犬種

フレンチブルドッグのことを、もっと知りたい!  ― 人気の犬種シリーズ ―

世界には非公認犬種も入れると約700~800もの犬種がいると言われています。
その中から自分にあった1頭を選ぶというのは、なかなか難しいことです。

日本では戦後の高度成長期も安定し生活にもゆとりが出だした頃に、マルチーズ、ヨークシャテリア、ポメラニアンがペットとして人気を博しました。
小さくて愛らしくて室内で飼育できることが、子どもからおとなまでを夢中にさせた理由です。
その後のチワワの爆発的人気がさらに「カワイイ~」ブームに拍車をかけたといえるでしょう。

このような愛らしくて可愛い小型犬人気に、今、じわじわと迫っているのが「フレンチブルドッグ」。
「愛嬌のある顔」「ユニークな顔」と表現する人も多いようです。
さらに、顔だけではなくてその可愛いらしいしぐさの虜になってしまう人たちも多いのだとか。
しかし、その一方で頭数は他の犬に比べると少ないといわれています。
なぜならば、フレンチブルドッグの特徴である頭部の大きさが自然分娩には難しいからです。
出産時、赤ちゃんはお母さんの産道を通って生まれてくるのが自然なのですが、その産道を大きな頭が通れないために帝王切開になる可能性が非常に高いうえに、生まれてくる頭数も少ないのです。
ですから、母犬がお産で受ける体の負担の大きさや繁殖の困難などから、フレンチブルドッグの純血種が市場に出回ることが少なく、希少な犬として価値や価格も高くなっているのだそうです。

さて、希少価値の高いとされるフレンチブルドッグ。
どこにどんな魅力を秘めているのでしょうか。
いっしょに詳しくみていくことにしましょう。

フレンチブルドッグってどんな犬?

フレンチブルドッグの特徴を簡単にまとめれば、上の表のようになります。
では、その特徴のひとつひとつをもう少し詳しく見ていくことにしましょう。

ボンジュール! フランス生まれのフレンチブルドッグ

イギリスの国犬とまで言われているブルドッグを、1850年頃にフランスに移住したイギリス人が連れて来て、パグやテリアと繰り返し交配し作り出されたのがフレンチブルドッグの起源と言われています。
フランスで生まれたフレンチブルドッグは当初耳が垂れていたのですが、その後アメリカに渡り品種改良をさらに加えられた結果として耳を立てたといわれています。
1900年頃に行われたアメリカのフレンチドッグショーで、多くの人たちの注目を浴びたその立ち耳は「バットイアー」(こうもりの耳)と表現されるようになり、「まるでこうもりのような耳」というのが定着して、人気の犬になったといういわれがあります。

外見上の特徴

フレンチブルドッグを知らない人が、その外見の特徴だけを知らされたらどのような犬を想像するでしょう。
「こうもりのような耳」……羽を広げているときの形? 洞窟でぶら下がっている形? 
「ブルドッグのような口元」……口角が下がっているの?
「パグのような目元や鼻」……クリッとした可愛い目? ペッタンコの鼻?
「テリアのような四肢」……手足が短い? 

というふうに頭の中で合成されたフレンチブルドッグを思い浮かべてしまいます。
また、「ブルドッグ」という響きからは、なんだか闘争心にあふれる性質を想像してしまうかもしれません。
では、実際はどうでしょう。
犬の祖先であるオオカミの姿とフレンチブルドッグを頭に描きながらその特徴を見ていきましょう。

体格

・大きくてピンと立つバットイアー
・四角くて大きな頭
・骨量が多く筋肉質
・見た目よりも持ち上げるとずっしりと重い
・たくましそうな体格
・しっぽが短い(スクリューテイル)
・手足、首、胴体共に短い
・前足が後ろ足よりも短いのでやや前傾姿勢
・前足が広がっていてガニ股

