臭予防
アロマの香りがリラックス効果を高める
◇ブラッシングでの、ちょっとしたエチケット◇
・マンション、戸建てなど隣接している住宅では、やわらかくて軽い抜け毛は風に乗って飛んでいきますから、ブラッシングが終わるまでは、窓やドアなどは閉めたまま行いましょう。
・取り除いた死毛は、そのままゴミ箱に入れると、蓋を開けるたびに舞い上がることもありますから、始末用のビニール袋に入れて口を結んでからゴミ箱に捨てるようにしましょう。
・使用後のブラシは洗って清潔に保ちましょう。
・掃除機やコロコロも次回気持ちよく使えるように、吸い込み口の毛の始末や、使用済み粘着テープをはがしておきましょう。
シャンプー・リンス
「ブラッシングしてからシャンプーをする!」
抜けた毛は死んだ毛なので、水分を含んでしまうとガチガチに固まり取るのが難しいです。
シャンプー前にしっかりとブラッシングして死毛を取り除いてから、シャンプーに取り掛かること
リンスは静電気防止に役立つ
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術後服
避妊手術などの術後に着用する服ですが、抜け毛の多い時期にも役立つ
犬や猫の体を四肢、顔、頭を除く胴体全体をやさしく包み込むので、換毛期の抜け毛で散歩、乗り物や公共の場所への外出に適する
着用前にブラッシングする
抜け毛の飛び散りには効果的
吸着タイルマット
床に落ちた死毛をマットがしっかりキャッチ
吸着力に優れているので、掃除機をかけてもマットが吸引口にまとわりつかない
ピース型のマットなので必要な広さに必要な枚数だけつないで使用可能
汚れたマット分だけ取り外して洗濯機で簡単に洗えるので、取り扱いが楽です
被毛を健やかなに育てるためにプラスワンの食事
換毛期に抜ける被毛の量は、前出の抜け毛グッズの活躍ぶりをみてもハンパないということが、わかっていただけると思います。
その換毛期にドッサリと抜けるというのは、もちろん新しい毛が下から押し出しているからで、すでに次の毛が準備されているということです。
ドッサリ抜けるということは、ドッサリと生えてくるのですが、できれば艶のある健やかな毛で被われてほしいものです。
そのためにも、日ごろから食事にはやはり気を付けてあげましょう。
被毛を作るケラチン
毛はケラチンというタンパク質から作られています。
ですから良質のタンパク質を摂取することが求められますね。
特に生肉は、良質の高タンパクでから、日ごろから食事に加えることで、健康な毛の成長を促してくれます。
しかし、ここ最近、「鹿肉」「馬肉」「ラム肉」「鶏肉」などを含むさまざまな種類の加工品が出回っていますが、高温で熱処理されたものは、吸収力が悪いので生肉をおすすめします。
良質の生肉のタンパク質を摂取することで、春と秋の換毛期を迎えるたびに愛犬や愛猫が健康的な毛に被われることでしょう。
いつものドッグフードに生肉をトッピングすることからはじめてみましょう。
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、体内で合成出来ない脂肪酸の為、食べ物から摂取しなければならない栄養素です。
皮膚の保湿を保つバリア機能に欠かせないのが、脂肪酸です。
被毛は皮膚の上に毛が生えている状態ですから、その土台となる皮膚の健康が保たれてこそ、美しい毛並みも生まれます。
被毛の成長を促したりする働きにもぜひ取り入れたいですね。
日ごろ食べているドッグフードにかけてあげるだけですから、とっても簡単ですね。
こうして、愛犬や愛猫の抜け毛について見てきましたが、結論は「毛は抜けるもの!」として認識し、それをどう対処するかが、抜け毛の悩みからの脱出口です。
抜け毛対策にこんな商品があるのだと知るだけでも、気持ちが軽くなりますし、日々の食事のちょっとした工夫で皮膚や被毛を健康に保つ秘訣がわかりましたね。
最近では、室内飼育やそれにともなうエアコンなどの温度調整が進んでいますから、一定の室温に保たれる環境下で一年中過ごせるようになりました。
そうなると被毛による温度調整が不要になり、「換毛期」の現象が見られないということも起きています。
換毛期が乱れてしまうと温度変化に弱くなってしまい、外出時の気温の変化が負担になることもあります。
環境が生体機能を変えてしまうことは、どうなのでしょう。
もちろん、飼い主さんの掃除の手間を考えると、抜け毛が少ない方が楽なのでしょうが、しかし、犬や猫が本来備えている生理的かつ生体機能を衰えさせてしまうことは懸念されるべきことのように感じます。
できれば、自然な営みの中で育ててあげることが、より健全な育て方ではないでしょうか。
さあ、換毛期の心の準備はできましたか?
次は実践ですよ!
無駄な時間と労力を費やしてヘトヘトになってしまうよりも、「よ~し、この方法を試してみよう」と、前向きにトライしてみることで、抜け毛の煩わしさから解放されましょう!
それには正しい商品の情報を知ることが大切ですね。
わからないことは躊躇しないで聞いてみましょう。
安心して相談できるペットショップとの出会いの扉が、ほら、ここにありますよ。
愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修

代表取締役 川瀬 隆庸
- 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
- 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
- ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
- 小動物栄養管理士認定
- D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
- 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
- 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了
愛犬の健康トラブル・ドッグフード・サプリメントなどアドバイスをいたします。