健康

細分化 ― 犬種ごとのフードの違いって必要?

  
ペットフードコーナーの棚に並んでいる大量の商品やネット商品のラインナップは、年齢、健康トラブル、ライフスタイルなど・・・目的ごとにどんどん細分化されてきています。
そして、さらに最近では犬種ごとや犬の毛の色に至るまで、フードの種類が細かく分けられていることをご存知でしょうか。
目的に応じたピンポイントのフードの選択は、愛犬のことを思い気遣う飼い主さんの気持ちに一筋の光を照らすこともあれば、思いどおりの結果が得られるのかという一抹の不安に心を曇らせることもあるでしょう。

「犬種ごとって、いったい中身の何がどう違うの?」
「今まで与えてきたペットフードではダメなの?」
「そこまで細分化する必要はあるの?」

このような疑問を抱くのは、情報量の多さが原因していることも否めません。
今、必要なのは正しい情報の入手です。
飼い主さんと愛犬にとって役立つ情報をぜひ、しっかりと選んでいただきたいものです。

さあ、今回は犬種別の食事について、いっしょに考えていきましょう。

ペットフードの細分化は、どんどん進んでいる!

・味の区分 ・・・チキンベース、ビーフベース、ラムベース、ベニソン(鹿)ベース、魚介ベースなど
・症状別  ・・・アレルギー、肥満、涙やけ、歯周病、糖尿病など
・形状別  ・・・大粒、中粒、小粒など
・年齢別  ・・・幼犬用(パピー)、成犬、老犬(シニア犬)など
・体高別  ・・・超小型犬、小型犬、中型犬、大型犬など
・住環境別 ・・・室内犬
・被毛別  ・・・白色、赤色
・犬種別  ・・・チワワ、柴犬、トイプードル、ゴールデン・レトリーバー、ウェルシュ・コーギーなど

1860年ごろに初めて犬のためのドッグフードが作られてから、160年ほどの歳月が経とうとしています。
たった1種類だった犬用のビスケットは、今では上記のように細分化され商品があふれている状況を、誰が想像したでしょう。
当時の粗悪な原材料だったものは長い年月を経て、より安全で安心なものを求める声に応えるために研究と開発を重ねて進化してきました。
しかし、それに反してなぜこうも愛犬を悩ませる症状は増え続けているのでしょう。

そこに細分化がどんどん進んでいる原因があるのかもしれませんね。

対処方法と予防方法

体調を崩して病気になった場合、あなたならどうしますか?
・安静にしてゆっくり休む
・市販の薬を飲む
・病院に行く
など、病気になれば回復するために適切な対処をするでしょう。

また、今は病気では無いけれど病気にならないように健康に留意して、健康食品やサプリメントを取り入れたり、運動したり栄養のあるものを食べたりして予防をします。
できれば病気にならないように、病気になって人の世話にならないように、迷惑をかけないようにと、できるかぎり健康でいたいと願う気持ちは、いつの世も同じです。

しかし、体に変調が生じても、健康に不安があっても言葉を話せない愛犬は、飼い主さんに気づいてもらうしか方法がないのです。
「体が痒いよぉ~」「お腹が痛いよぉ~」「涙が止まらないよぉ~」「毛がどんどん抜けちゃうよぉ~」・・・などと訴えても、気づいてもらえなければそのまま放置されて症状はますます悪化してしまいます。
そうなる前に、愛犬からのサインに気づいて原因を突き止めないといけません。 もしその原因が食べものにあるのなら与えることを止めないといけないし、逆に症状が改善されるような食べものを与えることで解決方法を見出します。
これが対処方法です。

また予防方法とは、未来に起こりうるかもしれないことを未然に防ぐことです。
犬種専用のフードが誕生したのは、犬種ごとに病気になりやすい傾向や弱い箇所を知り、それらの特徴に合わせて強化成分を加えたり増やしたりして、できるかぎり健康に過ごせるようにすることが目的です。

【転ばぬ先の杖】

「失敗しないように、前もって用意をしておくこと」ということわざがあります。
まさに、犬種別のフードの選択は、そこにあるように思います。
「何かあってからでは遅いから、何もないうちから予防しなくちゃあ」
「我が家の愛犬専用のものをせっせと与えて大切にしてあげなくちゃあ」
いずれにせよ、飼い主さんの愛情があればこそ愛犬は健康でいれるのです。