全体としては、胴が短くて手足の短いコンパクト犬という印象が強いですね。
犬は体を使って気持ちや態度を表現するのですが、その中でもしっぽは重要な表現箇所。
ところが、フレンチブルドッグのしっぽは短いうえに尾に巻き込んだようになっているため、しっぽで表現するのは難しいので、お尻を振って気持ちを表すそうです。

・クリクリした目
・マズルの短い鼻(短頭種)
・シワが多い
・しゃくれた大きな口(アンダーショット)

顔の七変化といってもいいくらい、豊かな表情を顔いっぱいに表すフレンチブルドッグ。
いたずらをしても憎めないのは、その可愛い表情のせいかもしれません。
幸せを運んでくれるしわ……「しわわせ~」と、飼い主さんを見上げながら思っているかもしれませんね。

被毛 ― 色

・ブリンドル:黒を基調に褐色や白の混色
・フォーン:濃淡のある茶系の単色
・パイド:白を基調にブリンドルもしくはフォーンの混色
※ジャパンケネルクラブ(JKC)が公認しているフレンチブルドッグの毛色は現在3色です

被毛 ― 長さ
・短毛のダブルコート(上毛と下毛の2層構造)
・被毛のカットは不必要
・抜け毛が多い

ツルツルとした短い被毛からは想像もつかないほど換毛期は抜けます。

外見の特徴を列挙してみましたが、オオカミに似た箇所はありましたか。
強いて言えば被毛がダブルコートだということくらいでしょうか。
オオカミから犬へと進化してく長い歴史の過程で生み出されたブルドッグから、さらに改良を重ねて誕生した犬種がフレンチブルドッグです。

とびきりかわいい表情

フレンチブルドッグの大きな魅力は、その時々に見せる表情だと言われています。
笑っているような顔、困っているような顔、甘えたような顔、心配そうに見つめる顔など、さまざまな表情で癒してくれるのがこのフレンチブルドッグの大きな特徴といえます。
この豊かな表情を作り出しているのは、案外、変幻自在の顔のしわなのかもしれませんね。
顔にシワが多いことが返って気持ちの喜怒哀楽を表現できているのかもしれません。

・遊んでもらったりご褒美をもらえたりすると、口角を上げて笑う
・叱られて落ち込んでいるときはショボくれる
・飼い主さんの顔を心配そうにのぞき込む

上記以外にも、そのときどきに見せる豊富な表情や動作の魅力にハマって虜になる人が多いことも、フレンチブルドッグの人気の高さを象徴していますね。

飼育しやすい性格

フレンチブルドッグは無駄吠えが少ないことも人気の大きな理由です。
ペットを飼育できるマンションも増えてきましたが、やはり問題視されるひとつに犬の鳴き声というものがあります。
むやみやたらと吠えまくりご近所からの苦情が寄せられると、飼い主さんも肩身の狭い思いをしなくてはなりませんが、フレンチブルドッグはこのような心配はまず無用といわれています。
さらに、愛情深くコミュニケーションを取ることが得意なので、飼い主さんをはじめ家族との生活をとおして、心を通わせ強い絆を生むことができるのもフレンチブルドッグの性格の魅力です。

・無駄吠えが少ない
・穏やかで思慮深く利発
・遊びが好きで好奇心旺盛
・人懐こくて甘えた
・愛想がよくて、他の犬や飼い主さんとも仲良くできる

このようにフレンチブルドッグは、温厚で飼育しやすい犬として定評があります。

かかりやすい病気と対策

*短頭種であるがゆえのリスク

※短頭種:スカル(頭蓋骨の長さ)に比べてマズル(鼻の長さ)が短い犬種のこと。

フレンチブルドッグのルーツであるブルドッグは、もともと牛と闘う闘犬として改良されたもので、そのため噛みつきやすいように口を大きくしたり、鼻を短くしたりしたといわれています。
短頭種に多い病気として知られているのが、短頭種気道症候群です。

