犬種

ミニチュアシュナウザーのこと、もっと知りたい!  ― 人気の犬種シリーズ ―

2017年の犬種別犬籍登録頭数をJKC(ジャパン・ケネル・クラブ)が発表しています。
JKCは、純粋犬種(純血種)の犬籍登録や血統書の発行を行っている機関です。
また、現在、国際畜犬連盟(FCI)では344種類の犬種が公認されています。

さて、気になる登録数の順位
1位  プードル   
2位  チワワ  
3位  ダックスフンド
4位  ポメラニアン 
5位  柴    
6位  ヨークシャ・テリア
7位  ミニチュアシュナウザー
8位  シーズー
9位  フレンチブルドッグ
10位 マルチーズ

これは登録数ですが、人気度と比例しています。
とくに、前回の「人気犬種シリーズ」で取り上げたフレンチブルドッグは登録数第9位ですが、前年度と比較すると一番の伸び率ということで、人気が急激に上がってきていることが伺えます。

そして、今回のテーマで取り上げている『ミニチュアシュナウザー』は堂々の7位。
さて、この座を射止めているミニチュアシュナウザーの魅力はいったいどこにあるのでしょうか。

ミニチュアシュナウザーってどんな犬?

ミニチュアシュナウザーの特徴を簡単にまとめれば、上の表のようになります。
では、その特徴のひとつひとつをもう少し詳しく見ていくことにしましょう。

ミニチュアシュナウザー誕生ストーリー

日本やアメリカではシュナウザーはテリアのグループに属しているのですが、実のところテリアの血統が全く入っていないのです。
テリアはイギリス生まれで、シュナウザーはドイツ生まれ。
では、なぜテリアグループに属しているのかと言えば、剛毛な被毛の質やネズミなどの小獣狩猟が得意というテリアに近い性質を持つという共通点を背景にもつからだといわれています。

ところで、シュナウザーと名前の付く犬種は3種あります。
ミニチュアシュナウザーとジャイアントシュナウザーは、スタンダードシュナウザーから作出された犬種です。
スタンダードシュナウザーは、南ドイツ地方で厩舎の番犬やネズミの駆除、輸送時の家畜の誘導、そして時には荷車を引くなどの使役犬の役割を果たしていました。
主な役割は、倉庫などに置いてある農産物をネズミが荒らすのを捕獲するために用立てられた犬です。

19世紀末にフランクフルトのマインで改良や繁殖の試みをしますが、スタンダードシュナウザーの特徴を引き継ぐミニチュアシュナウザーの誕生までにはなかなか至らず苦労が多かったようです。
しかし、アーフェンピンシャーとスタンダードシュナウザーの交配が繰り返された結果、ドイツのフランクフルトでようやく作出されたのが1899年。
その後アメリカにわたってからさらに改良が進み、小型化のプードルや他の犬種との交配が行われて、現在のミニチュアシュナウザーとして定着しました。
日本に輸入されてきたのは1950年代初め(昭和25年あたり)といわれていますから、もう65年以上ミニチュアシュナウザーの命が国内で連綿と引き継がれているということですね。

外見上の特徴

ミニチュアシュナウザーの人気が高い理由はどこにあるのでしょう。
「口髭」「長い眉毛」を上げる人が多いのですが、それ以外にも「抜け毛が少ない」「体臭があまり無い」「とても利口」という見た目や飼育のしやすさがミニチュアシュナウザーの好まれる魅力といえます。
では、パーツごとの特徴を見ることにしましょう。

体格

・筋肉質
・骨格がしっかりしている
・体長と体高がほぼ同じくらい

もともと祖先のスタンダードシュナウザーは、ネズミなどを駆除する使役犬でしたから、獲物を見つけ追いかけるという性質からも筋肉が発達していたことが想像できますね。
また、スタンダードシュナウザーと掛け合わせたアーフェンピンシャーはテリアを小型化した犬で、四角い頑丈な骨格を持っています。
この犬種もネズミの駆除などに用いられていた経緯がありますので、ミニチュアシュナウザーは、チョロチョロと動くものに興味を示す特性があることが、このようなことからも推測できます。