では、いったいどのように予防すればいいのでしょうか。

犬種別に見る予防策

 
犬の種類は知っていても、それぞれの犬がもともとはどのような特質をもって進化してきたのかは、なかなか知る機会がありませんね。
「ペット」「犬」という大きな枠組みも、実は分類してみると意外な区分けがされていることがわかります。
一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)では、その生存目的や形態・用途によって10のグループ(国際畜犬連盟による10グループ制と同じ)に犬種を分類しています。

 

グループ 区分 働き・役目 犬種の数
1G 牧羊犬・牧畜犬 家畜の群れを誘導・保護する犬 29(犬種)
2G 使役犬 番犬、警護、作業をする犬 33
3G テリア 穴の中に住むキツネなど小型獣用の猟犬 32
4G ダックスフンド 地面の穴に住むアナグマや兎用の猟犬 1
5G 原始的な犬・スピッツ 日本犬を含む、スピッツ(尖り)系の犬 26
6G 嗅覚ハウンド 大きな吠声と優れた嗅覚で獲物を追う獣猟犬 11
7G ポインター・セター 獲物を探し出し、その位置を静かに示す猟犬 14
8G 7G以外の鳥猟犬 7グループ以外の鳥猟犬 17
9G 愛玩犬 家庭犬、伴侶や愛玩目的の犬 25
10G 視覚ハウンド 優れた視覚と走力で獲物を追跡捕獲する犬 10

そこで、今回はその分類の中からピックアップして「あの犬の種類って何かしら?」と、よく知られる身近な犬を取り上げて、どのような食事を与えたらよいのか予防策を考えてみましょう。  

「ブーヴィエ・デ・フランドル(フランダース)」

牧畜羊犬(1G)として牛の群れを誘導したり荷車をけん引したり、家畜や農場を見守る警備犬としてもさまざまな働きをします。
じゅうたんのような長い毛の外観が特徴的ですが、その毛の下は筋肉質の体です。
イギリス人作家のウィーダ原作『フランダースの犬』の主人公ネロにいつもやさしく寄り添うパトラッシュは、この犬をモデルに描かれています。(アニメ作品と原作の犬には違いがあります。)
牧畜羊犬の仲間:シェットランド・シープドッグ/ウェルシュ・コーギー・ぺンブローク/プーミー/コリーなど 【かかりやすい病気】 胃拡張胃捻転、股関節形成不全など 【予防策】胃拡張胃捻転の原因になるのが、食後の激しい運動 早食い ドガ食い 胃下垂 遺伝的要因などといわれています。
・食事の量を減らし、消化の良いものを与える。

「セントバーナード」

使役犬(2G)として筋肉質でがっちりとした体形を活かして、番犬、警護、荷車、犬ゾリ、また雪崩など災害時の救助犬としての働きをします。
垂れ耳と長く太い尾をもち100㎏を超すものも多い大型犬ですが、性格は温和です。
『アルプスの少女ハイジ』では、不愛想だけれど利口で何度もハイジの命を助けるセントバーナード犬のヨーゼフとして描かれています。
救助犬の仲間:グレート・デーン/ドーベルマン/ニューファンドランド/ブルドッグ/ボクサー/土佐犬など。 【かかりやすい病気】 胃拡張胃捻転、関節炎(肘、膝、股間)など 【予防策】関節炎は、関節部分に起こる炎症で、特に股関節形成不全、膝蓋骨脱臼が起こりやすいといわれていて、遺伝的要素のある疾患としても知られています。
・体重増加などが膝などに負担をかけないように、体重コントロールができる食事を与える。

「柴犬」

原始的な犬(5G)≪北方祖先犬≫として兎や鳥など小獣や鳥を狩る働きをします。
まっすぐに立った耳やふさふさした尾をもち、犬の先祖のオオカミに近いといわれています。
帰巣本能が強く警戒心は強いのですが、素朴な表情をもち人気の高い犬種です。
『桃太郎』に出てくるおともの犬や、『花咲さ爺さん』に出てくるのは柴犬だといわれています。
原始的な犬の仲間:秋田犬/北海道犬/甲斐犬/紀州犬/四国犬/シベリアン・ハスキー/ポメラニアンなど 【かかりやすい病気】膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)アトピー性皮膚炎 消化器疾患など 【予防策】アトピー性皮膚炎は、ペットフードの原材料に含まれる消化吸収しにくい成分が、体内に蓄積されてアレルギーを引き起こします。
・添加物の多いフードを避ける。
・消化吸収の良いものを与える。