・呼吸器系疾患:喉から上の呼吸器、気道の病気になりやすい
・鼻腔狭窄:鼻の穴が狭いため鼻呼吸が難しく、口を開けたまま呼吸する回数が多くなる
・軟口蓋過長症:口の奥にある軟口蓋が伸びると、いびきをかきやすく重症化すると呼吸不全を招く

短頭種の犬は、過度な運動や暑い日の散歩や外出は控えたほうが無難です。
また、怪我や病気・出産などで麻酔をしようするような場合は、麻酔から覚めた後に呼吸が十分に行えず、命
を落とす例もあります。
また、短頭種の犬に関しては飛行機の搭乗を断わる航空会社もあります(ANA・JALなど)
フレンチブルドッグを含む短頭種の犬の場合は、鼻が低いことが招く呼吸器系のリスクが高いのです。

*顔・体のシワ、しっぽのリスク

しわが顔に出だすと、老いを感じるのは人だけでしょうか。
しわも案外、人生の深みを表現しているように思うのですが…。
ところで、フレンチブルドッグのしわは子犬であろうが老犬であろうが有ります。
そのしわがあの愛らしい表情を作り出して虜にしている面もあるのですが、そのしわの手入れをきちんとしない
と大変なことになります。

・皮膚炎
・感染症

しわに入り込んだ皮脂やほこり、抜け毛などが菌の繁殖を促してしまい、それらを取り除き清潔に保たないと、
悪臭の元にもなります。
フレンチブルドッグの体臭が強いといわれる由縁は、しわがとても影響しています。
また、皮脂腺から分泌される皮脂が毛穴を塞いでしまい細菌を繁殖させます。
しわを伸ばして中の皮脂やほこりや抜け毛などを取り除き、濡れたガーゼ、タオル、ウェットティッシュなどで
やさしく拭き取りましょう。
ゴシゴシこすると皮膚を傷つけてしまい、感染症を招く恐れがありますから要注意!
フレンチブルドッグのしっぽは少し中に入り込んだようになっていますので、そこに垢が溜まりやすく細菌も
繁殖しやすくなります。
顔や体と同じように、この箇所も清潔に保ってあげましょう。
手入れを怠ると悪臭を放ちますし、皮膚の病気になりやすいということです。
刺激性の少ない除菌消臭効果のあるスプレーグッズなどを利用して常に清潔に気持ちよくしてあげましょう。

*鼻が低いゆえの目のリスク

短頭種のリスクについては上記で述べましたが、目にも影響を及ぼします。
クリッとした愛らしい目は少し飛び出していますから、物にぶつかって傷つきウィルス感染を起こして角膜を
いためたりします。
また目の中に異物や毛が入り込んでしまい炎症をおこすこともありますし、アレルギー症状を発症すると目を痒がったりします。
愛犬がしきりに目を痒がったり、目を真っ赤に充血させていたり、涙を流しているなどの様子が見られたら
すぐに病院で診てもらいましょう。

・角膜炎
・結膜炎
・白内障(加齢により発症しやすい)

どのような病気であれ、日ごろとは違う「SOS」のサインを愛犬は出しているものです。
「あれ?いつもと様子が違うわ」と感じたら、体をチェックしてあげましょう。
早期発見が最大の治療です。

その他の注意点

*散歩はほどほどに

フレンチブルドッグは運動量をあまり必要としないので飼育しやすい犬としても知られています。
そのひとつの理由として先に述べた、短頭種ゆえの呼吸面でのリスク。
さらに体温調節がしにくい犬種なので、暑い時期の散歩は不得意ですし、また、短毛種のため寒さにも弱いといわれています。
ですから、散歩の時間帯も夏場は暑い日中を避けて朝夕にしたり、また、逆に冬場は朝夕の冷え込みを避けて日中の気温の少しでも高い時間を選んだり、散歩の時間やコースなどがハードにならないように気を付けましょう。
散歩などの外出にはウェアーを着用するといいですね。