・三角に折れた耳
・鼻の周りを取り巻くひげ
・ふさふさした眉毛

顔中被毛に被われていて、その毛から目や鼻をちょこんと覗かせている愛嬌のある顔です。
この長い被毛には大きな役割があるのですが、それは下記の「被毛―長さ」のところで触れることにしましょう。

被毛 ― 色

ジャパンケネルクラブ(JKC)では、体型や被毛などの基準をこと細かく決めています。
現在公式に認められているミニチュアシュナウザーの被毛の色は4色で、各部分に色の指定があります。
以下はJKCの規定を抜粋して特徴をまとめてみました。

【ホワイト】
・白の上毛と下毛を持つ純白の色
・頭数は少ない
・毛の質はやわらかめで細く量も少ない

【ブラック】
・黒の上毛と下毛を持つ漆黒の色

【ソルト・アンド・ペッパー】
・「塩と胡椒」と訳せるとおり、被毛の1本1本が塩の白色と胡椒の黒色のような斑になっている
・ペッパーの色は十分に色素があり、グレーの下毛をもつこと
・色調はダーク・アイアン・グレーからシルバー・グレーまで全て許容
・顔の部分はいかなる毛色であっても、各々の毛色に調和する暗色のマスクであること
・頭部や胸、四肢に明瞭な明るい色のマーキングがあるのは好ましくない

【ブラック・アンド・シルバー】
・黒の下毛に黒の上毛
・目の上と頬、髭、喉、胸の前部の2つの三角形、フロント・パスターン(前足の中手骨)、 足、後脚の内側と肛門の周りにホワイトのマーキングがあること
・前顔部、頸、耳の外側は上毛のように黒

と細かな指定があり、これらの基準を満たしている犬に対して血統書を発行しています。

ちなみにJKCで公式に認められていないミニチュアシュナウザーの毛色もみておきましょう。
・ブラック&タン
・ブラック&ホワイト (ホワイト&ブラック)
・レバー
・レバー&シルバー
・レバー&タン
・レバー&ホワイト
・レバー・ペッパー
・レバー・ペッパー,パーティー
・レバー,パーティー
・ウィートン
・ウィートン・ペッパー

「タン」は、黄褐色
「レバー」は、赤褐色
「パーティー」は、2色のはっきりした色(例えば、ホワイト&ブラックなど)
「ウィートン」は、小麦色
を表しています。
市場では上記のような色彩のミニチュアシュナウザーが出回っています。
このように被毛の色のバリエーションが増えるということは無理な交配が行われている可能性が高いため、JKCでは公式の色を犬種ごとに決めています。

被毛 ― 長さ

・ワイヤーのように硬くてごわついた上毛と密集して生えている柔らかな下毛のダブルコート仕立
・換毛期には体温調節のために毛の生え換わりがあるが、下毛は抜けにくい
・抜け毛が少ないが、肌の通気性のためにはブラッシングが必要
・伸びた毛の手入れを怠ると毛玉になりやすい
・シュナウザーの毛色については子犬の時期から成犬に至るまでに濃い目の色が抜けて退色することがある

毛が長いうえでの注意点として

・口の周りの毛が長いので、食べものや飲み物が付きやすいので食後はまめに拭き取ること
・毛の周りに目ヤニが付きやすいので柔らかなコットンやウェットティッシュなどで拭き取ること
・目の周りの長い毛は目に入りやすく感染症などを誘引するので気をつけること

などがあります。

では、そもそもミニチュアシュナウザーの眉や口髭が長いのは、なぜでしょう?
ネズミの捕獲にひと役かっていたミニチュアシュナウザーも、素早い動きをするネズミを捕まえるのはそう容易いことではありませんでした。
時にはネズミに攻撃されることもあり、そんなときネズミが鼻や目など顔を目がけてきたときは、それをかわさなければならない状況も起こります。
ネズミの攻撃から身を守るためにも、ミニチュアシュナウザーの被毛は長くなくてはならなかったのです。

