獣医師が解説

【獣医師が解説】ペットの病気編:テーマ「増加する肥満犬」

みなさんの目の前にぽっちゃりとしたイヌと、がりがりに痩せたイヌがいるとします。さてこの時どちらのイヌを可愛いと思うでしょう?私たちは「痩せている→食べていない→心配」と連想するのに対して、「太っている→よく食べている→微笑ましい」と感じるのではないでしょうか。今回のテーマは愛犬の肥満です。

【イヌの肥満】

日本を含めイヌは世界中で飼われています。ということは肥満のイヌも世界中にいるということになります。ヒトと同様ペットの世界でも肥満はさまざまな病気の引き金になるため、30年以上前から世界各国で肥満犬調査が行われています。

世界の肥満犬調査

日本獣医生命科学大学の石岡克己は、国内外で報告されているイヌの過体重・肥満調査結果を紹介しています(2012年)。これによると古いものでは1980年代(英国)や90年代(日本)の肥満率は24%でおよそ4頭に1頭の割合でした。

これが2000年代に入るとオーストラリア41%、中国44%、米国56%とその割合はどんどん増加しています。世界の家庭飼育犬の2~3頭に1頭が過体重または肥満ということになっています。(ここでいう過体重とは5段階法BCS:4、肥満とはBCS:5に相当するものです)

肥満になりやすい犬種

愛犬の肥満は食生活(フード、おやつ)や運動量(散歩の時間・頻度)と深い関係がありますが、この他に体質(犬種)も大きな要因の1つです。外国の文献では犬種と肥満との関係が次のように報告されています。

○肥満になりやすい犬種
:ダックスフント
:ビーグル
:コッカー・スパニエル、
:ラブラドール・レトリーバー

○肥満になりにくい犬種
:ヨークシャー・テリア
:ジャーマン・シェパード
:ドーベルマン
:ボクサー

そう言われれば、お腹のあたりに脂肪がたっぷり付いている胴長のダックスフントやビーグルを見かけるような気もします。

【オーナーから見た肥満状況】

先ほど紹介した外国の肥満犬調査では2000年以降、過体重もしくは肥満のイヌが増加していました。では日本の状況はどうなのでしょうか?

あなたの愛犬の状態は?

近畿大学の大石武士らは2000年~2001年にかけて大阪、兵庫、奈良の愛犬オーナー426人から飼育犬の肥満に関する意識調査を行っています(2004年)。なお対象になった犬種は雑種(24.4%)が最も多く、次いでシー・ズー、ゴールデン・レトリーバー、柴犬、その他となっています。では調査内容を見てみましょう。

Q「最近、肥満のイヌが増えていると思うか?」
A:そう思う(69.7%)、思わない(15.5%)、判らない(14.8%)

Q「なぜ肥満のイヌが増えていると思うか?」
A:肥満犬をよく見かける(54.8%)
自分の愛犬が肥満である(14.0%)
肥満犬用フードが売られている(11.0%) ほか

Q「あなたの愛犬の肥満状態は?」
A:痩せている(1.4%)、痩せ気味(8.0%)
普通(57.7%)
やや肥満(26.3%)、肥満(6.6%)

この報告はおよそ20年前のものですが、日本においても確実に肥満傾向~肥満状態のイヌは増えてきていることが判ります。

肥満の原因は?

上記調査において自分の愛犬を「やや肥満・肥満」と判定したオーナーにその理由を質問したところ、次のような回答がありました。

Q「愛犬を肥満にしてしまった原因は何か?」
A:甘やかした(24.0%%)、運動不足(23.5%)、間食の与えすぎ(17.3%)、
不妊処置による(8.4%)、フードの与えすぎ(6.1%)ほか

以前にも紹介しましたが、不妊処置を行うとペットは確かに太ります。しかし、愛犬が肥満になった原因のほとんどがオーナー自身にあることもしっかり自己分析されています。ただしその対応はなかなかできないのが実情です。

【肥満犬vs非肥満犬】

ではもう少し具体的に、肥満犬と非肥満犬とでは生活の何が違うのかを見てみましょう。

肥満対策の実施

先ほどと同様にオーナーの自己評価で飼育犬を「やや肥満・肥満」とした方を肥満犬グループ、これ以外の「痩せ・痩せ気味・普通」を非肥満犬グループとします。両グループのオーナーが何かしらの肥満対策を行っている割合は、肥満犬グループ(56.4%)、非肥満犬グループ(47.6%)でした。

自分の飼育犬が肥満状態であると判っていてもおよそ半数のオーナーは特に何も対応していないということになります。対して非肥満犬オーナーの半数は、現在愛犬は肥満ではないにもかかわらず、常日頃から何か予防策をとっていることが判る結果でした。

散歩

肥満対策としてまず頭に浮かぶのは運動です。愛犬との散歩では肥満犬グループも非肥満犬グループも90%以上においてしっかりと実施されており、また1回の散歩時間も30分間を中心として大きな違いは見られませんでした。

なお、もう少し詳しく比較すると1日2回の頻度で散歩を行う割合は、非肥満犬グループの方が60.1%とやや高い感があります。

フード、間食

運動と並んで肥満対策として大切なのがフードです。両グループともに30%以上の回答として「食餌の制限」が上がっています。そして肥満犬グループでは25.2%において「肥満犬用フード」が利用されています。これらを合わせると全体の60%近くでフードによる体重調整を行っていることになります。

ここで注目したいのは「ヒトの食事を与えない」という回答です。肥満犬グループでは3.9%と少数意見であるのに対し、非肥満犬グループでは10.1%のオーナーがこれを心掛けています。ここに何か重要ポイントがあるようです。

フードと共に注目すべきは間食です。予想通り非肥満グループでは「間食を制限している(8.4%)」「間食を与えていない(25.2%)」と肥満犬グループより高い値でした。

このように肥満犬グループでは、ヒトの食事や間食を与えることが多いということが判りましたが、本質的にはこれら自体が悪いことではありません。間違っているのは通常のフード量に上乗せ給与することによって、トータルの摂取カロリーが基準をオーバーすることです。

間食・おやつにはご褒美の他に、機能性栄養素の補給という意味があります。たとえばチーズ(ロイシン、カルシウム)、ドライフルーツ(食物繊維)、小魚(EPA、DHA、カルシウム)、ゴマせんべい(セサミン、セレン)などです。このようなペットの健康を応援するおやつを与える時には、フード量を少し調整してカロリーオーバーを避けるのが1つの肥満対策です。

この20~30年でペットの寿命(生存期間)は5歳ほど伸びています。ある動物病院の調査によると、イヌの平均死亡年齢は1981年(5.5歳)、1991年(10.0歳)、2001年(13.8歳)と推移しています(須田沖夫 開業獣医師 2011年)。このような寿命延長の背景には動物医療の進歩とフードの栄養改善があります。

しかしこの結果残念ながらペットの肥満化が進み、高脂血症や循環器疾病などで逆に寿命を縮めるという皮肉な現象が起きています。次回は愛犬の肥満リスクについて考えます。

(以上)

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執筆獣医師のご紹介

獣医師 北島 崇

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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