*ブラッシングはまめに

短毛で被毛の手入れが簡単なように見えるフレンチブルドッグですが、換毛期の抜け毛はとても多いです。
春と秋にドッサリ抜ける「換毛期」は、犬にとっては衣替えの季節。
フレンチブルドッグの被毛は、二層構造(ダブルコート)仕立てですから、皮膚を保護する役目の上毛(アンダーコート)と体温調節をする役目の下毛の(アンダーコート)で覆われています。
春は、冬の寒い時期から体を守ってきた下毛がその役目を終えて抜け落ち、今度は夏の暑さをすっきりと過ごすための上毛が生えるための時期です。
また、秋は、夏の暑さ対策でスッキリしていた上毛がその役目を終えて抜け落ち、冬の寒い時期に向けて体を保温するための下毛が生える時期なのです。

抜けた毛をそのままにしておくと、死毛が皮膚を被い通気性が悪くなり新陳代謝によくありません。
抜ける前に抜けかけている古い毛をブラッシングで取ることで、お掃除の手間もグーンと減ります。
毎日のブラッシングをまめにしましょう。

*肥満傾向になりがち

呼吸器の問題からも跳んだり走ったりという運動も加減してあげないと体調を崩しやすいです。
パクパク元気に食べる姿を見るのは飼い主さんとしては嬉しいことなのですが、フレンチブルドッグは食べる量と運動量のバランスを考えないと体重増加を招いてしまいやすい犬種なのです。
肥満の体型になってしまうと、糖尿病、関節炎、免疫力の低下といった病気を招くリスクが高くなります。
生後約1年前後でたいていの犬は成長期を迎えるのですが、この時期は食欲と体重の増加が著しい時期で、脂肪細胞が増え肥満になりやすい体質を作ってしまう時期といえるでしょう。
また、7~8歳ごろになるとシニアと呼ばれる老犬時期に入り、運動量もどんどん減るため、肥満になる割合がグーンと増えるのです。
体重の増加は関節部分に負担をかけますし、成長期に肥満になると股関節形成不全になる可能性が高くなります。

先にもの述べましたが、過剰な運動には不向きなフレンチブルドッグですが、一日一度の散歩に加えて室内で
飼い主さんと遊んだりするのは、適度な運動量となりますから、いっしょに遊んであげる時間を大切にしてあげましょう。
そして、何よりも消化の良い食事を与えることです。
食べものに含まれるタンパク質や脂肪、ビタミン、ミネラルの栄養分をスムーズに消化吸収できることが、免疫力の高い体作りに役立ちます。
良質なタンパク質を摂取し、乳酸菌や酵素を取り入れた食事で肥満対策をしましょう。
ドライフード中心の食生活から消化吸収の良い生肉や野菜、果物を含む食事に変えていくことで、肥満の予防に繋がります。

すべての犬が100%パーフェクトではなく、私たちと同じように長所短所をもつ個体です。
可愛い部分だけを注目せずに、短所や弱点にも目を背けずしっかりと受け止めてあげてください。
せっかく家族としてパートナーとして迎えた犬の特徴をよく知らなかったために、「こんなはずじゃなかった」と嘆く飼い主さんが少なからずいます。
犬を迎えるためには、その犬のことをよく知ること、理解することが飼育の大切なスタートラインです。

そして最後に、世間ではフレンチブルドッグの顔形を流行り言葉で表現している記事をよく見かけます。
「ぶさいくだけどかわいい」などと相反することばを、さらにわざわざ「ブサカワ」などと略して使っているようですが、これって褒めことばなのでしょうか。
わざわざマイナーな表現を用いらなくても、「かわいい」にプラスしてあげるすてきな語彙はたくさんあります。
フレンチブルドッグの魅力は、表情の豊かさ……そして、家族に寄り添ってくれる愛情の深さです。

あなたの愛犬が、その愛らしい表情をいつまでもあなたに向けてくれますように!

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