好々爺のような上品な表情

さて、ご高齢の男性の中に眉毛を長く伸ばしている人を見かけることがあります。
視線がついついりっぱなその眉毛に向いてしまうのですが、その長く伸びて垂れた眉毛のせいか好々爺(人のよい老人。ニコニコしたやさしそうな老人【広辞苑より】)のような印象をとても受けます。
ミニチュアシュナウザーの眉毛を「仙人みたい」「おじいさんみたい」と表現する人もいますが、決して顔が老人顔というのではなくて、なぜかその眉毛が好々爺のようでやさしい雰囲気を醸し出しているのが、この犬の魅力なのかもしれません。
そう考えると長い眉毛というのは案外、心をくすぐるパーツなのかもしれませんね。

そして、もうひとつは鼻を中心に伸びている髭。
実際は髭というよりも被毛が伸びているのですが、髭のように伸ばして整えている様子が「紳士の口髭のよう」と表現されているようで、上品さを漂わせています。
ミニチュアシュナウザーの特徴を大きく左右する眉と髭ですが、これもカットが上手にされてこそ作られるというものですから、トリマーさんの腕前が大いに発揮される犬種かもしれませんね。

ミニチュアシュナウザーらしいあの被毛の形を作り出すカット方法
ハサミで仕上げるシザーリング、犬用のバリカンで仕上げるクリッピング、そして部分的に毛を抜き取るストリッピングというのがあります。
ドッグショーなどに出場する犬は、見た目の重要性が大切ですから、ストリッピングは欠かせないのですが、家庭犬として飼育する場合は、無理矢理引き抜くようなことはほとんどしないとのことです。

眉や髭以外にも、首をちょっと傾けながらキョトンとした表情や、じっと見つめる力強い目の表情はなんともいえない魅力といえるでしょう。

コミュニケーション力の高い性格

ミニチュアシュナウザーの原型といわれるスタンダードシュナウザーの性格をここで少し触れておきましょう。
活発で遊びが大好き/忠誠心が高く献身的/警戒心が強く用心深い/利発で賢くしつけがしやすい
などといわれています。

その素質を受け継いでいるミニチュアシュナウザーは、とても賢い犬ということでも知られていて、躾のしやすさでも定評があります。
また、家族に対してはとても従順ですし支配欲も少ないので主従関係をしっかり構築しやすい犬種です。
お子さんがいる家では遊び相手としても好まれます。
好奇心もいっぱいで遊ぶことが大好きですから、室内はもちろん、ドッグランなどの場所で伸び伸びと遊ばせてあげるのもいいですね。
遊びを通して家族とのコミュニケーションをいっそう図ることができるのが、このミニチュアシュナウザーです。
無駄吠えはあまりしませんが、危険を感じると番犬の素因を持つせいか強く吠えます。

かかりやすい病気と対策

*目の病気

・進行性網膜萎縮症
網膜の光を受ける箇所に異常が生じ網膜が萎縮する病気で、遺伝性のものだといわれています。
見えにくい状態が徐々に進行し最終的には失明します。
早期発見、早期治療が大事ですから、愛犬が頻繁にものにぶつかると感じたときは、すぐに動物病院で受診することをお勧めします。
症状が現れたら愛犬が使用するトイレ、食器、サークルの位置などを固定し誘導してあげましょう。
室内では、床にはなるべく物を置かず、物にぶつかって怪我のないように配慮してあげてください。
また、散歩の際はできる限り車や人などの往来が少ない安全で静かなコースを選んであげましょう。