「トイプードル」

愛玩犬(9G)として、17世紀ごろにフランスで人気の犬種となりました。
プードルの働きはとても多様で、もともとは水中回収犬として活躍していた犬種ですが、土の中にある世界三大珍味といわれるトリュフを探し当てたり、また、サーカスで曲芸を披露したりと器用さを備えている犬といえます。
独特のカールを持つ被毛で覆われているのですが、抜け毛が少ないという特徴も人気を高める要因のひとつです。
2015年10月、警察犬の審査会に合格した日本初のトイプードル犬“あんず”は、「エアデール・テリア」「ボクサー」「コリー」「ドーベルマン」「ゴールデン・レトリーバー」「ラブラドール・レトリーバー」そして「ジャーマン・シェパード」の七つの種類に限られていた警察犬の中に堂々と加わり、警察犬として現在活躍中です。
愛玩犬の仲間:マルチーズ/パピヨン/シーズー/パグ/チン/ダルメシアン/チワワなど 【かかりやすい病気】涙やけ 内耳炎 外耳炎 股関節変形不全 膝蓋骨脱臼 白内障 緑内障など 【予防策】涙やけ(流涙症)は、加熱により酵素などが失われたタンパク質がうまく消化されずに、涙腺につまることで涙があふれて起こるともいわれ、ひどくなると顔全体の毛が赤黒くなってしまう場合もあります。
・加熱処理されたドライフードが原因の場合は、そのフードは避ける。

「ゴールデン・レトリーバー」

鳥猟犬(8G)として、撃ち落とした鳥を藪や水中から捜索して回収するという習性をもっています。
攻撃性が少なく柔和な性格から盲導犬や警察犬としても社会的にもとても活躍している犬です。
冷たい水にも耐えられるような長い毛はとても豊かで、前足の後ろ側には飾り毛があり、胸や後ろ脚の腿の後ろ側、尾の下面には豊かな羽毛があります。
名前のとおり黄金に輝く毛艶が見事です。
人間との深い関りを描くには最適な犬ということで、ハリウッド映画作品にも数多く登場しています。

回収鳥猟犬

 ラブラドール・レトリーバー/フラットコーテッド・レトリーバー/コーイケルホンディエなど。 【かかりやすい病気】胃拡張胃捻転、関節炎(膝・股関節)など 【予防策】上記の「ブーヴィエ・デ・フランドル(フランダース)」やセントバーナードを参照してください。

このようなことから、放牧された羊や牛を追う習性の犬と、ペットとして室内で飼育されてきた習性の犬が同じ大きさや量を食べることはありませんね。
小さな顎をもつチワワが大型犬用のドライフードの大粒を噛み砕くことは無茶な行為です。
ですから、年齢別、体高別、住環境別などと区分けしてフードの大きさや量は考えられてきたのでしょう。

では、犬種別のドライフードを与えることは、予防策に役立つのでしょうか。
いよいよ、今回のテーマの核心に迫ることにしましょう。

犬種別の専用のフードは、本当に必要?

現在、犬種ごとの専用フードは、ドライフードやウェットフードとして加工され販売されています。
室内飼育の小型犬を中心にしたものが多いですが、もちろん、大型犬のゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバー専用のものもあります。
商品のラベルを読むと、病気にかかりやすい特徴を捉えそれらを予防するという目的から、栄養素の配分調整をしたものやサプリメントに使われる成分を配合しているものが多いです。
骨の強化には、カルシウムやリンを多く配合したり、骨格と関節の強化にはグルコサミンやコンドロイチンが配合されていたりします。
ドライフードは総合栄養食ですから水といっしょに与えると犬に必要な栄養は摂取できますし、ウェットフードは匂いを放ちますので、それに誘われて食いつきもよいです。

