「本町獣医科サポート」の獣医師 北島 崇です。
みなさんはペットのシャンプーは自宅でやっていますか?それとも専門のお店でやってもらっていますか?今回はシャンプーと愛犬のにおいの関係を探ってみようと思います。
目次
トリミングの頻度
イヌまたはネコを飼っている女性(平均年齢:46.59歳)を対象にした、ペットのトリミングに関するアンケート調査があります(リビングくらしHOW研究所 2016年)。
いろいろなペットサービス
ペットを飼われている人には便利な世の中になり、街ではペットに関連する様々なサービスが提供されています。まずは1つ目のアンケートです。
Q「あなたが利用したことがあるペット関連施設・サービスは?」
・ペットの美容室(59.8%)
・ペットホテル(42.7%)
・ペットと同伴可能な飲食施設(29.5%)
・ 〃 宿泊施設(27.4%)
・しつけ教室(13.7%)
(愛犬オーナー241人の回答:複数回答あり)
愛犬オーナーのおよそ60%の方は美容室でのトリミングを利用しているようです。
専門店の利用
一般的にペットのシャンプーやカット、爪切りなどは美容室でやってもらいますが、オーナー自身で行っている方もおられます。では次の質問です。
Q「シャンプー・カットなどのトリミングには専門店を利用していますか?」
・毎回専門家を利用する(32.8%)
・時々専門店を利用する(34.4%)
・専門店は利用しない(32.8%)
(愛犬オーナー259人の回答)
このようにトリミング専門店を利用している割合は6割強、およそ3割のオーナーは自宅でご自身が行われています。この数値ですが、愛犬のサイズと関係があるようです。トリミング専門店の利用率を愛犬サイズで分けてみると、小型犬は専門店の利用率が高く、逆に大型犬では低くなっています。
今回のアンケート対象は女性オーナーであり、大型犬の犬種はゴールデンレトリバー/ラブラドールレトリバーでした。背景には体力的に専門店に連れて行くのが難しいという理由があるのかもしれません。
トリミングの頻度
このように「毎回トリミング専門店を利用する」と回答したオーナーの割合は、小型犬(42.6%)、中型犬(38.3%)、大型犬(19.1%)でした。ではその利用頻度はどれくらいでしょうか?
回答で最も多かったものが2~3か月に1回(約50%)、次いで月に1回(約32%)でした。また中には月に2~3回以上(約0.6%)という方もおられました。
平均的なトリミング専門店の利用頻度は2か月に1回といったところのようです。以上、みなさんの場合と比べてみていかがでしたでしょうか?
愛犬の被毛の特徴
シャンプーやカットなど、オーナーのみなさんは愛犬の被毛の状態にはとても関心が高いと思います。この毛ですが私たちヒトとイヌとではいろいろと異なる点があります。一番の違いはイヌの場合、ブルブルっとすると水分が一気に飛んでしまう点ではないでしょうか。
イヌの被毛
私たちヒトとイヌ・ネコとでは毛の構造が大きく異なります。ヒトの毛は毛穴から1本伸びていますが、イヌやネコでは1本の主毛と複数の副毛から成ります。何本かの副毛があるため、そこに空気の層ができて体温を保持するはたらきをしてくれています。
よく「毛づやが良い」といいます。この毛づやを作っているのは、被毛の表面を覆うウロコ状の毛小皮(もうしょうひ)という部分です。毛小皮と聞いてもピンときませんが、シャンプーのCMでは「キューティクル」と呼んでいます。
もう1つ毛づやの素になっているものがありますが、それは被毛の「脂質(あぶら)」です。被毛はキューティクルが揃っていて、その表面を適度にあぶら分がコーティングしている場合、「つや」として見られるということです。ではこの被毛の脂質ですが、どこから来ているのでしょうか?それは皮膚のあぶらである「皮脂」です。
被毛の脂質
皮脂(=皮膚のあぶら)は皮脂腺というところで作られます。この皮脂腺は毛の根本である毛包という部分にあります。したがって、皮脂は必ず毛穴から出て、毛の表面を覆うことになります。
この被毛の脂質成分ですが、イヌとヒトとでは大きく異なります。イヌの被毛の脂質の84%は水に溶けにくいワックスエステルという成分から成っています(久永晃資ら ライオン㈱分析センター 2004年)。
ワックスとはフローリング床のつや出しに使われるロウ(蝋燭:ろうそくのロウ)のことです。イヌの被毛には皮脂由来のワックス系脂質が豊富に含まれているため、水に濡れてもブルブルっとするだけで水分が飛んで早く乾きます。
このような高い撥水性をもつあぶらによってコーティングされているのがイヌの被毛の特徴といえます。(なお、ヒトの毛髪に含まれるワックスエステルは20%程度しかありません。)
愛犬のシャンプー
イヌの被毛はワックス系の脂質が厚く覆っているわけですが、これにより困ったこともあります。それは脂質成分がにおいの素になるという点です。
シャンプー後のにおい戻り
一般的にペットのシャンプー頻度は月に1回といったところでしょうか。みなさんがペットのシャンプーを行う目安には、被毛の汚れと共に「におい」があると思います。このにおいの素の1つとして、先ほど紹介した皮脂由来の脂質(あぶら)があります。
イヌはシャンプー後、何日目ぐらいでにおいが戻ってくるのか?というおもしろい報告があります(久永晃資ら ライオン㈱分析センター 2004年)。試験概要は次のとおりです。
○供試犬
…健康なイヌ3頭(ビーグル、雑種:3歳、6歳、7歳)
○シャンプー
…市販の標準的なシャンプーを使用
○測定
…イヌ体表の官能試験(直接、においを嗅ぐ)
…被毛からの脂質分析
イヌのにおいを直接嗅ぐ官能試験においては、シャンプー後3日目ぐらいからイヌ特有のにおいが感じられました。
そして被毛の脂質量では、シャンプー前を100とすると、シャンプー直後では60%まで減少していました。その後、脂質量はじわじわと増加して同じく3日目以降にはシャンプー前と同程度にまで戻りました。
この試験結果より、被毛の脂質量はシャンプー直後から回復し始め、3~4日後には脂質(あぶら)を主因とするにおいが戻ってくることが判ります。
シャンプータオルの活用
私たちはほぼ毎日お風呂に入ったり、シャワーを浴びたりしています。ペットの場合、3~4日でにおいが戻ってくるということになると、シャンプー頻度はおおよそ1週間に1回程度が理想といえます。もちろんシャンプーは皮膚や被毛にやさしいものが基本です。
しかし、毎週自分でシャンプーをしたり、ペットの美容室に連れてゆくのは難しいというオーナーは少なくないでしょう。このような時は、シャンプータオルの活用がお薦めです。ウエットティッシュ感覚で手軽にペットの被毛をきれいにすることができます。
シャンプータオルの使用目的はにおい予防ですから、簡単に被毛の脂質を拭き取れることが肝心です。しかし、脂質の正体はあぶらですので水には溶けません。このような場合、界面活性剤という成分が有効です。
界面活性剤とは、水とあぶらを混ぜ合わせるはたらきをするもので、乳化剤とも呼ばれます。これが入っているシャンプータオルなら、においの素である被毛の脂質をしっかりと拭き取ってくれます。なお、界面活性剤は『ポリソルベート20』という名称で表示されていますので確認してみましょう。
ペットを飼われていない人は、動物のにおいに対して敏感であるといいます。定期的なシャンプーやこまめなシャンプータオルなどの利用は、ペットのにおいエチケットとしてとても大切な事といえるでしょう。
(以上)
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執筆獣医師のご紹介
本町獣医科サポート
獣医師 北島 崇
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。