・若年性白内障
「白内障」といえば加齢を伴う病気と思いがちですが、若くして白内障になるケースが人にも犬にもあります。
人の場合、紫外線の浴び過ぎなどから20代でも白内障を発症してしまうケースがあります。
しかし、ミニチュアシュナウザーの若年性白内障の原因は、遺伝によるものが多く6歳以下で発症します。
白内障の症状は、水晶体が白く濁るため視界が白いベールに覆われたように見えます。
そのため障害物が見えづらく物にぶつかるということが起こりますし、症状が進行すると失明してしまうこともあります。
人が白内障になれば眼内レンズを入れる手術をしてスッキリと見えるようになりますが、犬の場合は手術ができる病院の少なさや、術後の問題からも難しいとされています。
早期発見の場合は、点眼薬や内服薬で進行を遅らせることもできます。

*泌尿器の病気

・尿路結石症
遺伝的にミニチュアシュナウザーは尿路結石ができやすいといわれています。
この病気は、尿の中のカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが結晶化し結石となったものを指します。
尿路結石が原因で起こる膀胱炎は、尿の中にたまった結石が膀胱の粘膜を傷づけてしまい炎症や感染を生じさせます。
血尿が出たり排尿時に痛みを伴ったり、さらには結石が尿路につまり排尿ができずに死んでしまうケースもあります。
水を頻繁に飲んだり、尿の色が濃くなったりする場合は要注意!

*皮膚の病気

・外耳炎
耳の中にも毛が生えているので、耳垢を定期的に手入れしないと耳垢が溜まってしまい、そのため耳垢に細菌や耳疥癬の感染が生じ外耳炎を起こします。
垂れ耳のために通気性が悪いことも原因のひとつですから、シャンプーの後などは耳の周りの毛の水分をよく拭き取ったり、耳の中を乾燥させたりして清潔に保ってあげましょう。

ミニチュアシュナウザーをとおして考える

今回、人気の高いミニチュアシュナウザーについていろいろと調べていると、「かかりやすい病気」の箇所で、「遺伝による発症」ということばを多く目にしました。
犬の祖先はオオカミです。
野生のオオカミが人間の残飯を目当てに人に近付いたことをきっかけに、人間との関りを持ち家畜化していきました。
人間との関りを受け進化した犬は、良きパートナーとして狩猟の手伝いをするようになり、人間とは切っても切れない関係を構築していきます。
しかし、さらに人間の暮らしに役に立つようにと改良を進めたことや、ペット・愛玩犬という扱いをされるようになると、人工的に交配が繰り返され、現在では非公認犬種を含むと700~800もの犬種が存在しています。
それは、一方では人間にとっても犬にとっても幸せなことだったのかもしれませんが、しかし、もう一方では不適切な交配によって聴覚異常や視覚異常といった遺伝的欠損、いわゆる遺伝病などが現れてしまうことを避けることができない状況を生みだしたことも事実です。
劣性遺伝を持つ犬がこの先も交配を繰り返すことで、その遺伝子を引き継いでしまい数々の病気を受け継ぐ犬たちを生み出すことを黙認すべきではありません。

より個性的な犬を求める欲求は時に不適切な交配を生み、その結果として他にはない色や形を作り出そうとします。
それが、果たして正しいことなのかと問われれば、NOと答えるでしょう。
色や形ではなく、その個体そのものが持つ人格ならぬ犬格を重んじて生活することを大切にしてほしいものです。
広い世の中、愛犬に対する愛情の注ぎ方はさまざまですし多様化しています。
けれど、その考え方や愛情表現が生態系を狂わせることになるならば、それを軌道修正し犬たちをはじめ生きものたちの体や心にも負担を与えないようにすることも愛情ではないかと思わずにいられません。

ミニチュアシュナウザーの数えきれないほどの画像を見続け、犬はとても可愛い生きものだと改めて感じました。
人に懐き、人を癒し、私たちの心を潤してくれる大切なパートナーであり家族となり得る存在です。
病気がちな弱い犬を一頭でも減らすことが、私たち人間がすべき犬への恩返しのような気もします。

愛犬の健康な体は、健全な環境と安全安心な食べもの、そして何よりも深い愛情によって作られるものだと、
ミニチュアシュナウザーの魅力を探りながら、よりいっそう強く感じました。

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