しかし、ここで考えないといけないのは、ドライフードは熱加工されて乾燥したフードだということです。 いくら栄養を考えて作られていても、加工されてしまうとせっかくの栄養分を十分に取ることはできません。
犬には質の良いタンパク質、ミネラル、ビタミンは欠かせないのです。
特にたんぱく質の中に含まれる酵素は、消化を助ける働きがあるのですが熱加工や乾燥によって、その栄養素は損なわれてしまい、食べたものが胃の中で消化されずに残ってしまうというデメリットがあります。

また、ウェットフードは、とろみのある食感を出すための増粘多糖類や見栄えをよくするための着色料・発色剤などの添加物が多いことや、水分量が多い分、保存料などの添加物も多く含まれているのが悩みの種です。

添加物を含んだものや熱加工されているフードをいくら与えても、それはかえって犬の体に負担をかけてしまい、アレルギーや涙目、歯周病、皮膚疾患、関節炎などの発症を起こす引き金になってしまいます。 だとすれば
犬の弱い部分を補って強化するためには、どうすればいいのでしょう。

・栄養を損なわずに与えることができるもの
・症状が出た場合に対処ができるもの
・犬種の違いで起こる症状を予防できるもの

それらを満たすことができる食べものこそが、どんどん進む細分化に対応できる策かもしれません。
では、そのようなことに対応できる食べものは、あるのでしょうか。

犬種の枠を超えて、与えてあげたい食事とは?

お勧めしたいのは、生肉です。
犬本来の食性を考えると、動物性たんぱく質を多く含んだフードを選んであげるのが理想的です。
・「馬肉」「鹿肉」「鶏肉」「ラム肉」「牛肉」「豚肉」など、加熱加工していない肉 ・動物性たんぱく質が豊富なため、消化吸収がスムーズ。 ・高たんぱく、低カロリー、低脂肪のため、体重のコントロールが必要な犬には最適。
・もともと肉食動物なので本能的に食いつきやすい。
生肉は、このような特徴をもった食べものです。

たとえば、ラブラドール・レトリーバーのように脂肪の付きやすい犬に低脂肪の生肉は向いています。
関節炎が進行しないように体重コントロールを必要とする犬に役立つからです。

また、アトピー性皮膚炎の症状で悩む柴犬やトイプードルには、消化吸収に優れた高タンパクを含む生肉は最適といえるでしょう。
生肉はまだまだ認知度も低いですが、その分使用頻度も低いのでアレルギーを引きおこしにくいのです。

また、生肉を使った手作りメニューは、手間暇をかける分、添加物を心配される飼い主さんにとっては安心材料になりますし、また、手塩にかけて作る愛情おかずで絆もぐーんと深まることでしょう。

「でも、毎食生肉や手作りはコストもかかるし面倒だから、ちょっと無理だわ」
という飼い主さんには、生食ローフードをおすすめします。
「えっ?生食ローフードって何?」
はい、それはドライフードの「生版」だと考えていただければいいですね。
・加工されていない生の食材を用いたフード。
・非加熱のため、栄養が損なわれない。
・生肉を中心に生臓物、生骨、発酵野菜や果物を原材料とした栄養バランスの整った総合栄養食。

ですから、これだけで必要な栄養素が取れる便利なフードです。
この商品を扱っているお店が少ないため、まだまだ認知度は低いですが、どの犬種にも適応し健康上のトラブルを対処・予防する観点からもお勧めできる、次世代をリードするフードといえるでしょう。

犬種別フードまとめ

さて、今回は犬種別の食事について話を進めてきました。
細分化されることの良し悪しはあるでしょうが、どれも犬の健康維持を考えてのことだと思います。
しかし、いくら細分化が進んでも、健康を維持できないような原材料の選び方ならどうしようもありません。
どれを選ぶのかは、愛犬の様子を見ながら飼い主さんが決めることですが、その選択に少しでも役にたつ情報を入手し実践してみることが、飼い主さんに求められているのではないでしょうか。

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帝塚山ハウンドカム オフィシャルサイト

愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修

株式会社帝塚山ハウンドカム
代表取締役 川瀬 隆庸

  • 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
  • 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
  • ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
  • 小動物栄養管理士認定
  • D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
  • 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
  • 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了

愛犬の健康トラブル・ドッグフード・サプリメントなどアドバイスをいたします。

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